外注ノウハウ
公開日: 2020.08.26 / 最終更新日: 2021.07.19

【簡単解説】オムニチャネルとは?メリットや企業の成功事例も紹介

「オムニチャネル」という言葉を聞いたことがある人は一定数いても、意味や具体例などを説明できる人は少数派かもしれません。今回は、オムニチャネルの意味や類語、メリット・デメリットや成功のための施策、実際に導入した企業の成功事例などを解説・紹介します。

【簡単に説明すると】オムニチャネルとは?


オムニチャネルという名称には、「オムニ」=「全部」、「チャネル」=「流通経路」という意味があります。ここでは、オムニチャネルとはどのようなものか簡単に説明します。

わかりやすく言えば「顧客への販売戦略」

オムニチャネルとは、顧客情報の共有によって複数のチャネル(流通経路)を連携させ、ユーザーへ多角的にアプローチするマーケティング戦略のことをいいます。企業とユーザーの接点となる「商品の閲覧・購入・受け取り」などのアクションを実店舗やスマートフォン、コンビニといったさまざまな場所で行えるようにし、顧客満足度の向上を図ることを目的としています。オムニチャネルをわかりやすく言い換えるのであれば、「顧客への統合的な販売戦略」ということになります。

導入事例が多いのはアパレル業界

オムニチャネルはデパートや大型ショッピングセンターのほか、アパレル業界でも導入が進んでいます。具体的な取り組みとして、PCやスマートフォンから商品を探すことができ、オンラインで注文したものをコンビニや駅のロッカーで受け取れる仕組みなどが挙げられます。また、実店舗に足を運んだ際には位置情報をもとにポイントやマイレージがたまるなど、ユーザーの興味を惹きつつリピーター獲得につながるような戦略も展開されています。

オムニチャネルを導入した企業の成功事例については、のちほど詳しくご紹介します。

オムニチャネルと類似ワードとの違いは?


オムニチャネルと類似の用語として、「マルチチャネル」や「クロスチャネル」があります。また、販売戦略に関連する「O2O」「OMO」などの用語を耳にすることもあります。以下では、それぞれの意味や事例などを紹介します。

マルチチャネルとの違い

マルチチャネルとは、オウンドメディアやSNS、実店舗といった複数のチャネルを活用することで、マルチにユーザーとの関わりを増やす戦略のことです。ただし、それぞれのチャネルは独立しており、顧客情報の管理や共有は基本的に行いません。この点がオムニチャネルとは根本的に異なります。

クロスチャネルとの違い

マルチチャネル化によって企業とユーザーとの接点が増えると、商品の在庫や顧客情報の管理は煩雑になります。この課題を解決するために複数チャネル間のシステムを連携させ、在庫・顧客情報を管理しやすくしたのがクロスチャネルです。そして、クロスチャネルをさらに発展させ、複数のチャネルそのものを統合して一貫性のあるサービスを提供できるようにしたものがオムニチャネルです。つまり、マルチチャネルからクロスチャネル、そしてオムニチャネルへ販売戦略が進化をたどったといえます。

O2O、OMOとの違い

O2Oとは「Online to Offline」の略で、オンライン上のアクション(スマートフォンでクーポンを配布するなど)によって、オフラインの購買行動(実店舗へ足を運んでもらうなど)を促す戦略です。アクションが行われる場所はECサイト・総合ショッピングサイト・グルメサイトなどとさまざまであり、オムニチャネルのように複数チャネルが密接に連動しているとは限りません。

一方、OMOは「Online Merges with Offline」の略であり、”オンラインとオフラインを融合する”ことを意味します。オンライン・オフラインという境界にこだわらず、双方で得た購買情報・消費行動などを集約してユーザーの「顧客体験の向上」につなげる施策です。たとえば、食品に付属しているQRコードをスマートフォンで読み込むと産地や加工地、栄養価などの情報を見ることができ、その食品を使ったレシピに必要な食材や調味料を同時購入できるといったサービスが挙げられます。ユーザーが行った閲覧・検索・購入などの情報は蓄積され、さらに個人の好みに合う情報の提供に活用されます。

オムニチャネル導入に成功した企業の事例は?

続いて、オムニチャネルを導入し、成功した企業の事例を紹介します。

自社の物流ノウハウがある「イオン」

イオン株式会社は、2018年に物流システムとAIを活用した顧客提案のノウハウがある米国のベンチャー「Boxed」へ出資し、円滑な物流システムや顧客データの活用ができるベースを作りました。

また、オムニチャネル施策の受け皿となる会員制サイト「イオンドットコム」も開設しました。イオンや系列会社の実店舗で使えるWAONポイントと交換可能な「ネットWAONポイント」が貯まる仕組みを採用し、ユーザーに利便性を提供することにも成功しています。

顧客の利便性向上を目指す「りそなグループ」

りそな銀行をはじめとする「りそなグループ」では、消費者にとっての利便性を第一に掲げた「銀行流オムニチャネル」の実現を目指し、支店窓口以外のチャネル拡充に取り組みました。

2012年には年中無休かつ夜7時まで営業する「セブンデイズプラザ」という拠点を構築し、2015年には店舗並みの接客が受けられる「チャット機能」を導入しました。リアル店舗・インターネット店舗の双方でチャネルを増やして顧客情報を一元管理し、顧客の嗜好に合った情報の提供にも注力しています。

統一的戦略で成功した「メイシーズ」

オムニチャネル化の先駆者といわれるアメリカの百貨店・メイシーズ (Macy’s) は、「顧客とのつながりを深め、顧客がいつでも・どのようなやり方でもメイシーズにアクセスできるようにする」という理念によるオムニチャネル化を行いました。

すべてのチャネルをマーケティング部門が握り、店員へのモバイル機器の配布、無線ICタグの採用、インターネット在庫からの欠品商品の直配などといった統一的戦略を導入しました。その結果、消費者へ商品を最短・最速で届ける仕組みの構築に成功しています。

オムニチャネルのメリット・デメリットは?


では、オムニチャネルを導入した企業にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

売上や顧客満足度の向上

オムニチャネルを導入すると、実店舗やWebサイト、SNSなどさまざまなチャネルからのユーザー流入が増え、売上の向上が期待できます。また、どのチャネルからでも希望商品の在庫確認ができる、同一のユーザーIDで複数のチャネルにログインできるなどといった利便性から、顧客満足度の向上にもつながります。

業務の効率化、コストの削減が可能

オムニチャネルでは顧客や商品の情報が一元管理されるため、各チャネルの業務を効率的に行うことができます。情報確認を行う手間やタイムラグをなくすことができ、在庫や人件費の削減にも役立ちます。

組織同士の連携やシステム統合が困難

オムニチャネルを導入する際、各チャネルの体制や方針によっては他チャネルとの連携が難しい場合があります。また、オムニチャネルで情報の一元管理を行うためには、各チャネルのシステムを統合する必要があります。新システムの導入や既存システムの入れ替えには大幅な時間とコストがかかるだけでなく、システム統合が完了するまでの期間は従来の業務に不便や支障が生じる可能性もあります。

顧客情報の管理・分析が困難

オムニチャネルを運用していくには、顧客情報の管理・分析が不可欠です。導入に際して多額の投資を行ったとしても、顧客情報を適正に管理・分析できなければ業績の向上を望めない点がデメリットといえます。また、オムニチャネルにおいてはユーザーのさまざまなデータを一元管理する必要があるため、厳重なセキュリティ対策も求められます。

オムニチャネル成功のカギは外注の活用


オムニチャネルのデメリットは、適切な対策によって解消することが可能です。導入時の大きな課題といえるチャネル同士の連携やシステム統合については、ITの専門家へコンサルティングを依頼することが効果的です。また、顧客情報の管理・分析は専門的かつ負担の大きい業務であるため、社内にリソースが不足している場合は信頼のおける委託先へ外注するという方法があります。社員の負担が軽減され、オムニチャネルの運用や経営にかかわる業務に専念できるというメリットが得られます。

コンサルティングや情報管理などの業務を別々の事業者へ依頼することもできますが、クラウドソーシングサービスなどを活用することでスムーズな人材探しが可能です。条件や希望スキルを指定してクラウドワーカーを検索することができるため、依頼したい業務とのミスマッチが起こりにくいという利点があり、複数の事業者へ依頼するよりコストを抑えることもできます。契約後はITや情報分析のプロフェッショナルに相談しながらオムニチャネルの導入・運用を行うことができるようになるため各課題を解決しやすく、長期の依頼も可能です。

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まとめ

オムニチャネルとは、複数のチャネルを統合して情報管理や運用を行う販売戦略の一種です。導入すると売上や顧客満足度の向上が望める反面、組織連携やシステム統合などに課題を抱えるケースも少なくありません。課題の解決にはさまざまな方法がありますが、外注によって社外の人材に頼るのも有効です。必要に応じて検討してみましょう。

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伊藤孝介
セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。 マーケティング系ライター歴5年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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