インターネットの普及やEC市場の拡大により、ネットショップを開業することのハードルは下がりつつあります。とはいえ、初めてネットショップを開業する場合、どのような流れで開業準備を進めれば良いのか想像しにくいものです。そこで、ネットショップ開業の際に必要な準備と開業の流れ、開業方法などを詳しく解説します。
目次
ネットショップ開業時に必要な準備・開業の流れ
ネットショップの開業を決めたら、どのような準備をしていけばよいのでしょうか。開業の流れに沿って解説していきます。
売りたい商品・店名・コンセプトの決定
まずは、売りたい商品・サービスを決定します。すでに実店舗があるような場合はある程度の方向性が固まりやすいですが、そうではない場合は何を売りたいのかを決めるところが第一ステップです。また、既製品を仕入れするのか・オリジナル製品を販売するのかによっても今後の流れは大きく異なります。
ネットショップで扱う商品の方向性が決定したら、続いて店名の決定やコンセプトの明確化を行います。「コンセプトの明確化」とは、簡単にいえば「お店のキャラクター設定をすること・性格を決めること」です。
たとえば「ワイン好きのためのワインの専門店」だけではコンセプトやターゲットが不明瞭ですが、「ソムリエ資格保持者の店長が厳選した2500種類以上の日本最大級ワイン専門店」となるとコンセプトやターゲットがイメージしやすくなるはずです。商品を必要とする人はどのような人か・お店としてどのような価値を提供できるのか分析し、ターゲットを絞り込んでいきましょう。
店名はシンプルで覚えやすく、独自性があるものがおすすめです。また、利用者がGoogleなどの検索エンジンで検索したときに検索結果の上位に表示されないことには集客は難しいといえるため、SEOを意識した店名にすることもポイントです。
ネットショップの出店形態の決定
ショップの店名やコンセプトが固まったら、続いて出店形態(売り場)を決定します。ネットショップの出店形態は「モール型」「ASP型」「パッケージソフト型」「システム構築」の4つに大きく分かれます。それぞれの違いや特徴、メリット・デメリットについては次章で詳しく説明します。
決済方法の決定・導入
ネットショップの出店形態を決めた後は、決済方法の選定や導入を行います。ECによる利用者数が7割を占めるとされるクレジットカード決済はもっとも優先すべき決済方法といえますが、一方で「コンビニ後払い」と「代金引換」はクレジットカードを保持していない人が決済しやすい方法となるため、この3つは最低限押さえておくべきでしょう。
出店先のサービスやプラットフォームなどによっては特定の決済方法に対応できない場合もあるため、導入したい決済方法が対応しているのか事前に調べておくことが重要です。
販売ページの整備・商品配送の準備
次に、販売ページの整備や商品配送の準備を行います。ページ構成を検討する際は事前に設計図を作り、あらかじめ決定していたお店のコンセプトに合うレイアウト・デザインにします。
お店の看板となる部分のほか、TOPページ・商品一覧ページ・各商品ページ・利用方法の案内ページ、特定商取引法に基づく表示やプライバシーポリシーのページなどを決めていきましょう。また、お店誕生の背景を紹介するページやブログ運営などは、よりお店のコンセプトを際立たせるのに役立ちます。
それにくわえ、商品の配送準備も重要です。配送会社によって設定しているルールに差があるため、よく比較・検討しましょう。なお、小さめな商品ならば宅急便コンパクト、厚みのない商品ならばネコポスやスマートレターなど、商品のサイズや重量から配送会社を選択していくのもおすすめです。
SNS・広告・検索などから集客
ここまで説明した準備を入念に行っていても、どれだけ素晴らしい商品を取り扱っていても、ユーザーが集まらなければネットショップ開業に成功したとはいえません。ユーザーのほうからお店を見つけてもらうためには、SNS運用を行う・広告を出稿する・検索エンジン対策(ブログを書く、SEOを意識した商品名にするなど)が有効です。
SNS運用は、TwitterやLINE@などを活用することで、ネットショップの開業を知らせるコメントの発信や割引クーポンの配布などを行いやすくする効果があります。商品写真をよりアピールしたい場合はInstagramを運用するのもおすすめです。また、Googleなどの検索結果に表示させることができるリスティング広告、FacebookやInstagramなどのSNS上から出稿できる広告なども、高い集客効果が期待できます。
ネットショップを開業する4つの方法
上でも説明しましたが、ネットショップを開業する方法は大きく分けると4つあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットなどを解説します。
モール型
モール型とは、複数のネットショップが集まったオンライン版のショッピングモールに出店する方法のことです。食品・衣料品・家電製品などの幅広い商品を取り扱うことから多くのユーザーが一気に集まるため、高い集客力があるのが特徴です。主要サービスとしては、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。
モール型を選ぶメリットは、モールの知名度を活用して出店できるため、集客しやすいことです。また、ネットショップ運営に必要な機能などが予め備えられており、初心者でも開業しやすいという面もあります。その反面、モールのルールに則った運営が求められるため販売ページの独自性を打ち出しにくい、出店数が多く競争率が高いなどのデメリットがあります。
ショッピングカート型(ASP型)
ショッピングカート型は、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)カートともいわれ、ウェブブラウザ上からネットショップを開業したり運営したりできるサービスを使って出店する方法です。サーバー・ショッピングカート・商品ページ生成機能などがすべてまとまって提供されているASPカートもありますが、中にはショッピングカート部分(受注部分)だけを借りられるようなASPカートもあります。
ショッピングカート型も開業に必要な機能がパッケージ化されているというメリットがありますが、それにくわえ、モール型に比べ競争率が低い・月額費用を抑えることができる・販売ページの独自性を出しやすいなどのメリットもあります。ただし、モール型のようにモール自体の知名度の高さを活用できないため、自力での集客が欠かせません。
こちらの記事は、モール型とカート型の違い、無料カートと有料カートのメリット・デメリットなどを紹介しています。
関連記事:ネットショップ開業のおすすめは?モールとカートならどっちが合う?
パッケージソフト型
パッケージソフト型は、ネットショップの開業に必要な機能を搭載している構築ソフトを活用して出店する方法です。開業準備から運営にいたるまでの必要なシステムがパッケージ化されているうえ、そこからカスタマイズを行えるため自社オリジナルのページを構築しやすいという特徴があります。
パッケージソフト型のメリットには、デザインを変える・外部システムと連携するなどのカスタマイズ性の高さや、次に紹介する「専用システム構築」に比べて大幅にコストを抑えられるという点が挙げられます。また、ASPはブラウザ上からサービスを利用(レンタル)しますが、パッケージソフトであれば独自構築できるというのもメリットです。
その反面、初期費用としてまとまった金額が発生します。初期費用だけで数百万円程度が発生することもあるため、年商が億越えの企業が大規模ショップの開業を目指すなどというケースに該当しない場合、費用対効果は低いかもしれません。また、ソフトウェアによって、3~5年に1回はシステム更新のための費用が発生することもあります。
専用システムを構築
専用のシステムを構築することは「フルスクラッチ」ともいい、アプリやシステムを使わず文字通りゼロからシステムを構築することをさします。コンセプトやターゲットに合うネットショップを自由に構築できることが特徴です。
レイアウトだけでなくデザインや搭載機能を自由にカスタマイズでき、上で紹介したパッケージソフトでも対応できないような機能・要件なども備えられるのはメリットです。ただ、初期費用だけでも数千万円以上が必要になる可能性があること、コーディングなどの高度な知識やスキルが求められること、システム改修などのたびに大きなコストが発生することなどはデメリットといえます。
ネットショップ開業・開設ならクラウドワークス
ネットショップの開業や開設準備を外注するなら、クラウドソーシングサービスのクラウドワークスがおすすめです。ネットショップ開設時に発生する作業を一部、もしくは全部依頼できるほか、開業後の運営・保守などを依頼できる人材を探すこともできます。
クラウドワークスには、商品を撮影するカメラマン、Webデザイナー、コピーライターなどのさまざまプロが登録しています。商品画像の撮影・加工、ネットショップのロゴ作成、店名の募集など、自社内ではまかなえない分野、プロの手を借りたい分野など、業務内容によって自由に外注することが可能です。制作会社への依頼に比べてコストが抑えられる可能性があること、個人への依頼となるためスピーディに対応してくれる可能性があることもポイントです。
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まとめ
ネットショップを開業する場合、どの出店方法を選択するのかによって必要となる初期費用が異なることはもちろん、ネットショップの構築の流れや集客に必要な準備なども大きく変わります。どれだけのコストを投入できるのか、開業の難易度はどのくらいなのかを総合的に判断し、適切な開業方法を選びましょう。