企業インタビュー
2019.03.04
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日南市が挑む地方創生✕クラウドソーシング:地方で月収20万円稼ぐ!?

写真:日南市 﨑田市長(右)、田鹿マーケティング専門官(左)

 

昨今、よく耳にする「地方創生」というキーワード。地方創生とは、第2次安倍政権が2014年9月の発足時から掲げる、国内の各地域・地方がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会をかたちづくる」ことにより「東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策」を指します。

平成28年度には、地方創生加速化交付金として1,000億円の国家支出が決まり、全国各地における取り組みがさらに盛り上がりを見せようとしています。

「月収20万円ワーカー育成プロジェクト」は、日南市と東京のITベンチャー企業であるクラウドワークスが連携し、市民がクラウドソーシングで仕事をして収入を得ることを支援する全国初の取り組みとして話題を呼びました。

クラウドソーシングを活用した地方創生

この地方創生。最大のポイントは、地方にいかに仕事を作るかであるとされています。地方で働く機会を増やすことができれば、「働くために地方を離れ、東京へ出る」という地方からの人口流出を食い止めることができると考えられるからです。

 

そんな中、インターネットにより企業と個人が直接つながることで時間と場所にとらわれない働き方を実現するクラウドソーシングに注目が集まっています。

実際、日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」では、仕事の約5割が東京から発注され、約9割が東京以外で受注されており、「東京から地方へ」という経済の流れが生み出されています。

クラウドソーシングの普及により、働く場所についての地理的制約がなくなれば、生活環境や生活コストの面で利点が多い地方で暮らすことを選択する人が増えるため、人口の東京一極集中を解消し、地方創生に貢献することができるという期待が高まっているのです。

 

全国に先駆ける宮崎県日南市の取り組み

写真:油津赤レンガ館開所式でのテープカットの様子
日南市 﨑田市長(右から2番目)、株式会社クラウドワークス社長 吉田(一番左)

宮崎県南部に位置する人口5万人の都市・日南市は、全国でも最も早く、クラウドソーシングを活用した地方での働き方づくりに取り組み始めた自治体です。

2014年11月、日南市は株式会社クラウドワークスと提携。クラウドワークスが同年7月に立ち上げた、地方でのクラウドソーシング普及促進のための「クラウドワークス・アンバサダー プログラム」に参加し、行政として全国で初めてクラウドワークス・アンバサダーに就任しました。

同時期、日南市は県の重要文化財である油津赤レンガ館内部を改修し、全国初の公設コワーキングスペースを開設。同スペース内にクラウドワークスの登録ユーザーが無料で使用することができる「クラウドワーカーズシート」を設置することで、新しい働き方に挑戦する市民への支援を開始しました。

 

さらに、日南市に暮らしながら世界中から仕事を受注することができる働き方として、市民にクラウドソーシング(クラウドワーキング)を紹介するセミナーを開催。

2015年2月には、クラウドワークスと連携し、クラウドソーシングだけで月収20万円を獲得する市民を生み出す「月収20万円ワーカー育成プロジェクト」を立ち上げたのです。

 

クラウドワークス×日南市 20万円ワーカー育成プロジェクトとは

同プロジェクトの目標となった「月収20万円」は、日南市の平均賃金とほぼ同レベルにあたり、それだけで十分生活していくことができる水準であると言えます。クラウドソーシングだけで月収20万円を稼ぐことは決して簡単なことではありませんが、正しい努力を続けることで、それを実現している方は確かに存在しています。

自治体が取り組む就労支援プロジェクトは多数ありますが、同プロジェクトのように月収目標を示すことは稀です。クラウドワークスと日南市は、明確な目標を掲げることで地方に新しい働く機会を作っていくことに本気で取り組んでいく決意を示しました。

プロジェクトでは、日南市が応募者の中から選定した3人の市民が月収20万円を目指して、クラウドソーシング(クラウドワーキング)への挑戦をスタートしました。クラウドワークスは、サービスの使い方や仕事の獲得方法についてアドバイスをしたり、実際に月収20万円を達成しているクラウドワーカーの体験談を聞くことができる機会を用意するなど、挑戦者を支援。

日南市職員の方も、挑戦者の状態を把握し、モチベーションを高めるために定期的に面談をするなど、丁寧なサポートを続けていきました。

 

このプロジェクトの様子は、テレビ東京系のドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」をはじめ複数のテレビ番組で、自治体と東京のITベンチャー企業が地方での新しい働き方を生み出そうとする取り組みとして紹介され話題を呼びました。

その後、約1年間取り組みを続けた結果、プロジェクトは思いがけない展開を迎えることになるのです。

月収20万円ワーカー育成プロジェクトが陥った危機

写真:宮崎県日南市 崎田市長(右)と田鹿マーケティング専門官(左)

クラウドソーシングで月収万円を得ることを目指して始まったプロジェクトですが、開始以降、困難な局面がいくつもありました。プロジェクトに参加した人の市民は、いずれも子育て中の主婦。基礎的なパソコンスキルはありましたが、プログラミングやデザインなどの、クラウドソーシングですぐに収入につながりやすいスキルや経験は持っていない方ばかりです。

 

そこで、3人が挑戦したのは、日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」で多数発注されているWEBライティングの仕事。様々な分野の情報を提供するWEBメディア運営企業が、自社サービスに掲載するための文章の執筆を依頼するケースが近年、急増しています。

WEBライティングの仕事は、パソコンでの文書作成スキルがあれば誰でも簡単に始めることができ、また個人の努力によって報酬を上げていくことができるため、初心者ワーカーにおすすめしやすい業務カテゴリーです。

 

WEBライティングの仕事の報酬は、一般的に文章の長さ(文字数)と文字単価によって決まりますが、文字単価はそれぞれの仕事で求められる文章のレベルによって0.5円程度から10円を超えるものまで存在しています。

つまり、1000文字の文章を書いて500円の仕事もあれば、1万円の仕事もあります。その差は実に20倍以上で、コツをつかみ文章力を高めていくことで、同じ長さの文章を書いても効率よく収入を増やすことができます。

 

WEBライティングの仕事で月収20万円を稼ぐためには、毎日継続的に時間をかけて仕事をし、数多くの仕事をこなしていくことと報酬の単価を上げていくことが必要となります。

 

プロジェクトに参加した3人は、市の担当者やクラウドワークスの支援の下でクラウドソーシングでのWEBライティング業務を始めました。最初は文字単価の安い仕事に取り組むわけですが、慣れないうちは文章を書くスピードも遅く、発注者が文章に求めるルールを見落としてしまうなど、失敗を重ねてしまいます。

その結果、思うように収入を増やせず、「こんなことを続けても本当に稼げるようになるのか」と不安を抱き、モチベーションが落ち込んでしまうことが度々ありました。

 

これは、多くの初心者ワーカーが陥りやすい状態です。しかし、月収20万円を実現したクラウドワーカーの多くは、この状態を乗り越え、自分のペースをつかんでレベルアップしていきます。いかにこの「導入期の試練」を乗り越えるか、プロジェクト挑戦者を支援するクラウドワークスにとっても、初めての挑戦となりました。

挑戦者のモチベーションが落ちた時には、日南市の職員の方が対面で相談に乗り、「がんばりましょう」と声を掛ける。時に挑戦者の方たちと一緒に同じ仕事に取り組み、伴走するかたちで励ましました。

クラウドワークスは挑戦者個別の状況を見ながら、初心者が取り組みやすい仕事を選んで紹介したり、オンラインチャットなどでアドバイスを送りました。
 

半年以上を掛けて、プロジェクト参加者はクラウドワークスでの収入を増やしていきました。結果的に、月収20万円には至らなかったものの、クラウドソーシングで「毎月の家賃と光熱費が払えるくらい」の月収を得る参加者が生まれたのです。

 

プロジェクトがもたらした想像以上の「成果」

 

クラウドソーシングの活用は、企業に雇用されるのとは別の切り口で働く機会を生み出す方法ですが、日南市は月収20万円ワーカー育成プロジェクトの実施によって、結果的に市内の雇用を増やすことにも成功しました。
 

日南市では、「若い人が魅力を感じる仕事」を増やしたいとして、積極的なIT企業誘致に取り組んでいます。ITベンチャー企業が市内に進出することで、若者が故郷で働く機会を作るとともに、企業と市民が出会って新たな価値を生み出し、地域の魅力を高めてUIターンを促進することも狙いです。

日南市が進めてきた誘致活動の結果、既に7社のベンチャー企業の市内進出が決定しました。

 

その第1弾となったポート株式会社は、東京・新宿にあるwebメディア運営企業で、2016年4月、同市中心部にオフィスを開設。webメディアのコンテンツ編集機能を配置し、現地でライター職、事務職を最大50人採用するとしています。

 

以前より、コスト効率などの観点から地方へのサテライトオフィス開設を構想していた同社は、いくつかの候補地を挙げて検討を進めてきました。同社の春日社長は、運営コストや行政サポートと併せて、現地での人材確保も進出地決定のポイントとなったと言います。運営コストの安い地域は人口も少なく、ITスキルをもった人材を確保することが難しいためです。

 

その点で、日南市とクラウドワークスが進める月収万円ワーカー育成プロジェクトは、WEBメディア企業である同社が採用しようとするWEBライティングのスキルを持った人材を育てるものであったことから、進出地決定の一助となりました

 

写真:月収20万円ワーカー育成プロジェクト参加者 井戸川理咲さん

プロジェクト参加者の一人であるシングルマザー・井戸川理咲さんは、クラウドワーキング開始以前の収入はほぼゼロ。かつては宮崎市内の企業に勤めていましたが、子育てをしながらの往復3時間の通勤が負担となって退職して以来、預金と実家の援助で生活をしてきました。

そんな井戸川さんがクラウドワーキングを始め、最低限生活していくだけの月収を得られるようになるのに半年。1年後にはポート社の採用試験に挑戦し、タイピングテストやライティングテストなどをクリアして、正社員としての採用が決定しました。

 

WEBライティング未経験だった井戸川さんが、プロジェクトを通して、正社員として十分通用する高いライティングスキルを身に着けるようになっていたのです。井戸川さんは、ポート社の社員としての給与収入に加えて、クラウドワークスでの仕事を副業として続けていきたいと語っています。

2つの収入源を得ることで、日南市に暮らし子育てをしながら、20万円を超える月収の獲得に成功したのです。

 

日南市とクラウドワークスが取り組んだ月収20万円ワーカー育成プロジェクトは、思いがけないかたちで副次的成果を上げることにつながりました。クラウドワーキングで収入を得ることは、単にクラウドソーシングサービスが使える状態にすれば実現するわけではなく、そこで収入を得るためのスキルを獲得し、仕事を続けるモチベーションを維持していく必要があります。

 

したがって、地域で働く機会を増やしたいと考える地方自治体にとっては、クラウドソーシングの認知促進を図るのみでなく、クラウドワーカー育成に取り組む努力が求められます。その結果として、地域人材のスキルが向上し、IT企業をはじめとした成長産業の企業誘致においても、競争力を発揮できる可能性が高まると考えられます。
 

宮崎県日南市ホームページ

テレビ東京系「ガイアの夜明け」(2015年6月16日放送)シリーズ働き方が変わる 第10弾“得意”で稼ぐ!

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