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毎日最適な量と質の情報を届ける「Gunosy」
「Gunosy」は、人のソーシャルネットワーク上の興味、TwitterやFacebookで話している内容を解析して、その人に合った最適な量のニュースが毎日届くサービスです。設定すると、メールやアプリで毎日25件のニュースが配信されます。それら一つ一つがユーザーに最適化されたアルゴリズムで選別されていて、ユーザーのクリックなどを把握することで常に学習、進化し続けています。
ユーザー数は21万人、目指すは年内に100万ユーザー
現在の登録ユーザーは21万人ほどです。現在一番注力しているのはユーザー層の拡大で、年内に100万人突破を目標に定めています。Gunosyのリリース当初は、IT寄りのギークな方が多く、ユーザーのほとんどが男性でした。この幅を広げるために、女性にも受け入れられるデザインを追求してウェブやアプリを白地のデザインにリニューアルしています。女性ユーザーの登録のハードルを下げるためにメール登録にも対応しました。ユーザーの関心がテクノロジーであろうとファッションであろうと、それぞれのユーザーに最適な情報を届けるために裏側のロジックにも日々改善を加えています。
コンペ機能を活用して以来、クラウドワークスを頻繁に活用
クラウドソーシングサービスとして注目を浴びていたクラウドワークスを初めて活用したのは、クラウドワークスのコンペ機能がリリースされた際でした。それ以降、月に1、2回の頻度で活用しています。普段はバナー、サイト内のiPhoneアプリへのリンク画像、アップストア最適化のためのスクリーンショット画像など小規模案件を依頼しています。例えばバナーだと発注から納品まで1週間くらいのスピードで対応してもらえます。デザイナーの仕事は常にあるものではないため、社内リソースとして確保することが難しいのが現状です。クラウドソーシングを使えば、必要に応じてリソースが見つかるため、スポットでの利用に普段から活用しています。
大型案件でクラウドワークスを初めて活用
Gunosyのサービス(ウェブとiOS)のリニューアルと同時に、これまで手つかずだったコーポレートサイトの立ち上げも行いました。最近では、このサイト立ち上げをクラウドワークス経由のデザイナーにお願いしました。リニューアルと同様、知的でかつ親しみやすい女性にも受け入れられるコーポレートサイトを意識しました。これまで以上に色を多く取り入れるなど、デザイン面の変化をつけました。クラウドソーシングのクラウドワークスで発注が成立したのが今年3月で、5月中旬には納品されました。
上記はクラウドワークスでデザインされたGunosyコーポレートサイト
プロジェクトとコンペはニーズに応じて使い分け
以前掲載された弊社の福島と竹谷のインタビューでお伝えしたように、コンペ形式にはポテンシャルがあるデザイナーさんに出会えること、アイディアが広がるといった利点があると思っています。また、GunosyではA/Bテストを頻繁に行っており、全く違う要素のバナーを検証することもあります。一人のデザイナーさんのテイストは決まっているため、違うテイストのバナーを出す際に新なデザイナーさんの発掘が可能になります。反対にスピードが必要な場合は、プロジェクトやコンペではなく、決まった人に非公開で直接依頼をかけます。コンペ形式はパターン数が欲しかったり、デザイナーを発掘したい場合に最適で、今回のコーポレートサイト立ち上げのような規模が大きな案件にはプロジェクトを使った応募が向いていると思います。
クラウドワークスのコンペを利用してデザインされたABテスト用のバナー
デザイナー選びは実績が物を言う
コーポレートサイトの立ち上げは、クラウドワークスさんで案件をご紹介いただいたところ、最終的に5〜6人のデザイナーが応募してくれました。クラウドワークス上のデザイナー・ポートフォリオで実績を確認した上で、デザインが安定していて最も信頼できそうなMonopoさんにお願いすることになりました。フルサイトの立ち上げに30万円という価格もリーズナブルだと感じました。Gunosyのプロジェクトに幾度もリピートして応募してくださるデザイナーさんもいらっしゃるので、その中でクオリティーの高い方には別の案件を直接依頼させてもらうこともあります。
発注時のオリエンテーションが鍵
期待通り、もしくはそれを上回るものが上がってくるかどうかは、発注時のオリエンテーションが鍵になると思っています。そのため、バナーなど小さいものは一度も会わずに発注することもありますが、コーポレートサイトのような大規模な案件は一度お会いして最初にしっかり方向性を確かめます。サービスの背景や意図などを含めて理解してもらうように。手元の紙に書きながらイメージを共有するといったこともできるので、一度は対面で会う機会を設けていまね。Gunosyの場合は、もともとサービスが存在しているので、それをコーポレートサイトに落とし込むならどうなるかという感じで相談をしました。既存の紙っぽさのあるデザインを活かし、リニューアル後の白地ベースをコーポレートサイトでも踏襲するなどの要望を伝えました。それをもとにデザインパターンを複数出してもらい、中で一番良いものにフィードバックをしてブラッシュアップすることを繰り返す感じです。クラウドワークスは契約後は直接のやり取りがOKなのでスムーズに運ぶことができました。
デザインマニュアルで外部への発注を効率化
バナーなどの発注は頻度が多いため、普段から発注できるデザイナーさんの数を確保しています。クラウドソーシングのクラウドワークス経由で出会ったデザイナーさんも複数いらっしゃいます。初めて仕事をお願いする方とのやり取りがスムーズにいくように、外部にデザイン発注する際のマニュアルを用意しています。過去のバナーやその効果などをマニュアルで共有して、素材なども常に特定の場所に用意しておく。この辺をきちんと整備しておくと、クラウドワークス経由でお願いしても、また直接見つけた学生デザイナーにお願いする場合でも効率的に依頼することができます。結果として、成果物もこちらが望む方向のものが出てきています。
頻繁に行うA/Bテストの素材はクラウドワークスで
データドリブンのGunosyでは、A/Bテストを頻繁に行って検証を繰り返しています。例えば、GunosyからツイートするとGunosyのリンクが掲載されるんですが、その中にiOSならアップストアへのリンクが含まれています。これをランダムに50%ずつ表示して、クリック数を比較しています。特定のユーザーさんにだけ配信することも可能です。これまでの例では、バナーのボタンの色は緑色だと効果が高いことがわかっています。ボタンが目立つ赤色だと効果が薄いという意外な発見もありました。一番最初にクラウドワークスでお願いしたバナーは当初のGunosyのデザインに合わせて黒背景に白文字だったんですが、このバナーのクリック率がこれまでで最も高かったです。
上記は実際のABテストで利用されたバナー
A/Bテストを全部自動化できたら面白そうだなと思っています。コンペ形式で自動的に効果の高いものが勝ち抜いていくような。社内でもFacebook AdのようなCTRの一番高いものが自動的に配信されるような広告システムの仕組みを実現したいと思っています。納品→掲載→成績で自動選別、という流れができるので。
スピードと安さを実感、発注業務の効率化
クラウドソーシングのクラウドワークスを活用してきて、そのスピード感と安さは大きなメリットだと思っています。発注から納品までのプロセスが合理化されているため、最初から最後までスムーズに進められる。デザイナーとのやり取りも、クラウドワークスのメッセージ機能を使って行っています。バナーなど画像程度なら、メッセージに貼ってもらうだけで十分コミュニケーションが間に合うので。こうしたプラットフォームを活用せず、外部のデザイナーに直接発注するケースだと、当然発注書のやり取りから請求書の発行まで個別にやり取りが発生して煩雑になりがちです。クラウドワークスでは、契約してから最終的な納品までのフローにのせることで、スムーズかつ効率的に発注することができます。
クラウドワークスへの今後の期待:評価の可視化
以前、受注者として個人的にクラウドワークスに登録していたことがあるんですが、案件が決まった途端に相手の企業から連絡が途絶えてしまったことがあって。現状のクラウドワークスでは発注後の評価しかできない仕組みなので、それをフィードバックすることができませんでした。発注者と受注者の両面から見て、評価に関しては改善の余地があると思っています。また、コンペ形式も色々工夫ができそうですね。コンペは金銭が発生する前に作業するため、どうしてもデザイナーが割くリソースが小さくなってしまう。それが結局コンペに出す作品のクオリティーに直結するという悪循環。例えば、コンペにはそもそも一定以上の評価がないと参加できないようにするとか。そうすれば、デザイナーも意識して自らの評価を上げようとすると思います。もう少しゲーム要素を加えて、コンペ勝率のようなものが評価に加わっても面白そうですね。