
エンジニアとプログラマーのためのメディアを運営する株式会社ロケッタ。翻訳などの領域でクラウドソーシングを活用いただいています。
ファウンダーでCEOの清水さんに、スタートアップがクラウドソーシングを活用する理由や、利用するうえで工夫されているポイントなどを伺いました。
目次
エンジニア向けのソーシャルメディアを運営
─ロケッタが手掛けられている事業について教えてください。
「AnyPicks」(現在サービス名:ITnews)というエンジニアとプログラマーのためのソーシャルメディアを運営しています。エンジニア版のNewsPicksといった形態です。エンジニアやプログラマーの方が、自分が読んだテック記事やブログを選んでリンク付けし、本人や他の人がコメントを書き込むことで、知識を共有したり、新しいテクノロジーを知ったりするきっかけになるプラットフォームを目指しています。
また、「AnyPicks magazine」(現在サービス名:ITnews)というオウンドメディアも運営しています。こちらは、私たちが海外メディアの翻訳や最新のプロダクトのレビューを書き、情報として紹介するという形のメディアです。
─メディア事業を始めるきっかけは、どういったことによるのでしょうか。
私自身はずっとエンジニアをやっていまして、10年くらい企業に勤めた後、フリーランスのエンジニアを3年くらいやっていました。エンジニア向けのメディアの媒体やSNSが増えていく中で、自分で追いかけていかなければならない技術情報はたくさんあるのですが、情報が分散されているという現状がありました。
とくに、ブロックチェーンなどの最新技術を調べるときは、国内だけではなく海外の情報が主体になっていたり、SNSに上がった情報を正誤含めて自ら探さなければならないことを痛感したのです。
そのような体験から、読者の間で「こういう記事良いよ」と「いいね」し合える、そういった形のメディアが欲しいなと思いました。自分自身が使いたいという思いから、このメディアに取り組んだ次第です。
─何名くらいの体制で会社を運営されているのでしょうか。
6人ですね。フルコミットしているのは、私と創業メンバーの2人です。残りの4人は他に自分の仕事を持ちながら、副業として参画していただいています。それぞれ、アプリ開発、マーケター、デザイナー、サーバーサイドのエンジニアで、専門性を活かしてプロフェッショナルに取り組んでくれています。
そこに+αでクラウドワークスを活用しているので、非常に安定して運営できています。
翻訳などアウトプットをイメージしやすい領域でクラウドソーシングを活用
─クラウドソーシングはどのような領域でご活用いただいているのでしょうか。
マガジンのほうでクラウドワークスを使っています。海外メディアでブログを掲載されている方から許諾をもらった記事の翻訳作業を依頼しているのがメインです。
それ以外には、弊社のマガジンをQiitaにも転載しているので、マークダウン形式に書き直して入稿する作業もお願いしています。
─1ヶ月にどのくらいのボリュームで発注されていますか。
翻訳は月に10~15本、1本1,500~2,000語くらいです。
─クラウドソーシングを使い始めたきっかけを教えてください。
スタートアップで本当に資金が少ない中で複数の多くの業務をこなさないといけないというときには、最初の選択肢はクラウドワークスなどのクラウドソーシングになってきます。そういう意味では、当たり前のように利用を始めたのがきっかけですね。
スタートアップは流動的ですので、事業がピボットする可能性もありますし、メディアの数字がとれなくてやめることもあり得ます。しかし、はじめなければ結果はわかりません。今回は翻訳者が必要でしたが、それを自社で集めて抱えるよりも、クラウドソーシングを使ってプロの方々をスポットで雇うのは、すごく筋が良い戦略だと考えています。
─クラウドワークスをご利用いただいている方の中にも、クラウドソーシングを活用するか判断に迷うとお聞きすることがあります。クラウドワークスで依頼するというのは、すぐに判断されたのでしょうか。
0.5秒で決めました。(笑)翻訳や入稿の業務はアウトプットのイメージがもう確実に決まっているので、クラウドソーシングしやすいと思います。
どんな形で誰がやっても同じアウトプットになる業務は、全部クラウドワークスでお願いしていますね。考えないといけない部分は、私たちの方で編集しています。
小さく始めるスタートアップにメリットが大きい「クラウドソーシング」
─実際にクラウドワークスをご活用いただく中で、メリットに感じていられる点はありますか。
スタートアップは本当に人がいないですし、開発をしながらメディアの運営にたくさんの時間を割く余裕はないので、自分では手が出せない部分を丸ごと全部お願いできるのは非常にありがたいです。自分のイメージしたものが上がってくる、しかも早いペースで上がってくるという点ですごく信頼できるので、大きなメリットだと思います。
さらに、スタートアップはスピードも求められます。たとえば、「メディアを立ち上げます、人を雇います」という順番ではどうしても遅すぎます。私たちファウンダーで、走りながら形にしていく。そして、ある程度数字が上がってきたら人を採用していこうという仕事のやり方をします。とはいえ、初動の部分は絶対にファウンダーだけでは回らないので、「+クラウドソーシング」というのはやはり鉄板ですね。
スピード感のあるコミュニケーションで信頼関係を構築
─専門性の高い分野の翻訳ですと、ただ翻訳ができる人では対応するのが難しいイメージがありますが、クラウドワーカーさんを選定する際に工夫しているポイントはありますか。
そうですね。翻訳は、元エンジニアやIT企業に所属した経験がある方とか、英語力だけではなく、システムに対する知識を兼ね備えている方を選んでいます。全体から見るとこういった分野の翻訳に対応できるクラウドワーカーさんは少ないかもしれませんが、依頼したいボリュームに対して人数が足りないというほどではありません。
都度募集をかけるという形ではなく、翻訳を依頼して品質がよかった方には、個別にスカウトをかけて継続してお願いすることで品質を担保できています。
─クラウドワーカーさん側から見ていろいろな案件がある中で、継続して仕事を受けていただくために意識していることはありますか。
早いスピードでコミュニケーションをとっている点ですね。クラウドワーカーさんから、「ここを翻訳するとこうなります」「ここを翻訳したかったらどうなりますか」といったメッセージが結構な頻度で来るのですが、基本的にリアルタイムで返すつもりでコミュニケーションをとっています。こちらも時間がないですが、クラウドワーカーさんもいろいろな仕事をされていて、一つの案件に時間をかけていられないでしょうし。
あとは信頼感ですね。コミュニケーションをしっかりとることで、お互い気をつけてあげようと思う部分が生まれると思います。頑張ろうと意欲的に取り組んだり、納期よりも早く仕上げていただいたりする方が多いのは、コミュニケーションがあるから成せる技ではないかと思います。
─クラウドワーカーさんとのコミュニケーションが重要なのですね。
コミュニケーションはとても重要だと思います。ビジネスの世界すべてに共通すると思いますが、ただ仕事ありきで「お願いします」「できました」っていう関係性ってすごくドライですよね。結局、仕事は人と人の付き合いなので、その中で重要なのは、この人と一緒にやりたいっていう感情だと思います。創業メンバーも過去一緒に仕事をしてきた方が多く、信頼関係が築けたからこそ、今があると思っています。
─クラウドワーカーさんを選定されるうえでのポイントは他に何かありますか。
最終ログイン日時を結構見ています。たとえば、最終ログイン日が3日前のクラウドワーカーさんには(スピード感があわないので)依頼はしないですね。
一人で抱えているものが本当に多く、メディアにかけられる時間は限られているので、リアルタイムで返事が欲しいことが多々あります。スピード感のあるコミュニケーションはこちらも求めている点でもありますね。
─クラウドワークスをお使いいただくうえで、他に工夫されている点はありますか。
完成イメージがわかるようなものを先にお渡しするようにしていることですね。翻訳の場合は、以前に翻訳していただいた方の成果物の記事と原文、翻訳サイト記事、一切のドキュメント資料をセットにして渡して、完成イメージや作成の流れがわかるようにしています。入稿の場合は、「こういうイメージでつくってください」というアウトプットイメージがわかるようにし、原文に「ここはいります」という指示を割と細かく入れて、ドキュメント化して依頼しています。そうすることによって、自分が想像しているアウトプットが実現できています。
あとは、グーグル翻訳を使ってもらって構いませんと伝えていることで、ワーカーさんの負担を減らして、短納期で安くやっていただきながらも、品質を担保できていると思います。
自社で賄えない部分はクラウドワークスで
─最後に今後、クラウドワークスの活用を検討されている領域はありますか。
メディアを運営していますので、デザインや開発の部分で抱えきれない部分を依頼できたらよいかなと考えています。
私たちは資金調達の面ではまだエンジェルラウンドで、規模としては大きくないのですが、これからどんどん成長していく中で、自社で採用しても賄いきれない部分が出てくるので、都度すべてクラウドワークスにお願いしたいと思っています。