マーケティング
公開日: 2020.01.14 / 最終更新日: 2020.08.18

セールスとマーケティングの違いとは?役割やスマーケティングも解説

「セールス」と「マーケティング」は似て非なるものです。商品やサービスを販売するためにはどちらも必要な要素であるものの、残念ながらうまく連携できないケースも少なくありません。では、なぜセールスとマーケティングの連携は難しいのでしょうか?その理由や問題の解決方法について解説します。

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セールスとマーケティングの違いとは


最初に、セールスとマーケティングはどのように違うのか整理していきましょう。セールスとは端的に言うと、その名のとおり「売ること」です。店頭での販売や営業担当者が行うセールスがこれに該当します。

一方、マーケティングとは「売るための作戦」のことで、どう売るのが良いのか、誰にどのように伝えるのが良いのか、価格はどうするのか、などの作戦を立てる行為を指します。つまり、マーケティングは基本的にはセールスよりも先に始まっていることが前提ですが、中にはマーケティングせずにセールスが始まっているケースも存在します。

セールスとマーケティングの連携が難しい理由


マーケティングの神様であるドラッカーは、「マーケティングの狙いは販売を不要にすることだ」と発言しています。これは各セクションの相性がそれほど良くないことを言っていますが、なぜセールスとマーケティングの連携は難しいのでしょうか。

お互いの言い分は相反している

営業担当者はマーケティング担当者に対して、「売上に貢献していない」「顧客の声を知らない」「生産性が低い」というような思いを抱えていることがあります。

一方、マーケティング担当者は営業担当者に対して、「クロージングするだけ」「短期的な思考」「マーケティング情報を無駄にしている」という主張を行います。このようにお互いの言い分が相反している点が、両者を連携できない理由のひとつです。

役割が異なるため必要な能力が異なる

マーケターの仕事は、販促企画を企画実行する、データの分析を行う、戦略を策定するなど、デスクで行う業務がほとんどです。そのため、分析能力といった理性的で論理的な思考や能力が求められます。

一方、営業の仕事は見込み顧客や既存顧客とのコミュニケーションが主な仕事であり、社外での活動がメインになります。そのため、コミュニケーション能力や直感的な人間関係構築能力などが求められる能力です。このように仕事内容だけでなく求められる能力が大きく異なることも、連携を難しくしている大きな理由です。

実際に連携ができない3つのパターン

実際に連携ができていない企業においては次の3パターンが存在します。1つ目は、そもそもマーケティングと営業を連携させるという概念がないパターン。別の仕事として位置づけているため、そもそもお互いどのような仕事をしているのかすら知らない、ということもあり得ます。

2つ目は、連携の定義はあるものの、それぞれの領域が決められているので干渉しないパターンです。営業で獲得した情報やマーケターが分析したデータなどは互いにやり取りするものの、それ以上の話し合いや調整が行われないため、プラスアルファの価値を生み出すところにまで至っていません。

3つ目は、一応連携はしているパターンです。この場合、互いにフィードバックが行われるなど連携はされていますが、義務的、形式的であることが多く、具体的なアクションに至っていません。このパターンの場合、共通の目標を立てたり、共同の情報共有ツールを利用したりすることで連携がうまくいく可能性があります。

セールスとマーケティングを連携する方法


セールスとマーケティングを連携するためにはどうすれば良いのか、具体的な方法を4つ紹介します。

カスタマージャーニーとペルソナを統一

セールスとマーケティングの連携を目指すには、顧客の購買意思決定までのプロセスである『カスタマージャーニー』と、ターゲットとする具体的な顧客像である『ペルソナ』を統一することができます。カスタマージャーニーの統一によって施策方針の明確化や引き継ぎ精度の向上などを図れますし、ペルソナを統一することで基準の明確化や営業効率アップというメリットが生まれます。

KPIを同じに設定

営業とマーケティングとの連携がうまくいかないケースにありがちなのが、営業は受注数や受注額で評価されるのに対して、マーケターはリード数や質によって評価が測られるようになっている組織です。このような組織だと、それぞれで目指す指標が異なるので連携が難しくなってしまいます。営業とマーケティングの評価指標を統一させ、同じKPIを設定することで同じ目標に向かって進むことができます。

アプローチするターゲットの統一

営業とマーケティングの連携がうまくいかないわかりやすい事例が、アプローチするターゲットが異なるという点です。マーケターがイベントやプロモーション施策でアプローチするターゲットと、営業担当者が訪問するターゲットがそもそも違っていれば、全く別の仕事をしているのと同じことで、両者が連携をとる余地はありません。アプローチするターゲットを統一することで連携するための余地や必要性が生まれます。

スマーケティング(Smarketing)構築

「スマーケティング」をご存じですか?スマーケティングとはセールスとマーケティングを掛け合わせた造語で、セールスとマーケティングが連携されている状態を表します。ただし、明日からスマーケティングを行いましょうと決めたところですぐに構築が可能なわけではありません。スマーケティングを実行するためには基盤を整えることが必要です。

スマーケティングの構築ステップ


具体的にどのようにしてスマーケティング構築の基盤を整えられるのか、そのステップについて解説します。

情報共有などのコミュニケーション

スマーケティングの最初の一歩は、お互いの状況や保持している情報を知ることです。まずは情報共有を行うことで、今後の道筋を作れます。営業とマーケターが情報共有を行う場を設定することから始めましょう。

一緒にペルソナを設定

情報共有の場で話し合う重要なポイントは、ペルソナの設定です。どのような顧客像をターゲットにしていくのかを擦り合わせます。マーケターが思い描く顧客像と営業が接している顧客の実像はズレている可能性があるので、お互いの現状を理解した上で目指すべきペルソナを設定しましょう。

SMARTゴールの設定

SMARTゴールとは「具体的で、測定可能で、達成可能で、現実的で、時間の制約があるゴール」のことを指します。同じ指標、かつ同じゴールを目指すことで、連携する必然性が生まれます。成果に対してお互いに責め合うのではなく、問題解決のために一緒になって考えることが重要です。

SLAの作成

SLAとは、最終的なゴールに到達するため、各チームが何をすべきかの数字など明確にした契約書のことです。合意した内容を文章化して見えるようにすることで、お互いのパフォーマンスを確認し合うことができます。SLAは一度作成したらそれで終わりということではなく、継続的な評価や改善点などを加えて更新していくことが重要です。

まとめ

セールスとマーケティングの連携が難しい理由はさまざまですが、連携しない状態を続けていくのは企業にとって良くありません。両者がしっかりと連携を図ることによって、会社の売上を最大化することにつながります。ペルソナやKPIの設定など、情報共有やコミュニケーションをしっかりと継続しながら連携を構築していきましょう。

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伊藤孝介
セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。 マーケティング系ライター歴5年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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