一部上場のシステム開発、UI/UXデザイン会社に勤めておりました。 システム開発会社に依頼した一般的な相場感について記載した上で、サービス開発のご提案をいたします。 耳障りのいい言葉では意味がないので、正直に記載いたします。 ※いわゆる、クラウドソーシングや格安制作会社など安かろう悪かろうではなく、きちんとした一般の開発会社に依頼した場合の相場です。 (それこそ一流の企業に依頼した場合は億を超える規模のシステム開発です。) # 費用感のまとめ ・全体費用:500万〜3,000万 ・プロジェクト期間:6ヶ月〜1年 ・人員(最小人員):4名 ・PM(要件定義を行い、全体の設計をレビューできる人間) ・デザイナー 1名 ・バックエンドエンジニア 1名 ・フロントエンドエンジニア 1名 ・インフラエンジニア 1名 # プロジェクト工程 プロジェクトは大まかですと下記の流れで進みます。 ・要件定義 ・インフラ設計・バックエンド設計・機能要件定義 ・ワイヤーフレーム作成 ・ユーザーテスト ・デザイン制作 ・インフラ構築 ・バックエンド実装 ・フロントエンド実装 ・初期ユーザーの獲得 ・ローンチ # 各機能の費用感 1.オファー機能 費用:300万円〜2,000万 時間:3ヶ月 まず第一に、記載されていませんがログイン機能が必須となり、かつCtoCのプラットフォーム構築ですので、 実装難易度も高く、データベースを適切に構築するもかなりのスキルが求められます。 ▼難易度の高い実装部分 ・CtoCのプラットフォーム構築 ・ログイン機能・会員機能 ・「出品者」「購入者」「運営」の3つの管理画面 ・「商品」「購入」などのデータ連携が適切に行われるデータベース設計 ・上記の複雑なインフラ構成・バックエンド構成を敷いた上での、セキュリティ設計 2.決済機能 費用:100万〜1,000万 決済機能はおっしゃる通り、外部API等を利用することをおすすめします。 ただし本件のサービスは、「出品者」側から価格を提示し、決済するという特性上、参照する価格が変数になる特徴があります。 (余談ですが、この要件のデータベース設計がかなり難易度が高いです。商品に価格が紐づかず、取引に価格が紐づくので。) したがって、独自の決済機能を構築する必要がありますが、これは依頼するエンジニアがどう実装するかによって対応が変わります。 (最もコストが抑えられる形で実装するのがベストだと思われますので。) ・PayPalなど、外部サービスを利用し、ユーザー側で金額を入力してもらうなど。 ・Stripeなど、優秀な決済APIを使ったシステム構築 ・その他、やりようはいくらでもあると思いますが、ほぼスクラッチで構築する方法しかないかもしれません。 3.オファーの際の商品の参考価格変動グラフ 費用:50万〜200万 SNKRDUNKのような、直近の購入履歴の表示とそのグラフ表示であれば、上記の費用感で実装可能だと思います。 ただしグラフ化するのは、フロントエンド的な処理が少し難しいので、どこまでのデザインで表示するかによって費用感は変わります。 # ご提案 ここからは少し辛辣になりますが、ぜひプロダクトが成功するよう、UXとプロダクト開発に関して、ご提案いたします。 ①PMFする前から、多機能すぎるかと存じます。 →コアとなる機能は「植物が購入できること」かと思います。まずはスモールスタートをおすすめします。 ・ユーザーが100人に満たない初期の段階で、「オファー機能」「コミュニケーション機能」「商品の参考価格変動グラフ」が必要とは思えません。 (ただでさえ、「出品者」と「購入者」の2つをそれぞれ集客→登録しなければならないことが最初の障壁です。) ・初期プロダクトがマーケットにフィットする(PMF)するまで、「このプロダクトは、ユーザーのどの課題を解決しているのか」を見定めることをおすすめします。 例えば、解決するユーザーのニーズが「おしゃれな植物が買いたい」なら、オファー機能よりも「どうすれば、ユーザーが欲しい高品質の植物を出品してもらえるか」に注力すべきです。 プラットフォームは出品者がゴミのような商品を出しても掲載してしまいます。出品者が売れる商品を出品してもらえるような機能をまず作るべきかもしれません。 ・失敗するプロダクトは、ユーザーが欲しくない機能を多く開発してしまい、投下した初期費用を回収できないまま、ユーザーが定着せず、撤退してしまうことが多いです。 ②ユーザーのニーズを捉えていないように思えます。 ・SNKRDUNKをベンチマークにしているようですが、果たして植物でもSNKRDUNKのようなサービスが成り立つかどうか、検討が必要かと存じます。 ・そもそもヤフオクやメルカリ、SNKRDUNKのような価格が変動するサービスには、その理由があります。 スニーカーはそもそも商品が人気によって価格が変動するという特性を持っています。 年代物や限定品は価値が高まる特性は、アート作品と同様に、もはや資産としての価値もあります。 果たして、この特性が植物にも当てはまるのでしょうか。 植物のECプラットフォームに、ユーザーが求める価値は、例えば「おしゃれな植物を買いたい」かもしれないですし、「安く、部屋に植物をおきたい」かもしれません。 業者向けにするなら「市場にしかないような、そこらでは買えない植物を買いたい」「大量発注したい」かもしれません。 ・ユーザーが植物をオファーする、という形式がどうワークするのかを、検証すべきです。 ①でも記載した通り、まずはプロトタイプを安価に構築し、ユーザー(マーケット)が求めるサービス・プロダクトの在り方を検討すべきかと存じます。 ・レイアウトも「ぱっと見で使いやすく」であれば、機能を絞って、ユーザーの求める価値を最速で届けることをおすすめします。 長文になりましたが、ぜひlovwpeach様のプロジェクトが成功することを願って、私の経験と知見をお伝えさせていただきました。 もしプロダクト開発やシステム開発、UI/UXデザインの知見が必要であれば、今後、お気軽にご相談くださいませ。 どうぞよろしくお願いいたします。
メンバーからのコメント
一部上場のシステム開発、UI/UXデザイン会社に勤めておりました。
システム開発会社に依頼した一般的な相場感について記載した上で、サービス開発のご提案をいたします。
耳障りのいい言葉では意味がないので、正直に記載いたします。
※いわゆる、クラウドソーシングや格安制作会社など安かろう悪かろうではなく、きちんとした一般の開発会社に依頼した場合の相場です。
(それこそ一流の企業に依頼した場合は億を超える規模のシステム開発です。)
# 費用感のまとめ
・全体費用:500万〜3,000万
・プロジェクト期間:6ヶ月〜1年
・人員(最小人員):4名
・PM(要件定義を行い、全体の設計をレビューできる人間)
・デザイナー 1名
・バックエンドエンジニア 1名
・フロントエンドエンジニア 1名
・インフラエンジニア 1名
# プロジェクト工程
プロジェクトは大まかですと下記の流れで進みます。
・要件定義
・インフラ設計・バックエンド設計・機能要件定義
・ワイヤーフレーム作成
・ユーザーテスト
・デザイン制作
・インフラ構築
・バックエンド実装
・フロントエンド実装
・初期ユーザーの獲得
・ローンチ
# 各機能の費用感
1.オファー機能
費用:300万円〜2,000万
時間:3ヶ月
まず第一に、記載されていませんがログイン機能が必須となり、かつCtoCのプラットフォーム構築ですので、
実装難易度も高く、データベースを適切に構築するもかなりのスキルが求められます。
▼難易度の高い実装部分
・CtoCのプラットフォーム構築
・ログイン機能・会員機能
・「出品者」「購入者」「運営」の3つの管理画面
・「商品」「購入」などのデータ連携が適切に行われるデータベース設計
・上記の複雑なインフラ構成・バックエンド構成を敷いた上での、セキュリティ設計
2.決済機能
費用:100万〜1,000万
決済機能はおっしゃる通り、外部API等を利用することをおすすめします。
ただし本件のサービスは、「出品者」側から価格を提示し、決済するという特性上、参照する価格が変数になる特徴があります。
(余談ですが、この要件のデータベース設計がかなり難易度が高いです。商品に価格が紐づかず、取引に価格が紐づくので。)
したがって、独自の決済機能を構築する必要がありますが、これは依頼するエンジニアがどう実装するかによって対応が変わります。
(最もコストが抑えられる形で実装するのがベストだと思われますので。)
・PayPalなど、外部サービスを利用し、ユーザー側で金額を入力してもらうなど。
・Stripeなど、優秀な決済APIを使ったシステム構築
・その他、やりようはいくらでもあると思いますが、ほぼスクラッチで構築する方法しかないかもしれません。
3.オファーの際の商品の参考価格変動グラフ
費用:50万〜200万
SNKRDUNKのような、直近の購入履歴の表示とそのグラフ表示であれば、上記の費用感で実装可能だと思います。
ただしグラフ化するのは、フロントエンド的な処理が少し難しいので、どこまでのデザインで表示するかによって費用感は変わります。
# ご提案
ここからは少し辛辣になりますが、ぜひプロダクトが成功するよう、UXとプロダクト開発に関して、ご提案いたします。
①PMFする前から、多機能すぎるかと存じます。
→コアとなる機能は「植物が購入できること」かと思います。まずはスモールスタートをおすすめします。
・ユーザーが100人に満たない初期の段階で、「オファー機能」「コミュニケーション機能」「商品の参考価格変動グラフ」が必要とは思えません。
(ただでさえ、「出品者」と「購入者」の2つをそれぞれ集客→登録しなければならないことが最初の障壁です。)
・初期プロダクトがマーケットにフィットする(PMF)するまで、「このプロダクトは、ユーザーのどの課題を解決しているのか」を見定めることをおすすめします。
例えば、解決するユーザーのニーズが「おしゃれな植物が買いたい」なら、オファー機能よりも「どうすれば、ユーザーが欲しい高品質の植物を出品してもらえるか」に注力すべきです。
プラットフォームは出品者がゴミのような商品を出しても掲載してしまいます。出品者が売れる商品を出品してもらえるような機能をまず作るべきかもしれません。
・失敗するプロダクトは、ユーザーが欲しくない機能を多く開発してしまい、投下した初期費用を回収できないまま、ユーザーが定着せず、撤退してしまうことが多いです。
②ユーザーのニーズを捉えていないように思えます。
・SNKRDUNKをベンチマークにしているようですが、果たして植物でもSNKRDUNKのようなサービスが成り立つかどうか、検討が必要かと存じます。
・そもそもヤフオクやメルカリ、SNKRDUNKのような価格が変動するサービスには、その理由があります。
スニーカーはそもそも商品が人気によって価格が変動するという特性を持っています。
年代物や限定品は価値が高まる特性は、アート作品と同様に、もはや資産としての価値もあります。
果たして、この特性が植物にも当てはまるのでしょうか。
植物のECプラットフォームに、ユーザーが求める価値は、例えば「おしゃれな植物を買いたい」かもしれないですし、「安く、部屋に植物をおきたい」かもしれません。
業者向けにするなら「市場にしかないような、そこらでは買えない植物を買いたい」「大量発注したい」かもしれません。
・ユーザーが植物をオファーする、という形式がどうワークするのかを、検証すべきです。
①でも記載した通り、まずはプロトタイプを安価に構築し、ユーザー(マーケット)が求めるサービス・プロダクトの在り方を検討すべきかと存じます。
・レイアウトも「ぱっと見で使いやすく」であれば、機能を絞って、ユーザーの求める価値を最速で届けることをおすすめします。
長文になりましたが、ぜひlovwpeach様のプロジェクトが成功することを願って、私の経験と知見をお伝えさせていただきました。
もしプロダクト開発やシステム開発、UI/UXデザインの知見が必要であれば、今後、お気軽にご相談くださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします。