皆さんは「ホワイトペーパー」とは何かご存じでしょうか。ホワイトペーパーは、BtoB(企業間における取引)においてリードを獲得する目的で制作されるため、マーケティング手法としても注目されています。これからホワイトペーパーの作成を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
ホワイトペーパーとは?
そもそもホワイトペーパーとはいったい何を表しているのでしょうか。ホワイトペーパーとは何かの概念を理解し、自社にとって価値の高いホワイトペーパーを制作していきましょう。
ホワイトペーパーの定義
ホワイトペーパーは「白書」とも言われ、もともとは政府機関などが公式に発行する報告書を意味していました。近年では、自社製品やサービスの機能紹介、市場分析、他社製品との比較などをまとめた文書のことを指しています。
見込み顧客の獲得・育成のためのマーケティング手法として注目を集めており、特にコンテンツマーケティングとの相性は抜群。読者が抱えている課題を解決するための情報を盛り込み、読者の個人情報を引き換えにして無料でダウンロードできるようにしている企業は少なくありません。
ビジネス用ホワイトペーパーの構成
マーケティングツールとしてのホワイトペーパーは、一般的に以下のような構成が用いられます。以下の構成のベースとなるのは「5パラグラフの法則」で、これは論文を書く際の基本となる構成です。
第2パラグラフ:課題や問題提起
第3パラグラフ:解決策
第4パラグラフ:製品・サービス情報
第5パラグラフ:結論
第1パラグラフでは、これから読んでいくホワイトペーパーにはどのような有益な情報が書いてあるのか、課題は解決できるのか、内容の要約を紹介します。内容の一部を紹介して読者の興味を引くことを意識する役割もあり、あらゆる読者がいることを意識して分かりやすくまとめることがポイントです。
第2パラグラフは問題提起となり、読者の課題や悩みを掘り下げていきます。読者自身が気づいていなかったような課題も明確にすることで読者の心をつかみ、共感を呼ぶ文章に仕上げます。ここで読者が内容に対して信頼を高められれば、この先で紹介する内容への納得感も高まることになります。
そして、第3パラグラフはソリューションを提示します。論理的であることはもちろん、現実味を帯びた内容であることもポイントです。ここで使えるのは「ストーリーテリング」の手法です(詳しいやり方は後述)。解決策を淡々とまとめていくだけでなく、読者が忘れられないような内容でまとめることも大切です。
第4パラグラフは、第3パラグラフで提示した解決策を実現させる手段として、自社製品やサービスを紹介します。ただし、ここは読者が認知・興味段階なのか、比較・検討段階なのかで訴求の仕方を変える必要があります。最後の第5パラグラフは結論です。第1と第5だけを読んだだけでも、全体が理解できるような結論に仕上げることがポイントです。
ホワイトペーパー作成の意味とメリット
ホワイトペーパーを制作する意味やメリットを詳しく紹介します。
消費者がサービスを選ぶときの決め手
ホワイトペーパーは消費者が製品、サービスを選ぶときの決め手になります。ホワイトペーパーの内容によって顧客の悩みや課題を解決することができれば、製品やサービス、あるいは企業そのものに対しての信頼が生まれます。
たとえば、同等の品質・価格をもつ複数の製品があり、どれを購入するか悩んでいる消費者がいたとします。このようなケースでは、ホワイトペーパーによって信頼が構築している製品を選択する可能性が高くなります。
顧客が興味を持つ段階がわかる
ホワイトペーパーは、一般的に顧客情報と引き換えに送付されたりダウンロードされたりすることが多いです。そのため、顧客のニーズに合わせた複数のホワイトペーパーを用意しておくことで、顧客が持っている興味の段階が「どこ」に「どれくらい」あるのかを把握することができます。そのため、営業やマーケティングに効果的だと言えるのです。
多様なチャネルで使うことができる
作成したホワイトペーパーは自社の重要なマーケティングツールです。その活用方法はさまざまであり、自社の製品サイトに掲載するだけにかぎりません。オウンドメディアやメールマガジン、展示会など、多種多様なチャネル(流入経路)で活用することができます。集客力を高め、顧客の信頼構築、製品の販売促進に役立てることが可能です。
ホワイトペーパーを制作する方法
ホワイトペーパーを制作するには、大きく分けて以下2つの方法があります。
自社で作成する
ホワイトペーパーを作成するには、自社の機密情報を扱わなければなりません。自社内でホワイトペーパーを制作することで情報漏れのリスクが下がる上、専門性の高い文書になりやすいです。ただし、一定の労力や時間が必要であるのはデメリットです。それに加え、確かなノウハウがないと、効果的なホワイトペーパーを作成することは難しいと言えるでしょう。
外部に依頼して作成してもらう
業務の効率性や生産性を上げるために、ホワイトペーパーの作成を外部に依頼する企業が増加しています。ホワイトペーパーの制作会社や作成支援会社は数多く存在するので、興味がある場合は一度調べてみましょう。また、ホワイトペーパー作成の外注化においてはクラウドソーシングを活用する企業も少なくありません。
ホワイトペーパーの作り方のコツ
上でも「ストーリーテリング」という言葉を紹介しましたが、読者の心を掴むホワイトペーパーに仕上げるには、ただ基本構成を忠実に守って制作するだけでは足りません。ここで紹介するテクニックを取り入れ、読者がダウンロードしたくなるホワイトペーパーを目指しましょう。
ダウンロードされるタイトルにする
ホワイトペーパーがダウンロードされるかどうかは「タイトルによって決まる」と言っても過言ではありません。印象的なタイトルを考え、ターゲット顧客に興味を持ってもらいましょう。なお、読んでもらいたいターゲット層を指定したり、具体的な数値を用いたりするのもテクニックです。ただし、あまりにも宣伝色の強いタイトルは逆効果なので注意しましょう。
ストーリーテリングを意識する
ストーリーテリングとは、物語仕立てで語ることで読者の共感を高める手法を指します。製品の特徴を箇条書きで述べるよりも、その製品が開発された背景を伝えたり、実際に使ってみた体験談を加えたりするほうが、ターゲット顧客により強い印象を与えることができます。読者が「その製品を実際に使っている自分」をイメージできるようなホワイトペーパーを作りましょう。
図やレイアウトで読みやすさを追求
テキストだけの情報は、絵や図表が加えられた情報よりも見やすさの面で劣る傾向があります。インフォグラフィックを活用し、読者に視覚的に訴えるようにしましょう。また、レイアウトを整えることも大切です。伝えたい部分を強調する、詳細情報はサイドバーに記載するなどのテクニックを駆使し、読みやすさを追求してください。
カスタマージャーニーを作る
カスタマージャーニーとは、マーケティング用語の一種であり、「消費者が購買に至るまでのプロセス」のことを指します。顧客が商品・サービスをどのように認知し、どのように関心を持ち、どのような要因で購入に踏み切るのかをあらかじめ整理しておきましょう。消費者行動の流れを可視化することで、顧客目線のホワイトペーパーを作りやすくなります。
情報量に合わせたページ数にする
顧客の興味段階によって求められる情報量は異なります。さらに、テーマやターゲット層が変われば必要な情報量も変わってくるでしょう。それぞれの情報量に合わせたページ数になるように調整してください。ただし、あまりにもボリュームが大きいと読者の集中力が切れてしまい、最後まで読まれません。一般的には4~20ページに収まるように作成すると良い、と言われています。
まとめ
マーケティング手法としても注目されるホワイトペーパーについて解説しました。ホワイトペーパーは企業の業績に大きな影響を及ぼします。基本的な構成を押さえただけでは魅力的なホワイトペーパーに仕上がらないので、ぜひ当記事で紹介した書き方のコツやテクニックなどを参考に、読者が思わずダウンロードしたくなるようなホワイトペーパーにしてみてください。