新規事業の立ち上げや新しいプロジェクトの企画を思考する際、やみくもに考えてはいないでしょうか?新規事業の立ち上げにはきちんとしたフレームワークが存在します。フレームワークに沿って体系的に行っていくことで抜けや漏れのないプランを立てることができます。今回はすぐ活用できるフレームワークをいくつか紹介します。
目次
新規事業立ち上げ時のフレームワークは?
まず、新規事業を立ち上げる際のフレームワークについて紹介します。具体的なアイディアを思考する前に、分析を行い、理念を言語化することによってブレない戦略を作り上げることができます。
経営理念を言語化するMMV
経営理念とは、MVV(Mission、Vision、Values)のそれぞれを打ち立てたものを理念として掲げる場合が多くあります。それぞれ、Mission=使命・果たすべき役割、Vision=将来像・Missionの後に実現したい姿、Values=価値観・行動指針・選択基準となるベースの考え方という意味です。
では、なぜ経営理念を言語化することが重要なのでしょうか?事業を進めていく際、必ずといって周りの人の協力が必要になります。人を惹きつけ、協力をもらうためには、理念を言語化しすぐに伝えられる形にしておくことが重要です。
市場や競合を分析・検討する3C分析
新規事業を立ち上げる前に、自分たちを取り巻く環境について把握するために3C分析を行いましょう。3Cとは、Customer(市場や消費者)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取ったもので、ベーシックな分析手法として広く知られています。
それぞれの分析の観点は、「対象となる市場は今成長しているのか、消費者のニーズはどのように変化しているのか(Customer)」、「競合となりうる企業やサービスは現時点で存在しているのか、また自社がそのサービスを始めた場合競合が追随してくる可能性はあるか(Competitor)」、「自社の持っているリソースは何か、ターゲットとなる顧客から自社はどのようなイメージを持たれているか(Company)」などです。
周りの環境を整理するSWOT分析
3C分析で得られたデータをまとめていく時に用いるのがSWOT分析です。Strengths(強み)、Weakness(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)を抽出していきます。
強み・弱みは主観的ではなく、競合と比較してどうかという「相対的」な観点で入れていきましょう。機会・脅威は、現時点のものに加え、競合の攻勢や、社会的変化(法改正など)により起こりうる将来予測も加味しましょう。
例えば競合がある分野での新規特許出願をしている場合、数年後に新商品として出してくる可能性が非常に高いと言えます。基本的には強み×機会によって攻めの戦略、弱み×脅威は守りの戦略となります。3Cと組み合わせて新規事業の骨子作りをしましょう。
新規事業を成長させるフレームワークは?
新しいことを始める時には多くのエネルギーを必要としますが、それを継続させ、成長させるにはもっと多くのエネルギーが必要です。次に、継続した成長と利益を生み出すために活用できるフレームワークについて紹介します。
日々の事業活動に効果的なPDCA分析
新規事業を始める際に立てるプランに沿って、効果検証をしていくためのツールがPDCA分析です。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善活動)のステップを用いることで、立てた計画に対して結果どうだったのか、修正して最終ゴールや成功により近づけることができる手法です。
また、計画段階でKPI(Key Performance Indicator)も決めておきましょう。この数字をクリアすることによって成功か否かを判断するための指標となります。
競争優位を獲得するマイケル・ポーターの基本戦略
マイケル・ポーターが提唱した競争において優位に立つための3つの型「コストリーダーシップ」、「差別化戦略」、「集中戦略」を紹介します。コストリーダーシップは事業にかかるコストを他社よりも低く保つことによってコスト面における競争優位を築くという考え方です。
差別化戦略は競合の商品やサービスに対して、自社のイメージや価値を向上させることです。集中戦略とは、企業の持つリソースをある特定のターゲットやマーケット、地域などに集中させることによって効果を増大させる戦略です。
どれもベーシックな考え方ですが競争においては外せないものです。自社の戦略がこれらを網羅できているか見直しを行いましょう。
マーケティング戦略に活用できるPLC
PLCは「Product Life Cycle」の頭文字を取ったもので、製品が市場に売り出され、成長し衰退し、そして消えていくまでの一般的なプロセスを定義した考え方です。導入期→成長期・成熟期→飽和期→衰退期のようなプロセスをたどると言われており、それに伴い利益額も少ない状態から成長期にかけて最大化し、衰退期では少なくなっていきます。
PLCを用いることで、発売後どの時期にどういった成長曲線・衰退曲線を描くということを予測し、対策を講じることができます。
新規事業を成功させるコツとは?
最後に新規事業を成功させるために知っておくと良いポイントをいくつか紹介します。
顧客や自分の持つ課題に向き合いアイディアを生む
新しいサービスや商品を考える時、こういうものがあったらいいのではないかというアイディアから検討しがちですが、ニーズに合致しないものだと「結局誰が買ってくれるの?」「誰が使ってくれるの?」という課題に直面します。
まずは顧客や自分の持つ課題に向き合うことが大切です。こういう世の中にしたい、この課題を解決したいという強い気持ちが難しい新規事業の立ち上げを支えてくれる原動力にもなります。
立ち上げの数を増やし柔軟に撤退する
現代において完全に新しいサービス、誰も今まで考えたことのない商品を生み出すことは非常に難しいと言われています。難しいからこそ数を出していく、そしてダメなら撤退するという柔軟な姿勢が大切な場合もあります。
撤退の基準(利益額や規模など)を設けておくことも重要ですが、環境変化のスピードが著しい現代においては基準自体を変更することも想定しておきましょう。
論理的に説明し資金を調達する
新規事業を始める際に必要な資金調達ですが、強い思いに加え、ロジックもしっかり立てるよう準備をしましょう。尖ったアイディアであればあるほど、その新しさに理解されにくい場合もあるかもしれません。
「なぜこの商品やサービスが必要なのか」、「誰が見込み顧客なのか」、「どのように広めていくのか」を「ロジック+思い」で説得することが重要です。また、発売後の計画やどのくらいで使ったお金を回収できるか(投資回収)の観点も入れましょう。
スイッチングコストを高める
撤退リスクを軽減するために、顧客のスイッチングコストが高まるような仕組みも検討しましょう。シンプルに言い換えると、ユーザーが増えれば増えるほど他サービスに乗り換える理由が減っていくという考え方です。
すでに多くのユーザーをかかえるサービスを利用した方が失敗は少ないと考えるのは普通でしょう。
まとめ
今回は新規事業を検討する際のフレームワークについて紹介しました。現代において完全に新しいアイディア、事業を立案していくのは難易度の高いことと言えます。ノウハウが蓄積された既存のフレームワークを単体で使うことももちろんですが、これらを組み合わせて抜け漏れない事業戦略を立てられるようにしてみましょう。