「デザイン仕事は人生相談」ライフスタイルごと変えられるクラウドソーシングを地方地域の人に広めたい:one_and_only こと 鶴山勝仁さん

2thtalk

グラフィックデザイナー歴36年のone_and_onlyこと鶴山勝仁さん。今回は、そんな彼がデザインをする上でこだわっていること、そして、クラウドワークスの秘める可能性などについてお聞かせいただきました。

これまでの歩みを教えていただけますか?

デザインの専門学校を卒業して、岐阜のデザイン事務所に就職しました。そこからグラフィックデザインの仕事に関わって36年くらいになりますね。記者を目指した時期もあったんですが、もともとデザインが好きで得意だったので、結局絵のほうに進みました。デザイン事務所や印刷会社などをいくつか点々として、その間にフリーランスとして仕事を受けていた時期もあります。2013年12月には会社を設立して現在も活動しています。

-どのようにしてクラウドワークスと出会ったのですか?

数年前にクラウドファンディングサイトの「READYFOR?」をたまたま知って、ソーシャルデザイン(社会貢献)の「仕組み作り」に興味を持ちました。これは僕の進むべき道だと感じたんです。そこから、社会貢献をしている人たちとネット上で知り合うことが増えたり、地元地域の市長選挙のデザインを全面的に手伝ったりするようになって、徐々にソーシャルデザインについて学ぶことができました。そんな流れの中でクラウドソーシングのクラウドワークスを知り、昨年の夏に登録しました。

-クラウドワークスでお仕事をするようになった理由を教えてください。

以前から、お客さんから直接デザインの仕事を受けてやってきたため、今でもそれは継続して行っています。そもそも、クラウドワークスで仕事を受けるようになった理由には別の意図がありました。会社を設立した理由のひとつでもあるのですが、もっと地方の地域でもクラウドソーシングを活用する人を増やしたいと思っているんです。ライフスタイルをも変えるポテンシャルがあるサービスを使うことで、可能性が無限に広げられる。そこにチャレンジする人を応援してサポートしたい。そのためには、自らサービスを体験して、そこで学んだことを色んな人に教えられたらいいなと思っています。

デザインの仕事は他ならぬ「人生相談」

-鶴山さんにとっての、デザインとは?

クラウドワークスではコンペ形式のロゴデザインの仕事を中心に受けています。僕はコンセプトを考えることがすごく好きで。長年デザインを仕事にしていますが、デザインすることは人生相談と同じものだと思っています。それが会社でも人でも、何かコトを起こす時には思いがあって、それを形にする時には必ずデザインが必要になる。その背景にある思いを聞き出すところから始まって、その人の持っているコンセプトを最適なデザインに落とし込んでいくんです。クラウドワークスでいろいろな案件を拝見しますが、依頼主の想いがきちんと説明されているといっきに興味が湧きますね。

-どのようにしてアイディアを形にしていくのですか?

相手の困りごと、やりたいこと、夢。そういったものを自分ごとに置き換えて取り組みます。相手の思いを吸収して、自分がその人だったらどうするかを一緒に考えていく。デザインのインスピレーションは、いろいろ調べていくうちに見えてきますね。そこには依頼主だけでなく、その同業者の考え方を知ることも入るかもしれない。常に、その依頼主のことを考えながら情報を収集するんです。そのプロセスの中でアイディアがひらめいていく。そうしているうちに、全ての情報がひとつに繋がって形になっていきます。

-「READYFOR?」のロゴはどのようにして生まれたのでしょうか?

クラウドワークスを知ることになったきっかけである「READYFOR?」のロゴリニューアルの案件が登場した時はすごくビックリしましたね。もともとサービスのことを知っていたので入りやすく、担当者の米良さん(注:READYFOR?代表の米良はるか氏)ともメッセージでやり取りを重ねました。そこで見えてきた意向が、「日本的要素、日本発という要素を取り入れたデザイン」というものでした。そこで、人のつながりを日本的なものに置き換えて形にできないかと考え始めて。題材を「綱(つな)」にして、一本一本は細いけれど、束になって強い綱が出来上がった様子を描きました。最終的に、それがハートを描くような「R」になっているロゴにたどり着きました。

デザインに決まった方程式はない

-デザインを考える上で大切だと思うことを教えてください。

これまで印刷物からウェブサイト、ロゴまで様々なものをデザインしてきました。経験上たくさんのことを学んで、そうした教訓が活きています。でも、ひとつ忘れてはいけないことは、デザインに決して方程式がないということ。デザインをひとつの形に当てはめて考えることはできません。だから、普段から色んな場所でインスピレーションを受けたり、なぜ?とかどうやって?と問いかけることが大切だと思っています。ひとつのデザインを見た時に、それがどういう方法でつくられているのか、どういう形で構成されているのか、興味を持って見てみる。常に、新鮮な目で新しく取り組むことを大切にしています。

-クラウドワークスを使ってみて、魅力的だと思うところは何ですか?

例えば、特別な知識や技術を持たない方が、ウェブデザインの勉強をしようと思って何冊も本を買って、まるまる1ヶ月勉強したとします。いざ仕事をしようと思っても、なかなか仕事を発注してもらえない。これまでだとあきらめていたかもしれませんが、クラウドワークスなら、そんな未経験者でもひとまずコンペに参加してみることができる。実績があるベテランに限らず誰にでもチャンスがある。今までの仕事のあり方では、こうはできなかったですよね。そういう意味で、どんどん可能性が広がっていくプラットフォームではないかと思います。

ライフスタイルごと変えるポテンシャル

-最後に、クラウドソーシングの可能性における、鶴山さんの考えをお話しください。

クラウドワークスのようなクラウドソーシングサービスは、人のライフスタイルを変えられると思うんですよ、本当に。長年、地元の印刷業界などでデザインをやってきましたが、これからの時代は地域も時間も関係なくなる。そこで自分の能力が発揮できて、ある程度の収入が確保できれば、会社勤めでは難しかった空いた時間が持てるようになる。20代、30代になると、自分のためだけではなく「人のため」に何かをしたいと思うようになっていく。これまでは収入の不安や拘束などでできなかったこを、クラウドソーシングの力を借りて実現できる。ライフスタイルだって変えられます。そういう新しい形にチャレンジする人をもっと排出するお手伝いができたらいいなと思いますね。