フリーランス同士の出会いから生まれるプロジェクト:イイヅカアキラさん&斎藤直人さん

今回はとあるきっかけがあり、フリーランス同士でチームを組んでサービス開発をされてているお2人にお話をお伺いします。

フリーとして経験を積むのが自分にとって一番良いと思ったタイミングで独立

イイヅカさんは、独立前は企業のHP作成などを手掛けるWeb制作会社のディレクターとして勤務。ソーシャルメディアの波が日本にも普及し始めた頃に、ソーシャルメディアに関わる仕事を手掛けたいと思い始めた。コンシューマー向けのWebサービスを手掛けたり、書籍の執筆などで個人としてのブランド力を向上させることをやりたいと思っていた。転職も検討したが、タイミング的に転職するよりもフリーランスとして様々な経験を積む方が良いと思い、2年半ほど前に独立した。

実はイイヅカさんはこれがはじめての独立ではない。若い頃からWebデザインやコーディング、簡単なシステム開発などWeb制作に関わる一通りの実務を一人で手掛けられる器用さがあり、20代前半にもフリーランスとしてWeb制作などを手掛けていた。会社員になる前にフリーランスとして仕事を始めていたため、その後のキャリアを考える際に一度会社員としての経験も積む方がよかろうと思い、Web制作会社に就職をした。以前に1度フリーランスとしての経験があったからか、2度目の独立の際に得に不安を覚えるようなことはなかったという。

現在はフリーランスとなり、主に3つのジャンルの様々な仕事を手掛けている。デザインやコーディングなどのWeb関連の仕事、執筆関連の仕事、そして後述する2012年6月末にリリースされたばかりのソーシャル映画レビュー&ランキングサイト『CineMatch』の代表としてデザインやマーケティング。

独立当初の希望通りに書籍も何冊か執筆しており、様々な経験を積みたいという独立当初の目論み通りとなっており、充実のフリーランスライフが窺える。

会社組織に疑問を感じ独立して早15年

斎藤さんはエンジニアとして会社組織の中でキャリアをスタートさせたが、就職から半年後には独立するという選択をした。稟議が必要で意思決定のスピードが遅いことや、仕事を選びにくいなど、会社という組織形態に疑問を感じたのが主な理由であった。斎藤さんが独立した当初は、小泉内閣が様々な規制を緩和する施策を実施しており、その一環で技術者派遣の市場が拡大していき、人材派遣会社が増えていった時期であった。独立するにあたって仕事がなさそうという懸念はあまりなく、独立直後から様々なベンチャーから仕事を依頼されていた。

独立してから15年経つ。仕事は主に2種類で、ベンチャー企業の技術コンサルを何社かと、自らが手を動かすシステム開発が後述するCineMatchと受託案件を何社か。

特に技術コンサルは長期契約であるため、収入が安定しやすい面はメリットであると語る。斎藤さん自身は特定の技術に関するエキスパートではなく、技術的に解決したい問題をヒアリングし、それに適切な解決策を提案することが得意であるという。

コワーキングスペースで出会い、酔った勢いもあってかプロジェクトにジョイン

元々知り合いではなかったお2人だが、お2人が入居しているコワーキングスペースco-baがきっかけで知り合った。最初は、co-baのFacebookグループでとある入居者が「こんなプロジェクトがありますが興味のある方はいませんか?」という投稿をしており、それに反応して集まった時に2人ははじめて出会う。そのプロジェクトの説明が終わった後に、「システムをどう作ればいいかアドバイスをくれないか?」と、CineMatchの企画を考案していたイイヅカさんが斎藤さんに企画を説明した。

数週間後にco-baの入居者交流会で2人はまた出会い、CineMatchの話をしていたところ、酔った勢いもあったのか、斎藤さんが「CineMatch、手伝いましょうか」と申し出た。イイヅカさんはWebに関することなら自力で何でもやろうとする気概があったが、今回のプロジェクトは自力でやるにはシステムの難易度が高く、斎藤さんの申し出を心強く思った。後日打ち合わせをし、酔った勢いでの申し出ではなかったことを確認し、正式にCineMatchプロジェクトに斎藤さんが参画した。斎藤さんはコンテンツ関連のビジネスに興味があり、映画も好きだったことが参画した理由であるようだ。

CineMatchは映画版Rettyという呼び声もあり、友達や趣味が合いそうな人がお勧めする映画の情報を知ることができる映画のテイストグラフCGMサイトである。マスメディアが作り上げたランキングなどではなく、身近な人によるお勧めの方が情報のマッチングの精度が高く、そうした仕組みを自らの趣味である映画という分野で確立させたいと考え、CineMatchを考案した。フリーランス同士の2人が出会って生まれた時流に乗ったサービスは、今の時代らしいフリーランスの働き方の一つといえるであろう。