「デジタルマーケティングとは何か?」を改めて聞かれても、なかなか端的に言い表すことができない方が多いのではないでしょうか。今回はこのデジタルマーケティングについて、Webマーケティングとの違い、手法や成功事例などを交えながら、解説していきます。
そもそもデジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングの意味
デジタルマーケティングとは、商品を販売する企業側が消費者に対して、広告などを通じて購買意欲を誘うために「デジタル化されたデータ」を使って行うマーケティングのことです。
当然これまでも各企業はマーケティングの過程で独自に調査し、取得したデータを活用してきたわけですが、「デジタルマーケティング」とわざわざ表現するのは、データ取得をより高度に、詳細に行い、取得したデータを大量に蓄積することを可能とするテクノロジーが普及したためです。
デジタルマーケティングの重要性
近年の消費者を取り巻く環境変化によって、デジタルマーケティングの重要性が次第に高まっています。消費者の多くは企業が発信する情報よりも、インターネットなどのメディアによって瞬時に伝達する家族や友人などの「信頼に足りる客観的な」情報を重要視するでしょう。
出どころがわかる情報を消費者が重視するようになると、自分が信頼できるブランドや自分を理解してくれるブランド、パーソナライズされた的確なコミュニケーションを取れるようなブランドを好みます。この消費者志向の変化に対応するために必要なのが、デジタルマーケティングです。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
デジタルマーケティングとWebマーケティングは似て非なるものです。同じではありません。
明確な違いは、前者がWebサイトを含めた、デジタル世界で取得できるあらゆるデータ(電子マネーやクレジットカードの利用履歴、ICカードなどのデータほか)を活用する広範囲のマーケティングを行うのに対し、後者はWebサイトのアクセス履歴や商品の購入履歴など、Webの世界だけのデータを使った狭い範囲のマーケティングを行うという部分にあります。
Webマーケティングに関してもっと知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
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デジタルマーケティングの主な6つの手法は?
ではデジタルマーケティングの主な手法を見ていきましょう。ここでは6つご紹介します。
集客やコンバージョンを狙いWebサイトを運用
消費者の多くが、商品やサービスの購入時にWebサイトを使って情報収集を行います。そうした傾向を利用して「SEO対策」や「インターネット広告」などで集客施策を実施し、また購入促進のための「アクセス解析」「Webサイト改善」を行いながら、Webサイトを運用していく手法です。
能動的に顧客にアプローチするメールマーケティング
Eメールを利用し、商品やサービスに関する新製品、割引、キャンペーンといった周知を行い、Webサイトへの誘導を企図する手法です。最近ではLINEやショートメッセージなどのツールを利用した手法が主流になっています。
プッシュ通知などでコミュニケ―ションをとるアプリ活用
スマホアプリを通じて、ユーザーとのコミュニケーションを行ったり利用情報などの情報を収集・分析したりする手法です。プッシュ機能を使い、ユーザーに対してダイレクトに情報配信するなど、直接的かつ継続的に接点を持てるメリットがあります。
親近感や共感を生むSNSマーケティング
TwitterやFacebookなどを利用したSNS広告、自社アカウントを通じた情報公開やユーザーとのコミュニケーションを図る手法です。ユーザーに親近感を持ってもらえるように、SNSを活用した自社コンテンツの提供を行い、共感を生み出すマーケティングが実現できます。
データを蓄積し自動化するマーケティングオートメーション
マーケティングオートメーションとは、メール配信、Webサイトのアクセス履歴、セミナー管理、フォーム機能、リード(見込み顧客)管理、スコアリングなどマーケティングの一連の業務を自動化し、既存顧客や見込み客の行動データを蓄積・管理・分析する手法です。
こうしたデータを活用し、顧客属性に合わせたマーケティングを実施することが可能です。
ユーザーの行動データを把握するIOT活用
従来のパソコンや携帯端末だけでなく、インターネットに接続されたテレビやゲーム機、エアコン、スピーカー、照明などのデバイスや、そこに蓄積された行動データを活用する手法です。身の回りのものがインターネットとつながった状態を指す「Internet of Things」がIOTの語源です。
デジタルマーケティングを活用した企業の事例とは?
では実際のデジタルマーケティング活用事例を3つご紹介します。
「デジタル」を活用し新コンセプトを認知「マンダム」
男性若者層をターゲットとしてスキンケア・ボディケア・ヘアケア商品シリーズを提供する「ギャツビー」。そのブランドを展開するマンダムは、「ギャツビー つるんと肌シリーズ」と題し“見た目に働きかける”ことを目的とした商品を2018年8月に発売しました。
デジタルマーケティングの結果、男性の間でも肌のトラブルケアだけでなく、見た目への意識が高まっていることが判明しました。肌トラブル対策だけでなく、トラブルのない肌を維持したいというニーズが増えてきているそうです。
このようなターゲット層の意識変化を的確にとらえ、これまでとは異なる商品ラインを展開して、「男性スキンケア市場」は今後さらに成長が見込める分野と考え、新商品を次々登場させています。
出典元:GATSBY
オンラインのデータを活用して店舗をデザイン「Amazon」
世界最大のECサイト「Amazon」は、従来から購入者の商品検索履歴や購入履歴といったデータを基におすすめ商品を紹介するレコメンド機能を充実させてきました。さらに、Kindleというアマゾン独自の読書デバイスに残された購入後の本の読み方に関するデータを活用しています。
こうしたデジタルデータをリアル店舗「Amazon Books」の品揃えや商品の区分、陳列などのデザインへ生かしています。
出典元:Amazon Books
購買前の意識決定を見える化「無印良品」
無印良品のアプリ「MUJI passport(ムジパスポート)」はユーザーにとってはポイントカードがアプリになって便利に使える、といった印象を持たれるかもしれません。しかしこれは無印良品にとってはただのアプリではなく、購入前後の行動が可視化され、来店頻度の向上や施策の測定にも役立つものなのです。
「MUJI passport(ムジパスポート)」では、来店理由や購入商品にどんな商品に興味を持っているかといった、マーケティング上とても重要な情報をパスポート内での商品検索機能によって可視化しています。
またポイント付与を商品購入時だけでなく、店舗にチェックインした時や、商品に関してSNSで投稿した時などでも行うなど、独自の情報を取得していった結果、商品購入後の行動や行動範囲から想定される勤務先、居住地域、行動時間帯などを把握できるようになったそうです。
出典元:無印良品
まとめ
ここまでデジタルマーケティングに関する基本知識と成功事例を解説してきました。世の中の流れとして、すでに一つの企業がコツコツと顧客や見込み客に関するデータを集め、それをマーケティングに生かしていた時代は終わりを告げています。
これからの時代はデジタルマーケティングの活用が、マーケティング活動を進めていく上で不可欠となります。ぜひ参考にしてみてください。