学生が就業前に会社で働く体験をして、企業や仕事を理解するインターンシップ制度。企業側がインターンの募集をするには、どのようなことに注意をするとよいのでしょうか。学生と受け入れる企業の双方でトラブルなくインターンシップを行うために、募集方法や注意点について詳しく説明します。
目次
インターンシップ募集の種類とは?
インターンシップには以下の2種類があります。
短期インターンシップ
短期インターンシップとは、1日~長くても1カ月程度で終わるインターンシップのことです。1日で終わるものとしては、会社説明やセミナーなどがあてはまります。
また、企業から与えられたミッションをチーム単位で取り組む、プロジェクト型のインターンシップもここに含まれます。プロジェクト型は夏休みなどの休暇を利用して行われることが多く、実務経験というよりは、社員の同行やグループワークなどの企業を理解するためのコンテンツで構成されます。
長期インターンシップ
長期インターンシップとは、就業型インターンシップともいわれ、1カ月以上の一定期間において実際に企業で働くインターンシップのことです。
常時募集が行われており、開催時期も通年で、企業が決めた期間で行われます。社員と同じような実務に携わることで実践的なビジネススキルを修得できます。また、企業も学生もお互いをよく知ることができるので、入社前後のギャップを生じにくいのがメリットです。
短期・長期インターンシップの特徴
次に、短期・長期それぞれの特徴について説明します。
短期は無給が多く、長期は有給が多い
短期インターンシップは、多くの場合、参加しても報酬は発生しません。一方、長期インターンシップは、期間が半年などのように長くなる場合、報酬を約束されることが多くなっています。支払い方法は企業や職種によって異なり、一般的には時給や日給、固定給で払われます。交通費は別途支給のところが多いようです。
短期、長期を行う企業の傾向
短期インターンシップを行うのはどちらかというと大手企業が多く、長期インターンシップはベンチャーやスタートアップが多く取り入れる傾向があります。大手企業は、商品開発や新規事業開発、ビジネスモデルの構築などを課題とするプロジェクト型インターンシップの実施で、学生の斬新なアイディアや発想を求めています。
一方、ベンチャーなどが長期インターンシップを導入するのは、慢性的な人手不足や採用力が低いという課題を抱えているからです。また、こうしたベンチャーはインターネット関連の事業を展開しているところが多く、若い学生との相性の良さも挙げられます。ベンチャーの経営陣自らがインターン経験者という傾向があることも理由と言えます。
短期・長期インターンシップを募集する方法
続いて、インターンシップの募集方法を紹介します。
インターン求人サイトに掲載する
インターン求人サイトを利用すると、たくさんの学生の目にふれることになり、あらゆる人材の応募を期待できます。インターン希望者が見ているため、早期に決められることもメリットのひとつです。
最近では原稿や掲載写真の用意を代行してくれるサービスもあり、採用担当者の負担も軽減できます。ただし掲載費用が高く、また、熱意が低い学生が応募してくる可能性もあるので注意が必要です。
自社HPに求人を掲載する
自社のサイトに求人を掲載する方法もあります。自社のサイトまで調べて応募してくる学生は、自社への関心や本気度が高いと考えられます。また、応募者の一元管理ができ、外注しなければコストも抑えられるメリットがあります。
メリットがある反面、自社を知らない・関心のない学生や潜在層を集めることができないのはデメリットです。少しでも多く訪問させるには、魅力的なコンテンツにするほか、他サイトにリンクを貼る、SNSで拡散する仕掛けを施すなどの対策が必要となります。
採用ページのデザインやコンテンツ内容ついて詳しく知りたい人はこちらをご覧ください。
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キャリアセンターに求人票を出す
ほとんどの大学がキャリアセンター(就職課)を運営しているため、キャリアセンターにインターンの求人票を提出し、学生を集める方法もあります。
キャリアセンターを利用するメリットとしては、採用したい大学や学部に絞って求人ができる点です。専門性が強い職種の場合、その分野を研究している大学や学部の学生にピンポイントでアプローチが可能です。また、原則として掲載料がかかりません。
一方、全ての大学がインターン求人を行っているわけではなく、教育方針上の理由で断られる場合もあります。
インターンシップ募集時の留意点
インターン生を受け入れる際には、以下の点にも留意してリスクに備えるようにします。
インターン時のケガ、事故による備え
万一の事故やケガが起きた場合、学生自身や学校、企業の負担をできるだけ軽減できるように、あらかじめ保険等の対応策を組んでおきます。企業側としては、インターンシップであってもアルバイトとして労働契約を結び、賃金を支払って労災保険の適用対象にすることも考えましょう。あるいは、労災互助会が提供する労災上積み保険なども検討しましょう。
なお、学校の正課・課外活動としての実習の場合、「学生教育研究災害傷害保険」に加入していれば適用対象となります。さらに、企業または学生が一般の傷害保険等に加入していれば、それらで対応することもできます。インターンシップを対象とした民間の保険商品もあり、通常よりも安価なことが多いため、このようなリスクヘッジも検討しておきましょう。
企業に損害があった場合の備え
事故やケガのほかにも、パソコンなどの機器やソフトの損壊、機密情報の漏洩など、学生側が企業に損害を与えてしまうことも少なくありません。この場合の賠償責任は学生にありますが、内容によっては学生が対応できるような金額ではおさまらない可能性もあります。
こうした事態を避けるためにも、学生に対して損害に備える保険の加入を促すことが重要となります。学生・学校・企業の間では、保険の加入状況などを明文化することが望ましい対応策といえます。
まとめ
学生と企業双方の理解が深まるため、多くの企業が採用しているインターンシップ制度です。募集にはいくつかの方法があり、それぞれメリット・デメリットがあるので、自社に合った採用法を選ぶようにしましょう。また、インターン生の事故やケガ、器物破損などに対するリスクヘッジも必要となります。インターンシップを導入する際にはぜひ参考にしてください。