外注ノウハウ
公開日: 2019.01.08 / 最終更新日: 2020.08.20

【弁護士監修】発注請書は必要性がある?書き方や発行の流れも解説!

発注書を受領したあと、発注者に対して発注請書を発行していますか?発注請書は必ず発行する必要があるのでしょうか。発注請書とは何か解説した上で、発注請書を発行する流れや書き方のポイントなどを紹介していきます。

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発注請書とは

注文を受けたことを通知する書類

発注請書は「はっちゅううけしょ」と読み、発行する目的は注文請書と変わりがありません。発注請書は注文を受けた受注者側が発行するもので、注文を引き受ける意思を明確にするとともに、注文を受けた条件を明らかにすることが目的です。また、発注者側にとって、発注請書を受けとることは「注文を受けていない」と言われるトラブルを避けることにもつながります。

発注書と発注請書の流れ

発注者と受注者が基本契約を結び、発注者が受注者から発注書を受領したあとで、受注者が発注請書を発行します。そして、受注者が発注者に発注請書を送付すると契約成立です。発注書・注文書・発注請書・注文請書は簡易な契約書に位置付けられます。中には、書面による契約手続きをせずに発注書と発注請書で代用することも少なくありません。

発注請書は発行する必要性がある?

発注請書は必ずしも必要ではない

受注者は、発注書を受領したあとに発注請書を必ず発行する必要があるかといえば、実はそうではありません。日本の商習慣では発注請書を発行している企業は少数です。これは、発注者側に「注文を受けていない」といわれるリスクが少ないため、発注者側にとって発注請書を受け取る必要性があまりないことが要因になっています。

取引上では注意の必要も

実際の商取引では、発注者に見積書を提示したあと、口頭で発注を受けて業務を遂行するケースがあります。しかし、これでは受注したこと自体の記録が残らないため、発注者と受注者の双方にリスクがあるやり方です。

「受注していない」と契約の成立自体を争うことになったり、見積書に明記されていない納期や納入方法、支払い方法、支払い期日などを巡ってトラブルに発展したりすることも全くないとは限りません。将来的なトラブルを未然に防ぐという意味では、発注請書は発行しておくほうが良いと言えます。

発注者側は発行を依頼するべき

日本の商習慣においては、これまで発注者のほうが立場が強かったため、発注請書はさほど重要視されてきませんでした。しかし状況は移り変わり、人手不足などの要因で受注者側の立場が強いことも少なくないため、「注文を受けていない」「納期には間に合わない」などと言われるリスクが生じるようになっています。発注者側は発注請書の発行を受注者に求めるようにしましょう。

発注請書の書き方

発注請書に記載するべき項目

発注請書に記載する上で、最低限必要な項目を挙げていきます。発注請書には取引の主体を明確にするため、発注者の氏名・住所・連絡先に加えて、受注者の氏名・住所・連絡先を記載することが必要です。具体的な注文内容については、注文日・品名・数量・金額・消費税に加えて、納期や納品の場所や納品方法を記し、支払い条件や支払い期日に関しても記載します。

注文書と同内容で作成するケースも

発注請書は受注者側が作成するのではなく、発注者側が注文内容と同内容で作成して注文書とともに送付し、受注者側が発注請書に押印をして返送するケースもあります。どうしても発注請書を控えておきたい発注者の場合、取引先の企業がもともと発注請書の発行を行っていないとなかなか作成を依頼しにくいものです。

その場合、内容を確認した上で捺印をして返送するだけであれば受注者側の手間も少ないため、発注請書を発注者側で作成して注文書と一緒に送付する方法はメリットが大きいでしょう。

発注請書に印紙は必要?

請負契約の場合は必要

発注請書で収入印紙の貼付が必要となるのは、請負契約を結んだ場合です。請負契約による発注請書は、印紙税の対象となる課税文書の中では請負契約書と同様「第2号文書」に該当します。

請負契約は業務委託契約の中でも成果物の完成を目的としたもので、たとえば、ソフトウェア開発やホームページ制作が挙げられます。一方、物品の売買は請負契約ではなく売買契約にあたるため、ケースによるものの基本的には発注請書への収入印紙は不要です。また、印紙税は記載金額が1万円未満の場合は非課税となっています。

発注請書の印紙税の額

印紙税は収入印紙を貼付することによって納付します。請負契約の発注請書の印紙税の額は、記載金額が1万円以上100万円以下の場合は200円です。100万円を超えて200万円以下の場合は400円、200万円を超えて300万円以下は1,000円と段階的に上がっていきます。50億円を超えると印紙税は60万円となります。

収入印紙を貼る義務のある課税文書に貼付を怠ると過怠税が課せられ、本来納付するべき金額の3倍を支払わなければならなくなりますので、印紙税を納付する必要がある文書なのかどうかは必ず確認しておきましょう。

電子文書なら印紙は不要

発注請書の発行枚数が多い企業などは、もしかすると収入印紙の負担が問題になっているかもしれません。このような企業はPDFによって交付を行うことも可能です。請負契約の発注請書であっても、PDFに電子署名をして作成した場合は印紙税は不要です。

課税対象となる文書を実際に交付しない以上は、PDFなどの電子データの形で送信したとしても課税文書を作成したことにはならず、印紙税を納付する義務は生じないという解釈があります。この見解は税務署のHP上で公開されている回答事例にて掲載されています。また、消費税を明確に区分して記載している場合、消費税を含まない金額で印紙税を計算できるため、節税につなげることができます。

まとめ

発注請書を発行している企業は少ないですが、発注書の受領後に発注請書を送付することで発注を受けたことや取引の条件が明確になるため、そのあとのスムーズな取引が期待できます。これまで発注請書を発行したことがない企業であっても、トラブルを防ぐためにも今後は発行していくことを検討しましょう。

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