
多くの職種は景気の動向などによって就職・求人状況が変化する傾向にありますが、慢性的に人材不足が見られる業種・業界も存在します。今回は、人材不足といわれることが多い業界やその理由、将来的な見通しや人材不足解消の対策などを紹介します。
目次
人材不足といわれる業界とその理由
人材不足といわれるのはどのような業界で、何が要因となって人材不足を招いているのでしょうか。4つの業界について紹介します。
医療・福祉業界
医療・福祉業界では、慢性的に人材不足の傾向が見られます。少子高齢化が進む日本では医療・福祉・介護に対する需要が高く、十分な数の従事者を確保することが難しい状況にあります。医療・福祉・介護の分野は人材育成に時間を必要とすることが多いため、就業者の人数が限られてしまうことも人材不足となる原因のひとつです。
また、勤務時間・休日・給与などの待遇面が十分でないとする見方や、「大変な仕事」という世間的イメージなども人材不足を助長する要因といえます。
運送・流通業界
さまざまな製品の物流を担う運送・流通業界でも人材不足が発生しています。インターネットショッピングや配食・デリバリーサービスの需要拡大に対し、人材の供給が追い付いていないことが大きな原因と考えられます。長距離の配送や夜間の配送を担当するドライバーが自分の裁量で休憩を取りにくい・生活が不規則になりがちといった声も聞かれ、労働環境の悪化が問題視されるケースもあります。
建設・建築業界
有効求人倍率が7を超える(=求職者1人あたり7件以上の求人がある)場合もあり、今後も深刻な人手不足が懸念されるのが建設・建築業界です。危険を伴う作業(高所で行う作業、重機や火気を使って行う作業など)に携わる可能性がある・体力的にハードな現場が多いなどの理由から20代や30代の若年層に敬遠されやすく、離職率も高い傾向にあります。そのため、専門知識や高度な技術を必要とする工程を請け負える人材が育ちにくく、人手不足を加速させるもうひとつの要因となっています。
IT業界
革新を続けるIT業界でも人手不足が起こっています。IT業界では、法令や制度の新設・変更などが生じた場合、関連するシステムの改修を正確かつ迅速に行う必要があります。そのため、即戦力となる人材やスキルの高い人材が常に求められており、未経験者が就業しにくいという一面があります。
また、突発的なシステムトラブルに対応しなければならないケースや、ユーザーがシステムを使っていないタイミング(休日・夜間など)で作業を行わなければならないケースなどもあり、「体調や生活サイクルの維持が難しい」として離職する人が多い点も人材不足の一因といえます。
人材不足の業界は今後どうなる?
続いて、人材不足となっている業界で予想される今後の見通しを紹介します。
各業界における将来の見通し
少子高齢化が進行する限り、医療・福祉業界では継続的な人手不足が見込まれます。外国人の看護師・介護福祉士を育成する取り組みのほか、看護・介護・福祉機器の開発、予防医療の強化、行政による制度の改革など、すでに実施されている対策をさらに強化しながら多面的に対応してゆく必要があるでしょう。
インターネットショッピングやデリバリーサービスのさらなる需要拡大が予想される運送・流通業界では、配送・受け取り方法の多様化によって人材不足を補う動きが見られます。コンビニ受け取りや「置き配(配達物を玄関前・宅配ボックスなどへ置いて行ってもらうこと)」の促進によって再配達の負担が軽減される反面、配送時の盗難・詐欺などの防止が大きな課題となっています。
建設・建築業界およびIT業界では、情報通信技術や人工知能などを活用した人材不足対策が行われています。情報解析による業務効率化・ロボットによる業務代行などを取り入れ、従来より少ない雇用人数で業務を行えるようになった現場もあります。こうした取り組みの結果として、ロボットが代替できる仕事(単純作業、反復作業など)の求人数は減少し、人間しか実施できない仕事(繊細な技術が必要な手作業、状況に応じた判断が必要な障害対応など)の需要は高まることが考えられます。
中小企業の人材不足が深刻化する可能性も
上記の4業界のほか、中小企業全体の人材不足が深刻化する可能性もあります。厚生労働省の調査によると、経営にあたって人手不足の影響を感じている中小企業は約7割にのぼるといいます。現時点で人材不足が生じている原因は企業ごとに異なりますが、少子高齢化によって入社人数の減少・定年退職者数の増加などが加速した場合、今後も人材不足の解消は難しいものと考えられます。
企業単位で人材不足を解消する方法は?
では、企業単位で人材不足を解消するにはどのような手段があるのでしょうか?考えられる方法を紹介します。
業務のデジタル化
まず、システムやツールの導入によって業務をデジタル化し、人材不足対策を行う方法があります。ロボットやAIを活用することで「業務そのもの」の効率化が目指せるほか、売上データの管理や分析、社員の勤怠管理などをデジタル化することで、それらの業務に振り分けるリソースを減らす効果が期待できます。
業務のデジタル化を行う際にはまとまったコストや時間がかかるケースが多いため、経営状況に余裕のあるタイミングで検討すると良いでしょう。
新たな人材の求人・雇用
不足している人材を新たに雇用することも対策のひとつです。優れた人材を獲得できれば、企業の将来にもプラスに作用します。しかし、採用活動には広告費・交通費などの費用がかかり、雇用後は個人に対する給与・社会保険料・各種手当などといった継続的な固定費が必要となります。さらに、即戦力となる人材を採用できるとも限らないため、長期的な育成期間が見込まれるケースもあります。業務のデジタル化と同様に、コスト的・時間的な余裕のある企業に向いた方法といえます。
外注の活用
「人材を増やす」のではなく「業務を減らす」方向で対策を行うために、外注を活用するという方法もあります。企業の売上に直結するコア業務よりも、経理・事務・コールセンターなどの周辺業務(ノンコア業務)をアウトソーシングするケースが多く見られます。外注を行うことで、それまでノンコア業務を担当していた社員もコア業務に専念できるようになり、少ないリソースでも業績の維持・向上がしやすくなります。費用は外注先によって異なりますが、比較的すぐに取り入れられる点も外注のメリットといえるでしょう。
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まとめ
日本では、特定の業界や中小企業において人材不足が発生しています。原因は業界や企業によってさまざまですが、適切な対策によって人材不足の解消を目指せるケースもあります。コストや時間なども考慮しつつ、自社に合った対策を検討してみてはいかがでしょうか。