
既存事業の成長鈍化から新規事業を打ち出してイノベーションを起こしたいと考える経営者、やビジネスマンの方は多いのではないでしょうか。今回の記事では新規事業アイディアの出し方から、リサーチ方法、フレームワークなどをまとめて紹介します。
新規事業を成功させるための三つの前提条件は?
ジム・コリンズによって書かれた「ビジョナリー・カンパニー2」で紹介されている、ハリネズミとキツネの寓話をご存知でしょうか?キツネは自分よりも動きが遅く、小さいハリネズミを捕まえようとします。
しかし、ハリネズミは体を丸めて針を立てるという非常にシンプルな方法で対抗し、結局キツネはハリネズミを捉えることができませんでした。この話は、シンプルに、単純明快にやるべきことをやる人が勝つという原則を伝えた寓話です。ここではどのような人が新しいことを成功させるのか、提唱された3つの前提条件をご紹介します。
情熱を持って取り組める事業
どれほど良い事業内容であっても、情熱がなければ継続、成功させることが難しいという原則です。売上が上がる、利益が出るといった財務面ももちろん経営をしていく上では重要な要素です。しかし、多くの経営者が自身の過去の強烈な体験を原動力にして事業を成功させているように、新しいことに取り組むためには情熱や気持ちが重要といえます。
自分が世界一になれる事業
どのような分野であっても、世界で一番になれることがある能力を持っていることは大きな価値となります。しかし、世界一のスキルを見つけることは簡単ではありません。
世界一を見つけるために、スキルを組み合わせることも一つの手といえます。「これなら自社のエリアでは一番だろう」というスキルやポジションを複数組み合わせてみると、日本一や世界一を見つけられるかもしれません。
経済的原動力になる事業
事業として成り立たせるためにはある程度の売上や利益を継続して生み出すことが重要です。情熱が重要と先述しましたが、慈善活動ではない限り、情熱だけではやっていけないというのが本音です。誰が自分の事業にお金を払ってくれるのかを常に意識しながら、経済的原動力になる事業を検討しましょう。
アイデアを出すためのリサーチ方法は?
いざ新規事業を考え始めるとアイディアが浮かばないと悩むことがあると思いますが、やみくもに考えるのではなく、リサーチを通して新しい発想が生まれる場合は少なくありません。ここではアイディア出しのヒントになるリサーチ方法を紹介します。
自社と業界全体のバリューチェーンを調べる
バリューチェーンは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターによって提唱された概念です。主活動(購買・製造・物流・販売マーケティング・サービス)と、支援活動(インフラ・人事労務・技術開発・調達)のそれぞれの観点で競合や業界全体と比較して、自社の強みや弱みを整理するために用いてみましょう。
これらの要素が利益に直結するとして、「利益を最大化するためには」という目的で使われることが多いのですが、新規事業を検討する際に改めて自社分析を行うのに優れた分析手法です。
顧客の不満や望んでいることを知る
既に何らかのサービスを行なっている場合、BtoB、BtoCに関わらず、顧客からのリアクションを受け取っているはずです。小さな意見であっても、自社に対して寄せられる声は非常に価値あるものです。既存サービス改善にはもちろん、新しい商品やサービスのヒントになる情報が隠されている可能性があるでしょう。
他社・成長企業や海外の事業を参考にする
世の中で新しいサービスや商品のニュースに敏感になりましょう。日本国内だけでなく、海外の事例も参考になります。これは単純に後追いで真似をするということはなく、「新しい」と思ったことが発想の転換のきっかけになる場合があるからです。
得られた新しい発想と、バリューチェーンから導かれた自社の強みと組み合わせることで今まで世の中にない新しいサービスが生み出せる可能性があるでしょう。
アイデアを発想するときに使えるフレームワークは?
リサーチ方法と組み合わせて新しいアイディアを出すヒントになるのが、フレームワークです。課題から入る人、ひらめきからアイディアに出来る人など、人にはそれぞれ思考の型があります。クセになっている思考の型を破り、新たな発想を得るために役立つフレームワークを実際の事例とともに見ていきましょう。
条件を絞り発想する制約条件法
制約がある条件でどうするか?という発想からアイディアを得る手法です。「10分カット」で有名になったQBハウスの事例を紹介します。これは「髪を切りに行く時間がない」という顧客の声をうけて「十分な時間がない」という条件をつけたことによって生まれたのが10分カットのサービスです。
他業種の成功例を参考にする異業種発想法
異なる業界で成功している事例を参考にして自社業界に当てはめてアイディアを生み出すのが異業種発想法です。本来アート作品を見物するという美術館を、飲食業界と結びつけたラーメン博物館は、この発想法の成功事例と言えます。
既存ビジネスを活用する業態シナジー法
業態シナジー法とは、既存のビジネスを組み合わせ発展させていく発想法です。中古品買取会社として規模を拡大してきた「BOOKOFF」ですが、当初は本のみの取り扱いでした。中古品の買取・販売という確立されたビジネスモデルを、家電や洋服に展開した業態シナジー法の成功事例です。
アイデアを実現する方法とは?
リサーチ法やフレームワークを活用し新規アイディアが固まってきたら次は実行です。さあ始めようと無計画に始めると失敗の元でしょう。ここではアイディアを実現するための2つのポイントをご紹介します。
必要な資金を計算し事業計画を立てる
何にしても実行していくには計画が重要です。頭の中でアイディアをまとめるだけでなく、しっかりした事業計画書を事前に書いておくことで、矛盾点や不足している点に気付くこともできます。
事業内容の詳細、市場環境、競合となるサービスや企業の情報、具体的な戦略、売上利益の予測、損益予想(投資に対してどのくらい利益が出て、何年で回収できるか)といった基本的な要素は欠かさないようにしましょう。
アイデア実現のため資金を調達する
新規事業でスタート前にぶつかる大きな壁と言えば「資金」です。自己資金で何とかなるケースは除き、調達の必要がある場合がほとんどでしょう。公的機関や民間の金融機関から融資を受けるという方法やクラウドファンディングなどを活用して、応援してくれる人を募るという方法もあります。そのためにも事業計画書は非常に重要な役割を果たします。
まとめ
今回は新規事業のアイディアやリサーチをご紹介しました。新規事業の立ち上げは簡単なことではなく、また大きなエネルギーを必要とするチャレンジです。今回の記事を参考に、新しいアイディアの発想法やリサーチ法を試してみてはいかがでしょうか。