業務効率化を進めるとき、どのような手法があるのでしょうか。業務効率化の基本的な考え方を紹介したうえで、IT活用による業務効率化のアイデアをはじめ、事務作業の業務効率化や人材を有効活用する方法についても触れていきます。
目次
業務効率化の基本は「ECRS」
業務効率化を進めていくうえでは、「ECRS(イクルス)の原則」を基本にするとよいといわれています。「ECRS(イクルス)の原則」はもともと、生産管理の業務改善に使われているものですが、幅広い業界での業務効率化にも活用できます。
Eliminate(取り除く)
まず「E」は「Eliminate(取り除く)」で、ほとんどやる必要性が薄いことや、二度手間になっている作業を洗い出し、不要な業務をなくすことを検討します。たとえば、ほとんど報告のみで終わるような会議をなくす、ほとんど活用されていない資料の作成をやめる、類似資料の作成は片方だけにするといったことが挙げられます。
Combine(繋げる)
つぎに「C」は「Combine(繋げる)」で、類似業務をまとめていきます。たとえば、似たような仕事を2人以上で担当している場合、業務を集約することで効率性を高めます。あるいは、ほとんど同じメンバーが参加する会議を別々の日程で行っている場合、連続して開催することで、会議時間の短縮がしやすくなり、移動時間も省けるのです。
Rearrange(組み替える)
「R」は「Rearrange(組み替える)」で、業務の作業手順や方法、担当者や作業場所を変えることで、業務効率化を図っていくものです。たとえば、定期的に訪問している顧客の訪問順序を組み替てルートを変更すると、時間の短縮が図れるケースがあります。
また、会議の終了後に作成していた議事録の作成を会議中に進めていく、企画後に作成してから上長がチェックして修正していた資料を企画段階で上長が確認するといった例も挙げられます。
Simplify(簡素にする)
そして、「S」は「Simplify(簡素にする)」で、業務を単純化できないか検討します。たとえば、上長に報告書を提出したものを共有するシートへの簡単な記入で済ますなど報告を簡素化するという例が挙げられます、また、社内の会議でのプレゼンテーション資料であれば、PowerPointで過剰に手をかけるのをやめることも、業務の効率化につながるアイデアです。
IT活用による業務効率化のアイデア
IT活用によって、業務の無駄を省いて、業務効率を飛躍的にアップできることがあります。
グループウェアの導入
グループウェアには、メールや掲示板、スケジュール管理、ワークフロー、ファイル共有といった機能があります。グループウェアを企業や部署単位で導入すると、情報共有やコミュニケーションを効率よく行うことができます。グループウェアはサービスによって、機能や料金プランに違いがありますので、導入の目的や予算に合ったものを選ぶことが必要です。
WEB会議の導入
WEB会議を導入することで、会議に出席するために遠方か移動する人の交通費や宿泊費などのコストをカットできます。また、移動せずに会議に参加できることで、移動時間のロスがなくなり、スケジューリングもしやすくなることもメリットです。
従来のテレビ会議は、カメラやマイク、テレビと専用のシステムが必要でした。一方、WEB会議は、カメラとマイクを内蔵しているパソコンとインターネット回線さえあれば、ビデオ会議ツールを使って簡単に導入できます。
データベースの構築と活用
多くの企業でデータベースが構築されているのは、顧客情報や在庫情報です。これらのほかに、たとえば、顧客からの問い合わせ事例をデータベース化しておくと、類似の問い合わせがあったときに、時間をかけずに回答ができるようになります。
また、担当者以外が回答するときにも、一定の質で回答することが可能です。個人が情報を管理していて、属人化している作業がある場合、データベースを構築して情報を共有することで、業務効率化が図れないか検討してみましょう。
事務作業を効率化するアイデア
煩雑な事務作業は、書類のフォーマットの統一やエクセルマクロVBAによる自動化で、飛躍的に業務効率化がアップするケースがあります。
書類のフォーマットの統一
フォーマットが揃っていない書類をもとに、資料の作成や入力業務を行う場合、一枚一枚書類の体裁を確認して、作業を行う必要があるため、事務処理に時間を要しやすいです。また、必要な情報がもれているケースも考えられます。書類のフォーマットを統一することで、チェックにかける時間を短縮したり、次に挙げるような自動化を図りやすくなったりします。
ルーティンワークの自動化
煩雑な入力業務を伴うルーティンワークは、エクセルマクロVBAを使って自動化することで、作業時間を短縮するだけではなく、ミスを防ぐことができます。たとえば、エクセルの元データから請求書を取引先ごとに自動作成する、アンケートの集計作業を自動化する、手入力で作成していたグラフを自動作成できるようにするといったことができます。
人材を有効活用するアイデア
社内の人的なリソースは限られています。人材を有効活用するには、ワークフローや業務マニュアルを作成して業務効率化図る、アウトソーシングを活用するといったアイデアが挙げられます。
ワークフローや業務マニュアルの作成
属人的になっている業務は、担当者によって作業効率に差が生じてしまいがちです。また、頻繁に発生しないためやり方が定着していない業務は、どのように処理したらよいのか、都度、調べることから始めると時間を要してしまいます。こうした業務は効率よく進められるように、ワークフローを決めて、必要に応じて業務マニュアルを作成しておきましょう。
アウトソーシングの活用
多くの工数がかかり、多くの人的リソースを使用している業務は、アウトソーシングをするのも手です。アウトソーシングをすることによって委託費用が発生しますが、社内で処理した場合の人件費と比較して、安く済むこともあります。また、専門的な人材に依頼することで質を担保できる、時間の短縮を図れるといった効果も期待できます。
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まとめ
業務効率化を実施するには、自社の抱える問題を明確にすることが大切です。ここに挙げた業務効率化の基本的な考え方やアイデアを参考に、企業にあったやり方で進めていきましょう。