マーケティング
公開日: 2019.06.06 / 最終更新日: 2020.01.07

グロースハックの意味とは?AARRRモデルや企業事例などを紹介

「グロースハック」をご存じですか?近年ではマーケティング世界をはじめ、Web業界やIT業界でも注目を集めている概念です。そこで、この記事ではグロースハックの意味をはじめ、従来のマーケティングとの違い、実際に行うフレームワークや手法、企業事例をまとめて紹介します。

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グロースハックとは?


最初に、グロースハックの意味や基本知識、従来のマーケティングとの違いをご紹介します。

グロースハックの意味と基本知識

グロースハックとは、手段やツールなどの名称ではなく「概念」をさしており、商品やサービスに関するユーザーのデータを分析し、モニタリングして改善を行いながら商品・サービスを成長させることです。TwitterやFacebookなど、急成長を遂げた名だたる企業が採り入れたのがこのグロースハックだとされ、マーケティング上で重視されるようになっている考え方です。

グロースハックとはGrowth Hackと書き、直訳すると「成長や発育をハッキングする」という意味合いがあります。2010年にアメリカで提唱された考え方で、アメリカの起業家、ショーン・エリスがその生みの親です。ショーン・エリス自身がグロースハックについて執筆した本も出版されています。

なお、グロースハックを行う人をグロースハッカーと呼びます。サービスの成長のためにさまざまな施策をし、売り上げを増やすだけでなくサービスの設計や商品開発などにも直接携わるのが特徴です。いくつかの分析手法に加えてプログラミングの知識も必要となるため、エンジニア+マーケターの両要素を備えた人材だと言えるでしょう。

従来のマーケティングとの違い

従来のマーケティングでは、商品やサービス完成後にA/Bテストやユーザーテスト、アクセス解析などを行いますが、グロースハックはこれらに加えて、ユーザーが拡散したり使用したりする「仕組み」を取り入れます。これによって、広告費をかけることなくサービスを成長させるのが目的です。

また、商品やサービスを市場にローンチした時と現状とでニーズが変わった場合、柔軟にマーケティングや広報・PR戦略を組み直し、必要に応じて商品やサービスを作り直すことも行います。市場やユーザーニーズにあわせてサービス設計をしていく点が、従来のインターネットマーケティングとの違いです。

グロースハックが重要視される背景

グロースハックが注目を集めている理由には、IT業界やWeb業界の特性が大きく関わっています。Webサービスやアプリなどはライフサイクルが早いため、できるだけコストを抑えて仮説・検証を行い、サービス改善をしなければなりません。さらに、このようなWebサービスやアプリは開発期間が短く競合も多いため、ユーザーはより良いサービスに簡単に乗り換えてしまいます。

そのためには、できるだけ短期間でユーザーを増やし、1人でも多くのユーザーに利用してもらうことが肝心です。コストをかけずに短期間で仮説・検証を行い、サービス改善を行うためには、このようなグロースハックの概念や、グロースハッカーの存在が重要となるのです。

基本的なウェブマーケティングの手法やコンテンツマーケティングの戦略については、こちらの記事をそれぞれご覧ください。
関連記事:ウェブマーケティングの手法・種類とは?認知から購買行動までを解説
関連記事:コンテンツマーケティングの戦略とは?立て方や成功事例を紹介!

グロースハックの手法・スキルとは


グロースハックを実際に展開するための手法にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な手法としては、フレームワークを用いた分析方法である「AARRRモデル」と、グロースハックを成功させるための「コホート分析」「ファネル分析」があります。

AARRRモデル

グロースハックの手法でもっとも広く知られるのが「AARRR(アー)」と呼ばれるフレームワークです。AARRRモデルは以下5つのフェーズで分析していきます。

1.「Acquisition(ユーザーの獲得)」
2.「Activation(ユーザーの活性化)」
3.「Retention(継続した利用)」
4.「Referral(紹介)」
5.「Revenue(収益化)」

 

1と4がユーザーの量、2と3がユーザーの質に影響する成長指標であり、各フェーズでA/Bテストやユーザーインターフェースの比較、ユーザビリティ改善などさまざまな対策を施し検証していきます。その結果として、最終的に5の収益を上げることにつなげていきます。

このように、フェーズごとの数字を常にチェックし、PDCAにより改善を繰り返すことがグロースハックの一般的な手法です。AARRRのフレームワークを活用することで、より客観的にグロースハックを行うことが可能です。

コホート分析

グロースハックでAARRRモデルを実践していくためには、ユーザーの特性や行動のデータ収集と分析が欠かせないのですが、そのひとつが「コホート分析」です。この分析方法は、ユーザーを「属性」「流入元」「検索キーワード」「直帰率」などの条件により分類し、時間の経過によってどんな行動変化をするかを読み取る手法です。

ファネル分析

もうひとつ代表的な分析方法である「ファネル分析」は、AARRRモデル内の最初から最後まで、つまり、顧客獲得から収益までの中でどこに問題があるかを明確にする手法です。Webサイト内でのユーザーの行動を分析していき、コンバージョンまでの流れの中でファネル(漏斗)のようにユーザーが絞られていく過程を調べ、離脱率などを指標として課題を探っていきます。

グロースハックを成功させるポイント


グロースハックを成功させるために押さえておくべきポイントをご紹介します。

Product-Market-Fit

Product-Market-Fitとは、市場と商品・サービスがフィットしていることの意味で、商品を欲しいと思っている市場が存在していること、そのニーズと満足度を充足させる商品であるということを表します。グロースハックは、自社の商品・サービスのProduct-Market-Fitを確認するところから始めます。

会社の将来的な利益を考える

グロースハックが重視されているポイントのひとつに、「費用をかけずに利益を最大化」できる点があります。集客やコンバージョンの成果だけではなく、利益につながっているか、将来的な収益につながるのかを常に考慮しておく必要があります。

必要なデータを全て収集する

AARRRモデルに基づいて顧客を獲得し優良見込み客にしたとしても、それで終了ではありません。コンバージョン後のユーザー行動などもチェックすることで、今後の商品・サービスの改善や、顧客のエンゲージメント対策にもつながります。必要と考えられるデータはすべて集め、分析しておくことが重要です。

PDCAを高速で回す

グロースハックは、いかに優秀なグロースハッッカーが手がけたとしても、実際にはその半数は失敗に終わると言われています。これらの失敗に基づく知見を活かし、数をこなして成功実績を残しながらも高速でPDCAを回していくことが成功のコツと言えそうです。

グロースハックの企業による成功事例


最後に、実際に企業が取り入れたグロースハックの具体事例をご紹介します。

Twitter:会員が離れない仕組みの構築

Twitterは、自社ユーザーデータを分析した結果、登録初日で5人以上のフォローをしたユーザーの継続率が高いことがわかったため、5人以上のフォローで利用開始できるシステムに変更しました。これによって継続率が向上し、Twitter本来の楽しさと面白さの理解向上にも奏功したのです。データに基づいて、ユーザーを増やす仕組みをサービス自体に組み込んだ典型的な成功例です。

クックパッド:課題を見つけて改善

クックパッドには、おおよその機能が使える無料登録と、ランキング確認などのすべての機能が使える有料登録(プレミアムサービス)の2種類の登録方法があります。この有料会員を増やすため、月額制の会費負担を表現するコピーのA/Bテストを繰り返した結果、「コーヒー1杯分で1カ月使える!」というおトク感を訴求したコピーの反応が高いことがわかりました。その後も変化の早いユーザーのニーズに応えるべくグロースハックを続け、いまだに会員数を増やしています。

まとめ

グロースハックは、TwitterやFacebook、クックパッドなどの成功があり、ここ数年で一気に注目を集めるようになったマーケティング手法です。商品やサービスのライフスタイルが短くなり、競合がますます激しくなると予測される中では、グロースハックの概念はますます重視されると考えられます。ぜひ参考にしてください。

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広告代理店でマーケティングやストラティジックプランナー、ライター等を長年担当。専門は統合マーケティングコミュニケーションで、リサーチ実施・分析及びWEBも含めたトータルコミュニケーションプランやの構築やブランディングを得意とする。WEBマーケティング経験も多数。

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