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公開日: 2023.06.26 / 最終更新日: 2023.12.28

VRIO分析の導入で経営戦略を改善!使える手法や概念をわかりやすく解説

VRIO分析とは、企業が自社の課題や特徴を把握し、経営戦略を立案するためのフレームワークです。1991年に、アメリカの経営学者ジェイ・B・バーニー氏によって考案され、企業が自社の内部要因を評価するプロセスで活用されています。本記事では、VRIO分析を経営戦略に導入し、事業を改善する方法をわかりやすく解説します。

VRIO分析を構成する4つの観点

VRIO分析は、Value(経済的価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)という4つの視点から企業の経営資源を評価し、自社の強みや弱みを分析するスキームです。VRIO分析を行う際には、4つの評価項目をYESかNOかで順序立てて評価し、一覧表やフローチャートを活用して可視化することで分析を行います。以下ではVRIO分析を構成する4つの観点を紹介します。

経済的価値(Value)

VRIO分析において最初に判定を行うのは、自社のValue(経済的価値)です。Value評価では、企業の経営資源が顧客や社会に対して経済的価値を提供しているかどうかを客観的に判定します。具体的には、会社の建物や設備、人材などのような「企業が保有している資産」を評価し、他社より競争力があるかどうかの判断材料とします。

希少性(Rarity)

続いて、経営資源の希少性(Rarity)について評価を行います。希少性が高ければ、商品やサービスに独自性が生まれやすい・競争市場の中でも差別化が図りやすいといった利点があり、ビジネスを有利に進めることができます。

模倣可能性(Imitability)

模倣可能性(Imitability)評価では、競合他社が容易に模倣できるかどうかという視点をYESかNOで判定します。希少性とも深く関連する観点ですが、模倣が困難であればあるほど自社の優位性が継続する可能性が高くなると言えます。

組織(Organization)

組織(Organization)の観点では、企業内の仕組みや管理制度・報酬制度など、経営資源を積極的に活用できる組織であるか否かを評価します。上記の3つのプロセスでは経営資源のポテンシャルを評価しているため、それらを活かせる組織の体制ができているかどうかを最終的に判定するフェーズとなります。仮に他の評価に「NO」があったとしても、内部環境を強化することで組織の長期的な安定が期待できます。

VRIO分析を行う際に一緒に活用すべきフレームワーク

上述の通り、VRIO分析は「企業のゴールを設定し自社の経営資源を把握した上で、4つの視点から分析を進める」というシンプルなフレームワークです。VRIO分析を行う際には同時に他の手法を取り入れることもでき、ニーズに合わせた分析結果を得るために効果的です。VRIO分析とあわせて活用すべきフレームワークを以下に紹介します。

STP分析

STP分析は、最初におさえておきたい基本的なマーケティング手法です。セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(市場の選定)、ポジショニング(市場における立ち位置の明確化)という3つの視点から、効果的な事業展開を行うことを目指します。VRIO分析とSTP分析結果を組み合わせることで、より多角的な視点から事業を分析することができます。

SWOT分析

SWOT分析は、企業を取り巻く外部環境と企業を構成する内部環境を、強み(Strength)、弱み(weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Treat)の4つの項目で要素分解することで、経営戦略やマーケティング施策を策定するためのフレームワークです。SWOT分析により、外部環境だけでなく、内部環境についても事業の改善点や将来的なリスクを見つけ出すことができます。

3C分析

3C分析とは、市場や競合など外部要因の分析を通じて企業の戦略策定につなげるためのフレームワークで、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの環境要因を整理し分析する手法です。3C分析でマーケティング環境を取り巻く重要情報を把握し、VRIO分析と組み合わせることで、独自の強みを強化するマーケティング施策につなげることができます。

バリューチェーン分析 

バリューチェーン分析は、企業の事業活動を可視化することでプロセスに付加価値を見出す分析フレームワークです。原料の調達から商品の製造、出荷、販売、サービスという工程を「価値の連鎖」として分析します。バリューチェーン分析とVRIO分析を組み合わせることで、プロセスごとの強み・把握をすることができ、各部門への経営戦略・目標の落とし込みもしやすくなるでしょう。

RBV

VRIO分析を行う際には、自社が持っている経営資源を棚卸して把握する必要があります。経営資源の把握のためにはRBVというアプローチ法が有効です。RBVは、リソース(Resource)、ベースト(Based)、ビュー(View)の頭文字を取ったもので、企業が経営戦略を考える際に「外部要因ではなく、企業が持つ固有の経営資源を基にして考えるべきである」という考え方です。RBVにおける企業内の経営資源として、下記の3つが挙げられます。

  • 有形資産:企業が所有している生産設備や不動産など
  • 無形資産:これまで培ってきたブランドネームや特許など
  • 組織的能力:客対応能力など、組織としての得意領域

VRIO分析を行う際の注意点

VRIO分析は経営戦略を立てるために広く活用されていますが、有効性を高めるためには注意すべき点があります。ここでは、VRIO分析を行う際に気をつけるポイントを解説します。

経営資源の優位性維持

VRIO分析により「競争優位な状態」と判定された場合であっても、優位性が永続的に続くわけではありません。外部環境はめまぐるしく変化し、顧客の価値基準も常に変化しています。望ましい分析結果であっても慢心することなく、時代の風潮に合わせて分析と改善を続けることが重要です。

仮想競合企業の設定範囲・レベル

VRIO分析では相対評価を行うため、仮想競合企業が比較対象としてふさわしいかを見極める必要があります。相対比較を行う仮想競合企業の範囲を広げすぎるとそれだけ分析に時間的および労力的に負担がかかります。また選定によって評価結果が大きく変わる可能性もあります。また同業種の商品やサービスであっても、ターゲットがまったく異なるという場合には比較対象とすることができないことにも注意が必要です。比較対象を誤ってしまうと、適切な分析結果につながらず投資や注力すべき方向性を見誤ってしまう危険性があります。

分析の定期的な実施

VRIO分析は定期的に行うことで効果を発揮するフレームワークです。グローバル化やITの進化によって市場環境は常に変化しており、競合他社の入れ替わりも激しくなってきています。そのため、VRIO分析をはじめとするマーケティングフレームワークは3年ほどの周期で定期的に行い、自社の競争優位性を保つ必要があります。

フレームワークの導入とともに専門人材の活用を

VRIO分析に限ったことではありませんが、デスクでフレームワークを学んだだけで事業が伸びていくことは難しいと言えます。また、用語や手法を知識として理解していても、正しく活用できなければ有効な分析結果を導くことはできないでしょう。導入したい分析フレームワークが複雑なものになればなるほど、自社の人材だけでは有効に活用できないことがあります。せっかく有用なフレームワークを導入するのであれば、知識や経験のある専門人材を活用することをおすすめします。

クラウドソーシングTimes編集部
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