「質の高い記事が集まらない」「せっかく獲得したライターが離れていってしまった」などなど、記事の外注をしたことがある担当者であれば、一度は経験をしたことがあるのではないでしょうか。
その際に、ライターへのコミュニケーションスピードや丁寧さ、報酬などの待遇面が改善項目として目が行きがちです。しかし、ここではそもそものライターに依頼する内容、つまり「記事外注マニュアル」に目を向けてみましょう。あなたのマニュアルはライターを疲弊させていませんか。
目次
記事外注マニュアルとは
記事外注マニュアルとは記事を外注する際にライターさんに必ず守ってもらうルールのことです。例えば、「字数やタイトルの付け方」、「写真の有無」などをまとめたものです。一般的には、「マニュアル」ではなく「レギュレーション」と呼ぶことが多いですが、ここでは分かりやすく「マニュアル」と表記します。
ライターに記事制作の依頼をし、いざ執筆をする際にライターはマニュアルを見て作業に入ります。そのため、発注側とライターの共通認識を得るための土台として、とても重要です。
マニュアル作成の際には、「ライターとの認識の齟齬を限りなくゼロにすること」を目的にします。ここで望ましいマニュアルを作成することができると、納品された記事のクオリティのブレが少なくなり、求めるクオリティの担保が可能となります。そうすることで、社内でのチェックや修正コストの削減ができ、記事外注サイクルの好循環を生むことができます。
逆に、しっかりとした記事外注マニュアルを作成できないと、記事を外注したことで原価が予算を上回ることもあり得ます。
まさに記事外注マニュアルが外注の成否を決めると言っても過言ではなく、望ましいマニュアルを作成することができれば、発注側もライター側もハッピーです。
記事外注マニュアル構築のポイント
マニュアル構築で最も重要なことは、月並みではありますが、「ライターの立場になって考えること」に限ります。例えば、納品される記事クオリティのブレを減らすために、非常に精緻な記事外注マニュアルをライターに渡す発注者をよく見かけます。
確かに、発注側としては、合理的ではあるものの、ライター側から考えたらどうでしょうか。複数の案件を抱えている中で、数ページにも及ぶ難解なマニュアルが渡されたら、どうしてもライターとしては執筆の意欲が失せてしまうのではないでしょうか。
結果的に、納品される記事のクオリティが想定に達しておらず、ライターに修正依頼を出すコスト、社内で修正作業をするコストなど多大なコストがかかってしまうことが容易に想像できます。
そこで、望ましいマニュアルを作成するために、以下の点を注意しましょう。
全体のイメージをつかめるものを数行で作成
字数、段落構成、写真の有無、執筆する際の注意事項のみ簡潔に書きます。最初に全体像が見えることでライターがイメージできるようになります。
項目分けをする
目的、注意点(文末表記や記号など細かく分類)、禁止事項などを項目別に確認しやすく配置します。このことにより二度手間が限りなく少なくなり、ライターの手間を省くことができます。
視覚的に分かりやすく書く
「二重括弧は使用禁止」ではなく、「『』は使用禁止」と記載します。余計なところに意識を使わなくて良くするために必要です。
分かりやすい表現を使う
「転節・・・」ではなく、「話題を転換する際の接続詞」と記載しましょう。
具体例を用いる
「話題を転換する際の接続詞:例)どころで、さて、そもそも」。あくまでもライターがイメージしやすく、作業しやすくすることが必要です。
サンプル記事を用意する
ライターに執筆してほしい、テーマのサンプル記事を1記事だけでいいので、用意しましょう。やはりライターとしても具体的なイメージがあれば執筆がしやすく不安にならずに書き進められるものです。
また記事外注マニュアルの内容だけに気をつければ良いわけではなく、分かりやすいように、色や太文字を使うことも効果的です。ライターにとって分かりやすいことが、社内の作業を少なくすることにつながり、お互いが気持ち良く仕事をすることにつながります。
そして、記事外注マニュアルを作成したら、別の人のチェックを受けましょう。自分の視点では気が付かない癖、誤解を招く表現は他の人でなければ見つけることができませんので、第三者のチェックはおすすめです。
記事外注マニュアル作成に必要な社内リソースと重要性
最後に、記事外注マニュアルを作成するために必要な社内リソースを考えましょう。マニュアル作成時には、少なくとも「マニュアルのたたき台を作成・精査する人とチェックする人」が必要です。作成したい記事ごとに細かい注意点は変わるので、一度作ったら終わりということはありません。
また、ライターと常時連絡を取り、「マニュアルなどに対するライターからの質問に対応する人」、さらに、マニュアルの変更点が出た場合、「マニュアルへの追記やライターへの再共有をする人」も必要です。ざっと考えただけでもこれだけの人員が記事外注をしようとする際には、必要となります。だからこそ、最初の記事外注マニュアルをしっかりと作成できれば、あとは仕組として運用すればいいだけなのです。
一方で、ライターの気持ちになって考えましょう。ライターもボランティアではないので、きちんと工数に見合ったお金がもらえるかが最も気になる点です。そんな中、1社だけを見て決めるでしょうか。
やはり、複数社を比較検討することが自然であり、場合によっては試しに記事を制作してみて決めることもあるはずです。その際、各社の対応はもちろんですが、「きちんとしたマニュアルがあるかどうか」はライターにはとても重要になります。マニュアルは言ってしまえば「お店の外観やエントランス」です。
つまり、改善していくことは大切ですが、最初からある程度のレベルのマニュアルが無い場合はライターが集まりにくくなってしまいます。ボロボロのお店に入りたいお客さんはいませんよね。ライターに良い印象を与えるには、マニュアルの作成ポイントや抜け漏れが生じやすい点などのデータや知識の蓄積が必要となります。
まとめ
記事外注マニュアル作成はライターだけでなく、自社にとっても有効なツールです。しかし、記事外注マニュアルは日々改善が必要であるとともに、一朝一夕で良いものができることはありません。ライターから納品された記事の品質をチェックし、「なぜ想定する質の記事があがったこなかったのか」を考え、マニュアルに明文化して落とし込む、幾度ものサイクルが必要です。