「幼児向け絵本のストーリー製作！採用確約アリ」へのTOSHI@JB-GDMさんの提案一覧

行間が広くなっている箇所で改ページの区切りとなるイメージになります。宜しくお願い致します。
↓（以下タイトルと本文）↓

「赤ちゃんと3匹の動物」


鳥や飛行機が飛んでいる空の奥また深く
ふわりふわりと金色の雲が泳いでいます。
その雲の上に乗っているのは
神様と生まれるまえの赤ちゃんたち…
地上に生まれてくる赤ちゃんは
ここからやって来るのです。

泳いでいた雲がスピードを緩め静かに優しく止まりました。
神様が地上へ生まれに行く赤ちゃんを決める時がきたようです。
「さあ、ここでひとり誰かにいってもらおうかの」

「ではお前にしよう」
神様はそう言い、一人のあかちゃんを抱き上げました
前髪のカールが特徴的な澄んだとび色の瞳を持った子です。

神様は赤ちゃんを左腕で抱きながら指さしました。
「お前が行くのはあの家じゃ」
雲の間から見えるのは赤い屋根の2階建てのお家－
お父さんとお母さんと女の子がひとりの3人家族のようです。

「この道をいくんじゃよ」
神様が地上へ向かって杖を振ると雲からその家まで
きらきらと輝いた道ができました。

「さあ、お行き…」
赤ちゃんはその道をハイハイしながら生まれる家を目指します。
地上へ生まれるための旅の始まりです。

最初は元気よく張り切って進んでいた赤ちゃんでしたが…
なだらかな一本道とはいえ、長い距離を行くのはさすがに疲れます。
「もう疲れちゃった…」そう思い引き返そうとすると
「僕が一緒にいくからあきらめないで」
現れたのは1匹の白いねずみでした。

「さあ、僕のあとをついておいで」
ひとりと一匹でハイハイちょろちょろ…
それでも赤ちゃんは疲れた気持ちのほうが大きいようです。
「帰りたいよう…」そう思いまた引き返そうとすると・・・

「私も一緒に行くよ。だから帰らないで。」
次に現れたのはひつじさんでした。
「私は後ろからついて行く。疲れたら乗っていいよ。」
ひとりと一匹と一頭でハイハイちょろちょろトコトコ…
時々赤ちゃんはひつじさんをベッド代わりにしながら
道を進んでゆきました。

やがてかすかにに地上が見えていました。
ところが、もうじき生まれるはずの赤ちゃんの表情がさえません。
「やっぱ、生まれるのやめようかな…」
「なにを言ってるの？」
「君は神様に選ばれたんだよ？」
ひつじさんとねずみさんが言いました。
「だって怖いんだ…。」

するとそこへ一匹の龍のこどもがあらわれました。
「じゃあ、僕が君について行って守ってあげる」
「怖いことがあったら、僕にお祈りするといい。」
すると赤ちゃんが尋ねました。
「本当？」
「ああ、本当だとも。」
「きみとぼくは一緒に大きくなるんだよ。」
それを聞いた赤ちゃん…自分はひとりぼっちじゃないとわかり、
再び進み始めました。
ひとりと一匹と2頭
ハイハイ…ちょろちょろ…トコトコ…すいすい…

やがて赤ちゃんたちは赤い屋根の一軒家へ辿りつきました。
「僕たちは家の中まではいけないけど、ずっと君を見守っているよ。」
「元気でね。」
「幸せになるんだよ。」
そう言って、龍の子どもとねずみさんとひつじさんは家のまえで止まると
小さな光の粒になって、庭の大きな木の中へと入って行きました。
 
天から神様の声がします。
「おまえはこれからこの夫婦の子どもとして生まれるのじゃ」
「これがわしの最後の魔法じゃ」
そういって神様が杖をふると赤ちゃんは金色の光の粒になって
お母さんのおなかの中へ消えるように入っていきました。

季節が3回変わりました。
赤い屋根のお家のお母さんのおなかは大きくなって
いまにも赤ちゃんが生まれそうです。
近所のお産婆さんが心配だからと最近は毎日のように訪ねてきます。


「赤ちゃん生まれないね…」
女の子が不安そうにお父さんに語ります。
「大丈夫、もうすぐ生まれてくるよ。」
お父さんは女の子の肩を抱きました。

おぎゃあ　おぎゃあ
神様のところからやってきた赤ちゃんは
人間の子として今生まれたのです。



「生まれて来てくれたのね…私の赤ちゃん…！」
その女の人は、その子のお母さんになったこと
赤ちゃんが無事生まれたこと
いろんな喜びで嬉しくなり
涙があふれてきました。



「生まれて来てくれてありがとう。これからよろしくね。」