テレワークの推進などによって働き方が多様化する中、一時的な人手不足の解消や、スキルの高い外部の人材に業務委託をする手段として「クラウドソーシングサイト」に注目が集まっています。今回は、クラウドソーシングサイトの選び方や、発注におすすめのクラウドソーシングサイトの最新情報を紹介します。
目次
クラウドソーシングサイトとは
クラウドソーシングサイトとは、クラウドソーシングサービス(仕事を発注したい人・受注したい人をオンライン上でマッチングするサービス)を提供する会社がそれぞれに管理・運営するWebサイトのことです。オンライン上で、仕事の相談から発注・契約・検収・修正依頼・報酬の支払い(※)まで全て完了するため、時間や場所に縛られずに、さまざまな人材を広く募集することができます。
※一般的に、クラウドソーシングサイトは仮払いシステムを採用しています。仮払いとは、報酬をクラウドソーシングサイトが一旦預かり、受注者が納品したタイミングで、クラウドソーシングサイトから報酬が支払われる仕組みのことです。金銭トラブル(仕事をしたのに報酬がもらえない・報酬を支払ったのに仕事が進まないなど)を未然に防止できます。
クラウドソーシングの仕組みや、発注方法(プロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式)の違いなどを知りたい方は、以下のページをご覧ください。
関連記事:クラウドソーシングとは?外注できる仕事を大紹介【発注者向け】
クラウドソーシングサイトの選び方
次に、クラウドソーシングサイトの選び方を紹介します。
総合型か特化型か
【総合型・特化型の違い】
● 総合型=幅広い仕事ジャンルを希望の人材に依頼できる
● 特化型=特定のジャンルをスキルの高い人材に依頼できる
「総合型」とは、さまざまなジャンルの仕事を適した人材に依頼できるクラウドソーシングサイトのことです。対して「特化型」は特定ジャンルの仕事(ライティング・イラスト制作・翻訳など)を受発注するためのクラウドソーシングサイトを指し、そのジャンルに対するスキルや経験値を持つ人材に仕事を依頼できます。大手の総合型クラウドソーシングサイトであれば、特化型サイトで扱う仕事もほぼ発注できると考えてよいでしょう。
総合型・特化型とも主にフリーランス・主婦・副業ワーカーなどが登録しており、空き時間に対応できる簡易的な作業から専門知識やスキルが必要な仕事までさまざまな依頼が可能です。
【クラウドソーシングサイトで発注できる仕事の例】
● アプリ開発/システム開発
● ホームページ制作/Webデザイン
● ライティング/翻訳
● デザイン/イラスト制作
● アンケート/データ入力
● 動画編集/ナレーション
● 企画/マーケティング……など
報酬相場はどれくらいか
ワーカーへの報酬相場は、クラウドソーシングサイトによって異なります。サイト内で報酬相場の一覧や料金プランを確認できる場合もあるため、発注前にチェックしてみるのも良いでしょう。また、他社の発注事例を参考にして報酬金額を決めることもできます。
【報酬相場の例】
● アンケート/モニター:1回あたり30円~
● 記事ライティング:1本あたり2,000円~
● 主要言語の翻訳:1回あたり1万円~
● イラスト制作:1点あたり3万円~
● ホームページ制作:5ページ程度のホームページ1本あたり20万円~
発注におすすめのクラウドソーシングサイト
続いて、仕事の発注におすすめのクラウドソーシングサイトを紹介します。サイトごとに特徴、発注方法などが異なるため、比較検討の参考にしてください(利用方法や仮払いの形式などは各サイトによって異なるため、利用規約などをご確認ください)。
CrowdWorks(総合型)
「CrowdWorks(クラウドワークス)」は登録ワーカー数が480万人を超えており、日本最大級の受注実績があります。様々な仕事カテゴリが用意されており、保有資格やスキルなどでワーカーの絞込検索ができるため、経験豊富な人材・スキルの高い人材などを探しやすいことが強みです。人材選びに迷った際は、受注実績豊富で発注者からの評価が高い「プロクラウドワーカー」を指定して仕事を依頼することもできます。
<CrowdWorksの概要>
発注方法:プロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード・請求書払い(Paid)
Lancers(総合型)
日本初のクラウドソーシングサイト「Lancers(ランサーズ)」は、大手企業からベンチャー企業まで幅広く利用されており、40万社以上の受注実績があります。仕事カテゴリの数も多く、コア業務・ノンコア業務の双方を依頼可能です。
また、ランサーズ公認のパートナー(個人・企業)が主体となって業務のディレクションを請け負う「ディレクションパートナー」という独自サービスを提供しています。チーム編成が必要な業務・複数の職種へ一度に依頼したい業務などを依頼する際に活用でき、パートナーの紹介料は無料です。
<Lancersの概要>
発注方法:プロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード・請求書払い(後払い)・PayPal
Bizseek(総合型)
2013年にサービスを開始した「Bizseek(ビズシーク)」は、比較的新しいクラウドソーシングサイトです。受注者のシステム手数料は業界最安値水準で、総合型のクラウドソーシングサイトの中でもWeb関連の仕事の受発注が多いことが特徴です。
無料の案件掲載にくわえ、発注者の案件が優先的に上位表示される「注目オプション」、最優先で上位表示される「急募オプション」などの有料コースもあります。そのため、コストを抑えて発注したい場合・ある程度コストをかけてスムーズに発注したい場合の双方で利用可能です。
<Bizseekの概要>
発注方法:プロジェクト形式・コンペ形式
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード
Craudia(総合型)
「Craudia(クラウディア)」では、プロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式にくわえ、独自の進行スケジュールによる「時間制方式」を使った発注が可能です。仮払い推奨期間、作業内容承認期間などがカレンダー上で決められており、発注側はそのスケジュールに沿って支払い・作業確認などを行います。
そのほか、案件の上位表示オプション、非公開オプション、オプションオフライン(オンライン上では難しい現場作業・オフィス勤務の依頼時に使用する有料オプション)など、発注側のユーザビリティを高めるサービスも用意されています。
<Craudiaの概要>
発注方法:プロジェクト形式・タスク形式・コンペ形式・時間制方式
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード・PayPal
JOB HUB(総合型)
「JOB HUB(ジョブハブ)」は人材サービス会社が運営するクラウドソーシングサイトで、スタッフが発注者と受注者の間に入り、相談から契約までの進捗管理を行っています。
総合型クラウドソーシングサイトでありながらITに特化した案件を多く扱っており、AIやRPAなどに関する受注実績が豊富です。セキュリティ面に配慮したい仕事などはJOB HUB社屋内のセキュリティルームで作業を実施するなどの対策も可能です。
<JOB HUBの概要>
発注方法:プロジェクト(エキスパート)形式・コンペ形式
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード・請求書払い・送金アプリ(pring)
SKIMA(総合型)
クリエイターが多く活躍する「SKIMA(スキマ)」は、デザイン(バナー・ロゴ制作など)やキャラ販売(イラスト制作・立ち絵制作など)、YouTube関連業務(アイコンやアバター作成・動画編集・音響など)などの受注実績が豊富なクラウドソーシングサイトです。
他のクラウドソーシングサイトと同様に、希望のスキル・実績を持つ人材を探すこともできますが、すでに作品として仕上がっているデザイン・イラストなどをそのまま購入することも可能です。購入者・発注者はクリエイターにチップを贈ることができ、ポイント(サイト内の売上・キャンペーンで獲得できるクーポンなど)で報酬を支払うこともできるため、クリエィティブな仕事の受注・発注に適しています。
<SKIMAの概要>
発注方法:プロジェクト形式・コンペ形式
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード・コンビニ払い・売上金やポイントからの支払い
Shinobiライティング(特化型)
特化型クラウドソーシングサイトの「Shinobiライティング」は、Web記事などの作成代行サービスを提供しています。専用エディタに必要事項(記事のジャンル・キーワード・文字数など)を入力するだけで、要望に沿った記事を発注できます。
発注方法は3つに分かれており、記事作成の手間を削減したい方向けの「かんたん発注」、詳細まで設定して大量発注したい方向けの「エクセル発注」、ランキング形式や商品紹介などの決まった構成がある記事を発注したい方向けの「見出し付き発注」から選択が可能です。
<Shinobiライティングの概要>
発注方法:かんたん発注・エクセル発注・見出し付き発注
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード・Pay-easy
サグーワークス(特化型)
「サグーワークス」も記事の作成代行を扱う特化型クラウドソーシングサイトで、28万人以上のライターが登録しています。発注方法は、記事の詳細(キーワード・見出し・画像の有無など)を決めて1記事から依頼できる「オンライン発注」と、担当ディレクターと相談しながら記事構成から決める「オーダーメイド発注」の2種類から選択可能です。
ランクの高いライター(プラチナライター)を指定して発注することもでき、独自のシステムによるコピペチェックや担当ディレクターによる記事監修など、記事の品質を高めるためのサービスを提供しています。
<サグーワークスの概要>
発注方法:オンライン発注・オーダーメイド発注
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・クレジットカード・コンビニ(前払い)
※サグーワークスは2024年4月1日をもってサービスの提供を終了しております。
その他のウィルゲートの記事作成サービスはこちらから
UIscope(特化型)
Webサイトやアプリ、システム、製品などのユーザーテストに特化したクラウドソーシングサイトが「UIscope(ユーアイスコープ)」です。ユーザーのリアルな様子を動画・音声・アンケートなどで確認できるサービスを提供しており、ユーザーによる操作の傾向・ユーザーが不便さを感じているポイントなどを詳細にチェックできます。
ユーザーテストにくわえ、スクリーニングや競合調査、レポート作成などの有料オプションもあり、予算やスケジュールにあわせた依頼が可能です。
<UIscopeの概要>
発注方法:タスクを作成(テンプレートあり、作成代行依頼も可能)
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:銀行振込・請求書払い
Gengo(特化型)
「Gengo(ゲンゴ)」は翻訳に特化したクラウドソーシングサイトで、6万5,000件以上の受注実績があります。70の国と地域の言語に対応しており、テスト合格者のみ翻訳の仕事を受注できるシステムを採用しているため、翻訳スキルの高い人材や翻訳のプロへ仕事を依頼できます。気に入った翻訳者を「お気に入り」へ追加しておけば、再依頼の際に便利です。
発注方法には、24時間利用できるオンライン発注や、APIを使った自動発注などがあり、料金は言語の種類・文字数・翻訳対象の難易度などによって変わります。
<Gengoの概要>
発注方法:オンライン発注・API発注
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:クレジットカード・PayPal
※支払額20万円以上の場合は、請求書払い(法人向け)と銀行振込に対応しています。
CaSy(特化型)
「CaSy(カジー)」は、掃除・料理・ハウスクリーニングなどの代行サービスを提供するクラウドソーシングサイトです。福利厚生の一環として法人向けプランも提供しており、生産性向上やワークライフバランスの改善などを目的に利用する企業も見られます。
公的身分証明書による本人確認や、利用者からの評価制度などを導入することによって安心・高品質なサービスの提供を目指しており、多様な料金プランやオプションが用意されています。
<CaSyの概要>
発注方法:専用サイトに登録・ログインし、依頼フォームを通じて発注
納品方法:仮払いシステム
支払い方法:クレジットカードのみ
これらのクラウドソーシングサイトを含め、外注先の選定には単価の決め方が重要となります。適切な外注単価の決め方については以下の動画で詳しく紹介しています。
まとめ
今回は、発注におすすめのクラウドソーシングサイトを紹介しました。
一般的に、登録者数の多いサイトのほうがスキルの高い人材・経験豊富な人材を探しやすく、多くの方が利用しやすいシステムを提供している傾向にあります。一方で、規模の小さい・後発のクラウドソーシングサイトなどの場合は、ユーザビリティを高めるサービスや独自サービスなどを提供しているケースもあります。
クラウドソーシングサイトを利用する際は、自社に適した発注方法があるか・報酬相場はどれくらいか・高スキルの人材を探せるかなどの点を考慮し、適したサイトを選びましょう。