RPAを導入することによって、コスト削減や業務効率化が図れるといったメリットがあることが注目されていますが、デメリットはないのでしょうか。RPAの導入を決める前に知っておくべき注意点や成功事例にも触れながら解説していきます。
目次
RPAを導入するメリットは?
コスト削減が図れる
RPAの導入によって、これまでよりも当該業務に従事する従業員の数や処理にかかる時間を削減できるため、人件費の削減を図れることがメリットです。
RPAの導入にはコストがかかりますが、それを上回る人件費の削減効果があるケースが多いです。
一般的には人件費を25%~50%抑えられるとされています。人的リソースを人間にしかできない、判断を必要とする業務に割り当てることができるでしょう。
業務効率化
RPAの導入は、業務の効率化を図れることもメリットです。RPAは膨大なデータを短時間で処理することが可能であり、1件あたりの処理を短時間で行い、時間当たりの処理件数がアップします。
365日24時間にわたって稼働できるので、作業工程の短縮が図れ、生産性の向上につながっていきます。
人為的なミスを防げる
人間が長時間にわたって入力業務などの単純作業を行うと、次第に集中力が低下しやすいため、ミスが発生してしまいがちです。
一定のルールのもとに行われる業務は、RPAの導入によってヒューマンエラーを防いで、作業の正確性が向上するでしょう。さらに、ミスによる顧客からのクレームを防ぐ効果もあります。
RPAの導入にはデメリットも
ブラックボックス化する恐れがある
RPAの導入した後、担当者が退職や異動をする際に、「RPAを実行する」という引継ぎを行っていくと、RPAの実行のみが業務フローとして引き継がれていきます。
担当者が変わっていくうちに、元の業務プロセスが把握できなくなり、ブラックボックス化する恐れがあります。
誤処理に気づかない可能性がある
RPAツールの導入時に、設定した条件に誤りがあったとしても、システムエラーとならない限りはそのまま処理が続けられてしまいますが、その場合に誤処理に気づかない可能性があります。
発生する可能性としてはたとえば、担当者が処理を変えている条件を見落としている場合や、1年に数回しか起こらないようなレアケースを踏まえずに、条件設定している場合が考えられます。
誤作動するリスクがある
RPAツールには誤作動してしまうリスクもあります。たとえば、基幹システムの変更の際に、システム部門と業務部門の連携が上手くいっていないと、誤作動を起こす可能性があります。
また、クラウドシステムを利用している場合、アプリケーションの仕様変更が行われる際に詳細を理解していないと、誤った処理が行われても、エラー表示が出なければ誤作動に気づかないかもしれません。
業務停止に陥るリスクがある
RPAで実行している業務は、システム障害が起こった際に処理できなくなり、一部の機能が停止してしまうことも懸念点です。
RPAツールがサーバー型の場合は、システム障害によって処理を実行できなくなる恐れがあります。
デスクトップ型の場合には、Windowsの更新の際に、修正モジュールの適用や再起動が実行されることで、処理が気づかないうちに停止することが起こり得ます。
よくある失敗例からみる注意点
業務プロセスを把握しておく
RPAツールの導入担当者が業務プロセスの詳細を把握せずに導入を進めていくと、業務の実態に即した条件設定を行うことが難しいです。
そのため、誤処理によるトラブルが起きてしまう可能性があります。システムの導入後の修正を避けるためにも、頻繁には発生しないイレギュラーな対応が必要なケース等も把握しておくことが必要です。
運用体制を明確にしておく
RPAツールを導入する際には、管理責任者や運用担当者、運用方法を決めておくといったように、運用体制を明確にしておくようにしましょう。
運用方法を決めておかなければ、新しいツールの活用が浸透せず、活用されないことがあります。また、管理担当者を決めてアクセス権限を設定しておくなど管理体制を構築し、不正利用を防ぐことも大切です。
RPAにできないことを理解しておく
RPAはなんでもできる魔法のツールではありません。RPAは一定のルールのもとで運用できる定型業務のうち、一定の人員を必要とする業務に向いています。
システムの導入を決定した後、対象としようとしていた業務への適用が困難であったり、さほど業務の効率化が図れなかったりすると、導入に関わる費用がムダなコストになってしまいます。RPAでできることやできないことを事前に理解しておきましょう。
RPAの自動化に成功した三つの事例
手入力の時間を大幅に削減
A社では入金の消し込み作業が毎日100件以上発生し、手入力で処理していましたが、RPAの導入によって作業時間の大幅な短縮と、単純ミスをなくすことが実現できました。
インターネットバンキングから取引情報をCSVファイルでダウンロードした後、Excelファイルの作成を行い、自社の会計システムに変換して取り込むまでのフローを自動化しました。
雑だった在庫管理を正確に!
B社では小ロットで多品種の商品を扱っていたため、在庫管理が煩雑で担当者によって精度に差があることが課題でした。
RPAの導入によって、正確な在庫管理が可能となり、欠品の防止にもつながっています。RPAツールで、安全在庫数や出荷予定数などのデータを抽出し、毎朝担当者にメールで自動送信しています。
消費者が求めていることを瞬時に理解
C社ではRPAツールの導入によって、消費者側が求めていることをリアルタイムで知ることができるようになりました。
具体的にはRPAによってオンライン上の自社製品に関する情報を自動的に取得し、ホームページ内に新設した比較ポータルサイトに、ECサイトでの価格や送料などをリアルタイムで表示できるようになりました。
まとめ
RPAの導入にはコスト削減や業務効率化、ミスの防止を図れるといったメリットがありますが、安易な導入にはデメリットもあります。RPAの導入に際しては、対象となる業務プロセスを把握した上で、管理体制を構築しておくことが大切です。