マーケティング
公開日: 2019.06.11 / 最終更新日: 2023.12.11

リードタイムとは?基本の意味や類語・例文、短縮するメリットを解説

「リードタイム」という言葉はもともと製造現場で使われていた言葉ですが、それ以外の場面でもよく耳にします。今回の記事では、リードタイムに関する基本的な知識から、売上との関係、リードタイムを短縮するための方法やメリットまで解説します。

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そもそもリードタイムとは?


ここでは、リードタイムという言葉の意味や使われ方について紹介します。

発注・受注から納品までにかかる期間

リードタイムは生産や流通の現場においてよく使われ、「発注・受注から納品までにかかる期間」という意味を表す言葉です。売り手側や顧客側、さらに業種によっても少しずつ意味合いが異なります。たとえば売り手側であれば「受注から納品するまでの期間」、買い手側であれば「発注してから商品が届くまでの期間」となります。

リードタイムの例文

リードタイムは売り手側と買い手側で使い方が異なります。ビジネスシーンではしばしば「リードタイムを縮小する」という使われ方をしますが、これは「無駄な工程を省く」といった意味合いで使われています。

・関東圏内でしたら開発のリードタイムは1週間ほどで完了します。
・リードタイムの縮小によって、売上が向上しました。
・この開発をお願いしたい場合、リードタイムはどの位か教えてください。

リードタイムの類語

リードタイムの類語としては、所要時間、製造時間、所要期間、開発期間、移動時間、調達期間、中間所要時間などが挙げられます。

英語だと「lead time」

リードタイムは英語の「lead time」からきており、ほとんど同じ意味で使われます。ビジネスシーンでは「L/T」と省略されることもあります。納期という意味で使われる「delivery date」は「具体的な納品日」をさしますが、lead timeは発注から納品までにかかる期間をさし、具体的な日程を伝える時には使いません。

リードタイムの4種類


リードタイムは使う場面やその人の立場によって意味合いが変わるため、ここでは基本的な4種類のリードタイムの意味について解説します。リードタイムという言葉は、以下のとおり4種類に細分化されます。

開発リードタイム

開発リードタイムとは「商品企画を検討・決定し、部材の調達や生産する工場などを決めるプロセスにかかる期間」を意味します。開発段階では、まずスペック詳細などの商品企画を決定し、そこからどのような材料を使うかを決めます。そして資材の調達、実際に生産する工場を決めていきます。これら一連のプロセスが開発リードタイムです。

調達(購買)リードタイム

調達(購買)リードタイムは「商品企画に合わせた資材を調達して、生産の前段階までにかかる期間」を指します。素材は自社生産する場合もありますが、別の会社から調達する場合も少なくありません。海外の会社から調達する場合は、その運搬などを含めたリードタイムを加味する必要があります。

生産(製造)リードタイム

資材を調達して「生産を開始してから出来上がるまでの期間」を生産(製造)リードタイムと言います。生産を自社内で完結できる場合と、「パッケージングだけは外注する」など自社以外の工程が含まれる場合もあります。

配送(出荷/物流)リードタイム

配送(出荷/物流)リードタイムは「商品が出来上がってから、実際に納品するまでの期間」を指します。運んで納品するだけの工程ではなく、「検品」「納品先の振り分け」「配送」「納品後検品」など関わる人と場所が増えるため、ほかのリードタイムと比較すると予想しにくい工程と言えます。

リードタイムと売り上げの関係とは?


ここではリードタイムと売上の関係性について紹介します。リードタイムが長いと、売り上げ機会の損失に繋がることがあります。さらに、期間が長ければ長いほど在庫を保有する期間も長くなるため、結果的に「在庫過剰による収益悪化」を招きかねません。

長いと売り上げ機会の損失に繋がる

リードタイムが長いということは、注文を受けてから商品を納品するまでに時間がかかるということです。言い換えると、市場のニーズに対してスピード感を持って対応できないことを意味します。

たとえば、需要が急拡大して追加で発注をもらっても、競合他社に比べてリードタイムが長ければ商品の提供が追いつかず、結果的に売り上げ損失に繋がってしまうことが考えられます。

生産リードタイムが長いと在庫増に

生産リードタイムが長いということは、自社で抱える在庫が増えることを意味します。生産リードタイムが短ければ、資材を調達してから出荷・納品し、お金にかわる期間までが短いということです。反対に、生産リードタイムが長ければ、生産に必要な資材在庫や、生産途中の商品も「仕掛かり品」として在庫を多くかかえることになります。

在庫が過剰になると収益の悪化を招く

在庫が過剰になると、収益の悪化を招くリスクがあります。食品などは陳腐化や品質劣化により、商品として販売できなくなってしまう可能性があります。また、長期間保管できる商品であっても、保管スペースの確保や管理する人の人件費なども発生するでしょう。加えて、財務面ではキャッシュフローが減るためデメリットとも言えます。

リードタイムを短くするメリット


リードタイムが長いことによるリスクは上で述べたとおりですが、では、リードタイムを短くすることでほかにどのようなメリットが生まれるのでしょうか?ここでは主に3つのメリットを解説します。

現場での問題点が見えてくる

リードタイムを短縮することで、まず「どこに問題があるのか」が見えてくるのがメリットです。「調達リードタイム」「生産リードタイム」「配送リードタイム」それぞれのうち、どこにリードタイムを長くさせている要因があるのかを把握することができます。

在庫が減りキャッシュフロー改善に

リードタイムの改善を行うと、資材調達から出荷・納品までの期間を短縮できるため、現金化するまでの期間を短くできます。商品在庫も会社の資産としてカウントされますが、商品はあくまで商品であり流動性が低いため、キャッシュフローの悪化につながります。在庫を減らすこと(=仕入れから現金化までを短縮)することは、キャッシュフロー面での大きな改善になります。

顧客からの評価が高くなり売上増加も

市場ニーズに対するスピード感の重要性については上述のとおりですが、単純に売り上げ機会を獲得できるだけでなく、注文をもらった得意先や顧客からの評判にもつながります。リードタイムが短縮できれば、顧客からは「欲しい時にすぐ納品してくれる会社」という信頼感が醸成されるため、その後の取引や関係性にも好影響を与えるでしょう。

リードタイム短縮で売上を伸ばすには


リードタイムを短縮することによって、自社にも顧客にも良い影響があることがわかりました。では、トータルリードタイムを短縮して売り上げを伸ばすためには、どのような方法があるのでしょうか?ここでは「メーカー業の場合」と「その他業種」の場合に分けて解説します。

メーカー業の場合

生産現場におけるリードタイムの短縮には、まず「トヨタ生産方式」の導入を検討しましょう。コンセプトは「ジャストインタイム(必要なものを・必要な時に・必要なだけ)」と「自動化」の2つです。まず、自動化を推進することによって「不良品発生率を抑制」できます。それに加えて、「設計や部品の共通化」も検討しましょう。在庫の削減だけでなく、大量発注による仕入れコスト減にもつながります。

そのほかの業種の場合

そのほかの業種の場合は「システムのクラウド化」「コンテンツ管理システムの最適化」「クラウドソーシングの活用」などが具体的改善策と言えるでしょう。「システムのクラウド化」や「コンテンツ管理システムの最適化」を行うことにより、部門や社外をまたぐ場合に特に時間がかかる、情報集約面での改善が期待できます。システム自体のレスポンスの改善にもつながるでしょう。

また「クラウドソーシングの活用」も時間短縮、工程削減になります。クラウドソーシングはさまざまな分野の外注をインターネット上で簡単にできるため、営業の時間や、会社対会社で発生する契約にかかる期間などを短縮でき、リードタイムの改善につなげることができます。

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まとめ

「リードタイム」の言葉の定義や種類、売り上げの関係性、そしてリードタイム短縮のための具体的方法などを解説しました。世の中の変化するスピードは速くなってきているため、1日でもリードタイムを短縮して市場や顧客のニーズを逃さない取り組みを進めたいものです。今回の記事を参考に、自社のリードタイム改善にチャレンジしてみてください。

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消費財メーカーでマーケティングを担当。消費者調査、コンセプト・商品開発、ブランディング、メディア戦略立案、販売戦略立案などブランドマーケティング全般、WEBマーケティングについてはオウンドメディア管理、SNSマーケティング、SEOなどを実務として経験。

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