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公開日: 2019.09.22 / 最終更新日: 2024.01.09

可決成立した働き方改革関連法案の内容とは?わかりやすく解説!

2018年6月に働き方改革関連法案が可決されてから、企業にはさまざまな変化が求められるようになります。働き方改革は法律なので、対応できないと刑事罰や行政処分ということにもなりかねません。しっかりと法律を遵守していくためにも、働き方改革の内容について学んでいきましょう。

そもそも働き方改革関連法案とは?


働き方改革関連法案について、基本的な事項を漏れのないように確認していきましょう。

8つの労働法の改正を行う法律

働き方改革法案は、既存の労働関連の法律の改正がベースになっています。改正となった8つの労働法案は以下のとおり。

[1]労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)
[2]労働基準法
[3]労働時間等設定改善法
[4]労働安全衛生法
[5]じん肺法
[6]パートタイム・有期雇用労働法(旧:パートタイム労働法)
[7]労働契約法
[8]労働者派遣法

これらの法律の改正により、必要となる改革全体を働き方改革と呼んでいます。2018年7月6日より労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)のみ施行されていますが、それ以外の改正は2019年4月1日から順次施行されます。

働き方改革関連法案の目的

働き方改革は、少子高齢化に伴う労働人口減少に向けた対策の一環です。長時間労働や有給休暇未取得など、これまで働きにくさを助長していた労働環境を是正し、労働者のライフスタイルに応じた多様な働き方を選択できる社会を推進することで、労働人口確保を図るのがねらいとなっています。

働き方改革関連法案の概要


働き方改革法案の要になっているのは次の7つのポイントです。

残業時間の上限規制の導入

これまでも労働基準法で残業時間の規制はありましたが、労働組合との協定を結ぶことで繁忙期などはほぼ無制限に残業を行うことが可能になる、という抜け穴がありました。働き方改革によって原則月45時間、年間360時間という明確な上限が設けられ、残業時間は規制の対象となります。

年次有給休暇の取得義務化

これまでも政府は有給休暇の取得強化を推進していましたが、なかなか進みませんでした。そこで、働き方改革には年次有給休暇の取得を義務化する法案が組み込まれることになります。これまでの法律では、6カ月勤務し8割以上出勤した労働者に対して10日の有給休暇が付与されていました。

今回の改革では、年10日以上の有給休暇が与えられる労働者には、その半分の5日の有給取得が義務化されています。

勤務間インターバル制度の導入

労働者が十分な休憩を取るように設けられたのが、勤務間インターバル制度です。これによって、夜勤明けで翌日昼にまた出勤するという短時間の休憩での勤務ができなくなります。何時間空けなくてはいけないなどの具体的な時間規定はありませんが、先行して導入している企業では8時間、または10時間というインターバルを設け、独自のガイドラインを用いて運用しているところが多いです。

同一労働同一賃金

正社員と契約社員、または派遣社員といった雇用形態の違いによって賃金の格差が是正されます。同一企業においては、業務内容が同じである場合には正規・非正規を問わず同じ待遇をしなくてはいけません。

中小企業の割増賃金の猶予規定の撤廃

改正前の法律では、月に60時間を超える時間外労働に関して割増賃金を支払う必要がありました。ただし、中小企業に関してはこの割増賃金に関して猶予されていました。改革後は、中小企業に対する割増賃金の猶予規定が撤廃され、中小企業も月に60時間を超える時間外労働に関して割増賃金を支払うことが必要になりました。

高度プロフェッショナル制度の創設

一定の高年収を得ているコンサルタントや証券アナリストといった専門職の労働者に対して、労働時間の規定から外す仕組みが高度プロフェッショナル制度です。年間104日以上、4週で4日以上の休日が義務付けられている以外には、深夜労働や休日出勤などの時間外労働の制限からは外れる存在となります。

行政の履行確保措置やADRの整備

同一労働に対する待遇格差などの不合理な待遇差が生じた場合、企業はそれを説明する義務があります。改革後は、実行されているのかを行政が確認する履行確保措置の整備が行われます。また、企業と労働者の争いになったときには行政が間に入り、ADR(裁判外紛争解決手続)ができるような体制を整えなければなりません。

働き方改革関連法案の施行時期は?


働き方改革は2019年4月に開始されましたが、段階的に施行されています。2019年4月から開始されたのは、有給休暇の義務化、勤務間インターバル制度、高度プロフェッショナル制度の3つに加え、大企業における残業時間の上限規制です。

翌2020年4月には中小企業を対象にした残業時間の上限規制、大企業を対象にした同一労働同一賃金が施行され、2021年4月に中小企業を対象にした同一労働同一賃金がスタートします。もっとも遅いのが中小企業の割増賃金率の猶予措置廃止で、2023年4月に施行されました。

まとめ

2018年6月に可決成立した働き方改革関連法案は、会社に所属する人ならば誰でも関係のある法律で、元々ある8つの労働法の改正の総称です。法案の要となっているのは7つの項目で、2019年4月から数年にわたって順次施行されます。段階的に施行されていますが、しっかりと準備していきましょう。

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伊藤孝介
セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。 マーケティング系ライター歴5年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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