ディズニー風仮装を続けて8年。インスタフォロワー約6,000人・MIKUさんの仮装にかける思いとは

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IT会社の人事部で採用担当の仕事をしながら、プライベートではディズニー風の衣装を制作し、ハロウィンの特別な期間だけ舞浜のテーマパークで仮装を楽しんでいるMIKUさん(26)。

趣味とはいえ、衣装作や仮装にかける想いは本格的で、インスタのフォロワー数は約6,000人とファンの間ではかなり有名な存在です。

仕事とは別のライフワークとして仮装を楽しむMIKUさんに、衣装制作や撮影の裏側なども含めて詳しくお聞きしました。

 

 「コスプレ」じゃなくて「仮装」

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―インスタグラムのフォロワー数がおよそ6,000人。すごいですね。

ありがとうございます。

 

―MIKUさんがお仕事とは別に取り組んでいる活動は、ディズニー風の仮装、ということなのでしょうか?

はい。「コスプレ」だと言われることもありますが、私の感覚としては「仮装」です。特にディズニー風の仮装をする方々は「自分はコスプレじゃない」と言いますね。

 

―コスプレとの違いとは?

舞浜のテーマパーク(以下パーク)には普段、中学生以上は仮装して来場できないんですが、ハロウィンの時期だけは大人も仮装が許されます。

そのときにディズニー風の仮装でパークを訪れ、写真を撮るのはもちろん、パレードやアトラクションも楽しむのが私たち。一方、コスプレイヤーの方たちは、好きなゲームやアニメのキャラクターになりきるのが目的ですよね。

 

―つまり仮装は最高の遊びだという感じ? 

はい。最近は「インスタ映え」という言葉が流行っているように、写真を撮ったり、撮られたり、という楽しみ方が増えてきましたね。

 

―なるほど! ハロウィンの期間中、仮装を許されるときに集中的に活動するわけですね。

はい。昨年まではハロウィンの期間中、2週間ぐらいだけ大人の仮装が許されていたので、平日も休みを取って集中的に通って。今年は9月初めから10月末まで大人の仮装もOKの期間だったので、週末を中心に楽しみました。

 

―それ以外の期間は仮装しないんですか。 

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基本はその期間に集中して仮装するんですが、衣装ができあがった時点でリハーサルを兼ねて、パーク以外の場所でロケや撮影の機会を設けることもあります。

過去にやった撮影会では、スペースを貸し切って、インテリアも衣装もプリンセス風に作り上げたときが楽しかったです。

 

―写真は1年間を通じて、コンスタントにアップされているようですね。どの写真をアップするかは何か理由などあるのでしょうか。

その日の気分もあるし、映画の公開とか、キャラクターのお誕生日とかに合わせてアップすることもあります。インスタのコメントでいただいたリクエストに応じることもありますね。

 

―SNSを通じて、たくさんの人と交流されていますよね。 

はい。最近、流行っているSNSの匿名質問アプリを使って、匿名の人からの質問に答えたり、インスタのストーリーやライブ配信を利用して衣装作りやメイクなどの質問に答えています。

 

作品に入り込みたいから衣装にはとことんこだわる 

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―衣装を作るときは、どういう発想で作っているんですか?

好きな作品があれば、その中から登場人物のいろいろな衣装をチェックします。

「このシーンのこの衣装を作ろう!」と決めたら、実際に映画を観たり、インターネットで画像を検索したりして、細かくディティールを確認。絵に描いてみることもあるのですが、私は絵心があまりないので(笑)まずは画像を手に持って、生地屋さんに直行します。

 

―生地屋さん?

だいたい、日暮里にある生地の問屋街を回って掘り出し物を探しています。1m100円のセール価格でゲットできたらラッキーですが、突き詰めていくと、どんどん本物のドレスに近づけたくなるので、予算はどんどん膨らんでいきますね。

 

―高いものだと、どれぐらいお金はかかってますか?

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怖くて計算できないのですが(笑)ラプンツェル風の衣装だと、ウィッグやお花も入れて3万円ぐらいでしょうか。主人公の長髪を表現しようと思ったら、ウィッグも4つぐらい必要だから。

 

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今年作った作品の中で、一番お金がかかったのはディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの映画「ディセンダント」風の衣装。革のジャケットで装飾もたくさんあり、全部で5万円以上はかかったかな。

この衣装は「ディセンダント」の映画俳優・女優さんから「すごい!」と反応をいただいたり、さらには衣装デザイナーさんからも誉めてもらえた衣装だったので、金額を気にせず突き詰めて作った甲斐がありました。

 

―やはり既製品では間に合わない? 

そもそも「作品に入り込みたい」という想いでやっているので、映画通り忠実に作りたいんですよね。そうなると既製品では、自分の中でどうしても納得できない部分があるので、それならば自分で作ったほうが愛着も湧くし…という考えです。

 

―衣装は具体的にどういう感じで作っていくんですか?

まず、ウェディングドレス用やコスプレイヤーさん向けの衣装制作用の型紙集など、型紙のパターン集を何冊か持っているので、その中から作りたい衣装に似ているものを探します。型紙はそのまま使えないので、作りたいものに合わせて形を直し、まずは使わない布を裁断。次は人台に布をあてて、立体的にデザインを確認していく「トワルチェック」です。

 

―本格的なんですね。服飾の学校を出ているんですか?

いえいえ、普通の四大卒です。服飾の勉強を専門に受けたわけではないので、毎回泣きそうになりながら作っていますよ。

 

―そうなんですね!じゃあ、最初は苦労されたとか?

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はい、最初に作ったのは、ショーのダンサーさんの衣装。ダンサーさんへの憧れの気持ちから、ショーに入り込む感覚が味わいたくて制作を決めたのですが、ジャケットがとにかく複雑で苦労して。この時は友人と協力をして何とか仕上げました。

それからも独学で、ときどき服飾系の友人に教えてもらいながら、ひたすら作って慣れてきた感じですね。

 

―制作場所は主にご自宅なんですよね?

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はい。家を出た弟の部屋を衣装制作部屋にしています。弟も仮装をするので、理解はあるんですよ(笑)今まで40着以上、作って来ているので、もう収納は限界です(笑)

 

―ちなみに毎年、作品はどれぐらい作るのですか?

だいたい1年で5、6着くらいですね。ハロウィンが終わったら、もう来年のことを考え始めて、なるべく早いうちから制作に取り掛かります。

2〜3日でできるものもあれば、1ヵ月以上かかるものもあります。早めにやっていかないと直前に徹夜する羽目になるので…。

 

「とりあえず城前(しろまえ)行こう」が定番のフレーズ

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―一緒に写真に写っている仲間の方たちとは、どのように知り合ったんですか? 

現地で仲良くなった人もいれば、SNSで知り合った人もいます。

 

―年々、仲間は増えている感じですか?

そうですね。今だと、1クラス分ぐらいの人とつながりがあるかな。ワイワイ仲良くするから、学校みたいですよ。顔見知りだと、400人ぐらいはいるかもしれません。

 

―仲間の方たちとは事前に打ち合わせとかするんですよね。

はい。たいてい「事前にどの作品風にするか」とか「プリンセスで統一しよう」とか「テーマを決めてどんな仮装をするか」友達とすり合わせをします。

友達もみんな年間パスポートを持っていて、パークのことを熟知しているので、「この仮装だったらあの場所だよね」「あの作品のあのシーンを撮りたいよね」って盛り上がって。

だいたい衣装を作る段階から資料を集め、映画のシーンを思い浮かべているので、打ち合わせはスムーズに進むことが多いですね。

 

―撮影はどうしているんですか? 

現地で出会った人にその場で撮ってもらうこともありますが、あらかじめ依頼するときは、ディズニーの作品を知っていて、撮りたいシーンを頭に描ける方にお願いするようにしています。

 

―素朴な疑問なのですが、仮装は家からしていくものなんですか?

いろいろです。家からすっぴんで行く人もいますが、私はメークをしてカラコンを付け、マスクや帽子で隠して…。絶対、怪しい人って思われていますよね(笑)

 

―荷物を運ぶのが大変そうですね。

キャリーケースを転がしていく人が多いですが、私はパーク内で打っているショッパーを担いで行っています。荷物は筋肉痛になるぐらい重いんですよ。

 

―衣装にはどこかで着替えるんですか?

衣装はコートで隠せるなら家から着てくるかもしれませんが、だいたいはパークに着いてから着替えますね。仮装OKの期間中はパーク内に更衣室が設置されているんですが、混雑するので、車で着替えるやホテルに宿泊して着替える人も多いですね。

 

―1日の行動としては、どんな感じなのでしょうか。

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仮装OKの期間中は、お昼頃を目安に「イン」して、写真撮影をお願いしているときは早速撮影に入ります。

何も予定を決めていない日は、「とりあえず城前(しろまえ)行こう(シンデレラ城の前に集まること)」が、仮装者の中で定番のフレーズかな(笑)城前に行けば、仮装者さんたちが多く集まっているので、誰かしら顔見知りがいる、みたいな感じです。

次の日に仕事がなければ22時の閉園までがっつりいるんですが、仕事があるなら早めに引き上げます。

 

―途中で衣装チェンジするようなこともあるんですか?

1日ずっと同じ衣装のときもあれば、多いときで1日3着、着替えたこともありますね。友達と衣装を貸し借りしながら、楽しむときもあるので。

 

子どもたちにドキドキ、ワクワクを伝えたい

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―そもそも、なぜ仮装を始めたのでしょうか。

多分、子どものころからの憧れが大きかったんだと思います。今だと小さい子用のプリンセスのドレスは簡単に手に入りますが、私が子どものころは、まだそんなにたくさん売られていなかったし、七五三でもドレスを着たわけではないし。それで、お姫様になりたい、みたいな夢が「仮装期間中だったら大人でも叶えられるんだ!」と分かった途端「自分もやってみたい!」と思ったんです。

 

そこで早速その年から、知り合いに作ってもらった衣装で参加。2年目からは自分で衣装を作るようになりました。その後、大学を卒業し、社会人になってからも続けて今年で8年目。こそこそ活動しているわけではないので、大学でも、会社でも、ディズニー風の仮装をしている人、みたいに思われているかもしれません。

 

―衣装の制作はいつされているんですか?

会社から家に帰ったら、20時ぐらいから作業を始めて、夢中になると夜中の3時、4時ぐらいまでやってしまうこともあります。仮装期間の2週間前ぐらいになったら毎日、追い込みで、ご飯を食べる時間だってもったいないぐらい、のめり込むこともありますね。

 

―大変ですね…。

でも、今みたいに仮装期間が終わって、やることがなくなると、そわそわしてしまうんです。それが寂しくて、撮影会の企画をしたり、イベントに参加したりするんですけれどね。

 

―撮影は、誰かから呼ばれることもあるんですか?

はい。いろいろありますが、小さい子どもたちの集まるパーティーに呼ばれて、プリンセスが遊びに来たよ、みたいな設定で登場して喜ばせる、みたいなときは本当に楽しいですね。お金をいただくような仕事ではありませんが、やっぱり自分も小さいとき、プリンセスに憧れて、ワクワク、ドキドキしてきたから、同じような感動を子どもたちにも分けてあげたいなって。

 

―趣味でどうしてそこまで夢中になれるのでしょうか?

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やっぱりフォロワーさんの存在が一番の支えですね。私のインスタを見たことがきっかけで仮装を始めた、という人がいたり、「子どもがいつも楽しみにしています」なんていうコメントをいただいたり。あとは単純にやっぱり、仮装って楽しいんですよ。仮装がきっかけで、つながった出会いもたくさんありますから。

 

―それはやりがいになりそうですね。

はい。海外だとホームパーティーにパフォーマーが呼ばれることはよくあるのですが、日本はまだまだそういう文化が浸透していません。

でも、保育園や幼稚園、病院などを訪問して、子どもたちと交流するということは、これから取り組んでみたいところ。少しずつ、友達と「プリンセスパーティー」の企画について話し始めているところです。

もっと実績を積んで、子どもたちにドキドキ、ワクワクを伝えられる人になっていきたいです。

 

―最後に、これからの目標など教えてください。

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趣味ごとき、と言われるかもしれませんが、もっと衣装をうまく作りたいし、自分自身も若々しくいたいです。私なんかよりもっと長く続けているベテランの仮装者さんたちは、本当にすごいですから。まだまだ自分も頑張らなければいけないな、と刺激を受けています。

最終的な夢としてはやはり「子どもたちに夢を与えられるような存在になりたい」ということ。パークで仮装をしていると、子どもから声をかけられることも多いのですが、中には私を本物のキャラクターだと思っている子もいるので、私も夢を壊さないよう、なりきってお話をしています。

自分も幼いときからパークに連れて行ってもらって、たくさん感動して、夢を見て、今でも心に残っているので、同じようにたくさんの子どもたちに楽しんでもらいたい。そのお手伝いを少しでも自分ができるなら、という想いで、これからも突き詰めていこうと思います。

MIKU

普段はIT会社の人事部で採用担当を勤める26歳。会社に勤めながらディズニー風衣装の制作を8年間続け、今ではインスタグラムのフォロワーが約6,000人。好きなディズニーのキャラクターは全部。