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公開日: 2020.09.01 / 最終更新日: 2024.03.07

【2024年】請求書の書き方を詳しく解説!インボイス制度の注意点や手書きのケースも紹介

請求書の作成に法的な義務はありませんが、日本では慣例として作成するケースが一般的です。取引先とのトラブル回避やきちんと帳簿管理を行うため、また税務上の法的根拠を証明するためには請求書を作成することが推奨されています。
今回は、請求書の必須項目や実務上記載すべき項目、書き方の例、請求書の作成方法、インボイス制度に関する注意点などを紹介します。

請求書とは

請求書とは、納品物の対価(販売した商品の料金、提供したサービスの利用料など)を取引先へ請求するときに発行する書類のことです。取引先は、請求書に明記された内容・金額等を確認し、支払いの手続きを進めることになります。

請求書には決まった形式はないため、手書きやExcel(エクセル)などでも作成できますが、「必須項目」と「実務上記載すべき項目」がいくつかあります。記載漏れなどによるトラブルを避け、きちんと対価を受け取るために正しい書き方で請求書を作成しましょう。

請求書の必須項目


請求書には、国税庁が定めた「必ず記載しなければならない項目」があります。まずは、必須項目の概要や書き方について紹介します。

請求先

請求先は、請求書を送付する相手(取引先)の情報のことです。法人宛なのか・個人宛なのかによって内容がやや異なりますが、以下のような書き方で請求先の情報を記載します。

【法人宛の場合】
・会社名+住所+部署名+御中(あるいは、担当者名+様)

【個人宛の場合】
・住所+個人名+様

宛名の敬称は、法人宛は「御中」、個人宛は「様」をつけるケースが一般的です。

発行者

発行者は、請求書を作成した人の情報のことです。発行者が法人の場合、発行者の項目に印鑑(角印)を捺印することもありますが、印鑑は必須ではありません。

【法人の場合】
・会社名+住所+代表者名(担当者名)

【個人の場合】
・住所+個人名

取引先によっては、電子印鑑や電子証明書の発行を希望することもあるため、事前に確認しておきましょう。

取引内容

請求書のメインとなるのが、取引された内容についての記載です。基本的には、以下のような項目で取引内容を具体的に明記しますが、数量が多い場合は「一式」としてまとめたり、発生した費用を「期間」で区切ってまとめて請求したりするケースもあります。

【取引内容の項目例】
・品目
・単価
・数量

取引金額

取引金額は、取引先へ請求する金額のことです。入金の流れをわかりやすくするために、前月請求金額・当月請求金額・繰越金額など、項目を分けて記載する場合もあります。

取引金額を記載する場合、単位は「円」「¥」のどちらでも問題ありません。ただし、数字を見やすくするため、また前後に数字を書き足せないようにするために、以下のように記載するケースが一般的です。

・3桁ごとにカンマを入れる(15,000円、1,050,000円など)
・「¥」の場合、¥15,000ーのように、金額の後に伸ばし棒「ー」を付ける

発行日(請求日)

発行日とは、言い換えると「取引先の請求締日」のことです。請求締日は企業ごとに異なるため、取引先の都合に合わせた日付にするのが基本です。例えば、3月末に決算を行う企業の場合、請求書の発行日が3月31日なのか・4月1日なのかによって、経費として計上できる年度が変わってしまうことがあります。
発行日は「請求書を作成した日付」や「印刷した日付」にするのではなく、取引先の請求締日にあわせて記載するようにしましょう。

実務上記載すべき項目

請求書の必須項目は上記の5つですが、経理の手続きをスムーズに進めるために、以下のような項目もあわせて記載するケースが一般的です。

振込先

実務上記載すべき項目として、まず挙げられるのが自社(自分)の振込先の情報です。取引先の経理担当者が一目でわかるように、以下のような振込先情報を明記します。

・銀行名
・支店名
・口座種別
・口座番号
・口座名義(カタカナ)

銀行名や支店名は、金融機関のコード(番号)があるため、コードがわかる場合はそれぞれ記載したほうが親切な対応です。

支払期日

支払期日は、入金忘れを防ぐために記載する項目です。取引先が「月末締め・翌月末払い」の場合は、支払期日を「翌月末」に設定します。金融機関の休業日の場合(年末年始など)は、末日ではなく、仕事納めの日に合わせて支払期日を設定するケースが一般的です。

請求書番号

請求書番号とは、経理業務を効率化するために記載する「任意の管理番号」のことです。請求書と関連する書類(納品書・見積書など)を同じ番号で管理すれば、書類を相互に関連付けた状態でスムーズに事務処理を行えます。また、請求書番号を記載していると、問い合わせがあった際に当該する書類をすぐに特定できるというメリットもあります。

特記事項

特記事項は、請求書に関する備考を記載する項目です。例えば、金融機関への振込手数料が発生する場合、どちらの負担になるかを明記しておきましょう。

※振込手数料は支払う側(取引先)が負担することが原則です。

請求書の書き方例/フォーマット

請求書を作成する際は、無料でダウンロードできる「請求書のフォーマット」などを利用できます。ただし、フォーマットによって用意されている項目が異なるため、以下の項目があるかどうかを確認し、不足している項目があれば追加して請求書を作成しましょう。

①タイトル

タイトル(書類名を表す項目)が記載されてない場合、領収書などと混同してしまう可能性があります。請求書の上部などのわかりやすい位置に「請求書」と明記しましょう。

②請求先(必須)

請求先は、請求書の左上に記載するケースが一般的です。郵便番号もわかる場合は、住所とあわせて記載しましょう。

【法人宛の場合】
〒123-456
東京都新宿区◯◯町1-2-3
株式会社ABC 総務部 御中

【個人宛の場合】
〒123-456
東京都新宿区◯◯町1-2-3
山田太郎 様

③発行者(必須)

発行者の情報は、請求書の右上に記載するケースが一般的です。電話番号などの連絡手段をあわせて記載する場合もあります。

【法人の場合】
〒123-456 東京都新宿区◯◯町1-2-3
株式会社ABC 山田太郎
090-1234-5678

【個人の場合】
〒123-456 東京都新宿区◯◯町1-2-3
山田太郎
090-1234-5678

④発行日(必須)

発行日は、請求書の右上(発行者の情報の下部)に記載するケースが一般的です。

(例)発行日:2024年◯月✕日

⑤請求書番号

請求書番号は「社内用の通し番号」のため、自由に番号をつけて問題ありません。番号が重複しないように、顧客番号+発行日+請求書の発行回数などを組み合わせて、請求書の右上に記載するケースが一般的です。

例えば、A社は「001」、B社は「002」のように顧客番号を決めるとします。発行日は2024年3月10日で、請求書の発行回数が2回の場合、以下のような請求書番号になります。

(例)001-20240310-002

⑥取引内容(必須)

取引内容の項目は、以下のように具体的に記載します。

品目 単価 数量 金額
製品A 5,000 1台 5,000
製品B 1,000 3個 3,000
サンプル費用 12,000 一式 12,000

⑦取引金額(必須)

取引金額の記載方法はいくつかありますが、小計にかかる消費税を併記し、小計と消費税を合計した請求総額をもっとも目立つように記載するケースが一般的です。

品目 単価 数量 金額
製品A 5,000 1台 5,000
製品B 1,000 3個 3,000
サンプル費用 12,000 一式 12,000
小計 20,000
消費税 2,000
合計 ¥22,000ー

⑧振込先

振込先の情報は、特記事項とあわせて請求書の下部に記載するケースが一般的です。

【銀行名】ABC銀行(コード001)
【支店名】◯◯支店(コード123)
【口座種別】普通口座
【口座番号】1234-567
【口座名義】ヤマダ タロウ

⑨支払期日

支払期日は、振込先の情報とあわせて請求書の下部に記載するケースが一般的です。

(例)お支払い期限:2024年◯月✕日

⑩特記事項

特記事項は、請求書の下部に記載するケースが一般的です。振込手数料は、民法で支払う側(取引先)の負担が原則ですが、以下のようにひと言沿えると不要なトラブルを防げます。

【振込手数料について】
恐れ入りますが、貴社にてご負担いただきますようお願いいたします。

請求書の書き方における注意点


ここでは、請求書の書き方の注意点をいくつか紹介します。

金額の値引きや相殺

取引の際に金額の値引きを行った場合や、売掛金と未払い金の相殺が発生した場合などは、その旨を請求書へ明記しておくことが重要です。その際、単発の取引であれば相殺領収書を双方で作成する、継続的な取引であれば次回の請求書上へ入金処理の有無を記載するなどといった取り決めを行っておくとスムーズです。

消費税

請求書へ記載する消費税には、課税対象になるものと非課税になるものがあります。取引上で商品券・有価証券の譲渡が行われた場合や、社会保険料・介護保険サービスの提供が行われた場合などは非課税となるため、請求書の書き方に注意が必要です。また、2019年10月1日の軽減税率導入にともない、課税率が変更された項目の有無も確認しておく必要があります。

源泉徴収

請求者が弁護士や税理士、個人事業主などの場合、源泉徴収額の記載方法に注意が必要です。原稿料やデザイン料、講演料、モデルやタレントの出演料、教授料などは源泉徴収の対象となり、請求金額が100万円以下の場合は請求金額に対する10%の所得税と税額の2.1%(平成25年から令和19年までの復興特別所得税)を足した金額が源泉徴収税額となります。源泉徴収額を含めた金額・源泉徴収額を引いた金額のどちらを請求書へ記載すべきか、あらかじめ先方へ確認しておきましょう。

源泉徴収が必要なケース・不要なケースや、源泉徴収の計算方法などについては、以下のページを参照してください。

関連記事:【企業向け】業務委託の源泉徴収が必要なケース・不要なケースは?税率や計算方法も紹介

インボイス制度に関する注意点

2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されたことで、消費税の仕入税額控除を受けるために適格請求書の保存が必要となります。ここでは、インボイス制度に関する注意点や、現行の請求書との違いを紹介します。

区分記載請求書と適格請求書の違い

まず、現行の請求書は「区分記載請求書」、インボイス制度に対応した請求書は「適格請求書」と呼ばれます。区分記載請求書の項目に、以下3つの項目を加筆したものが適格請求書として認められます。

①適格請求書発行事業者の氏名、または名称と登録番号
②課税資産の譲渡等の税抜価額(または税込価額)を税率ごとに区分した合計額と適用税率
③税率ごとに区分した消費税額等

適格請求書では、「軽減税率」と「通常の税率」の取引を分けて記載しなければなりません。例えば、軽減税率が8%の商品と10%の商品が混在している場合、それぞれの合計額で端数処理を行い、請求書に明記する必要があります。

適格請求書等の記載事項や計算方法、インボイス制度に関する留意点などについては、国税庁の該当ページを参照してください。

請求書の保管期間について

請求書は基本的に原本を送付するため、保管義務があるのは請求書を受け取った取引先になります。請求書の保管期間は法人は7年間、個人は5年間です。ただし、個人でも「消費税の課税事業者」の場合、7年間の保管義務があります。保管期間は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日からカウントされるため、保管期間を数え間違えないようにしましょう。

なお、専用システムで電子インボイスを利用するときは注意が必要です。電子インボイスで請求書を発行する場合、電子帳簿保存法の基準を満たしたうえで双方が保存しなければならないためです。電子インボイスは請求書の「控え」を作成する必要があり、個人・法人を問わず、請求書の発行者側も7年間保管することが義務付けられています。

インボイス制度の基本については、以下のページでまとめています。

関連記事:今さら聞けないインボイス制度の超基本を解説!メリット・デメリットも紹介

個人事業主(フリーランス)の請求書について

個人事業主(フリーランス)が請求書を作成する際には、記載事項やフォーマットなどに対する取引先との認識合わせが必要となります。請求書の必要項目である請求先、発行者、取引内容、発行日のほか、振込先の銀行口座や支払期日などの記載が必要かどうかを確認しておきましょう。

また、源泉徴収額の取り扱いや振込手数料についての合意事項などがある場合、特記事項欄へ明記しておくとトラブル回避につながります。取引先から請求書の送付を受けたことがある場合には、同様の項目で請求書を作成すれば過不足が生じにくくなります。

請求書の作成方法


請求書は無料で自作することも可能ですが、請求書作成の代行サービスなどへ外注する方法もあります。請求書の枚数が増えるほど時間や労力がかかるため、費用対効果を考慮し、自作するか・外注するかを検討しましょう。

手書き

紙の用紙(市販の請求書)を購入し、手書きで請求書を自作することもできます。文具店やホームセンターなどで販売しており、必要最低限の項目しかないシンプルな請求書から、日付や品目、取引明細などの細かい項目まで記載されている請求書もあります。

なお、郵便法の規定で請求書は「信書」の扱いとなります。信書はメール便で郵送することができないため、普通郵便やレターパックなどで送付する必要があります。また、請求書は基本的に収入印紙が必要ないため、誤って収入印紙を貼り付けないように注意しましょう。

請求書作成ソフト

請求書作成ソフトを利用し、電子データの請求書を自作する方法もあります。ExcelやWord形式のフォーマットを無料でダウンロードできるサイトもあり、それらを利用すればコストをかけずに請求書を作成可能です。なかには、金額や消費税額を自動で計算してくれる機能があるソフトや、請求書から領収書を作成できるソフトなどもあります。

ただし、メールに請求書のデータを添付して送信する場合は注意が必要です。取引内容を改ざんされる(請求書の内容を確認する際に、誤って金額を変更してしまうといった)リスクがあるためです。必ず請求書のデータをPDF化し、数値などを変更できない状態にしてから送るようにしましょう。

請求書をオンラインで作成するメリットや、おすすめの電子請求書システムなどについては、以下のページで詳しく紹介しています。

関連記事:【インボイス制度対策】請求書はオンラインで作成!おすすめシステムや注意点も解説

請求書作成の代行サービス

請求書の作成代行サービスを利用したり、ビジネス事務代行会社などへ外注したりすることも可能です。これらの多くは既存のフォーマットを用いて請求書を作成してくれるサービス・事業者で、郵送までを代行してくれる場合もあります。

1通あたりの作成料金は数百円程度、月額プランだと1万円程度から利用でき、郵送込みだとはがき代や封筒代などが上乗せされます。どちらの方法を利用する場合も、請求書に反映してほしいデータ(顧客情報・取引情報など)を渡すことになるため、セキュリティ面での対策が必要です。

書類作成の代行サービスで依頼できることや費用相場などについては、以下のページを参照してください。

関連記事:書類作成代行でできることは?費用や要資格の業務範囲などを解説

クラウドソーシング

請求書作成をクラウドソーシングで外注することもできます。クラウドソーシングとは、仕事を外注したい人・受注したい人をインターネット上でマッチングするサービスのことで、請求書の作成・発行以外に経理・事務全般なども依頼が可能です。

依頼する内容や期間、業務内容などによって料金は異なりますが、請求書作成代行サービスやビジネス事務代行会社より比較的安価に依頼することができます。幅広い業務を依頼できるため、多くの企業がクラウドソーシングを外注の窓口として活用しています。

請求書関連業務の依頼は「クラウドワークス」へ

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請求書作成のみを短期的に依頼したり、長期契約で請求書作成と他の業務を同時に依頼したりなど、自社の要望に合わせて依頼内容や料金、納期などを柔軟に相談できます。語学スキルを持った人材に依頼すれば、多言語の請求書作成を依頼することも可能です。また、NDA(秘密保持契約)を締結できるため、顧客情報や取引情報などのデータを扱う業務についても安心して任せられます。

【クラウドワークスでの発注事例】
・事務代行(データ入力や資料作成、リサーチ業務など):時給1,000円前後
・経理代行(仕訳や記帳、経費精算、売掛金の管理など):時給1,000~1,500円
・秘書代行(請求書の作成や振込代行、問い合わせ対応など):月額3~15万円

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