業務効率化
公開日: 2019.09.19 / 最終更新日: 2020.01.06

AI化によって経理業務はなくなるのか?うまく導入するコツを解説

「AI化によって将来なくなる仕事が出てくる」とメディアで報じられることがあります。そのひとつに経理業務が挙げられますが、AIによって経理業務は本当になくなってしまうのでしょうか。経理業務にAIを導入するコツ、将来の経理担当者が目指していくべき姿などをまとめて紹介します。

そもそも経理業務とは?


経理業務はどの企業でも応用が利く職種であると言われています。その理由として、経理業務はルーティンワークが多いことが挙げられます。

経理業務を3つに分けると、日次業務、月次業務、年次業務です。日次業務は毎日の現金預金の管理や支払い、帳簿の管理です。月次業務は取引先への支払いや給与・建替経費などの社内支払い、月次損益計算書などの経理書類の作成となっています。年次業務は決算書の作成がメインとなり、他に年末調整などが含まれます。

このように、経理業務には一年を通して突発的な業務が少なく、いつどんな業務が必要なのかが予想しやすいという特徴があります。

AIが代替できそうな経理業務とは


では、上述した3つの経理業務のうち、実際にAIが代替できる・すでに代替している業務とは何でしょうか。

日次業務

現金の管理や帳簿への記帳が日次業務にあたりますが、この業務はすでに会計ソフトのAI化が進んでいます。たとえば、毎日記帳する経費項目をAIが覚えて費目を自動仕分けしたり、インターネットバンキングサービスとリンクさせることで銀行口座やクレジットカードの使用履歴を帳簿に自動記帳したりしています。

月次業務

月次業務の書類作成では、試算表や損益計算書などと「にらめっこ」することも当たり前でしたが、これもすでにAIの自動化が進んでいます。なんと、会計ソフトのボタンひとつで試算表も損益計算書も完成するようになっています。つまり、経理業務はほぼすべてAI化できるとされています。

AIが代替できない「例外業務」とは


AIは経理業務のほとんどを代替できることはわかりましたが、本当にすべての業務において人間は必要なくなってしまうのでしょうか。AIには難しいとされる経理の「例外業務」を詳しくお伝えします。

日常業務から派生する処理

例外業務は、会社における月次決算の振替処理などの日常業務にも含まれます。たとえば、契約によっては前受金や前渡金、按分の計上などの振替処理が発生しますが、これらは契約書に則った細かな処理が必要となり、現時点ではすべての作業において人間の手がまったく必要なくなることはありません。ソフトでは一括での処理になるため、正確な対応が難しくなります。

業務上の理由による突発的な処理

会社は通常、請求書の期日を決めているものです。支払い請求書においても「月末締め、翌月末支払い」と支払日を決めて固定してしまうことができます。しかし、この支払日においては、突発的に発生した業務上の理由によって変更しなければならないこともあります。

どんなにAIが経理業務を代行できるといっても、このような「人間による突発的な都合」は発生してしまうものです。こうなったときに、これをまた処理するのも「人間」であり、すべての業務において完全にAIに任せることは難しい所以でもあるのです。

なお、このような処理が発生した場合、そのためだけに経理要員を雇用することや税理士に依頼することは、経費の面から考えても得策ではありません。このような場合の労働力補填として外部リソースの確保(クラウドソーシング)の活用も検討してみましょう。

AIを経理にうまく導入する方法

AIが代替できる仕事もあれば、AIだとしても難しい仕事もあります。では、これからの企業は経理業務においてAIをどのようにうまく導入していくと良いのでしょうか。

AIが実装されたソフトを活用する


出典元:freee

経理にAIを導入する方法としてメジャーなのは、AIが実装されたソフトを活用する方法です。AIが導入されたソフトとして有名なサービスに「freee」があります。freeeは、自動仕分けに関する特許を取得するなど、AI会計ソフトの先駆け的な存在です。

自動学習機能によって利用ユーザーが増えるほどソフト機能がますます向上しており、人間よりも正確に早く答えを導き出せるようになっています。

元になるデータの学習にはERPが必要

AIの特徴は自動学習機能です。つまり開発当初の機能はそれほど高くなく、学習すればするほど高機能化していきます。

元となる学習データにはERPが必要です。ERP(Enterprise Resource Planning)とは経営資産計画と訳されることがありますが、経営に必要な情報の集約システムと言い換えることも可能です。つまり、AIの導入前には、学習させるための素材として自社の情報が必要というわけです。

ERPはクラウド型のものも使えますが、クラウドワークスにはERP導入でのコンサルティングができるフリーランスや、パッケージ開発をしているフリーランスが登録されており、プロとして登録するこのような個人をうまく活用する方法もあります。持っているスキルや経験などをキーワードで絞り込んで検索することで、希望する人材により近い個人を探し出すこともできます。

将来の経理担当者はどうあるべきか?


AIと経理業務についてさまざまな角度から述べてきましたが、ここでは今後の経理担当者が求められる姿を考えてみましょう。

お金関係の問題のときに解決に導ける人

経理の仕事はますますAI化されていくことは間違いありません。その中で経理担当者が生き残っていくためには、AIと同じ仕事ができる人材ではいけないということです。ただ帳簿管理ができるのではなく、帳簿から問題を見つけ出し、それを適切に解決できる能力が求められます。これはAIには難しい能力です。

AIを使う人と使われる人の2パターンに

AIにできることは、代わりが利く仕事ということを表します。もちろん人の手が欠かせない業務は存在するでしょう。しかし、AIシステムさえ入っていれば単純作業はいくらでも替えがききます。

一方で、AIを使いこなしている経理担当者であればどうでしょうか。AIを使って業務の簡素化を図ることで人件費の削減を実現し、AIを使った経営分析を行うことで、経営層を直接サポートすることが可能になるでしょう。将来、経理担当者はこの2パターンになると考えられています。

まとめ

経理業務はルーティンワークが多く、AIに代替されやすい職種であると言われていますが、AI導入にはこれまでの経理担当者の経験と情報が不可欠です。また、将来的に経理担当者が生き残っていくためには、『お金関係の問題を解決に導ける人材』としてAIを使いこなしていくことが重要です。

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伊藤孝介
セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。 マーケティング系ライター歴5年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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