企業インタビュー
公開日: 2018.11.21 / 最終更新日: 2020.01.06

3年で売上10倍にするにはコア業務に集中できる環境が重要。ガイアックスの管さんが語るクラウドソーシングの向き合い方と活用法

当時最年少の26歳で株式会社ガイアックスのソーシャルメディアマーケティング事業部事業部長となった管大輔さんは就任当初に立てた「売上を3年で10倍にする」という高い目標を達成するために行った改革の一つにクラウドソーシングを活用した取り組みがありました。

今回は管さんのクラウドソーシングを活用した背景から向き合い方、実際の活用方法を詳しく聞きましたので、是非ご覧ください。

売上を三年で10倍にするためにコア業務に集中


―管さんはクラウドソーシングを積極的に活用されているとのことですが、そもそもクラウドソーシングを活用したきっかけはなんだったのでしょうか。
元々自分の業務を発注することはあったのですが、チームで活用し始めたタイミングは私が事業部長となり、目標を三年間で売り上げ10倍に設定した時ですね。

この目標を達成するためには、メンバーのパフォーマンスを最大化する必要があり、各メンバーがコアとなる業務に集中させなくてはならない。コア業務に集中してもらうためには、ノンコア業務である部分をクラウドソーシングしようという活用方法を考えました。

―ノンコア業務の外注化ということですね。他にもアルバイト採用や、制作会社への依頼など方法もあったと思うのですが、クラウドソーシングを選ばれた理由はなんでしょうか。
スピードとクオリティだと考えています。アルバイト採用だと面談も必要だし、育成コストもかかる。新規事業は短いスパンで結果だしていかないといけないのでスピード感が合わない。

さらにスキルのある方の採用は難易度が高いし、制作会社への依頼する予算の確保は難しい状況でした。それらの背景でフリーランスの方に依頼する方法を考えていました。また、ガイアックスには月に5万円までなら、クラウドソーシングを決済なしに活用できる制度があり、小さな業務を数万円単位で発注できたというのも理由の一つです。

―月5万円以下ならクラウドソーシングを活用できる制度があったとのことですが、ガイアックス社にはクラウドソーシングを活用される方は多いのですか?
活用している人間はいましたが、中々有効活用できている人がいなかったのが正直なところですね。

―有効活用されている方が少なかった中で、どのようにメンバーにクラウドソーシングを使うように促したのですか。
部長になったタイミングで、メンバーには上限5万円ではなく、下限5万円分クラウドソーシングを活用する制度を設けました。上限5万円だとその中で出来ることを探すため、どうしてもセーブがかかっていました。まず一度それらの制約条件を外した上で、自分たちがコア業務に集中するためにできることを考えさせたく、実施しました。

―下限5万円はすごいですね。メンバーの最初の反応はどうでしたか。
どんな発注ができるかわからない、クオリティが不安という声がありました。しかし、下限5万円にすることで、自分たちのコア業務とノンコア業務を明確にし、外注すべき業務について考えてもらうきっかけを作れたかなと思っています。

また、オンライン上でフリーランスやクラウドソーシングのワーカーさんとも話しながら、どの業務なら対応可能かなど提案をもらい、実際に発注してみるとクオリティが予想以上で、継続してこのクオリティなら助かるとメンバーも感じたようでした。

―いい反応があったのですね。一方で反発はなかったのでしょうか?
ありました。ただその時には私たちはどんな価値を提供することでお金をもらっているのかを考えることが大切で、例えば資料作成やリサーチ業務でお金をもらっているのでないということをメンバーに話しました。

私たちはSNSマーケティングを支援していて、ソーシャルのトレンド把握だとかユーザー視点でのSNS企画ができるところが強みで、ノウハウや知見でお金をもらっています。それなのに、コアではない作業に時間を使っているようだと競合に負けてしまいます。メンバーとの対話を通して、こういったことを伝えていきました。

また、このような考え方をさらに浸透させるために、ノウハウや知見をためるための書籍代は部署負担にしています。とにかく自分自身のノウハウやスキルを伸ばすことに注力して欲しいです。

―クラウドソーシングの下限5万円の制度や書籍代を担保するには、メンバーへの信頼が必要だと思うのですが、なぜ実施できたのでしょうか?
三年で売上10倍にする目標を達成する上で、各メンバーのパフォーマンスを最大化することが最重要で、その上で性善説にたち、メンバーを信頼する必要性を感じていました。

クラウドソーシングを活用するための体制作り


―ありがとうございます。先ほどノンコア業務を発注していたと仰っていましたが、どのようにコアかノンコアかを判断していましたか?
判断軸は、お客さんは私たちのどんな資産や強みにお金を払っているのか、私たちはどの業務を伸ばさないとこの市場で価値がないのかという二点ですね。実際に発注したけど、この強みは自社にもっていないと危険だから巻き取ろうということもあります。

そのため、仮にプロフェッショナルなスキルが必要な業務でも我々にとってはノンコア業務なのであれば、クラウドソーシングを活用したほうが良いと考えています。ノンコア業務は不要な業務を依頼しているわけでないということをメンバーには伝えていますね。

―実際に発注する際はどのような進め方をされているのでしょうか。
新規でプロジェクトが立ち上げるときはまずワーカーさんに相談します。「こういうプロジェクトでこういう業務が発生すると思っています。どこまで手伝ってくれますか」とオープンにヒアリングするイメージです。

―オープンな依頼をする場合、ワーカーさんの対応範囲が重要かと思うのですが、どのようにワーカーさんを選定されているのですか?
基本的にはチームで受注しているディレクター的なポジションの方を探して、依頼しています。細かい様々な業務をすべて我々で発注し、やり取りを行おうとするとかなりのマネジメントコストが発生します。

そうではなく、窓口にディレクターをやってくれる方を2,3人探し、そのディレクターの先に作業していただける方が数十人いれば、ディレクターに相談するだけで様々な業務を依頼することが可能です。細かい作業のやり取りや割り振りをこのディレクターにお願いできるため、我々は実質ディレクターとのやり取りを行うだけで問題ないという状況になります。

―どのくらいの方がチームとして関わられているのでしょうか?
実際に業務を担当してくださっている方は約40人ぐらいいらっしゃると思うのですが、連絡窓口になっていただいている方は2、3人という体制ですね。

この方法はマネジメントコストが削減できるという点でも良いですが、多くの方が携わっているということで対応範囲が非常に広いため、こちらが抱えている様々な業務もそれぞれ対応していただけることとなり、結果的にコア業務に集中できる環境が作れている点でも非常に良いです。

クラウドソーシングのワーカーがパートナーになるためには

―実際にクラウドソーシングを活用するうえで工夫されていることはありますか。
まず意識したのは安定した体制作りですね。クラウドソーシングでいい人見つけてもすぐに離れてしまい、不安定な体制になってしまうと工数がかさみますし、本来の目的であるコア業務への集中ができなくなってしまいます。

良いワーカーさんは私たちの業務から離れてもらわないように、基本給与は相場よりも高めに設定しています。長期的なコストを考えると、相場より高い給与を出すことより、ワーカーさんが離脱して、新しい人を探すコストのほうが高いと判断しているため、上記のようなことを実施しています。

その他にも、ガイアックスの仕事は楽しいと思ってもらえるように、ワーカーさんに他社の発注の仕方や他の企業さんと仕事して嫌なところ、良いところをヒアリングし改善しました。プライベートなことでもお祝いを贈ったり、コミュニケーションを取ったりして、私たちはワーカーさんを同じ仲間として捉えていることを伝えましたね。

―素晴らしい取り組みですね!納品物のクオリティに関して不安はありましたか。
その話に関しては新人のメンバーと同じだと考えています。納品物のクオリティを100点で想定したとき、30点で提出いただく場合はさすがによくないですが、60点くらいで納品されたら、許容範囲だと考えていました。例えば、社内に新しく入ってくるメンバーにも最初は業務理解という時間が必要ですよね。

その分、フィードバックには力を入れました。他の企業はあまりフィードバックしないようですが、私たちは60点でも100点でも必ずフィードバックをするようにしています。フィードバックしなければ、彼らは自分の納品物が60点だったことを知らないまま、次回また同じクオリティで納品してしまうという悪循環になりますよね。

結局、最初から100点を求めるのは難しくて、ちゃんとフィードバックできるかがクオリティに影響するんですよね。フィードバックを繰り返すことで、こちらが求めているレベルまで一緒に成長してもらうことが大切だと考えています。

―ワーカーを継続するかどうかを判定する時は、どのような点を重要視していますか?
まずはコミュニケーションをとってみて、レスの内容もそうですし、コミュニケーションの取りやすさ、フィードバックへの反応などで判断しています。

―どういう違いがありましたか?
ゴールを意識してそこから逆算してできるかですね。例えば、水曜日までにやってくださいとお願いしたときに水曜日に出してくる人がいました。もしそれでミスがあれば、期限が切れちゃいますよね。もちろん事前にこまめに納品してほしいと伝えています。

あと私たちの意図をくみ取ってくれない方もいますね。相手の意図をくみ取ってくれる姿勢なのか、それともちゃんと言ってくれないとわかりませんという姿勢なのかは全然違うと思います。ガイアックス社の採用基準とほとんどかわらないですね。

―外注というより採用に近いですね。
そうですね。我々社員とワーカーさんは働き方が違うだけだと考えていて、ワーカーさんが社員になりたいと言えば、社員になれると思います。ちなみにいろいろ難しい部分もありますが、今は彼らにどうやってボーナスを与えられるかを考えています。

―依頼する際、コミュニケーションを重要視されているということですが、初期に時間をかければ、後でその方にかける時間は減ってきていますか?
削れてきますね。それも社員と同じです。初期の段階は毎日電話して、今日の依頼どうでしたか、やりづらいはことありませんでしたかなど聞いて、このコミュニケーションは助かりましたというようにフィードバックしていました。

慣れてくれば、毎日から週1回、月1回と減っていきますので、はじめが肝心だと考えています。

ちなみに最初はフィードバックとか、僕のことを知ってもらったり、部署のことを話したりしているのですが、今ではチャットワークの文面から「最近管さん疲れていませんか」と連絡がきて相談に乗ってもらったりするような関係にもなっています(笑)

ここまでの関係を築いたフリーランスの方やワーカーさんには仮にガイアックスをやめても、今後依頼し続けるだろうと思っています。そこまでいくとパートナー感がありますね。

よりフリーランスが評価される社会になっていくべきである


―今後クラウドソーシングでチャレンジしてみたい使い方はありますか?
来年私は海外生活しようと思っていて、色んな国のフリーランスの方にお仕事をお願いしてみたいと思っています。24時間体制を組めたり、新しいビジネスアイデアがでてきたりしそうですよね。

―その使い方は非常に興味深いですね!最後の質問になりますが、今後クラウドソーシング業界はどういう方向に向かえばいいと考えていますか?
とにかく低価格で発注できるみたいな考えはやめた方がいいと思います。ちゃんと仕事をする、責任感があるフリーランスはもっと評価された方がいいし、同時に企業側もフリーランスのことを考えるほうにフィーチャーされた方がいい。逆に使い捨てで、自分たちのことしか考えていない企業が淘汰された方がいいと考えています。

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掲載企業

株式会社ガイアックス  管 大輔
2013年新卒入社。SNSマーケティングのコンサルタントとして従事した後、2015年9月に事業部長に就任。クラウドソーシングの活用、リモートワークの推進など働き方の多様化を積極的に進めた結果、2年間で離職率を40%から0%に、売上が5倍に成長。2017年上半期ガイアックス全社MVP受賞。働き方改革関連の取材、イベント登壇実績多数。

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