3D動画とは、左右の目の見え方の違い(視差)を利用して作成された動画のことで、「立体的に見える」という特徴を生かしてビジネスにも活用されています。今回は、3D動画の基礎知識や作成するメリット、作り方などを紹介します。記事後半では、3D動画作成におすすめのアプリ・ソフトや、外注する場合の費用相場も紹介するのであわせて参考にしてください。
目次
3D動画とは?
まずは、3D動画の基礎知識を紹介します。
3D動画の種類と仕組み
3D動画の種類は、主に2種類です。
【3D動画の種類】
①3D専用のメガネで視聴する動画
②裸眼でも立体的に見える動画(いわゆる“裸眼3D”)
①の視聴時に使用する3D専用のメガネには、以下のような種類があります。
・偏光フィルターを貼り付けたメガネ(円偏光フィルター方式など)
・左右のレンズが高速で開閉するメガネ(アクティブシャッター方式など)
②を視聴する際には、ディスプレイ表面に装着された特殊なレンズやフィルターが3D専用メガネと同様の役割を果たすため、裸眼で3D動画を楽しめます。
詳しい事例は後ほど紹介しますが、家庭用の製品などには①が用いられることが多く、ビジネス分野では②が活用される傾向にあります。
3D動画のメリット
3D動画には、以下のようなメリットがあります。
・表現の幅が広がり、見る人にリアリティを感じさせられる
・奥行きや高さを伝えられる分、伝達できる情報が増える
・通常の動画(2D動画)より人目を引きやすく、高い宣伝効果や集客力が期待できる
3D動画は、2D(横・縦の平面の映像)に奥行き(高さ)が加わることで表現の幅が広がるため、視聴者へ臨場感を提供できます。アパレル製品の形状・サイズ・着用イメージなどを立体的に紹介したり、リアリティある映像で家電製品の操作方法を解説したりすれば、3Dならではの利点を生かすことが可能です。
3Dは発展途上の技術であることから、3D動画を生かしたマーケティング活動によって他社との差別化・ビジネスチャンスの拡大も期待できます。
3D動画の用途やビジネス事例
3D動画の用途は、商品・サービスの紹介動画やブランディング動画、Web広告など多岐に渡ります。アミューズメント施設やイベント会場の視覚効果として3D動画を使用したり、駅や電車の車両をジャックして新商品の3D動画を流したり、さまざまな場所を使って空間演出や商品PRを行うことができます。
3D動画を使ったビジネスの成功事例として、中国のあるショッピングモールが挙げられます。屋外に設置した大型スクリーンで商品の3D動画を流したところ、通常の屋外広告に比べて3倍以上の投資効果が得られたといいます。
3D動画の作り方
次に、3D動画の作り方をいくつか紹介します。
2台のカメラを同期させる
3D動画作成の専用機材がない場合は、同期できる2台のビデオカメラを使えば3D動画を作成できます。ビデオカメラを2台用意する理由は、右目用・左目用の映像をそれぞれ撮影するためです。
作成方法は、レンズを約6cm(一般的な両目の間隔分)ほど離して設置した2台のカメラでそれぞれ映像を撮影し、2本の映像を同期させてから映像編集ソフトなどによる加工を行います。
ツールを使って2D動画を3Dへ変換する
2Dで撮影した動画を3D動画に変換できるソフト・アプリを使う方法もあります。初心者でも比較的簡単に3D動画を作成できますが、ソフト・アプリごとに利用料金や搭載機能が異なるため、利用目的に合ったものを選ぶことが重要です。
なお、おすすめのソフト・アプリは次の章で紹介します。
外部へ作成を依頼する
ビジネスに活用できる3D動画や、クオリティの高い3D動画が必要な場合は、外部(動画制作会社・デザイン会社など)へ作成を依頼すると良いでしょう。
3D動画の外注先については、後ほど詳しく紹介します。
3D動画作成におすすめのツール
ここでは、3D動画作成におすすめのソフト・アプリを紹介します。
動画変換ソフト
まず、動画変換ソフトを紹介します。ライセンスの期限や料金については、公式ページで最新の情報を確認するようにしてください。
①Leawo HD動画変換プロ
・使用環境:Mac/Windows
・3D専用のメガネ:必要
・ライセンス費用:1年版3,700円(税込)、永久版4,935円(税込)
「Leawo HD動画変換プロ」は、2D動画を3D動画に変換できるソフトです。簡易的な動画編集機能が付いており、最大6倍速で映像・音声を変換できるため、長時間の動画でも3Dに変換しやすい仕様といえます。また、一般的な出力形式からフルHD、4K動画までさまざまな出力形式に対応しており、再生可能デバイスが多い点も特徴です。
無料の体験版があり、最大5分間の動画を3Dに変換できます。5分以上の動画を作りたい場合は、有料版(30日間の返金保証付き)の購入を検討しましょう。
②Aiseesoft 3D 変換
・使用環境:Windows
・3D専用のメガネ:必要
・ライセンス費用:1年版3,680円(税込)、永久版5,180円(税込)
「Aiseesoft 3D 変換」は、2D動画から3D動画への変換・3D動画から2D動画への変換をどちらも行えるソフトです。さらに、既存の3D動画を別の3Dファイルへ変換して「新たな3D動画」を作成し、それぞれ違った効果を楽しむこともできます。
このソフトにも無料の体験版があり、最大5分間の動画を3Dに変換できます。5分以上の動画を作りたい場合は、有料版(60日間の返金保証付き)の購入を検討しましょう。
スマホアプリ
スマホアプリの中には、2D動画を3D動画として視聴できるものがあります。2D動画から3D動画を作成して保存できるわけではなく、再生時に一時的な変換を行うことで立体的な動画を楽しむことができます。
アプリによっては、動画の視聴にヘッドセットが必要な場合や、スマホでしか動画を再生できない場合もあるため、事前に仕様を確認しておきましょう。
①Homido 360 VR Player
・使用環境:Android、iPhone、iPad、Mac
・ダウンロード無料
「Homido 360 VR Player」は、2D動画を3D動画に変換して視聴できるアプリです。使用時には専用のヘッドセット(パソコンやゲーム機用のVRヘッドセット)を装着する必要があり、臨場感のある音と映像でYouTube動画を楽しみたいときなどに向いています。アプリ内で動画検索することもでき、再生すると自動で3D動画に変換されます。
日本語には対応していないものの、シンプルな操作性で使いやすいアプリといえます。
②Fulldive VR
・使用環境:Android、iPhone、iPad、Mac
・ダウンロード無料
「Fulldive VR」は、動画や写真を3Dとして楽しめるアプリです。使用時には専用のゴーグル(スマホ用のVRゴーグルなど)が必要で、ゴーグルを装着すると視線(眼球の動き)だけでクリックやキーボードタイプなどの操作ができます。
スマホに入っている動画や写真を視聴することもできますが、適応する3D動画やプレイしたいゲームを検索・購入して楽しむことも可能です。
3D動画作成の外注先や料金相場は?
続いて、3D動画作成の外注先の特徴や料金相場を紹介します。どの外注先を選ぶ際であっても、以下のような点に着目すると良いでしょう。
●映像や動画を作品として制作した実績がある
●幅広いジャンルの3D動画制作実績がある
●マーケティングや集客を意識した動画の制作実績がある
動画作成会社、映像制作会社
動画作成会社・映像制作会社の中には、3D動画やアニメーション、3DCGなどの動画制作を依頼できる会社もあります。
3D動画の企画・制作などをまとめて頼めるケースが多いですが、各社によって得意な動画のジャンルが異なる点には注意が必要です。依頼したい動画の用途やコンセプト(空間演出用、動画広告用など)に近い3D動画の制作実績が豊富な会社、料金体系が明確な会社などを選ぶことがおすすめです。
3D動画の用途や長さなどに応じて料金は異なり、難易度が高い動画・工数がかかる動画の制作を依頼すると100万円以上になることもあります。
【3D動画制作の料金相場(1本あたり)】
・10~30万円
デザイン会社、コンテンツ制作会社
デザイン会社・コンテンツ制作会社へ3D動画制作を依頼できるケースもあります。企業のブランディングやWeb広告、ホームページのコンテンツなどに使う3D動画を依頼できることが多く、3Dアニメーションや3DCGを使った動画に対応している会社もあります。
デザイン性・専門性の高い動画作成の依頼に適しており、動画作成会社・映像制作会社と比べると依頼料金にはやや幅があります。
【3D動画制作の料金相場(1本あたり)】
・20~80万円
フリーランス
3D動画制作は、個人で活動するフリーランスに外注することも可能です。3D動画の企画・制作を一貫して依頼できることもありますが、映像の撮影のみ・動画編集のみなど、3D動画制作の関連作業を部分的に頼めるケースもあります。
フリーランスには、制作会社で実務経験を積んでから独立した人・独学で3D動画制作を習得した人などがおり、個々のバックグラウンドはさまざまです。3D動画のクオリティや対応可能納期にも個人差が大きいため、事前にスキル・実績を確認しましょう。
制作会社やデザイン会社などよりは安く依頼できる傾向にありますが、よく知られた個人クリエイターへ依頼する場合は高額な料金になる場合もあります。
【3D動画制作の料金相場(1本あたり)】
・3~20万円
クラウドソーシングサービス
クラウドソーシングサービスとは、さまざまなスキルや資格を持つ個人を探せるサービスです。依頼したい仕事と個人をインターネット上でマッチングできるため、3D動画の企画・制作・編集などが得意な人材を簡単に比較検討できます。
3D動画制作をすべて任せることもできますが、特定の工程(特定シーンの撮影・3DCGの編集・ナレーション録音など)のみ依頼することもできます。
報酬については個人と交渉の上で決定するケースや、時間給(約1,000~3,000円程度が目安)で料金を算出するケースがあり、制作会社やフリーランスへ依頼するより割安で頼めることも多くなっています。
【3D動画制作の料金相場(1本あたり)】
・1~10万円
3D動画作成依頼なら「クラウドワークス」がおすすめ
クラウドソーシングサービスのなかでも、業界最大手の「クラウドワークス」は登録ワーカー数が400万人を超えており、多くのクリエイター(動画編集者・映像ディレクター・カメラマンなど)へ3D動画の作成を依頼できます。
企業の紹介動画、商品・サービスのブランディング動画、Web広告動画などの3D制作実績が豊富な人材、3Dアニメーションを得意とする人材、3D動画の企画やディレクションを担当できる人材などを探すこともでき、作成してほしい3D動画を提示して応募を待つこともできます。
【依頼できる業務の例】
・企業プロモーション用の映像制作
・ブランドのPVやMV制作
・3DCGのキャラクター制作
・YouTube動画のOP/ED制作
・映像制作のディレクション業務
登録ワーカーの実績や評価、動画作品サンプルなどはシステム上で確認できるため、依頼したい仕事とワーカーのスキルにミスマッチが起こりにくい点がメリットです。
▶3D-CG制作、動画撮影を依頼できるワーカー一覧を見てみる
クラウドワークスの利用にあたり、登録料や手数料は発生せず、事前に発注相場を確認することもできます。そのため、他の依頼先よりコストを抑えて3D動画制作を外注できます。