アンケートの作成は、自社の商品やサービスの顧客満足度、市場におけるポジション、競合と比較した場合の評価などを知りたいときに高い効果を発揮します。それだけではなく、今後の商品開発に必要なヒントも得ることができるでしょう。ここでは、アンケート作成時のコツや進め方、代表的なアンケートツールや作成方法を紹介していきます。
目次
アンケート作成の進め方とは?
まずは、アンケートを作る時のポイントとその流れについて説明します。
アンケートで何を聞きたいのか決める
アンケートを実施するときに一番重要なのが、「何を聞きたいのか」。つまり、「アンケートの目的」をしっかりと決めることです。「自社商品の改善点を知りたい」「本当の来店目的を明確にしたい」など、聞きたい要素を明確にして質問項目を決めます。似ている内容はまとめたり、関連するものは続けて聞いたりするなど、質問の順番も整理しましょう。おおよそ5分程度で答えられる質問数が適量となるため、本当に聞きたいことに絞って整理します。
どのタイプの質問にするか選ぶ
同じ内容の質問でも、その質問方法は複数あります。Web調査などで良く使われる質問方法として、用意した選択肢の中からひとつだけを選ばせる「ラジオボタン」や、同じく選択肢の中から複数選ばせる「チェックボックス」があります。
さらに、『満足・やや満足・普通…』などの段階で評価させる「スケール」、複数の項目で同じ選択肢を答えさせる「マトリックス」、感想や意見を自由に書いてもらう「テキストボックス」などがあります。聞きたい内容に合わせて、答えやすい質問タイプを選びましょう。
質問文を作成する
質問タイプが決まったら、続いて質問文を作成していきます。ここで特に注意したい点は、まず、質問文が長くなりすぎないよう1~2文程度を心がけることと、回答者が答えやすい質問をすることです。また、まぎらわしい表現を避けて簡潔な文章にすることや、あいまいな聞き方はしないことも大切です。
適切な選択肢を作る
設問に対応する選択肢を作る際は、選択肢の数は多くても15個程度に留めるようにし、出てくることが予想される答えは入れておくことが大切です。選択肢が似ていると逆に回答しにくくなってしまうので、似たような選択肢はまとめるのもコツです。また、必ず「その他」欄を設けて、具体的な答えを書くテキストボックスも付けておきましょう。
想定される答えや導き出したい回答を選択肢の中に入れておくことは特にポイントとなるので、正しいデータや聞きたい結果を得るためにも、選択肢の設定にはモレ・ヌケなどがないように注意してください。
配布する前にチェックする
ここまでできたら、必ず作成者自身や第三者が実際にそのアンケートに答えてみましょう。回答する際には以下の点をチェックしてください。
・文章がわかりやすく、まぎらわしい表現がないか
・回答者に負担のない質問数か
・質問の順番がおかしくないか
・選択肢のボリュームは適当か
・選択肢のモレやヌケ、ダブリなどはないか
以上をチェックして問題がなければ、アンケートの完成です。
アンケート作成の無料ツール・方法
アンケートの手法としては、質問票を郵送する「郵送調査」、調査員が対象者宅などに出向いて行う「訪問聴取法」、電話で答えを確認する「電話調査」などがありますが、近年はアンケートの作成と回答の両方が簡単にできるWeb調査が主流になっています。ここでは、アンケート作成ツールとして代表的なものを紹介します。
Googleフォーム
画像出典元:Googleフォーム
Googleフォームは、Googleアカウントがあれば誰でもすぐに無料で使えるアンケート作成ツールです。選択式、プルダウン式、評価スケールなど、さまざまなタイプの質問ができる高度なアンケートを簡単に作ることができます。回答は自動的に集計されるので、リアルタイムの回答状況やグラフを確認できます。
また、全データをスプレッドシートにして詳しく分析することもできるため、イベント参加者整理の連絡ツールとして、ミニ投票の応募ツールとして、小テストの管理ツールとして等、さまざまな用途に利用できます。利用は無料。
ミルトーク
画像出典元:ミルトーク
ミルトークは、調査会社大手のマクロミルが運営するユーザートークサービスです。専用の掲示板に聞きたいことをアップすると、無料で最大100件までユーザーの生の声をリアルタイムで回収できます。対象者の性別や年齢などの属性を絞ることも可能。選択肢を選ぶ回答ではなく、質問に対する生の声をフリーアンサーで回収できる定性調査です。
プランは3種類あり、無料プラン、ベーシックプラン(20万円/1カ月)、プレミアムプラン(30万円/1カ月)。CSVダウンロードや属性絞り込み、気になる参加者に直接インタビューができる「トークルーム」機能などは、有料プランでのみ対応です。無料プラン利用者が、1回あたりのオプション料金を都度支払うことで利用できる機能もあります。
SurveyMonkey
画像出典元:SurveyMonkey
米国サーベイモンキー社が提供するアンケートツールが、SurveyMonkeyです。その利便性とセキュリティの信頼性により、特にアメリカ、カナダ、オーストラリアなどで人気の高いツールとなっています。無料の「ベーシックプラン」であっても、アンケート数が無制限に作れるところが魅力のひとつです。無料プランはひとつのアンケートに10件の質問まで・回答数は100件までと制限はあるものの、簡単なアンケートであれば充分対応できます。
個人プラン、法人プランとで分かれており、個人プランはベーシック(無料)・標準月間プラン(5,500円/月)・アドバンテージ(5,833円/月、70,000円/年1回払い)・プレミア年間(14,583円/月、175,000円/年1回払い)の4種類。法人プランはチームアドバンテージ(4,600円/ユーザー/月)・チームプレミア(11,050円/ユーザー/月)・エンタープライズ(要問い合せ)の3種類。
番外編:クラウドワークス
クラウドワークスは、インターネットを通じて仕事の発注と受注ができるサービスです。仕事依頼者と仕事受託希望者をマッチングするため、クラウドワークス上でアンケートを作成すれば、大量の情報を得ることができます。
アンケート作成を行う場合は、最低料金やタスク保証料などが設定されているものの、アンケートの作成自体はとても簡単。タスク方式であれば、余計な手続きなども不要です。また、無料で最大30人まで一斉通知を行うことができ、有料オプションを付けるとで、さらにたくさんの優良ワーカーに通知をすることもできます。
こちらの記事は、クラウドワークスで実際にアンケートを募集し、わずか3日間で200件の回答を得られた実際の事例です。
関連記事:新規事業の市場調査をクラウドワークスで。3日で200件の回答が集まる秘訣は?:社内事例
クラウドワークスのサービス説明資料はこちらでダウンロードできます。
▶【無料ダウンロード】「クラウドワークス」のサービス特徴・導入事例・発注相場などを紹介
上手にアンケートを作成するコツ
ここまでアンケートの作成方法や便利ツールについて紹介しましたが、最後に、アンケート作成時に覚えておくと便利なコツを4つ紹介します。
事前にペルソナを作る
アンケート実施の目的は、顧客や回答者となる対象の生の声を集めて、以降のマーケティング活動に反映することではないでしょうか。そのためには、アンケートの対象となる相手の性別や年代という一般的な属性整理だけではなく、価値観や行動特性などで細かく分析する「ペルソナ」を設計しておくと便利です。こうすることにより、相手が選びそうな回答を想定しやすくなり、また、相手も回答しやすくなることから、より正確なデータ収集が可能となります。
導入文にこだわる
アンケート回答時、よりモチベーションを上げて安心してもらうため、まずは冒頭にていねいなあいさつ文を入れましょう。それに加えて、 回答にかかるおおよその時間の明示や、アンケートはどのような目的で実施しているのかも伝えると良いです。なお、謝礼などがある場合は導入部に記載してください。個人情報取扱方針を明記することも大切です。
顧客の属性を詳細に聞く
できるだけ回答者の情報を掘り下げるためには、一般的な属性だけではなく、行動特性や嗜好性なども聞くような設問を設けることがポイントです。たとえば、下記のように同じ個人でも、ペルソナ分析のほうが個人を理解しやすいというメリットがあります。
「一般的な属性分析」とは以下のようなものです。
男性
IT企業勤務
年収500万円
一方、「ペルソナ分析」とは以下のようなものです。
公立大学工学部出身の大手IT企業勤務
eスポーツに夢中、趣味はネットサーフィン
恋愛には興味が少ない草食系
よく使うSNSはFacebookとTwitter
amazonや楽天市場の利用が多い
回答しやすい質問になるよう心がける
回答率を上げるためには、わかりやすく飽きずに答えられるように配慮します。わかりやすい文章になっているか、できるだけ単一回答や単一選択型にしているか、答えが前後しない流れになっているか、Web上で簡単に回答できるツールを利用しているか等は特に気を付けましょう。
まとめ
アンケート本来の目的は正確なデータを収集してその結果を今後のマーケティング活動に活かすことですが、充分に活用できるデータを得るためには効率的にアンケートを作成し、たくさんの有効回答を得ることが重要です。近年は作成も回答も簡単にできるツールがたくさんあり、詳しいデータ分析も瞬時に得られるようになっています。ここで紹介したことは、アンケートの目的を達成するための簡単な秘訣なので、アンケート作成時のヒントにぜひ活用ください。