親や自分の老後にも?夢の海外移住が「老後」にオススメな理由とは

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グローバル化が進む近代社会。そのような社会の中で、日本で一生を終えるのではなく、海外に移住し、様々なしがらみから解放され、のんびりと余生を過ごす…

そのような過ごし方を夢見る方も増えてきているのではないでしょうか?

ただ、実際に海外に移住するとなると、言語の壁や、お金の壁などのハードルも高く、なかなか第一歩を踏み出せない方も多いかと思います。

そこで今回は海外移住にスポットを当て、そもそも海外移住とはどのようなものなのか、海外移住をするとどのように節税となるのか?

海外移住にあたってはどのようなお金がかかるの?といったことについてまとめました。

海外移住って具体的にどういうこと?海外移住者の実態は?

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海外在留邦人数調査統計(外務省)によると海外で暮らす日本人は年々増加しており、平成28年末には130万人を突破している、とのデータが出ています。このデータから分かるように、年々海外への移住者が増加しています。    

では、海外移住、というとどのような状態を言うのでしょうか?  

「海外移住」とは日本国内に帰ってくる居所などを残さず(国内不動産の引き払い)収入も含めた生活の居所を海外に移す状態を言います。 つまり、  

①海外にて住居を構えている(購入、賃貸等)  

②海外にて勤務しており、そこで給料をもらっている  

などです。 また、海外旅行との違いとしては、海外旅行は数日~数週間を海外で過ごすことによって、短期的に海外の文化や非日常の風土を感じることを目的としますが、海外移住はその土地の文化や風土を日常生活として受け入れ、その土地に定着することを目的としている点が異なってきます。  

なお、海外に移住するといっても、国籍まで変更されるケースは珍しいかと思います。

実際のところは日本で海外転出届出を提出し、日本の国籍を有したままで、海外に住所を移し、日本の居住者ではなくなる、というケースがほとんどではないでしょうか。

また、近年の海外移住の人気の国としては…マレーシア・タイ・フィリピンなどがあげられており、 気候が温暖な国、治安が良い国、物価が安い国などが日本人の海外移住の場所として選ばれることが多いようです。

相続税・贈与税を節約したいなら「海外移住」はアリ

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近年では日本の富裕層の方が海外に移住する、というケースが多く見受けられます。

相続税・贈与税については平成27年の相続税改正後は、基礎控除の引き下げ及び最高税率の55%への引き上げなど、年々上昇傾向となっていることから、海外に移住をして相続税・贈与税を節税したい、とお考えになる方も多いのでは、と思います。

そこでこちらでは海外に移住した際の相続税・贈与税の取り扱いについて説明します。

 まず初めに日本の相続税・贈与税の課税対象について説明します。

 

日本の相続税・贈与税は、財産を渡す方、もらう方のいずれかが、日本国内に住所が有る場合には、日本国内の財産のみならず、その方が保有している海外の財産にも相続税・贈与税が課せられます。(全世界課税)  

 

一方で財産を渡す方、もらう方の双方が日本国内で10年以内に住所が無い場合には、日本国内の財産のみに相続税・贈与税が課され、海外の財産には相続税・贈与税は課税されません。(国内財産のみ課税)  

 

これにより、海外で保有する財産には日本の相続税・贈与税が課税されないこととなり、居住する国が相続税・贈与税がかからない国(シンガポール・マレーシア等)であれば、その海外財産については全く相続税・贈与税を課せられることなく、次世代に移転することが可能となります。  

従って、日本国内に多額の財産をお持ちの方は、海外移住などをする際に、日本国内の金融資産などを海外の口座に移管し、10年以上海外に居住することで、日本の相続税・贈与税の対象から外すことが可能となります。

 

なお、平成27年度の税制改正において、『国外転出時課税』と呼ばれる、1億円を超える株式を保有しており、その株式に多額の含み益がある場合には、その海外移住の際に所得税が課税される可能性がありますので、多額の株式をお持ちの方が海外移住される際には注意が必要となります。  

近年ではこのような節税目的のためだけに海外移住することに対して、国は度々税法の改正や国際間の情報交換を行っており、今後は益々海外移住による節税に対しての目は厳しくなることが予想されます。  

また、現状では10年間海外移住に移住することで日本国内の財産が非課税とされますが、今後はこの期間が延びる可能性もありますので、海外移住による節税を検討される際にはそちらのリスクも承知の上で実行された方が賢明かと思います。

実際に海外移住でかかるお金はこんな内訳

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海外への移住に当たってはやはりお金の問題は切っても切れない問題ではないでしょうか。

特にお年寄りの方などが海外に移住する場合には、現地でも継続的に収入があがってくる仕組みが無い限りは、現状の資産を徐々に切り崩していくこととなるため、なおさら費用面については気になるところかと思います。

では、実際に海外移住するにあたってはどのようなお金が必要となってくるのでしょうか。

 海外移住にあたっては、大きく分けて、渡航時、滞在時にそれぞれ費用が生じてきます。 渡航時にかかる主な費用としては、ビザの取得費用、航空券代、荷物の輸送費用などです。

一方、滞在時にはいわずもがな現地での滞在費がかかってきます。

 

ビザの取得費用

ビザ取得に当たっては日本国内の各国の大使館で申請手続きを行う必要があります。

その後、現地に赴き、最終手続きを行う仕組みなります。

取得にあたっての申請方法や費用は国によって異なってきますので、事前に外国の大使館などで確認する必要があるでしょう。

航空券代

渡航費用は移住時のみならず、事前の下見やビザ申請に当たっても必要となってきます。 少なくとも2回以上はかかってくるかと思いますのでこちらも事前に予算に組み込む必要があります。

荷物の輸送費用

意外と忘れがちなのがこちらの輸送費用です。

荷物を航空便で送るのか、船便で輸送するのか、また、輸送距離によっても費用が大きく異なってきます。

なお、最近では家具や家電が備え付けられている物件も多いようですので、輸送する荷物が大掛かりなものとなる場合には、そちらを活用するのも手かもしれません。

現地での滞在費

現地での滞在費は大きなもので言うと住居費・食費・旅費交通費・交際費などがあげられます。その中でも特に大きいのが住居費ではないでしょうか。

住居費については移住先によってピンキリかと思いますが、移住先として人気が高いマレーシアは首都クアラルンプールの2LDK物件で90,000円~など、日本よりも大分安い費用で入居することが可能となります。  

海外移住にあたって、かかってくる費用は移住先により大きく異なってくるかと思いますが、 費用面のみで移住先を決定してしまうのはお勧めできません。  

日本よりも物価も安く生活できる国は確かにありますが、その場合には暮らしの中で不便に感じることが多くなってしまうこともあり、日本にいるよりもストレスが溜まるようでしたら、何のための海外移住なのかが分からなくなります。  

従って、費用面ももちろん重要ですが、事前に下見などしてみて、その生活を体験してみて移住先を検討することが重要でしょう。

海外移住を実現するために

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いかがでしょうか?

海外移住にあたっては、上記で述べたように様々な点を事前に検討する必要がありますので、非常にハードルは高く感じられるかもしれません。  

ただし、その壁を1つずつクリアすることによって、海外移住が近付いてくると思います。  

準備は大変かもしれませんがその先には大きな夢が待っています。  

日本を飛び出し、新たな人生の扉を開く第一歩を踏み出してはいかがでしょうか。

【執筆者】
七島 悠介(ななしま ゆうすけ)

2010年国内大手税理士法人に入社。東京本部にて、上場会社の税務申告及び相続税申告を担当。同年税理士試験に合格。その後、福岡事務所において相続税申告、富裕層向けコンサルティング、事業承継コンサルティング、組織再編コンサルティングなどの資産税業務を主に担当。また、資産税業務のみならず、M&Aの企業価値評価、持分無し医療法人への移行サポート等、幅広い業務を担当。その傍ら、富裕層を対象とした相続対策セミナー講師を務める。

 

現在、税理士法人アイユーコンサルティングの福岡事務所長として、通常の税務顧問業務に加え、富裕層向けコンサルティング、事業承継コンサルティング、医療法人成りサポート等を担当し、相続・承継のスペシャリストとして活躍中。

▶所属している税理士法人:
税理士法人 アイユーコンサルティング