業務効率化
公開日: 2020.07.15 / 最終更新日: 2024.01.09

個人事業主がアルバイトを雇うには?必須の手続きや義務、注意点などを解説

個人事業主がアルバイトを雇う際には、必須となる手続きや注意点がいくつかあります。
今回は、個人事業主がアルバイトを雇うのに必要な手続きや書類(テンプレート・記入例)、義務とされる事項、労働力確保につながる方法などを紹介します。

個人事業主がアルバイトを雇うには

はじめに、個人事業主がアルバイトを雇う際に必ず行わなければならないことを紹介します。

労働条件通知書の交付

雇用側は、アルバイトに対して「労働条件通知書」を交付し、以下のような内容を明示する必要があります。

・労働契約の期間
・労働契約の更新の有無、その判断基準
・就業の場所、業務の内容
・休日や休憩時間、有給の取り決め
・給与や支払い方法、支払い時期
・昇給や賞与、退職金の有無
・相談窓口について

労働基準法によって、労働条件通知書の作成・通知が義務づけられており、作成・通知を行わなかった場合、ペナルティ(30万円の罰金など)を科される可能性があります。なお、役所への提出は必要ありませんが、従業員の退職後3年間は保管する義務があります。

労働条件通知書の最新版テンプレートや記入例については、厚生労働省の該当ページを参考にしてください。

厚生労働省:労働条件通知書のテンプレート
厚生労働省:労働条件通知書の記入例

雇用契約書の作成

さらに、雇用後のトラブルを防ぐために「雇用契約書」の作成も必要です。
雇用契約書には特に決められたフォーマットなどはないため、労働条件通知書や就業規則から重要事項をピックアップして作成することも可能です。
また、労働条件通知書と雇用契約書をまとめて「労働条件通知書兼雇用契約書」とし、アルバイトへ交付しても問題ありません。

雇用契約書の書き方、就業規則の作り方については、以下のページでまとめています。

関連記事:アルバイトの採用で雇用契約書は必須?書き方や注意点を解説!

関連記事:就業規則の作成方法とは?作成義務の基準や手順・費用の注意点も紹介

労災保険への加入

労災保険は、(事業主が1人であっても)アルバイトを雇用する場合は加入が必要です。また、雇用期間が31日以上・週20時間以上の勤務を行う見込みがあるアルバイトを雇う場合は、雇用保険に加入させる必要もあります。

さらに、従業員(アルバイト含む)が5人以上になると、社会保険(厚生年金保険・健康保険・労災保険・雇用保険など)へ加入させる義務も生じます。ただし、事業の内容によっては5人以上でも任意加入となるため、不安な方は専門家に相談するとよいでしょう。

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個人事業主がアルバイトを雇うメリット

次に、個人事業主がアルバイトを雇うメリットを紹介します。

業務効率が向上する

アルバイトの雇用によってリソースが補われ、業務スキルが強化されることによって、業務効率や生産性が向上する点は大きなメリットといえます。アルバイトに仕事を振り分けることで経営者や正社員が本業に専念できれば、利益増にもつながりやすくなります。

業務効率を向上させる方法として、「業務委託」という選択肢もあります。アルバイトと業務委託の違いやメリット・デメリットについては、以下のページで詳しく紹介しています。

関連記事:【企業向け】アルバイトと業務委託の違いを解説!知っておくべき注意点やメリットも

雇用関係助成金が申請できる

アルバイトを雇う際、一定の条件を満たせば助成金税制優遇制度の対象となるケースがあります。

たとえば、高齢者や障害者、母子家庭における母親などといった就職困難者を雇用するための「特定求職者雇用開発助成金」、雇用情勢が特に厳しい地域で従業員を雇い入れるための「地域雇用開発助成金」などが挙げられます。

支給額や受給要件などについては、厚生労働省の該当ページで確認してみてください。

厚生労働省:特定求職者雇用開発助成金
厚生労働省:地域雇用開発助成金
厚生労働省:その他、事業主の方のための雇用関係助成金

個人事業主がアルバイトを雇うデメリット

続いて、個人事業主がアルバイトを雇うデメリットについて説明します。

手続きや事務作業が負担となる

アルバイトを雇うにあたり、さまざまな手続きや事務作業が発生します。雇用時のみで済む手続きもありますが、定常的に行わなければならない作業もあり、仕事以外の面で雇用側の負担が増える点がデメリットといえます。

採用・教育などに時間とコストがかかる

アルバイトとして雇うのにふさわしい人材を探し、面談などを経て採用し、仕事を覚えるまで教育を行うには、多大な時間とコストが必要です。

特に個人事業主の場合、アルバイトの採用・教育を自ら行わなければならないケースも多く、かえって業務を圧迫してしまう例も見られます。

多くの手続きをこなし、仕事を一通り教えてようやくアルバイトが戦力となっても、短期で辞めてしまうリスクがある点もデメリットといえるでしょう。

個人事業主がアルバイトを雇う時の手続き

個人事業主がアルバイトを雇うことになった際には、税務署や労働基準監督署、ハローワークで手続きを行う必要があります。

以下で紹介する内容は、2024年1月現在の情報です。実際にアルバイトを雇用するタイミングで、公的機関(国税庁・厚生労働省など)の最新情報を確認することをおすすめします。

税務署での手続き

個人事業主がアルバイトに給与を支払うためには、雇用開始から1カ月以内に所轄の税務署へ「給与支払事務所等の開設届出書」を持参(または郵送で提出)しなければなりません。雇用開始後は、従業員の給与から月に1度所得税を源泉徴収し、翌月10日までに「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて所轄の税務署または金融機関で納付します。ただし、従業員が10人未満である場合、毎月の納付を半年に一度の頻度にまとめることができる「源泉所得税の納期の特例」が受けられます。

それぞれの詳細については、国税庁の該当ページを確認してみてください。

国税庁:給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
国税庁:所得税徴収高計算書(納付書)
国税庁:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

労働基準監督署での手続き

雇用保険と労災保険を合わせたものは「労働保険」と呼ばれ、関連手続きは労働基準監督署で行います。

労働基準監督署へ提出が必要な書類と提出期限は以下の通りです。

・保険関係成立届…労働保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内

・概算保険料申告書…労働保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内(※労働基準監督署以外に、所轄の都道府県労働局・日本銀行への提出も可。また、労働保険料を添えて提出する必要がある点に注意)

それぞれの詳細は、厚生労働省の該当ページへ詳細にまとめられています。この後に紹介するハローワークでの手続きとも共通する内容なので、事前に確認しておきましょう。

厚生労働省:労働保険の成立手続等の方法
厚生労働省:保険関係成立届の記入例
厚生労働省:概算保険料申告書の記入例

ハローワークでの手続き

労働基準監督署へ「労働保険関係成立届」を提出した後、アルバイトの雇用保険に関する手続きをハローワークで行います。

以下の期限までに、「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークへ提出しましょう。

・雇用保険適用事業所設置届…設置した日の翌日から起算して10日以内
・雇用保険被保険者資格取得届…資格取得の事実があった日の翌月10日まで

労働基準監督署へ提出する「保険関係成立届」の届出と同期間に手続きを行う必要があるため、スムーズに進められるよう準備しておくことが重要です。

なお、社会保険への加入が必要な場合には社会保険事務所で手続きを行います。社会保険への加入条件・対象などは随時変更される可能性があるため、最新の情報をチェックしておきましょう。

個人事業主がアルバイトを雇う際の義務と注意点


個人事業主がアルバイトを雇う際には、以下のような義務が発生します。注意点とあわせて紹介します。

雇用保険の加入義務

アルバイトを雇うにあたり、雇用期間が31日以上・週20時間以上の勤務が見込まれる場合は、雇用保険へ加入する義務が生じます。

「労働条件通知書」へ雇用期間・稼働時間を明記するとともに、雇用保険の手続きも忘れずに行いましょう。

外国人留学生や、高校生をアルバイトとして雇う場合に必要な書類もあります。詳しくは以下のページを参考にしてください。

関連記事:アルバイト雇用時の必要書類とは?外国人留学生や高校生はどうなる?

源泉徴収や年末調整の手続き義務

アルバイトを雇う場合、雇用者はアルバイトの給与から所得税を差し引いて納税する「源泉徴収義務者」となり、給与などを支払った月の翌月10日までに税務署への納付が必要となります。

さらに、年末調整も雇用者の義務となり、所得税を徴収しすぎた場合は還付を、不足している場合は追加徴収を行う必要があります。

なお、従業員(アルバイト・パートを含む)を雇わず、自分1人だけで仕事をしている個人事業主については、原則として仕事を外注しても源泉徴収義務は発生しません。

法定三帳簿の作成・保管の義務

法定三帳簿は、雇用側が適切に労務管理を行っていると証明するための書類です。労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の3種類があり、労働基準監督署の調査(臨検)の際に提出を求められる場合があります。
労働基準法によって、法定三帳簿の作成・管理が義務づけられており、作成・管理を行わなかった場合、ペナルティ(30万円以下の罰金など)を科せられる可能性があります。法定三帳簿の保管期間は起算日から5年間ですが、起算日は帳簿ごとにそれぞれ異なるので注意しましょう。

詳細については、厚生労働省が公開している資料を参考にしてください。

厚生労働省:法定三帳簿の記載項目、記入例について
厚生労働省:法定三帳簿のよくある指導事項について

アルバイトを雇う以外の選択肢

個人事業主が労働力を確保するには、アルバイトを雇用する以外にどのような手段があるのでしょうか?ここでは、2通りの方法を紹介します。

クラウドソーシングを活用する

まず、クラウドソーシングを利用する方法があります。クラウドソーシングで業務を外注すると、必要なスキルを持つ人材を好きなタイミングで探せるため、各種手続きや採用・教育の手間がかかりません。

クラウドソーシングサービスのなかでもおすすめは、国内ユーザー数ナンバー1の「クラウドワークス」です。

オンラインで即戦力となる人材を探し、仕事の発注・報酬の支払いまでクラウドワークスのシステム上で行えるため、非常に効率的です。また、クラウドワークスには幅広い業種の経験値・スキルを持ったワーカーが多数おり、詳細な条件で絞り込み検索を行えば希望の人材が見つかりやすい点が大きなメリットです。

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短期・長期どちらの契約も可能で、繁忙期のみ・特定の業務のみを発注することもできるため、無駄なコストを抑えて人材を確保できます。

各ワーカーの経歴や取得資格などはプロフィールから確認でき、相手の人柄やコミュニケーション能力をチェックしたい場合はオンライン面談で採用可否を決めることができます。セキュリティが心配な場合はNDAを締結したうえで業務を発注することも可能です。

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家族や親戚に手伝ってもらう

家族や親戚などの血縁者に仕事を手伝ってもらうこともできます。

人材の募集・採用を行わなくて済む点・人柄やスキルがある程度わかっている点・まったくの他人よりも信頼関係が築きやすい点などがメリットといえます。

家族や親戚に仕事を手伝ってもらう際の注意として、家族を従業員にすると経費申請が行えないという点が挙げられます。また、家族は従業員として認めてもらうことが難しい点、事業専従者とするには他の従業員と同様の給与支払いや労働時間の管理などが必要になる点などにも注意が必要です。

家族をアルバイトとして雇う場合、原則として雇用保険加入の義務はありません。しかし家族以外にもアルバイトやパートを雇っていたり、他の従業員と同条件で働かせていたりする場合には、アルバイトとして働く家族にも雇用保険加入の義務が発生します。

上記には、いくつかの特例(青色申告者が青色専従者に対して支払う給与は必要経費として計上できる、など)も設けられているため、詳しくは専門家に相談してみてください。

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