【悲報】転売目的でのゲーム買占め行為は違法ではないことが判明。但し・・・

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最近は、メルカリなど一般の方が気軽にネットオークション等に出品することができるようになり、副業として転売によって利益を出そうと考える人も増えてきているのではないでしょうか。  

もっとも、人気ゲームを発売と同時に転売目的で買占め、品薄による価格上昇を待って転売するなど、やり方によっては世間のひんしゅくを買ってしまうこともあります。  

ここでは、そのような転売行為が法律に違反する可能性がないのか解説していきます。

せどり・転売とは

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この記事では、掘り出し物を仕入れ、それを仕入れ額より高く転売する行為について法律的な目線から見ていきます。  

世間一般では、このようなビジネスを「せどり」と呼びます。

大量買い占めは違法か

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上記の例のように、人気ゲームなどを発売と同時に買占め、店頭で買い求めることが困難になったときを見計らって、ネットなどで転売する…。  

このような行為は、そのゲームを定価で買いたい人にとっては大迷惑なことです。  

しかしながら、結論からいうと、このような転売行為自体を禁止する法律はありません。  

したがって、上記のような買占め行為を行っているからといって、行政などから取り締まりを受けることはありませんし、商品を買った人などが「高すぎる!」と文句を言ったりすることもできません。

せどりに関係する規制

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上記のようにせどりは適法なビジネスですし、それに伴う転売行為自体を禁止する法律はありません。  

しかしながら、法律は何も対策をとっていないわけではなく、せどりに関係しうる点について各種規制が設けられています。

古物営業法

中古品を仕入れ、転売する場合はもちろんのこと、一般店舗で新品を買い、それを転売する場合であっても、転売行為を営業目的(反復継続・営利目的)で行う場合には、「古物商」として各都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。   

営業目的ではない転売行為、例えば、自宅で使用していて不要になった物をメルカリで売るような場合には、「古物商」として許可を受ける必要はありません。   

許可を受けずに古物営業を行った者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処される可能性があります。   

もっとも、この法律は、買占めによる品薄や価格上昇を防止するという目的で立法されたわけではなく、盗品等の犯罪に関係する商品が転売により市場に出回ることを防止し、また、窃盗等の被害を迅速に回復するために立法されているものです。

ダフ屋行為

転売目的でコンサートの入場券等を購入したり、転売目的で入手した入場券等を転売する行為、通称「ダフ屋行為」は、各都道府県の迷惑防止条例で取り締まられています。   

たとえば、東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、ダフ屋行為について以下のような規定が設けられています。

第2条
1 何人も、乗車券、急行券、指定券、寝台券その他運送機関を利用し得る権利を証する物又は入場券、観覧券その他公共の娯楽施設を利用し得る権利を証する物(以下「乗車券等」という。) を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、乗車券等を、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む。(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、買い、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。

第2条 
2 何人も、転売する目的で得た乗車券等を、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に、売り、又はうろつき、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を配り、若しくは乗車券等を展示して売ろうとしてはならない。

以上の条文に規定されるように、ダフ屋行為として禁止されるのは、元から転売目的で入場券等を購入する行為や転売目的で入手した入場券等を転売する行為です。

つまり、最近はいらなくなったチケットをネットオークションの要領で売却できるサイトも登場していますが、そのようなサイトで行われる取引は、元々、自分が行こうとして買ったチケットであり、転売目的で購入したわけではないため、そのチケットを転売してもダフ屋行為にはならないのです。

商標権侵害・関税法侵害

ブランド品の偽物を海外などから輸入し、国内で売却したような場合、ブランドの持つ商標を侵害したとして、商標権侵害となります。   

また、商標権などの知的財産法を侵害する物品を業務として転売しようと国外から国内に持ち込むことは関税法でも禁止されています。

転売行為は適切な手続きやルールを守りましょう

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以上のように、ゲーム好きの人には残念なことですが、個人による買い占め自体を禁止する法律は現状では存在しません。  

その他、転売行為を規制する法律は複数ありますが、いずれも許可を得る手続きや当然のルールさえ守れば、問題なくせどりを業務として行うことができます。  

そのような背景事情もあって、近年、せどりがはじめやすい副業として認識され始めているのでないでしょうか。

【執筆者】
楠瀬 健太(くすのせ けんた)

中央大学法学部を卒業後、一橋大学法科大学院を経て、弁護士に。神奈川県下最大規模の弁護士数を誇る横浜綜合法律事務所に所属。労働問題を始めとする民事全般 から刑事事件まで幅広く取り扱っております。難しく思える法律をできる限り分かりやすくお伝えいたします。

▶所属している法律事務所:
横浜綜合法律事務所