外注ノウハウ
公開日: 2021.09.20 / 最終更新日: 2023.07.11

クラウドソーシングとは?外注できる仕事を大紹介【発注者向け】

企業(あるいは個人)が仕事を発注するにはさまざまな方法があり、クラウドソーシングの活用も選択肢のひとつです。今回は、クラウドソーシングの概要やメリット・デメリットにくわえ、具体的な活用事例や発注時のQ&Aなども詳しく紹介します。

クラウドソーシングとは

クラウドソーシングとは、crowd(群衆)とsourcing(調達)を合わせた造語です。企業や個人が「インターネット上の不特定多数の人材」へ仕事を発注する業務形態のことを指し、自社にリソースがない分野の業務・一時的に人手の拡充が必要な業務の発注などに利用されています。

似た言葉であるアウトソーシングでは「特定の個人や企業」に業務委託を行いますが、クラウドソーシングでは「不特定多数の個人や企業」へインターネット上で仕事を発注する点が両者の主な違いです。

<クラウドソーシング利用の仕組み>
発注者 任意のクラウドソーシングサイトに【発注者】として登録し、案件(発注したい仕事内容)を掲載して応募を待つ、または仕事を発注したい人材を探してスカウトする
受注者 任意のクラウドソーシングサイトに【受注者】として登録し、プロフィール情報(実績・保有資格・PRなど)を掲載して応募したい案件を探す、またはスカウトを待つ

仕事を発注する際は、クラウドソーシングサービス(仕事を発注したい人・受注したい人をマッチングするサービス)を運営している企業のサイト(クラウドソーシングサイト)を利用することが一般的です。発注したい仕事内容をサイト内に掲載し、応募者の実績・スキルなどをもとに依頼する人材を決めます。また、登録ワーカーをサイト内で検索し、発注者側からスカウトすることも可能です。

※仕事の発注形式(プロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式)については、記事後半の「よくある質問」で紹介しています。

クラウドソーシングで依頼できる仕事内容は?

次に、クラウドソーシングを通じて依頼できる仕事の業種や内容を紹介します。

主な業種

クラウドソーシング上で発注できる業種として、以下のようなものが挙げられます。

● IT・Web・通信サービス関連
● クリエイティブ・デザイン系
● バックオフィス系
● 企画・アイデア系
● その他専門性の高い業種 など

続いて、発注できる仕事内容の詳細を紹介します。

発注できる仕事

クラウドソーシングで発注できる仕事は、比較的幅広い人材に依頼できる仕事から、専門的な知識・スキルが求められる仕事まで多岐に渡ります。
先ほど紹介した業種別に、発注可能な仕事の例を挙げてみましょう。

● IT・Web・通信サービス関連
Webデザイン、システムやアプリの開発・運用保守、ネットワークインフラ構築、サーバー管理など

● クリエイティブ・デザイン系
動画制作・編集、フライヤーやポスターのデザイン・制作、写真撮影、イラスト作成、声優、作曲など

● バックオフィス系
人事・経理、資料作成、議事録作成、データ入力、コールセンター業務など

● 企画・アイデア系
ネーミング、キャッチコピー考案、商品・サービスの企画、レシピ開発など

● その他専門性の高い業種
弁護士、ファイナンシャルプランナー、管理栄養士、医療ライター、翻訳・通訳、インタビュアーなど

発注したい仕事に応じたスキル・経験を持つワーカーが多く登録しているクラウドソーシングサイトを選ぶことがポイントです。

クラウドソーシングのメリット・デメリット

クラウドソーシングの利用にあたり、考えられるメリット・デメリットを紹介します。

クラウドソーシングのメリット

● 必要なタイミングで適した人材を探せる
通常業務を行うにあたり、一時的にリソースが必要になるタイミング(月末・決算期・繁忙期など)があります。クラウドソーシングは、必要なタイミングに短期間のみ活用することができるため、時間や場所に縛られずに適した人材を探すことができます。

● 費用対効果が高い
クラウドソーシングを通じて仕事を依頼する際は、社員を雇用する場合と違って保険料・通勤費・各種手当、業務で使うPCや備品などを企業側で負担する必要がありません。また、あらかじめ業務スキルを持った人材を探せるため、採用活動費・広告費・人材育成費なども不要です。即戦力となる人材を確保できれば、高い費用対効果が期待できます。

● 自社にリソースがない分野を補える
クラウドソーシングサイトには特定のスキルや資格を持つ人材も登録しているため、社内リソースでは対応が難しい業務(医療・法律・仕業など)を有識者に発注することも可能です。監修者やアドバイザーとして業務委託を行うなど、人材確保の手段として有効活用ができます。

企業がクラウドソーシングを活用するメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の動画もご参照ください。

クラウドソーシングのデメリット

● 自社にノウハウを蓄積できない
クラウドソーシングで特定の業務を発注し続けると、その業務に関するノウハウが自社に蓄積できないというデメリットがあります。
また、「外部の人材に任せる=従業員の成長機会を失う」という見方もできるため、発注する仕事の範囲や種類について、自社で対応すべきか・外注して効率化すべきかなどを事前に検討しましょう。

● 情報流出のリスクがある
発注する仕事にもよりますが、自社の重要情報やマニュアルの共有が必要となるケースもあるため、情報流出の恐れがあります。発注する際は、NDA(秘密保持契約)を締結するなど、情報の管理方法や業務上の禁止事項などを受注者と共有しましょう。

● 発注業務の進捗管理がしづらい
クラウドソーシングで発注する業務はインターネット上で業務委託をするケースが多くなっています。そのため、Webサイト制作・アプリ開発などのような長期プロジェクトの場合は特に進捗管理がしづらく、相応の工数・費用をかける必要があります。
発注する仕事の詳細や完成イメージ、納期などについては受注側へも事前に共有し、進捗の確認方法(稼働時間や内容について週間レポートを提出するなど)についても打ち合わせしておきましょう。

おすすめのクラウドソーシングサービス

ここでは、おすすめのクラウドソーシングサービスの概要・特徴などを紹介します。

クラウドワークス

業界最大手の「クラウドワークス」は登録ワーカー数が400万人を超えており、70万社以上の企業が利用しています。サイト内では、依頼したい仕事カテゴリ(Web制作・デザイン制作・動画編集・翻訳など)や、ワーカーの保有スキル(取得資格、習得済みのプログラミング言語・操作可能なツールなど)で絞込検索ができるため、要望に沿った人材を探しやすいことが強みです。依頼形式にはプロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式があり、仮払い(※)システムを採用しています。

(※)仮払いとは、報酬をクラウドワークスが一旦預かり、受注者が納品したタイミングで、クラウドワークスから報酬が支払われる仕組みのことです。金銭トラブル(仕事をしたのに報酬がもらえない・報酬を支払ったのに仕事が進まないなど)を未然に防止できます。

ランサーズ

ランサーズ」は、クラウドソーシングサービスを日本で初めて開始した会社です。140以上の仕事カテゴリ(システム開発・デザイン制作・ライティングなど)が用意されており、様々なスキルを持つ人材・即戦力となる人材を探すことができます。
また、アシスタント・受電代行・営業支援などに関する定額サービスも提供しており、専任のディレクターやオペレーターに業務を委託することもできます。依頼形式にはプロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式があり、クラウドワークスと同様に仮払いシステムを採用しています。

Yahoo!クラウドソーシング

Yahoo! JAPANが運営する「Yahoo!クラウドソーシング」は、タスク形式に特化したクラウドソーシングサービスです。データの収集や整理をしたい・アンケート調査で情報を集めたいなど、依頼したい仕事内容や質問事項を入力するだけで、大量の仕事を効率的に発注できます。
情報の精度や品質を高めるために、正確性の高いデータを抽出できるロジックが採用されているほか、アンケートの回答が不誠実なワーカーをブラックリストに登録することなども可能です。なお、報酬は現金ではなく、PayPayボーナス(※)で支払われる点に注意しましょう。

(※)以前はTポイント決済でしたが、PayPayボーナスに変更されました。

クラウドソーシングの活用事例

クラウドソーシングの活用事例について、業種ごとに紹介します。

食品会社の事例

とある食品会社では、デザイン制作をアウトソーシングすると提案数が少ない・納期に間に合わない・顧客からの評判が良くないなど、費用対効果が期待できないことが課題でした。そんな状況下で受講したセミナーをきっかけにクラウドソーシングを知り、ターゲット層に向けたブランドネームやロゴ制作を発注することにしました。

クラウドソーシングでブランドネームとロゴを募集する際に、【海外在住の日本人向けに新商品(調味料など)の開発をしている】という旨を記載したところ、短期間でブランドネームに約120件・ロゴに約100件の提案がありました。提案の中には、主婦ならではのネーミング・社内では考えつかない斬新なアイデアなどもあり、クラウドソーシングで発注するメリットを実感したといいます。新商品のターゲット層である主婦や女性の観点を取り入れたネーミング・ロゴを採用できたことで、顧客からも高評価を得ることができました。

情報・通信企業の事例

中規模の情報・通信企業では、クラウドソーシングを利用して「マイナー言語の翻訳」や「スポット業務」などを発注しました。
この企業では、広告運用・自社開発ツールの提供などをメイン業務としており、自社にリソースがない業務はフリーランスへ外注していました。
クラウドソーシングを利用したきっかけは、海外事業展開にあたってマイナー言語の翻訳ができる人材を探していたことです。自社にはリソースがなく、依頼できるフリーランスのあてもなかったためクラウドソーシングで人材を探しました。

その後、スポット業務(月末の事務作業・イレギュラーに発生する業務など)でもクラウドソーシングを活用しています。一時的に人員補充したいときや、突発業務の対応を行いたいときなどは、クラウドソーシングで経験豊富な人材を検索し、受注者のプロフィールで実績・評価などを確認してスカウトしています。
専門業者にアウトソーシングするよりもコストが安くなり、様々な仕事に対応できる人材が登録しているため、探す手間も削減できるのがメリットと感じています。

小売業の事例

デザイン制作からマーケティングまで、幅広い業務をクラウドソーシングで発注している小売業の事例も紹介します。
この企業では、商品のロゴ制作をクラウドソーシングで依頼してみたところ、すぐに40件を超える応募がありました。良いデザインが多く、誰に依頼すべきか迷ったので従業員で投票して決めたといいます。

続いて、タスク形式で自社商品のアンケートを募集するなど、マーケティング面でもクラウドソーシングを活用することにしました。関西圏では有名であっても、関東・北陸などでは知名度の低い商品もあるため、認知度をアンケートで調べるだけでも販路開拓の参考になるそうです。アンケートは1件30円ほどで募集でき、愛用者のリアルな感想も聞けるため、商品の付加価値を高めるために活用しています。

クラウドソーシングの利用方法

続いて、一般的なクラウドソーシングの利用方法を説明します。

発注までの流れ

クラウドソーシングでは、案件の掲載・受注者との相談・契約・納品・支払いなど、発注から報酬支払いまでのすべてがオンライン上で完結します。
以下では、「クラウドワークス」の「プロジェクト形式」を利用して仕事を発注する際の流れを紹介します。

<発注までの流れ>
1.  クラウドソーシングサイトに登録する
2.  サイト内に案件を掲載する
3.  応募者の中から依頼したいワーカーを選ぶ(または、ワーカーを探してスカウトする)
4.  見積もり(納期や報酬など)を相談する
5.  発注(契約&仮払い)をする

それぞれの詳細について知りたい方は、クラウドワークスの「カンタンご利用ガイド」などを参考にしてください。

また、初めて利用する際は、以下ページの手順に沿って登録作業(約3分で完了)を進めましょう。

関連記事:【クラウドワークス】企業が『発注者(クライアント)』として会員登録~仕事依頼まで行う流れを解説

発注初心者向けサービスがある場合も

上記で紹介したクラウドワークスでは、初心者向けの独自サービスを提供しています。
発注コンシェルジュ」は、電話を使った法人(あるいは個人事業主)向けのサポートです。初めてクラウドワークスを利用する際、発注したい仕事内容などを専任のコンシェルジュがヒアリングし、募集文面の作成代行をしてくれます。予算に合わせた発注方法や見積もりなども相談でき、完全無料で利用できるサービスです。(※相談だけでも利用可能です)

CrowdWorksまるごと外注」は、発注者とクラウドワークス公認のパートナー企業とをマッチングするサービスです。パートナー企業によるヒアリングの時間が設けられており、発注内容が詳しく決まっていない段階の問い合わせも可能です。進捗管理が難しい業務(システム開発・Webサイト制作など)や、大規模なデータ収集などといったジャンルの業務を中心に活用されています。

クラウドソーシングのよくある質問

最後に、クラウドソーシングを利用するうえでよくある質問と、その回答(クラウドワークスにおける回答)を紹介します。

Q. 登録・発注にお金はかかる?

A.  クラウドワークスでは、会員登録・仕事の検索・ワーカー(受注者)への相談などは無料となっており、発注の手数料・追加料金などは発生しません。契約金額(見積もり)以上の料金はかからず、コストを抑えて発注できます。

Q. 仕事の依頼形式にはどんなものがある?

A.  仕事の依頼形式は「プロジェクト形式」「タスク形式」「コンペ形式」の3つです。それぞれに特色があり、適した発注内容に違いがあります。なお、依頼形式に迷った場合は「カンタン発注プラン診断」を使えば、必要な予算・発注方法などを1分ほどで調べることができます。

<プロジェクト形式の特徴>
・特定の受注者を選んで依頼できる
・事前に報酬や依頼内容、納期などの見積もりができる
・納品後に修正依頼できる(規約の範囲内であれば追加料金なし)
・適した発注業務:ホームページ作成、記事ライティングなど

<タスク形式の特徴>
・不特定多数の受注者に依頼できる
・契約などのやりとりが不要(タスク画面上で完結する)
・承認/非承認するだけで大量の仕事をさばける
・適した発注業務:アンケート、文字起こしなど

<コンペ形式の特徴>
・多数の案を募集でき、その中から気に入った提案を採用できる
・決まった予算内で提案を集められる
・短時間でも多くのアイデアを得られる
・適した発注業務:ロゴやバナーのデザイン、ネーミングなど

Q. 支払いの方法やタイミングは?

A.  支払方法は、銀行振込・クレジットカード・請求書払い(Paid)から選択可能です。
報酬を支払うタイミングについてですが、まずは契約後に仮払いをします。仮払いの時点では、受注者に報酬は支払われません。仮払い後に受注者が納品したら、以下のタイミングで報酬を支払います。(※発注形式によってタイミングが異なり、仮払いが発生しないケースもあります)

<報酬を支払うタイミング>
・プロジェクト形式の固定報酬制は「検収が完了したとき」
・プロジェクト形式の時間単価制は「報酬額(稼働時間)が確定したとき」
・タスク形式は「提案を承認したとき」
・コンペ形式は「提案を採用したとき」

以上、クラウドソーシングに関する様々な情報をご紹介しました。利用手順・支払い方法などについては各クラウドソーシングサイトによって違いがあるため、詳細は資料やホームページなどで確認することをおすすめします。

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クラウドソーシングTimes編集部
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