業務効率化
公開日: 2019.01.10 / 最終更新日: 2023.12.12

外注とは?業務委託との違いや給与・報酬のポイントも詳しく解説

今回は、外注の意味や業務委託との違い、外注のメリット・デメリット、外注できる業務の事例、外注費と給与の税務上の違いなどを紹介します。「外注」は広く使われる言葉ですが、契約形態によっては報酬が「外注費」と認められないケースなどもあります。本記事ではコスト面についても詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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外注とは?類似語との違いは?


はじめに、外注の意味および、外注と類似した用語との違いを紹介します。

外注の意味

外注とは、外部に発注することで、自社で製造や制作を行う「内製」の対義語です。外部の企業や個人(フリーランスなど)に、社内業務を委託することを意味します。製造業の例でいうと、外注する工程や範囲の違いによって加工外注・部品外注に分かれ、製品そのものを外注する場合は製品外注になります。

なお、外注という言葉は広義で使われており、具体的な契約形態を表す言葉ではありません。契約書を作成するときに、業務委託になるのか、派遣になるかなどを細分化し、委託する業務内容や条件などを契約書に明記します。

業務委託の違い

業務委託は、外注の中のひとつの形態を指します。発注者と受注者が対等な立場で、受注者の責任と裁量に基づいて業務が実施されます。

民法において「業務委託契約」というものは存在せず、「請負契約」もしくは「委任契約(準委任契約)」に分かれます。両者の違いとして、委託した業務を完成させる義務があるかどうか、という点が挙げられます。請負契約は成果物の完成が報酬の条件となっているのに対し、委任契約は業務の遂行そのものに重点を置いています。

アウトソーシングとの違い

アウトソーシングとは、社内業務の一部を外部の企業や個人事業主へ委託することです。内製(インソーシング)と外注(アウトソーシング)のように、外注とほぼ同じ意味の言葉として使われる場合もあります。また、単に業務を委託するというだけでなく、企業価値を向上させるために「外部リソースを活用する」という意味合いを含む場合もあります。

なお、外部人材を活用する場合、「派遣」という選択肢もあります。アウトソーシングと派遣の違い、それぞれのメリット・デメリットについては、以下のページでまとめています。

関連記事:アウトソーシングと派遣の違いとは?特徴や効果的な活用方法を解説

クラウドソーシングとの違い

クラウドソーシングとは、インターネットを通じて任意の人材に業務を発注する形態のことです。多くの企業が利用する外注方法のひとつであり、「人材の選定や仕事の依頼をオンラインで行う」という点が特徴です。クラウドソーシングサイト(受注者・発注者が多数登録しているサイト)を利用すれば、さまざまなスキル・実績を持つ人材を探すことができます。

クラウドソーシングで依頼できる仕事内容や、企業の活用事例、クラウドソーシングで発注する流れについては、以下のページで詳しく紹介しています。

関連記事:クラウドソーシングとは?外注できる仕事を大紹介【発注者向け】

外注できる業務の事例

社内業務を外注する場合、業務によって外注化に向き・不向きがあります。自社の利益・売上に直接関わるような業務は、基本的に外注化には向いていません。
外注に適しているのは、事務・総務・秘書などのルーティン化されたバックオフィス業務や、専門スキルを必要とするシステム開発/運用/保守などが挙げられます。そのほか、営業サポートを依頼し、電話リスト作成、アポどり、訪問、商談、クロージングなどをまとめて(あるいは部分的に)外注するケースもあります。

業務を効率的に外注するポイントや、外注時のトラブルを避けるためのコツなどについては、以下のページを参考にしてください。

関連記事:外注管理のポイントとは?トラブルを避けるために知っておくべきこと

外注のメリット

社内業務を外注すると、以下のようなメリットを享受できます。

社員がコア業務に集中できる

事務作業などのノンコア業務を外注すると、社員がコア業務に集中できることがメリットです。日々のルーティン業務を外部人材に任せることで、社内の生産性向上が期待できます。決算・税務調査などを税理士に任せている企業は多くありますが、通常の経理事務(記帳代行・経費の精算・見積書や請求書の発行など)を外注することも可能です。

事務を外注できるサービスや費用相場、個人に事務を外注するときの注意点などについては、以下のページで紹介しています。

関連記事:事務を安心して外注するには?費用や源泉徴収・契約書の有無等を解説

成果物のクオリティが上がる

高いスキルや豊富なノウハウを持つ人材に外注すれば、成果物のクオリティが上がるというメリットもあります。
ただし、社内のリソース不足で対応できない業務や、専門性の高い業務を外注する際は、委託する業務内容や範囲を明確にしてから契約しましょう。発注者・受注者間で情報共有をしながら業務を遂行してもらうことで、成果物の品質向上が期待できます。

コスト削減につながる

外注を活用すると、社員を雇う場合にかかる福利厚生費(保険料・各種手当・退職金など)が発生しません。そのため、社員と外注先の人材が同じ給与だった場合、大幅なコスト削減が見込めます。高スキル人材へ外注すれば、育成コストをかけずに専門性を補えることもメリットです。
そのほか、繁忙期のみ業務を外注し、閑散期は社内で対応するといった体制にすることで、予算の無駄を減らすことも可能です。

外注のデメリット

外注する場合、以下のようなデメリットもあります。

社内にノウハウを蓄積できない

ある業務を外注すると、その業務に対する社員の経験値を高めることができず、社内にノウハウを蓄積できないことがデメリットです。外注先に丸投げするのではなく、社内で対応する業務・外注する業務を分け、社内の生産性向上と社員育成をあわせて実現できるように調整しましょう。
例えば、委託する業務のマニュアル・手順書を自社で作成してから依頼し、外注先と定期的に情報共有をすれば、自社のノウハウを蓄積しながら効率的に業務を外注することができます。

情報漏えいのリスクがある

委託する業務内容によっては、重要な社内データ(個人情報・人事情報・技術情報・財務情報など)を外注先へ渡す必要がある場合もあり、セキュリティリスクが高まることがデメリットです。外注を行う前に、外注先がどのようなセキュリティ対策を施しているかを確認し、自社でも情報管理を徹底しましょう。また、契約書を作成する際に、秘密保持条項を設定し、情報漏えいのリスクを減らすこともできます。

内製(インソーシング)と外注(アウトソーシング)のメリット・デメリットについては、以下のページでまとめています。

関連記事:内製と外注の判断基準って?それぞれのメリット・デメリットも紹介!

外注費や給与とは?

ここでは、外注費と給与について、それぞれの概要を紹介します。

外注費=業務委託の報酬

外注費とは、「請負契約」「委任契約」「準委任契約」のいずれかで契約した外注先の企業・個人に対して支払う報酬のことです。
業務委託の場合、発注者と受注者には雇用関係が発生しない(労働契約を結んでいない)ため、労働基準法は適用されません。そのため、発注者は契約時に取り決めた内容に基づく支払い方法や時期に従って、労働者へ報酬を支払います。

給与=労働者への賃金

給与とは、雇用契約を結んだ労働者(正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイト)に対して、発注者(使用者)が支払う賃金のことです。労働者は、仕事をするうえでの最低限の基準を定めた「労働基準法」の適用を受けて保護されます。なお、給与と似た言葉として「給料」があります。給料は基本給のことで、残業代や諸手当などを引いた金額です。

外注を行う際の適切な単価設定については、以下の動画で詳しく紹介しています。

外注費と給与は税務上どう違う?

外注費と給与には、以下のような税務上の違いがあります。

源泉徴収の義務

外注費の場合、源泉徴収の義務が生じるかどうかは、報酬を受け取る側が企業(法人)なのか、個人なのかで異なります。

【法人へ外注費を支払う場合】
・馬主である法人に支払う「競馬の賞金」というケースのみ

一方で、個人の場合は、以下のような項目(報酬の種類)に当てはまると、源泉徴収の義務が生じます。

【個人へ外注費を支払う場合】
・原稿料、講演料
・演劇、映画、テレビなどの出演に対する報酬
・有資格者(弁護士、税理士、公認会計士など)への報酬
・プロスポーツ選手、モデル、外交員への報酬
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

個人へ外注する場合、ここで挙げた項目以外にも源泉徴収が発生するケースが細かく定められています。また、源泉徴収にあたっての注意事項もあるため、詳しく知りたい方は国税庁のホームページでご確認ください。

給与の場合は、雇用形態(正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイト)にかかわらず、源泉徴収が義務づけられています。所得税や復興特別所得税を給与から差し引いて納める方は「源泉徴収義務者」となり、源泉徴収義務者は企業だけでなく、個人や学校、財団なども含まれます。

消費税の取り扱い

自社の社員へ給与を支払う場合、消費税はかかりません。外注費は、消費税の課税仕入取引に該当するため、消費税を含めた金額での支払いが必要です。消費税が免税される事業者であっても、仕入れや諸経費には消費税が付加されるため、消費税分を加えて支払います。ただし、外注費のように課税仕入取引に該当する消費税は、仕入税額控除(※)を適用できます。

(※)仕入税額控除は、売上などの消費税額から、仕入れなどで発生した消費税額を差し引いた分(本来、支払うべき消費税額)を納税する制度のこと

社会保険料負担の有無

外注費に関して、社会保険料や雇用保険料の負担は発生しません。給与は、健康保険や厚生年金保険、雇用保険の加入要件に合致する場合、給与から保険料の労働者負担分を控除し、会社負担分と合わせて納付します。健康保険と厚生年金保険の保険料は、労働者と会社で等分するケースが一般的です。令和5年度の雇用保険料率(※)は労働者が1000分の6、発注者が1000分の9.5を負担します。

(※)雇用保険料率は、年度によって変動します。詳しくは、厚生労働省のホームページをご確認ください。

外注費と認められないケース

ここでは、外注費と認められない可能性があるケースを紹介します。

請負契約を結んでいない場合

外注する際に、請負契約を結んでいない場合や、委託する業務内容や報酬の条件を口頭で取り決めた場合、外注先の人材が「社員の代わりに業務を遂行している」とみなされるケースがあります。この場合、外注費ではなく、給与として認定されることがあり、そうなると消費税の仕入税額控除が適用されない可能性があります。

第三者が業務を代行できない場合

体調を崩して業務を遂行できない場合などに、受注者(本人)以外の第三者がその業務を代行できるかどうかで、外注費か・給与かを判断されるケースがあります。特定の人物のみ対応できる業務を委託した場合、雇用された社員のような役割を果たすことから、発注者が支払う報酬が給与として認定される可能性があります。

例えば、以下のようなケースが挙げられます。

・建築現場で、専門的なスキルを持つ外注業者に委託し、特定の作業を任せる場合
・医師による診断など、特定の専門知識が必要とされる業務

作業時間や進め方に指定がある場合

作業を実施する時間の指定がなく、決められた業務の遂行に対して報酬が支払われる場合は、外注費に該当します。一方で、発注者が作業時間を指定したり、受注者の業務の進め方や方法について具体的に指揮命令しているなど、発注者に管理されている場合は給与と判断される可能性があります。この場合、雇用形態が外注であっても給与として認定され、消費税の仕入税額控除が適用されない可能性があります。

成果物の完成に対して報酬を支払う場合

報酬を支払う条件が「成果物の完成」の場合、請負契約に該当し、外注先と判断される要素になります。反対に、成果物の完成を問わないケースや、受注者の不可抗力によって成果物を滅失してしまった場合でも、作業時間などに基づいて報酬を支払うような場合は、給与と判断される要素となりかねません。ただし、委託する業務内容や契約形態によって外注費になるか・給与になるかが異なるため、事実関係をきちんと確認する必要があります。

発注者が物資・機材を用意している場合

業務を遂行するために必要な物資・機材をどちらの負担で用意するのかも、外注費か・給与かを判断する要素となります。発注者が物資や機材(パソコン・事務用品など)を用意している場合は、給与と判断される可能性があります。判断する要素は、一定の物資・機材を提供する契約関係にあるかどうかなので、外注先が自分で用意する場合は、給与と認定される可能性は低くなります。

外注化を決めるうえでの注意点とは?

雇用契約なのか、業務委託契約(請負契約・委任契約・準委任契約)なのかは、契約の名称ではなく、「契約の実態」から判断されます。そのため、発注者側は、契約形態と実態に矛盾がないように気をつけなければなりません。

例えば、請負契約として契約を結んでいても、実態が雇用契約であれば、雇用契約として判断されます。また、業務委託契約にもかかわらず、雇用契約だと判断された場合、労働社会保険諸法令により労働者として保護されます。場合によっては、報酬の差額を補償しなけれならないケースもあるので注意が必要です。

契約書の正しい書き方を知りたい、請負契約・委託契約の違いを詳しく知りたい場合などは、以下のページを参考にしてください。

関連記事:【弁護士監修】業務委託契約書の正しい書き方は?雛形付きで紹介

関連記事:【弁護士監修】業務委託と派遣の違いは?偽装請負を避ける注意点も!

関連記事:【弁護士監修】業務委託契約で請負契約と委任契約の違いを徹底解説!

企業とフリーランス、どちらに外注すべき?

外部企業へ委託すべきか、フリーランス・個人事業主として活動する個人へ委託すべきか迷った際は、外注する際に重視するポイントによって判断するとスムーズです。

企業へ外注する場合、個人に外注する場合の特徴は次の通りです。

【外部企業へ委託する場合】
・適した業務内容:複数人で対応する大規模なプロジェクト
・成果物のクオリティや納期:基本的に保証される
・外注のコスト:比較的高い

【フリーランスへ委託する場合】
・適した業務内容:1人で対応できるプロジェクト
・成果物のクオリティや納期:個人差がある
・外注のコスト:比較的安い

外注先が企業である場合、複数人で業務に対応してもらうことが可能です。そのため、大規模なプロジェクト(システム開発・コンテンツ制作など)を委託したい場合、チーム体制が必要な仕事を外注したい場合などに適しています。ただし、プロジェクトの体制を整えるためには事前準備が必要であり、実際に業務を開始するまでに1~2カ月程度かかるケースもあります。
一方、フリーランスの場合は個人の判断で仕事を進めるため、受注の条件に合えば即日仕事へ着手してもらうことも可能です。また、委託内容や業務の進捗を確認したいときには個人へ連絡をすれば良いため、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。

成果物のクオリティや納期を重視する場合は、フリーランスより外部企業のほうが安心感があるでしょう。フリーランスは、個人によってスキルや実績、納期を厳守するかどうかなどに個人差があるため、クオリティや納期を担保してほしい場合は外部企業への外注が適しています。一方で、フリーランスは企業より安価に委託できるケースが多いため、フリーランスへ委託したほうが外注コストを安く抑えられます。

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まとめ

外注する際は、業務を社内で対応する場合と比べて、業務効率が上がるか、コスト削減につながるかが重要です。コストは人件費だけではなく、設備費用やオフィス賃料、業務管理のマネジメント費用、育成コストなど、中長期的なランニングコストが含まれます。トータルでかかるコストを比較し、費用対効果を検討したうえで、社内で対応するか・外注するかを判断しましょう。

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クラウドソーシングTimes編集部
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