まちつく!などのソーシャルゲームのヒットアプリを続々と輩出した、ウノウ株式会社をZyngaに売却した著名シリアルアントレプレナーの山田進太郎氏。
Zynga退社後に世界一周を経て、2013年春に株式会社コウゾウを設立し、二度目の起業に挑戦する。そんな山田氏の目には、クラウドソーシングはどう映るのだろうか。
目次
仕事の価値はグローバルで一物一価へ:コミュニケーション力がより重要な価値に
ー以前からクラウドソーシングに興味を持っていたそうだが、世界一周旅行での気づきから、クラウドソーシングの本質をさらに考えるようになったそうですね。
クラウドソーシングは前々から興味のある分野でした。ポスト工業化時代においては、従来の工業時代に機能していた画一的な働き方ではなく、人々の仕事の仕方が変わっていくと思っています。
画一的な仕事はグローバル化により先進国から発展途上国へ、仕事が流れている現状があります。
価値のあるモノを生み出し、それに対する対価をもらっていくという世の中へ変化していくと思います。世界一周してみて、たしかに物価が安い国はありますが、1ドルの食事は1ドルなりの価値で、お腹を壊したこともありました。
日本と同様の質を求めて安全性を担保するには、それなりの対価を支払う必要があると感じました。国によって物価の差はあるものの、同レベルの質に対する対価はグローバルで同じ価格に収斂していくと肌で実感しました。
ー グローバルで同じ価格に収斂していく。やはり途上国に合わせて価格が低い方へ収斂していくと思われますか?
教育や経済の発展により、その仕事をできる人が先進国にしかいなかったのが、途上国でできる人が増えれば、供給数が増えるので需給関係から価格が下がっていくことは想定されるでしょう。
一方でチームで議論を戦わせて質を上げていくような仕事の価値はそう崩れないと思います。
単なる技術だけだと価格が下がっていく可能性があるが、「技術+コミュニケーション」の価値が相対的にすぐに下がっていくことはないといえそうだ。
これからの時代、オンラインにおいてこそコミュニケーションがより重要視されていくのかもしれない。
ロゴコンペで1週間で186件もの応募:地方在住者からの応募も多数
ー そのような中で、クラウドソーシングの「クラウドワークス」を使い始めたきっかけを教えて下さい。
二度目の起業に際して、出来るだけ先端的なツールを使おうと決めていました。
ファイル共有なら以前はサーバーを設置していましたが、Dropboxを使うなど、クラウドで済むものは極力クラウドを利用したいです。そのスタンスの一貫として、まずは会社のロゴをコンペで募集してみようと考えました。
ー 1週間で186件もの応募があったそうですね。
かなり多くの応募をいただき、驚きました。応募いただいたものを一覧で見て、社内のデザイナーにも意見を聞きながら最終的に決めました。
後日お会いした知り合いのデザイナーに、『実はクラウドワークスのロゴコンペに応募したよ』という話を聞いたことも一度ならずありました。ひとりは地方在住の方で、非対面で仕事が完結する点が魅力的で、仕事を獲得するツールとしてのクラウドワークスに対して非常に興味を持っていましたね。
ー 実際にロゴコンペで採用になった方はどのような方だったのでしょうか?
タイのバンコク在住のデザイナーの方でした。後から知ったのですが、実は私がバンコクを旅行していた際に一度お会いした方で、その際にネット系の仕事をしているとは聞いていたものの、デザイナーとは知りませんでした。
採用した後に、先方からメッセージいただき、バンコクでお会いした方だと知りました。
業界で話題のフリマアプリ「メルカリ」をリリース
ー2013年7月にフリマアプリの「メルカリ」をリリースされました。フリマアプリは既に参入サービスが多い分野ですが、なぜこの分野に参入されたのでしょうか?
まだプラットフォームとして普及しているサービスがないので、参入の余地があると判断しました。「個人間(CtoC)でスマホで簡単に売ったり、安全に買ったりできるんですよ」 ということをアピールしたいです。
経営陣全員がエンジニア経験者であり、既にトップエンジニアが続々と集結しています。「世界で使われるインターネット・サービスを創る」というミッションを掲げており、今後は「日本発」の世界的ヒットアプリを生み出すべく、シリコンバレーに支社を置き世界中でサービスを展開していく予定です。
世界一周旅行を経た山田進太郎氏が、メルカリを武器に世界にどうビジネスを展開するのか。今後に注目が集まる。