文章力を高めるには欠かせない「推敲」の話〜初心者ライターが犯しがちな「ミス」って?

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どもども。どれだけ推敲しても、100%完全に納得できる文章が書けません。ライター2年目の僕です。原稿を書き上げた瞬間は「最高の出来だ!」と自画自賛しても、翌日に改めて読み返してみると「なんだこの脇の甘い文章は……」と、評価が逆転することもしばしば。

ウェブライティングはもちろんのこと、どのような文章においても欠かすことのできない「推敲」の作業。みなさんは普段、自分の文章をどの程度まで読み返していますか?

今回はそんな「推敲」の必要性について、文章における代表的な間違いである「誤字」の観点から考えてみようと思います。

僕自身、ライターとしてはまだまだ未熟ではありますが、日頃から他人が書いた文章の校正・編集作業に携わっている身。この2年間ほど継続的に取り組んでいる校正作業、そのなかで気がついたことを、自分なりにまとめました。


校正をしていて気になった、文章の「間違い」の傾向

「間違い」の傾向
引用元:無料写真素材 写真AC

冒頭にも書いたように、己の書いた文章を読み返して頭を抱えることは日常茶飯事。誤字脱字が見つかったり、もっとよい表現があるんじゃないかと修正したりと、常に文章の見直しは欠かせません。

その一方では、他人の書いた文章を読んで引っかかることもしばしば。――というのも、2年ほど前からウェブメディアで公開する記事の校正・編集作業を受け負っているのですが、ライターさんによっては誤字脱字が10ヶ所以上に及ぶこともあるのです。

その間違いの多さときたら……あまり偉そうなことを言える立場ではないものの、「この文章、1回でも見直しました……?」と疑問に感じてしまうほど。以下、具体的に見ていきましょう。

基本的にあってはならない「間違い」と、実際に出会った「誤字」

「間違い」と「誤字」

引用元:無料写真素材 写真AC

文章における“間違い”と言えば、まず思い浮かぶのは「誤字」「脱字」

それ以外にも「主語と述語がかみ合っていない」とか、「文末表現が統一されていない」といったものも“間違い”として挙げられそうですが、そういった引っかかりはまだ「違和感」で済みますし、あえてそのように書いている場合も考えられます。――が、誤字・脱字はそうはいきません。

それは、読んで字のごとく“誤”りであり、本来ならば必要である文字が“脱”けているわけで、基本的にはあってはならない“間違い”だと断言できるものです(※現在、一般に浸透している「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉など、必ずしも“間違い”だとは言い切れない表現もあります)。

そりゃあもちろん人間誰しも完壁ではありませんし、書店に並んでいる本だって、誤字が見つかって修正されることは珍しくありません。それでも、やはり誤字・脱字は文章において好ましくない要素であり、事前の推敲によって排除するべき存在だと言えるでしょう。

例えば、校正作業中に以下のような誤字を見かけたことがあります。

 ○○業界において圧倒的なシャアを誇る△△社は、×億円のチキン調達実施した。

まず、カタカナ3字で通常の3倍は速く動けそうなモビルスーツ・パイロットの名前が目に入りますが、これはおそらく「シェア」のタイプミス。また、「チキン調達」も億単位の鶏肉を調達するとは考えにくい(食肉業界ならともかく)ため、こちらは「資金」の変換ミスだと考えられます。さらに文章のリズムを考えると、「調達」と「実施」の間には助詞を加えたいところ。

これは極端な例ではありますが、ほかにも「見落としがち」を「身落としがち」と書いていたり(早まるな!)、おそらくは「プロポーション」と書くはずが「女優さんの抜群のプロモーション」になっていたりと(広告塔として優れていると考えれば、まあ……)、過去にツッコミどころ満載の誤字と出会ったことは数知れず。

一文字違いなら、まだありがちな変換ミスですし、見直しで気がつかなくても仕方がないように思います。ただ、本来は漢字に変換しようとしたであろう「チキン調達」については、原稿の提出前に発見してほしい、発見できる間違いだと言えるのではないでしょうか。

誤字をなくすべき理由1~読者に快適に読んでもらうため

読者に快適に読んでもらうため

引用元:いらすとや

もちろん誤字があったからと言って、読んだ人全員がそれに気づくようなことは稀です。それこそ「資金」→「チキン」のように字数や文字種が異なっているケースでもないかぎり、ちょっとした誤字は気づかれずに読み飛ばされていてもおかしくありません。

そういえば過去に、「こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です」で始まる以下の文章が話題になったことがありました。文中の単語はほとんどデタラメなのに、なぜだか読めてしまう。「誤字」とは方向制が異なるものの、この例は「ある程度の間違いはスルーして読めてしまう」ことを端的に示しているようにも思います。

こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか
にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば
じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて
わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
ちんゃと よためら はのんう よしろく

「読めてしまう」文章ネタの起源と歴史[絵文録ことのは]より)

しかし、文章にそういった一面があるからと言って、「ちょっとした誤字くらいならいいや」と妥協するわけにはいきません。なぜなら、明らかに目に留まるような「誤字」は文章に違和感をもたらし、ひいては読者に対してネガティブな印象を与えかねないものだからです。

たとえ読者を引きこみ夢中にさせるような魅力的な文章でも、読んでいる途中にふと妙な誤字が目に入ってしまえば、途端に現実に引き戻されてしまう。冷める――というよりは、「我に返る」感覚でしょうか。せっかく集中して読んでいたのが台無しになってしまうため、どうももったいなく思えてならないのです。

どんなに魅力的な旅行記でも、「寝台車」が「死んだ医者」になっていたら、途端にミステリーだかサスペンスだかが始まりそうな雰囲気になりますし、おしゃれカフェで食べた限定スイーツの感想が、「うまかった!」ではなく「馬買った!」と書かれていたら、馬主になった筆者の物語がカフェで幕を開けるのかと変な期待を抱かれてしまうかもしれません。……まあ、そんな愉快な誤変換はなかなか起こらないでしょうが。

でもやはり、文章中でも明らかに浮いた存在である誤字・脱字は、それまでスムーズに読んでいた読者の目を止めかねないもの。せっかく自分が書いた文章に目を通してくれるのだから、それを快適に読んでもらうためにも、誤字・脱字はなるべく避けるべき。――僕は、そのように考えています。

誤字をなくすべき理由2~クライアントから信頼を得るため

クライアントから信頼を得るため

引用元:いらすとや

また、「ライター」として継続的に仕事をこなしていくうえでも、誤字・脱字をはじめとする初歩的な間違いは最小限に抑えたほうがいいように思います。

ライターに求められているのはあくまで「執筆」であり、「どうせ編集さんの手が入るんだから、自分で何度も見直す必要はないんじゃない?」という考え方があるのもわかります。スピード重視の執筆を求められる案件もあるでしょうし、書くだけ書いて、あとは校正・編集に丸投げしたほうが効率的だという現場もあるかもしれません。

ですが、それでもやはり、文章における間違いは最小限にとどめたい。というのも、時と場合にもよるでしょうが、ライターの評価基準のひとつに「成果物」――つまりは提出した文章の存在があります。「質は問わないから早く提出しろ」という案件でもないかぎり、継続的に依頼を受けるにあたって成果物の「質」を重視するのは、至極真っ当な考え方です。

何をもって文章の「質」とするかはこれまたケースバイケースではあるものの、どんな分野においても、「丁寧な仕事」は評価されるポイントです。誤字が多ければ多いほど編集さんの手を煩わせることになりますし、間違いが少ないに越したことはありません。それならば、一度でも推敲することによって誤字をなくし、原稿の「質」を“最低限以上”にしておいたほうが、編集さんの心象も良くなるのではないでしょうか。

特に昨今は、多種多彩な「ウェブライター」が次々と参入しています。圧倒的な文章力や取材力、執筆速度によって、存在感を発揮する新鋭ライターたち。その一方で、多くの一般的なライターは頭ひとつ抜けることが難しく、継続的な依頼を獲得するのが難しいという現状もあります。

なればこそ、少しでもほかのライターとの差別化を図るためにも、基本を疎かにしてはいけないように思うのです。なるべく丁寧な作業を心がけることにって、クライアントの信頼を勝ち取る重要性が高まりつつある――そのように言えるのではないでしょうか。

もしかすると、実際のところは速度や量が重視されているのかもしれませんが……。それでも、仕事の「速さ」や「数」といった面では適いそうになく、記事の内容としての「質」にもさほど自信がない人は、基本を淡々とこなすことが大切であると個人的には考えています。

――というか僕自身が、速さも数も質も追っつかず、結局はそこで勝負するしかないので……。なるべく日頃から丁寧な作業を心がけているつもり……です。はい。

誤字をなくすべき理由3~推敲の習慣によって自身の文章力を高めるため

自身の文章力を高めるため

引用元:いらすとや

いい加減に長くなってきましたが、最後にもうひとつ。

「誤字」をなくすために文章を読み返すことは、そもそも「自分のため」になると思うんですよね。単純な話、書いた文章を読み返すことで自ずと間違いに気づけるようになり、その過程で繰り返した試行錯誤が、ひいては文章力の向上につながる――というメリット。

さすがに何十回も読み返す必要はないでしょうが、ただ読むのではなく、意識的に視点を変えてみたりツールを使ってみたりすることで、自然とミスに気がつきやすくなる面はあるように思います。お手軽でわかりやすい方法として、「一晩寝かせる」のは鉄板ですよね。

と言うのも、文章を書き終えた瞬間はまだ頭が内容を覚えているため、よほど集中しないかぎりはすんなりと読めてしまう。たとえ誤字があっても、「ついさっき自分でそのように書いた(つもりの)」ものとして記憶しているため、目が滑って読み飛ばしがちな印象があります。

そこで、少し時間を置いてから読み返してみるわけです。昨日の自分は赤の他人――は言いすぎでしょうが、時間が経てばある程度は書いた内容も忘れようというもの。すぐに見直すよりは第三者視点で文章を読むことができるので、誤字・脱字に気づきやすいはずです。

ただし、同時に「もっとよい表現があるんじゃないかばばばばば!」などと、冒頭の自分のように思い悩むことにもなるかもしれませんが……それはそれで、成長のチャンスかと。誤字・脱字以外にも、読んでいて引っかかった部分、気になった表現などを検討することで、最後にはよりよい文章に仕上げることができるかもしれません。その過程はきっと、今後の執筆にも生きてくることでしょう。

文章推敲支援ツール「リライトマーカー」
文章推敲支援ツール「接続詞検出機」

自分の目だけで読み返すのが不安でしたら、誰か身近な人に助言をお願いしたり、上記のような校正ツールを使ってみたりするのもおすすめです。僕は最近、こちらの「リライトマーカー」「接続詞検出機」のお世話になっています。無意識に多様している表現などを指摘してくれる、物書きには嬉しいツールですね。

また、こういったサービスを利用していると、「普段からどういった言い回しを使っているかを意識するようになる」という副産物も期待できます。執筆中、接続詞を挿入しようとしたときに、「文の前後で同じ表現を使っていないか」といった部分を自然と確認するようになるなど、視野が広がる感じがありました。

このように、前後の文章・文脈に意識が及ぶようになれば、誤字・脱字も含めた文章の“隙”に気がつきやすくなるというメリットがあります。さらには、見直しを繰り返すことで自分の文章の癖をも知ることができ、あれこれとしっくりくる表現を探して試行錯誤した結果、文章力の向上・底上げにもつながるのではないでしょうか。

まとめ

以上、「もっと自分の文章を読み返そうぜ!」というお話でした。日常的に当然のごとく推敲している方からすれば「何を今更……」な話題だとは思いますが、改めて。やっぱり、推敲は大切だと思うのです。

ここでは主に「誤字」に絞って書きましたが、文章の見直しをする際に見るべきポイントはさまざま。誤字・脱字をはじめ、句読点の調整、助詞・接続詞の見直し、主語・述語の不一致、文末表現の不統一、意味の通らない単語を使っていないか、ことわざや比喩の使い方はおかしくないか――などなど、挙げればキリがありません。

ただ、これらのポイントは、すべて引っくるめて文章中の“違和感”として認識されるものであり、何度か読み返せば自ずと気づくことのできるものでもあります。なので、そういった“違和感”にまずは気づき、何がおかしいのかを調べ、世に出す前に修正すること。そうしたら、その作業を常日頃から繰り返し、文章の完成度を高めること。こうした地道な試行錯誤の積み重ねが、最終的には読者やクライアントの信頼・評価に結びつくのではないでしょうか

……なーんて偉そうなことを書きましたが、僕だってまだまだ未熟な身。普段から大量の赤入れを食らい、「すみませんすみません許してください何でもしますから……」などと申し訳なさいっぱいで修正に励んでいる泡沫ライターです。こうして原稿に取り組んでいる今も、いったいどれだけのツッコミが入るのか戦々恐々としている感じ。――でも実際問題、しっかりと読んだうえで赤入れしていただけるのは、ライターとしてはむちゃくちゃありがたいことなんですよね……。いつもお世話になっております。

何はともあれ、そんな自分の文章の脇の甘さを日頃から思い知らされている現状もあり、「推敲」の大切さをひしひしと実感している今日このごろ。だからこそ、複数の誤字が目に留まる文章がもったいなく思われ、このような記事を書かせていただいた格好です。

最後に個人的な考えではありますが、仕事以外の場で文章を書いていないライターさんには、ぜひとも「ブログ」や「日記」をおすすめしたいところ。気軽に始められる趣味ですし、ネット上で公開していれば、読者さんが文章の間違いを指摘してくれることもあります。

ブログを書いていれば、自然と推敲の習慣がつくだけでなく、あれこれと好き勝手に書き連ねているうちに文章の幅も広がります。自由な趣味の活動ではありますが、ある種の“武者修行”の場として考えてもいいですね。「ブログ」の魅力は他のライターさんが書かれておりますので、よかったら合わせてご覧になってみてください。

※ちなみに、実はこの文章にも意図的な「誤字」を5つほど挿入しております。なかには「そんな間違い方はしねーよ!」とツッコまれてもおかしくない、嫌らしい「誤り」もありますが、よかったら推敲の練習として探してみてくださいな!回答は執筆者紹介の下です。


執筆者:けいろー

プロフ
フリーライター。インターネット大好きゆとり世代。新卒入社したメーカーで営業職として働くも、身体を壊して退職。無職期間にブログを書いていたら仕事をもらえるようになったので、ノリで独立。ウェブメディアで記事を書いたり、ライブパンフレット制作のお手伝いをしたりしています。はやくにんげんになりたい(おしごとください)。
Twitter:@Y_Yoshimune
ブログ:ぐるりみち。


「誤字」の回答

1.見出し「校正をしていて気になった、文章の「間違い」の傾向」
「ウェブメディアで公開する記事の校正・編集作業を受け負っているのですが〜」
誤:受け負って
正:請け負って
2.見出し「基本的にあってはならない「間違い」と、実際に出会った「誤字」」より
「そりゃあもちろん人間誰しも完壁ではありませんし〜」
誤:完壁 
正:完璧
3.見出し「誤字をなくすべき理由①」より
「「誤字」とは方向制が異なるものの、この例は〜」
誤:方向制
正:方向性
4.見出し「誤字をなくすべき理由②」より
「それでも、仕事の「速さ」や「数」といった面では適いそうになく〜」
誤:適いそう
正:敵いそう
5.見出し「誤字をなくすべき理由③」より
「無意識に多様している表現などを指摘してくれる〜」
誤:多様
正:多用
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