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公開日: 2019.11.22

働き方改革の問題点とは?残業問題や同一労働同一賃金実現の欠点は?

2019年4月1日から施行されている働き方改革関連法ですが、劣悪な環境で働かせるブラック企業の抑止力になるのではないかという期待がある反面、改革の問題点も話題に上がっていることをご存じでしょうか。この記事では働き方改革関連法から垣間見える問題点について考えてみましょう。

そもそも働き方改革の施策とは


働き方改革が誕生したのは、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」の実現だけではなく、日本の労働環境における問題点を解消するためでもあります。特に問題となっているのは長時間労働、少子高齢化による労働人口の減少、多様化する働き方への対応です。これらの問題を解消するため働き方改革関連法が誕生しました。ここでは、関連法のうち代表的な2点を紹介します。

まずは、働き方改革の柱のひとつである「同一労働同一賃金」です。この施策は大企業だと2020年4月1日から、中小企業だと2021年4月1日から導入開始されます。この施策が誕生した背景には、日本における正規雇用・非正規雇用問題がありました。日本ではかねてから正規と非正規の間の待遇格差があり、同じ仕事をしているにもかかわらず待遇が違う、という状態でした。

ただ雇用形態が違うだけで給料や福利厚生に差が生まれていたため、この問題にメスを入れるために「同一労働同一賃金」制度が誕生したのです。この制度によって、企業側は雇用の種類を問わず同等の待遇をしなければなりません。差が生じている場合、労働者は企業側にその説明義務を求めることができるようになります。

また、働き方改革の目玉政策のもうひとつは「長時間労働の是正」です。日本の企業文化においては、これまでみなし労働や36協定といった特例措置があったため、長時間労働が可能な労働環境でした。これが、働き方改革によって1カ月の残業時間の上限が設けられる(時間外労働の上限が規制される)ため、長時間労働が規制対象となり、ワークライフバランスが取りやすい環境になります。

同一労働同一賃金実現の問題点とは


正規と非正規の労働格差をなくす同一労働同一賃金制度は、一見すると良いことだらけのようです。では、この制度の問題点にはどのようなことがあるのでしょうか。

企業が雇用を抑制する可能性がある

同一労働同一賃金が実現されることで、これまで非正規雇用に頼っていた企業の人件費コストは増加することが考えられます。非正規雇用のメリットのひとつである「割安さ」がなくなると、企業は気軽に人材を受け入れることができなくなるため、雇用すること自体を抑制する可能性があります。これに加えて、雇用抑制による人材不足によって、一人当たりの仕事量の増加を招くことにもなりかねません。

正規労働者の賃金が低下する恐れがある

同一労働同一賃金のイメージとして、非正規雇用の賃金が正規雇用の水準まで上がるような印象がありますが、その逆も十分に考えられます。人件費の増大は経営圧迫につながるため、正規雇用を非正規雇用の賃金条件まで下げることによって対応する可能性もゼロではありません。そうなると、非正規雇用の労働者にとって待遇はなにも改革されず、正規雇用の労働者にとってはマイナスの改革となり得るでしょう。

正規労働者のモチベーションの低下

なぜ正規雇用と非正規雇用があるのでしょうか。これは、労働条件や契約内容が異なるのでこのように分類しているにほかなりません。同一労働同一賃金において表面上は同一労働だったとしても、拘束される時間や転勤の有無など一概に業務内容だけではない労働条件が異なるために、同じ賃金では正規雇用の労働者にとっては不満を抱く要因となります。

残業時間の上限規制の問題点とは


残業時間に上限規制がされることは、労働者にとって長時間労働から解放されるというメリットがありますが、その一方で問題点も存在します。

企業の競争力が低下する恐れがある

労働時間の規制は、会社の業績に大きな影響を与える可能性があります。たとえば、研究開発や営業などの業務は、限られた時間内には終わらせることが難しい場合があるかもしれません。これらの業務は時間が不規則になりがちな上、定めた終業時間に終えることが難しい業務でもあります。企業の根幹をなす研究開発や営業活動が制限されてしまうことは、競争力の低下や、ダイレクトに売上に響くことにもなりかねないのです。

自宅でサービス残業をする可能性がある

労働者の残業は果たして本当になくなるのか、という問題もあります。会社から残業NGの通達が出され、会社では電力などの強制シャットダウンがなされたとしても、そもそも与えられた仕事が終わらなければ取引先に迷惑をかけることにつながります。会社のルールに則って社内で残業はしないとしても、社外に持ち出して自宅でサービス残業をすることになりかねません。こうなると、残業時間の上限規制も意味がなくなってしまいます。

管理職の残業時間が増える恐れがある

定時で仕事が終わらないにもかかわらず労働時間が規制されてしまい、何らかの問題が発生した場合はどうなるでしょうか。ここでの仕事のしわ寄せやこのような責任問題は、管理職や役員に回ってきます。管理職や役員は一般的な労働者には該当しないため、残業規制などの対象になりません。社員が残した仕事は、管理職が残業して片付けなくてはならない可能性もあります。

収入が減少する人がいる

残業時間が規制されるということは、これまで残業をして稼いでいた残業代は支払われなくなるということです。残業代も含めた給与で生活を成り立たせていた人にとっては、自分のプライベート時間がしっかりと確保できるメリットがある反面、実質的に収入が減少することになります。

テレワークや人事評価制度の問題点


働き方改革による問題は、人事評価制度に対しても挙げられます。たとえば、多様な働き方のひとつとして、場所や時間にとらわれないテレワークや、フレックスタイム制などの働き方があります。

しかし、このような働き方に対して企業が二の足を踏む背景には、人事評価制度が追いついていないことが挙げられます。テレワークやフレックスを導入する場合、オフィスで一緒に仕事をしている時と同じような評価はできなくなります。なぜならば、顔を合わせる機会が減り、仕事ぶりもわからなくなるからです。そのため、どうしても労働者の自己申告を信じるしかなく、どのような基準で人事評価を行うのか、ほかの労働者と公平に評価するにはどうするべきかを事前に検討することが重要になってきます。

具体的には、評価の基準を明確化しておくことはもちろん、コミュニケーションを積極的にとるようにしたり、目標と達成状況を細かく管理したりするなどがあります。社内にリモートワークをしない人とする人が混在する場合、どうしても目の前で仕事をしている人を高く評価しがちです。明確なルールを決め、多くの人が納得するような人事評価制度を作ることがポイントです。

テレワーク導入のメリットや課題などはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:働き方改革で注目されるテレワークとは?導入のメリットと課題を解説

まとめ

働き方改革にはさまざまな問題点が提起されています。しかし、そもそも働き方改革自体は労働環境の改善や人材確保に対する課題を解決するための法案です。企業側は働き方改革の背景を理解しつつ導入を進めていかなくてはなりません。問題点があるから制度の開始を踏みとどまるのではなく、問題点をよく理解した上でうまく社内に働き方改革を取り入れていくようにしましょう。

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伊藤孝介
セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。 マーケティング系ライター歴5年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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