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公開日: 2019.11.22

政府が進める働き方改革の目的や背景は?企業が実施すべき施策も紹介

2019年4月より働き方改革関連法が順次施行されています。法改正による適用開始時期は大企業と中小企業とで異なるものの、どの企業も施行内容を遵守する必要があり、無視すると罰則が課されることにもなりかねません。改めて働き方改革の目的や背景、メリットなどを確認し、企業が実施すべき施策を理解していきましょう。

政府が推進する働き方改革の目的とは?


日本政府が主体となって進めている働き方改革ですが、そもそもどのような目的で誕生したのでしょうか。

一億総活躍社会を実現するため

「一億総活躍社会」とは何かご存じでしょうか。一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、この一億総活躍社会の考え方が働き方改革の誕生と深く関わっています。そもそも一億総活躍社会とは「年齢、性別、障がいの有無は関係なく、一人ひとりがどのような場所においても能力を発揮でき、どのような人も包摂され、生きがいを感じられる社会」のことです。

これから少子高齢化はますます進むことが予想されており、2050年には人口1憶人を下回るとされています。人口の減少が予想される日本において、その一億総活躍社会を実現するための取り組みとして誕生したのが働き方改革です。具体的には、長時間労働の是正、多様な働き方の実現、労働者格差の是正などを通じて、誰しもが活躍できる社会を目指していく取り組みです。

本当の目的は経済成長

日本の労働人口は減り続けているものの、経済成長なくして一億総活躍社会の実現はありえません。働き方改革を実施する目的の根底には、日本の経済成長という大きな狙いがあります。限られた労働人口で日本経済を成長させるためには、労働生産性を向上させなければなりません。そのため、労働者目線で働き方を見直し、抜本的な改革が必要となったのです。

生産性向上によって得られた成果を労働者に分配すれば、賃金の上昇が見込めますし、賃金が上昇すれば消費も拡大することでしょう。さらに、労働者の格差を是正することで中間層を増やし、消費の押し上げを期待することもできます。労働者のワークライフバランスを意識した施策を実施し、生産年齢人口や労働生産性を増加させ、少子高齢化に対抗するのが狙いです。

働き方改革が推進される背景は?


政府が働き方改革を推進するに至った背景を詳しく紹介していきます。

生産年齢人口の減少

日本では、「生産年齢人口」とされる、主たる労働力となる15~64歳の人数が減少傾向にあります。生産年齢人口が低下してしまうと、国全体の労働力は低下していきます。働き方改革によって多様な働き方を認めることで、生産年齢人口を増やし、労働生産性を上げていく狙いがあります。

長時間労働を是正する必要性

世界的に見ても、日本の長時間労働問題は深刻であると言わざるを得ません。2013年には国連から長時間労働に関する是正勧告も受けています。労働者のワークライフバランスを改善して労働生産率を上げるには、まずは長時間労働を是正することが急務なのです。

また、長時間労働ありきの社会では、当然ですが育児・介護と仕事の両立は困難であり、出生率の低下も招いてしまいます。出生率が低下するということは、すなわち生産年齢人口の低下にもつながり、日本経済をさらに悪化させるという悪循環になるのです。

働き手のニーズの多様化

育児・介護と仕事の両立が難しいことにより、せっかく築いてきたキャリアを中断せざるを得ないような人は少なくありません。これは働き手のニーズが多様化していることを意味しています。また、複数の会社と兼業したり、副業したりする人も珍しくありません。このような働き手のニーズに応えるため、企業側は柔軟な働き方を認めていくことが必要になってきています。

働き方改革で企業が求められる施策とは?


働き方改革によって、具体的に企業にはどのような施策が求められるのでしょうか。いくつかある施策の中でも、ここでは3つを紹介していきます。

同一労働同一賃金の導入

日本企業では、正規雇用と非正規雇用との間で待遇(賃金など)に大きな差があります。そこで、正規・非正規労働者の格差を是正するために、2020年4月1日から導入される施策が「同一労働同一賃金」です(中小企業は2021年4月1日より適用)。

この施策は「パートタイム・有期雇用労働法」という法律の名称になり、パートタイム労働者、派遣労働者、有期雇用労働者と正規雇用労働者が同一の業務に従事する場合は、正規・非正規にかかわらず同一の賃金を与えなければなりません。これによって、非正規労働者は企業に対して待遇差の説明義務を求められるようになります。

この施策によって格差が是正されると、非正規雇用者も正規雇用者と同様のやりがいや活躍の場が得られることになり、働きたい人は増えるでしょう。さらに、格差がなくなるにつれ中間層が増えるので、消費の増加にもつながるでしょう。ただし、企業は格差解消のために人件費が高騰する恐れがあります。あらかじめ人件費を算出して人員調整をしておいたり、正規と非正規の業務内容を明確に線引きしておいたりするなどの対策をしておくことが大切です。

残業時間の削減

日本の労働環境においては、残業が美徳とされたり、長時間労働を苦にしなかったりする意識が長年根付いていました。しかし、いつまでもこのようなままでは働き方改革で目指すべき姿に近づかないことは言うまでもありません。

残業時間の削減(時間外労働の上限規制)は、大企業では2019年4月1日から導入をスタートし、中小企業でも2020年4月1日から施行を開始します。残業時間は原則として月45時間以内、年間360時間以内となり、臨時の特別な事情がある場合でも月100時間以内などの複数のルールが決められました。法律の改正前は残業時間の上限がなく、企業側は従業員に長時間労働をさせていても罰則がありませんでしたが、この法律の改正によって残業の上限が明確に決められたため、違反すると罰則につながります。

残業時間が減って長時間労働が是正されれば、労働者のワークライフバランスは改善されるでしょう。出産を機に退職した女性や高齢者でも就業しやすくなり、労働生産性が向上して経済も成長していくことが期待できます。企業側は、時間外労働を注意することはもちろん、労働者が心身共に健康でいられるよう働きやすい環境を整備しなければなりません。

柔軟な働き方ができる環境の整備

従業員のワークライフバランスを図るため、柔軟な働き方ができる環境の整備も実施していくべき施策のひとつです。自宅での就業を可能にするテレワークの導入や、労働時間の短縮を認める短時間勤務制度などを導入することは、労働者が柔軟な働き方を選択できる第一歩となります。

また、副業や兼業を公に認める企業も増えてきていることから、厚生労働省もガイドライン上では原則容認という姿勢を見せています。「どんな人でも働きやすい環境」が整備されるにつれ、生産年齢人口が増え、生産性も向上することが期待されています。

そのほか、生産性を向上させる具体的な方法などについて、以下の記事で紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。
関連記事:働き方改革を進め、生産性向上させるには?方法や成功事例を徹底解説

働き方改革の企業側のメリット

働き方改革が企業にもたらすメリットはいくつかありますが、まずは業務効率化や生産性向上につながることが挙げられます。長時間労働が規制され、ひとつの仕事に対して今までかけてきた時間がかけられなくなったことは、仕事量が少なくなるという捉え方もありますが、逆に人件費削減や利益率向上につながるという捉え方もあります。

また、多様な働き方を認めて副業や兼業を推進しているなど、育児や介護と仕事を両立できるような環境が整っている会社には、優秀な人材が多く集まります。さらにこのような環境は離職率低下にもつながるでしょう。給与や昇進よりもワークライフバランスを重視する労働者が増えている中では、働き方改革によってこのような柔軟な職場環境を目指す企業に対し、労働者からの良いイメージだけでなく、社会的な評価も高まることでしょう。

働き方改革の労働者側のメリット


働き方改革によって労働者側が得られるメリットも多いです。まず、ワークライフバランスの実現がしやすくなることが挙げられます。フレックスタイム制やテレワークの導入が進めば、職種にもよりますが会社への出勤頻度を下げられる可能性があり、そのぶん家事や育児、介護、あるいは副業や習い事などに時間を使えるようになるでしょう。休暇も取得しやすくなるため、よりプライベートの時間を充実させられるようになります。

また、正規と非正規の待遇差がなくなることで、いままで非正規雇用で働いていた人も待遇の格差に苦しむことはなくなります。待遇が上がることで生活水準も上がりますし、それに伴い仕事に対する意欲も上がることでしょう。

まとめ

働き方改革の目的や背景、メリット、企業が実施すべき施策について詳しく紹介しました。働き方改革はすべての企業に関わる大事な取り組みです。すでに一部の施策はスタートしていますが、中小企業もスムーズに導入できるよう今から準備しておくことが大切です。目的と把握し、労働者が働きやすい環境を整備して、日本の経済成長につなげていきましょう。

実際の成功事例から紐解く、
チームの生産性がアップするポイントとは?

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にしすん
早稲田大学商学部卒業後、コンサルティング会社で人事業務を担当。新卒・中途採用全般に携わる。 その後、フリーランスとして独立。WebマーケティングやWeb広告の分野で活躍中。マーケティング・金融・会計・人事労務など、幅広い知識を持つ。

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