「働き方改革」によって、多くの企業で残業時間の削減や女性が働きやすい環境づくりなどの取り組みが行われています。今回は、働き方改革を実現するための手法の一つである「テレワーク」について解説します。テレワークをうまく使うことができれば、コスト削減や生産性向上など多くのメリットにつながるでしょう。
目次
そもそもテレワークとは?
ICTを駆使し、時間や場所を有効活用
テレワークとは、情報通信技術(Information and Communication Technology)を利用することで、仕事における時間や場所の制約を取り除いた柔軟な働き方のことです。テレワークは実施頻度や働く場所によって種類が分かれています。
実施頻度における種別は以下の通りです。
- 常時テレワーク:基本的にオフィスに出社することはなく会社外で仕事を行います。
- 随時テレワーク:テレワークでの勤務が週に1~2日や月に数回、または1日の午後だけで、それ以外はオフィスに出社して仕事を行います。
雇用型のテレワークの種類は?
在宅勤務
自宅にてPCやスマートフォンを用いた電話やメールなどを通じて会社とやりとりをしながら、仕事を行います。自身の仕事がしやすい環境を整えることができるため、集中して業務を行えます。
モバイルワーク
移動中の飛行機や新幹線、カフェ、顧客先の会議室などで仕事を行います。移動時間を有効活用できるため、外出することが多い場合は効率的に業務が行えます。
サテライトオフィス
本社以外にある遠隔勤務用のオフィスやテレワークセンター、会社が借りているレンタルオフィスなどで仕事を行います。従業員の住環境近くにある場合、通勤時間を削減することができます。遊休施設や空き家などを活用することによって、オフィスコストの削減することもできるでしょう。
働き方改革のテレワーク導入のメリットは?
育児や介護などによる離職を防げる
ワーキングマザーや働きながら家族の介護をしている従業員にとっては、会社に行くことが負荷になってしまうことが少なくありません。そこでテレワークを導入することにより、オフィス以外でも働ける環境を実現できます。その結果として、育児や介護を理由とした離職防止につながります。
従業員のワークライフバランスが実現
オフィスへの移動時間を削減できるため、家族と過ごす時間や自己啓発に費やす時間を増やすことができます。また、育児や介護と仕事の両立がしやすくなるため、ワークライフバランスを実現することが可能です。
生産性の向上が期待できる
営業職であれば、より多くの顧客に短時間で回ることができます。営業職以外でも自分の集中できる環境を選んで仕事をすることで生産性が向上するでしょう。
働き方改革でテレワーク導入による課題は?
テレワークには多くのメリットがあります。しかし、会社として安易にテレワークを導入すれば、場合によってはメリットを享受できないばかりか、会社の信頼に関わる重大事故につながる可能性もあるでしょう。ここからは、テレワークを導入するときに気をつけるべき課題ついて紹介します。
労働実態がつかみにくい
テレワークで働く従業員が安心して働くためには、適切な労務管理が必要不可欠です。随時テレワークの場合は、基本的に新しい制度やルールは設けずに既存のものをそのまま使用するケースが多いです。
一方で常時テレワークの場合には、時間の管理方法など新規で検討が必要になることがあります。このようにテレワークの種類によっても考慮すべき内容が変わってくるため、自社の制度・ルールとテレワークがどのように連動するかを必ず事前に検討しましょう。
テレワーク実施者の評価方法
テレワークを導入すると電話での打ち合わせやWeb会議などがどうしても必要になります。これまで遠方の拠点とのやりとりを頻繁に行っていた会社であれば大きな問題はありません。しかし、オフィス内にいる人と対面でのやりとりが多かった会社では、遠隔でのやりとりに戸惑う従業員が出てきてしまうこともあります。
こうしたケースではテレワーク実施者の評価方法にも注意が必要です。遠隔でのやりとりがメインになるので、評価者となる上司が公平な評価を行うことが求められます。テレワーク実施者は正当な評価をされにくいと感じていることが多いです。なぜその評価になったのかを説明できるような定量的な評価指標を用いて双方が納得できる評価方法を検討しましょう。
IT端末のセキュリティ管理
昨今、様々な企業でウイルスや誤送信などによって個人情報を漏洩する事故が起きています。テレワークではオフィス外で作業を行うため、最大限の情報セキュリティ対策を行う必要があります。シンクライアント環境を用意するなど、個人任せにすることなく会社としてきちんと取り組みましょう。
まとめ
テレワークを活用するためには、まずは自社の従業員の働き方を見つめなおし、「すべてオフィスでなければできない仕事なのか」を考えてみてください。もしオフィス以外でもできる仕事があれば、テレワークを導入するメリットは大いにあります。ぜひテレワークを活用し、働き方改革を実現してください。