マーケティング
公開日: 2018.11.22 / 最終更新日: 2020.11.18

ウェブマーケティングの手法・種類とは?認知から購買行動までを解説

消費者ニーズが多様化し、インターネットやスマホの普及で情報が勝手に拡散する現代では、自社の商品を認知させ、購買に至らせるまでの情報手段が、多岐にわたるようになりました。

一方的な情報提供では無く、あらゆる方向における情報交換が可能であるため、従来のマスメディアや新聞、リスティングやバナー広告等の「ペイドメディア(広告費を払うメディア)」のコスパに対する期待は薄れてきています。最近は、「オウンドメディア」と言われる自社のホームページやブログ、「アーンドメディア」であるSNS等によって、自然拡散させるマーケティングが効果的とされています。

そのため、最適な情報手段を使って、自社商品の見込み客をいち早く獲得し、効率的に購買させるためには、消費者ニーズをより具体化する「ペルソナマーケティング」や、情報拡散手法を活用する「デジタルマーケティング」が重要とされています。

ここでは商取引におけるBtoBとBtoCの違いも含めて、「ペルソナマーケティング」の必要性や、見込み客の購買行動特性に合わせた効果的な伝達手法についてご紹介します。

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BtoB/BtoCマーケティングの違い

「BtoB(Business to Business)」とは、相手が法人の場合の商取引、「BtoC(Business to Custormer)」は相手が消費者の場合の商取引のことです。

BtoCの場合は、商品購入者と決裁者が同じであり、本人の興味の度合や感情、また、本人ないしは世帯の経済状況によって購買行動が左右されます。

一方BtoBの場合は、自社商品を営業した相手が必ずしも決裁者とは限らず、社内のあらゆる役割・立場の担当者が購買プロセスに関わります。そのため、取引相手が購買を決める基準も、単純にその商品の必要性や予算に見合う価格だけでは無く、自社の信頼性や導入実績、納期、アフターサービスなど、あらゆる要素が検討材料となります。BtoBの場合は、この関わる部署や担当者を見極め、それぞれのニーズに合った対策を立てる必要があるでしょう。

このようにBtoBとBtoCでは、購買までのプロセスと関わる人物が異なりますが、どちらの場合でも、その商品を購入し利用する(あるいは決定する)見込み客、つまり「ターゲット」の設定が重要です。さらに現代では、消費者や利用者のライフスタイルやニーズ(BtoBの場合は関係者の立場なども含む)が多様化しているため、「ペルソナ」を活用したマーケティングが一般的です。

ペルソナ活用の重要性とポイント

「ペルソナ」とは、商品やサービスを利用するユーザーを想像し、その生活や仕事、一日のスケジュールなど詳細に設定した人物像のことです。従来の「ターゲット」が、性別・年齢・職業・年収などの基本属性で分類していたのと比べ、よりその「人格」を掘り下げた分析手法です。

BtoBにおけるペルソナマーケティングは現状ではあまり一般的では無く、特に担当者の立場を意識した対処法となるため、ここでは一般的なBtoCにおけるペルソナマーケティングのメリットをご紹介します。ターゲットとペルソナの分析方法の違いは、例えば以下のようになります。

【ターゲット分析例】

●30代男性 ●東京在住 ●IT企業勤務 ●年収500万円

【ペルソナ分析例】

●35歳男性、北海道出身 ●ゲームに夢中 ●恋愛には積極的ではない草食系
●大学は工学部出身 ●学生時代にアルバイトをしていたIT企業に就職
●会社では、システム関連の部署でチームリーダーを務める
●趣味はネットサーフィン
●よく使うSNSはFacebookとTwitter ●amazonや楽天市場の利用が多い

このように、見込み客のパーソナリティをより詳細に分析するペルソナを設定しておくと、以下のようなメリットがうまれるでしょう。

●利用者のニーズを理解できる
●利用者目線で判断できる
●社内で情報を共有しやすくなる
●質の良い見込み客を獲得できる

見込み客のニーズに合わせた自社商品情報を発信でき、狙った見込み客を獲得することができます。また、自社で詳細な情報を共有できるため、例えば営業担当と広報担当が違っても、仮に複数の情報伝達手段を使っても、どの局面でもブレの無い一貫した情報提供ができるようになります。

ウェブマーケティングの基礎知識とは?

デジタルマーケティングとの違い

自社商品の対象となるペルソナを設定できたところで、見込み客にどのような手段で情報を提供すれば良いのか考えていきましょう。

情報拡散と共有が主流の現代では、「デジタルマーケティング」が効果的と言われています。「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」は良く混同して使われますが、デジタルマーケティングの方が、広範囲の要素を包括します。今までのWebマーケティングでは、自社概要を紹介するコーポレートサイト単体のみを管理するイメージに近く、サイトの立ち上げやSEOによる誘引、コンテンツを充実させるコンテンツマーケティングなどが守備範囲となります。

一方、デジタルマーケティングは、自社のコーポレートサイトだけでは無く、ECサイト、ブランドサイト、コミュニティサイト、ブログ等を統合管理し、各チャネルの特性を活かして頻繁に情報発信を行います。消費者のSNSや口コミなどで勝手に拡散される効果を意識した意識したマーケティング手法であると言えるでしょう。さらに、集めた顧客情報をデータベースとして、マーケティング活用することもできます。イベントで集めたアンケート用紙などのオフラインデータを、サイトで集めた会員情報等のオンラインデータに統合してCRM活用を行う企業も増えています。

デジタルマーケティングの領域はかなり広いですが、消費者ニーズが多様化する中では、BtoB、BtoCに関わらず、様々な業種で取り組むべきマーケティング手法と言えます。

AISASを理解するとデジタルマーケティングがよくわかる

ペルソナを設定し、デジタルマーケティングを活用して、より効果的に情報を発信するにはどうしたらよいのでしょうか。その際に用いられるのが、消費者の購買行動プロセスである「AISASモデル(消費者行動モデル)」です。

消費者が商品を知ってから購買に至るまでの心理・行動の変化を段階別に整理したものですが、この流れを理解しておくと、AISASのそれぞれの段階で、より効果を期待できるアプローチ手法も簡単に判断できるようになります。

【AISAS(消費者行動モデル)】

消費者は者を購入する時に、下記の流れで行動します。

A:Attention(アテンション)=注意喚起、なんだろう?と感じて、

I:Interest(インタレスト)=興味・関心がわき、

S:Search(サーチ)=検索・比較をして、

A:Action(アクション)=行動・購買をする

S:Share(シェア)=感想などを拡散する

購買行動の段階別に、効果的なアプローチ手法がある!

下記に、一般的な、「AISASの段階別 効果的なアプローチ手法」をご紹介します。

①Attention(注意喚起)段階:各種メディアのクロス展開

注意喚起を起こす段階では、下記のようなメディアを掛け合わせて相乗効果を生み出す方法が得策と言われています。

●テレビ×WEB動画 ●プリントメディア×QRコード
●街頭サイン×スマホ ●インターネット×モバイル広告    など

②Interest(興味・関心)段階:検索サイト対策

商品やサービスに興味がわくと、まず、検索サイトでワード検索をする行動が多くなります。そのため、下記の手法で自社ホームページへの誘引を図ります。

●SEO対策 ●検索連動型(リスティング)広告
●よく見られているサイトでのバナー広告      など

③Search(検索・比較)段階:自社ホームページの充実

この段階では、自社商品と他社商品との比較・検討をしますので、自社ホームページを下記のような施策で充実させ、自社商品の優位性をしっかりと理解させます。

●無料体験モニター ●プレゼントキャンペーン
●他者のレコメンド(良い評価を掲載)
●来店誘引 ●資料請求          など

④Action(行動・購買)段階:クロージング+次回購入対策

すでに自社商品購入を決定し、実店舗やECサイトで実際に購入する段階は、しっかりとしたクロージングを行うほか、下記のような対策も行います。

●ついで買いのお奨め ●次回来店誘引施策(割引券など)
●ご紹介促進        など

⑤Share(拡散)段階:

ブログや比較サイトなどにおける情報共有のこの段階では、購入者や利用者の良い評価や、「いいね」を集め、拡散する対策を行います。

●購入者に「いいね!」依頼
●フォロワーが多いインフルエンサーによる良い評価の拡散
●ファンコミュニティの活性化    など

実践!ペルソナ設定した見込み客に効果的なアプローチは?

ここでは、より具体的にデジタルマーケティングを理解するために、先に設定したペルソナを例にして、AISAS別のアプローチ法を整理してみます。

【ある会社のペルソナ:A君

●35歳男性、北海道出身 ●ゲームに夢中 ●恋愛には積極的ではない草食系
●大学は工学部出身 ●学生時代にアルバイトをしていたIT企業に就職
●会社では、システム関連の部署でチームリーダーを務める
●趣味はネットサーフィン
●よく使うSNSはFacebookとTwitter ●amazonや楽天市場の利用が多い

彼が、最新のゲームソフトを買う場合、どのようなアプローチをすると良いでしょうか。

【A君へのアプローチ例

①Attention段階

●Facebook上でWEB動画を流す
●駅貼りや車内吊り広告×スマホ連動広告
●ゲーム専門誌に自社ホームページへ誘引するQRコード掲載

②Interest段階

●「ゲーム」などの検索連動型広告
●amazonや楽天サイトでのバナー広告

③Search段階

●自社HP無料体験モニター募集
●他者の良い評価を大量に配信

④Action段階

●期間限定OFFクーポン配布

⑤Share段階
●amazonや楽天サイトで「いいね」をくれたらポイント還元

これは一例ですが、ペルソナを設定してAISAS別に整理すると消費者の購買行動に合わせた最適なアプローチを、簡単に判断できるようになります。
また、「ペルソナ」は、複数設定することも可能なので、「ペルソナ」の数だけAISASを整理すると、より多くのお客様に、的確なアプローチが可能となります。

認知・集客のマーケティング手法とは

ー「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」

デジタルマーケティング手法の整理方法のひとつとして、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」で分ける方法もあります。これは、対象となる見込み客の自社商品に対する理解度・成熟度の違いで、下記の領域で分けるのが一般的です。

【リードジェネレーション領域】

AISASの段階で言うと、「Attention」~「Interest」の段階となります。未開拓ユーザやこれからの発掘ユーザを対象とする手法です。この段階でのアプローチ法としては、自社サイトのSEOや、リスティング広告などが効果的です。

【リードナーチャリング領域】

AISASの段階で言うと、「Search」~「Action」~「Share」の段階です。自社商品に対しての理解度が高めの潜在顧客や見込み客、既存客などが対象となります。この段階では、SNSやダイレクトメール、リターゲット広告などが効果を発揮します。

「リードジェネレーション」領域の主な手法とは

手法1:SEO(検索エンジン最適化)

SEOとは、Search Engine Optimizationの略で、検索エンジンによって評価されるコンテンツの検索順位を上げる方法のことを指します。アルゴリズムが進歩しているので、読み手に対して価値あるコンテンツを提示することが「コンテンツマーケティング」では最も重要とされています。

社内で対応すれば無料で取り組めたり、アクセスが安定しやすいメリットはあるものの、効果が出るまでに時間がかかるというデメリットもあります。

手法2:リスティング広告

リスティング広告とは検索連動型広告といい、ユーザーが検索したキーワードで閲覧しているページに連動して、広告が表示されます。ユーザーが関心の高いページに広告が出るので、狙った相手にリーチしやすい広告効果が期待できます。ターゲットを特定できるほか即効性はあるものの、課金方式が多いとは言え、コストがかかるデメリットもあります。

手法3:ホワイトペーパーマーケティング

自社サイトなどに、調査資料やガイドブックとして、特定の商品を売り込むための長所をアピールしている資料をダウンロードさせる手法です。多くが企業名や担当者名等を記入しないと、ダウンロードできない仕組みになっています。

個人情報が入手できるため、その後ダイレクトアプローチができますが、逆に敬遠されたり、競合等に情報が流出する可能性があるデメリットも同時に考えられるでしょう。

「リードナーチャリング」領域の主な手法とは

手法1:SNS

FacebookやTwitter、Instagramなどの「ソーシャルネットワーキングサービス」ですが、情報の拡散手段としてはいつでもどこでも誰でも利用でき、高い接触度と拡散を期待できます。安価で情報拡散ができる一方で、情報発信力が旺盛な若者の利用が多いため、間違った情報や悪い評判も広がりやすく、流す情報を管理する必要があります。

手法2:メールマーケティング

メールマーケティングで大切なのは、相手の情報の浸透度や理解度によって、ひとりひとりに合わせた情報を提供することです。また、メールを送ることが目的では無く、それに応じて、行動を引き起こすきっかけを与えることが重要です。低コストで始められますが、相手のメルアドを入手しなくてはならないといった、即効性に欠けるデメリットがあります。

手法3:リターゲティング広告

リターゲティング広告は、一度訪れたサイトの商品が、時間をおいてほかのサイト閲覧中に広告が表示される仕掛けです。

忘れかけていた商品を、再度思い出させることにより消費に誘引する手法です。興味のあるユーザーに対して、複数回のアプローチができますが、特定のユーザーにしか届かないデメリットもあります。また、コストがかかるため、配信する対象を吟味する必要があります。

まとめ

消費者ニーズの多様化と、情報が拡散・共有される時代にいては、BtoBやBtoCのどの局面においても、見込み客のペルソナを設定し、デジタルマーケティングでアプローチすることが重要です。そのために、数あるデジタルマーケティング手法の特性やメリット、デメリットを理解しながら、AISASという消費行動プロセス別に、アプローチ手法を整理することをお勧めします。ぜひ、参考にしてください。

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coolporaris
広告代理店でマーケティングやストラティジックプランナー、ライター等を長年担当。専門は統合マーケティングコミュニケーションで、リサーチ実施・分析及びWEBも含めたトータルコミュニケーションプランやの構築やブランディングを得意とする。WEBマーケティング経験も多数。         

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