特許調査とは、自社の発明が特許として認められる可能性があるか・他人の権利を侵害していないかなどを確認するために行われる調査です。今回は、特許調査を行う目的や種類別の費用相場、自社で特許調査を行う方法、特許調査の依頼先などを紹介します。
目次
そもそも特許調査とは
特許調査では、既存の特許について以下のような観点から情報収集を行います。
・どのような特許か
・誰が取得したか
・なぜ取得したか(取得理由、目的)
・いつ取得したか
・どこで取得したか
日本では、毎年30万件を超える特許が出願されています。つまり、新たに取得される特許も一定数に上るため、「特許調査の対象件数は年々増えることになる」ということになります。
自社で特許出願前調査を行う際のサーチレベル
特許調査は、特許庁のWebページ(特許情報プラットフォーム)を使って自社で行うことも可能です。条件やキーワードを検索フォームに入力すれば、既存の特許を調査することができ、簡易的な方法ながら詳しい調査結果を得られます。
ただし、実際に特許を出願する際の事前調査としては、サーチレベルが十分といえない面があります。より正確で精度の高い調査結果を得たい場合は、外部への調査依頼を検討したほうがよいでしょう。
特許調査を行う目的【種類別】
特許調査を行う目的は、大きく分けて4つ挙げられます。以下、順に紹介します。
①先行技術調査
上記で少し触れましたが、出願前調査を「先行技術調査」と呼ぶこともあります。先行技術調査は、自社で発明した製品・技術などについて、特許を出願する前段階で行う調査です。
先行技術調査は、同一の(あるいは類似した)製品や技術がすでに特許を出願・取得していないかを確認する目的で行います。特許の出願や審査請求には、さまざまな準備やまとまった費用が必要なので、同一・類似の発明をあらかじめ調査しておけば、時間や費用の無駄を抑えられます。
②技術動向調査
技術動向調査(SDI調査)は、自社が研究・開発を進めている分野に関する調査を行います。
例えば、類似した分野の研究をリサーチしたり、人々の興味・関心やトレンドを先読みして製品に反映したりなど、今後の研究・開発の方針や戦略を決める段階で行われます。
なお、競合他社の動向を把握したり、世間のトレンドを予測したりして、先行開発を始めるために技術動向調査を行う場合、1回きりの調査ではなく、定期的な実施が有効です。
③クリアランス調査
クリアランス調査(FTO調査)は、訴訟トラブルを未然に防ぐための調査です。発売中の自社製品について調べる場合もありますが、基本的には製品開発の段階で行います。自社の新製品や発明が、他社の特許権を侵害していた場合、訴訟などのトラブルに発展する可能性があるため、すでに他社が製品・技術に関する特許を取得していないかを調査します。
なお、先行技術調査とクリアランス調査は似ているようでそれぞれ調査の目的が異なります。
クリアランス調査では、他社の権利に抵触しないかどうかを精査する目的で、対象製品に関する技術などの詳細な調査を行います。
一方で、先行技術調査では「権利化したい技術」に限定して調査を行うという違いがあり、調査にかかる工数が大きく異なります。
④無効資料調査
無効資料調査は、自社で開発した製品や発明などが、「特許権の侵害」で訴えられたときに行う調査です。特許権を侵害してないと反論するために、第三者が有する特許権は無効だと異議申し立てを行います。
この際に、特許異議申し立てを裏付ける証拠(学術論文・特許技術に関する文献など)を調査します。なお、異議申し立てが認められた場合、他社の保持する特許は無効となります。
※特許調査の種類ごとの費用相場については、この後に詳しく紹介しています。
特許調査の依頼先は?
特許調査を外注する際は、「特許調査会社」や「特許事務所」へ依頼するケースが一般的です。ここでは、それぞれの違いや特徴を紹介します。
特許調査会社の特徴について
【特許調査会社の特徴】
・調査に特化しており、クオリティが高い&短納期でも依頼できる
・特許の出願代行には対応していない
特許調査会社は、特許に関する調査を専門としているため、調査の経験やノウハウを蓄積している場合が多く、調査対象として扱える分野が広いことが特徴です。ただし、調査会社によって調査の対応範囲が異なるため、事前に対応可能な分野について確認しましょう。
特許事務所の特徴について
【特許事務所の特徴】
・調査と出願をまとめて依頼する場合、調査費用が割安になる
・特許の出願代行も依頼できる
特許事務所は、特許の調査から出願までワンストップで依頼できることが特徴です。ただし、特許事務所によっては「調査のみの依頼」は請け負っていない場合があり、出願までがセットの料金プランを設定していることもあります。
そのほか、特許の申請手続き、書類作成などの代行を弁理士(べんりし)に依頼することも可能です。弁理士に依頼できることや費用相場、料金の決まり方などについては、以下のページで詳しく紹介しています。
関連記事:弁理士費用の相場は?業務別の目安額や計算法、料金を抑える探し方も
特許調査にかかる費用相場
特許調査にかかる費用相場は、5~30万円程度です。依頼内容や納期などによってトータルでかかる費用が大きく異なり、依頼料金が100万円を超えるケースもあります。
特許調査の種類 |
費用相場 |
備考 |
先行技術調査 |
5万円~ |
調査件数200件ほどの場合 |
技術動向調査 |
月額2,000円~ |
別途、初回登録料などが発生するケースあり |
クリアランス調査 |
要相談(~50万円) |
調査件数などによる変動料金 |
無効資料調査 |
10~80万円程度 |
作業工数による変動料金 |
※外国特許調査の場合、上記の相場の1.5~2倍くらいの料金が目安になります。
依頼先ごとに料金体系が異なるため、まずは初回相談でヒアリングを行い、料金の見積もりを確認してから、正式に依頼するかどうか検討しましょう。
そのほか、特許の出願料・印紙代といった関連するコストについては、特許庁の公式ページを参考にしてください。
特許調査にかかる時間・期間
特許調査にかかる期間は、およそ2~5週間です。依頼先への問い合わせから調査結果をまとめた報告書を提出してもらうまで、約1カ月はかかると想定しておきましょう。
【特許調査を依頼する流れ】
①問い合わせ
②ヒアリング
③見積書の作成
④正式依頼
⑤調査開始
⑥報告書の作成
⑦納品
特許調査の対象件数は膨大な数なので、どうしても時間がかかってしまいます。ただし、依頼先によっては納期の相談に乗ってくれるため、急ぎの場合はヒアリングの段階で「◯月✕日までに納品してほしい」といった旨を伝えておきましょう。
特許調査に関する依頼なら「クラウドワークス」へ
特許調査に関する仕事を外注したい場合、クラウドソーシングサービス(※)を利用する方法がおすすめです。なかでも業界最大手の「クラウドワークス」は登録者数500万人を超えており、さまざまなスキル・実績を持つ人材が多数登録しています。
特許関連の資料作成やリサーチ業務を依頼したり、外国出願で使う文書の翻訳を依頼したりなど、特許調査に関するさまざまな仕事を依頼できます。また、ビジネス系のコンサルタントや士業の有資格者(行政書士、弁理士など)を探し、特許に関する相談や申請代行などを依頼することも可能です。
【クラウドワークスでの発注事例】
・事務代行(データ入力や書類作成、リサーチ業務など)時給1,000~1,500円
・秘書代行(テレアポやスケジュール調整、経理・会計など)時給1,000~2,000円
・特許調査や市場調査(マーケットリサーチ)の代行:時給2,000~4,000円
(※)クラウドソーシングサービスとは、仕事を外注したい人・受注したい人をインターネット上でマッチングするサービスのこと