
自社の自慢の商品やサービスであっても、情報をどう伝えて良いか、店舗やECサイトにいかに集客して購入いただくかといった手段や手法について悩む企業の担当者や店のオーナーが多いと思います。インターネットが普及した現在は、情報提供手段も販売チャネルも多様化し、従来の手法だけではなかなか効果が得られないことがわかってきました。
情報が勝手に拡散する今の時代は、ターゲットに合わせたメディアを選択し、拡散を仕掛けるWebマーケティングが効果的と言われています。この記事では、商品のブランド力は各企業やお店によっても異なるため、集客を増やすためのマーケティング手法についてご紹介します。
目次
まず集客を増やすために考えることとは?
集客を増やすために、まずやらなければならないのは、自社の商品やサービスを提供するターゲット像を明らかにすることです。
ターゲットを決める
自社の商品やサービスを作る時に、その商品を販売する対象の性別や年齢、家族の有無など、おおまかに見込み客を決めたと思います。これがいわゆる「ターゲット」です。自社商品を一番使って欲しい、その有効性を一番理解して欲しい、リピーターになって欲しい対象のことを言います。
集客を増やすためには、このターゲットをきちんと設定することが大切です。ターゲットを決める時は、「女性」というような大きなくくりでは無く、「女性・20代・OL」というように、なるべく細かく分けておきます。どうしても範囲が広くなる場合は、メインターゲット、サブターゲットというように、分けて設定しましょう。
最近では、消費者ニーズが多様化しているため、より一層ユーザーを理解するために、「ペルソナ」という分析手法を用いることも多くなっています。ターゲットが、性別・年齢・職業・年収などの基本属性で設定するのに対し、ペルソナは、基本属性だけではなく、性格や価値観、行動特性など、よりパーソナルな人物像で見込み客を分析・設定します。こうすることによって、対象をより深く理解でき、効果的な伝達手段や販売チャネルも選択しやすくなります。
マーケティングリサーチで顧客を理解する
ターゲットを決めたら、そのターゲットが自社商品購入する場合にどういう行動特性があるか、または、情報入手経路は何か等をリサーチします。また、自社の顧客データがあれば、そのデータを分析することで、顧客像が見えてくるでしょう。
【一般的なマーケティングリサーチ】
マーケティングリサーチには、ターゲット層を対象に、回答数の多さで全体像を把握する「定量調査」と、ターゲットの深層心理まで探る「定性調査」の大きく分けて2種類があります。調査手法は、定量調査の場合、現在ではWeb調査やソーシャルリスニング等が主流ですが、電話調査や郵送・訪問調査、CLT調査という手法もあります。定性調査は、グループインタビューやモニター調査などが代表的です。
こうしたリサーチは、独自の設計方法や、調査対象となるパネルを保有している専門機関に依頼した方が、自社で行うより、コストも手間もかかりません。最近では、クラウドソーシングを利用する企業も増えています。
【自社データ分析】
自社商品を購入した顧客のデータを保有しているのであれば、デジタル分析やPFM分析を行う事で、どんな属性で、どんな購買行動をする顧客が、次に買ってくれそうかの購買予測を行いましょう。自社商品を気に入って買ってくれた人物のデータなので、最も精度の高いデータを得ることができます。
ターゲットに沿った集客方法を決める
このようにターゲットを決めて、どんな人物像かを分析したら、そのターゲットに合わせた集客方法を構築します。どんな手段で情報発信し、どのように集客するかは、それぞれのターゲットの特性によって異なるので、効果的に集客を図るためにも、ターゲット別のマーケティングを行う事が重要です。以下に、集客を増やすためのオフラインの主な手法と、オンラインの手法をご紹介しますので、参考にしてください。
オフラインでアプローチするリアル集客とは?
インターネット配信が主流の現代では、どうしてもオンラインによる情報発信が重視されますが、インターネットを使えない高齢者や、もともと自社の商品に興味が無く、インターネットで検索をすることも無い人に商品情報を知らせるためには、オフラインのフィールドメディアも充分効果が期待できますね。
チラシ
チラシは、プリントメディアと言われ、サイズや色、形状も多種多様にありますが、主に下記のような手段で消費者の手元に届けられます。
●新聞などの折り込み広告
●街頭やイベント会場等での配布
●お店に設置型
●各家庭に戸配
●DM等で郵送される
最近は、若年層の新聞購読率が下がり、新聞折り込みを目にするのは主に中高齢層が多くなりますが、例えば若者が集まる場所やお店、イベントで配布すると、狙ったターゲットにダイレクトに情報を発信できます。また、名簿があれば特に優良と思われる顧客にDMをすることで、効率の良い発信が可能となります。
イベント
コンサートや味覚市などテーマが決まったイベントでは、不特定多数が集まり、集まる客層がわかるため、効果的なアプローチができます。以下のようなメリットが考えられます。
●客層が明らかなので、ターゲットに効果的に訴求できる
●短期間でたくさんの人と接することができる
●商品やサービスを体験いただき評価を聞ける
●成果がわかりやすい
●パブリシティ効果が期待できる ほか
利用するイベントの選択を間違わなければ、自社商品を知らない不特定多数のターゲットにアピールできます。
セミナー
自社商品のセミナーなどは、見込み客を集めるので、購入意向の高い人に対し、商品やサービスをしっかりと理解、納得して購入いただけるメリットがあります。その参加者が「ファン」になれば、そこから口コミや紹介、SNSなどにより、新たな顧客への情報拡散を狙うことができるでしょう。自社商品ファンからの推薦なので、精度の高い新規客を獲得できます。
テレアポ
最近は固定電話が少なくなり、オレオレ詐欺の横行や個人情報保護の観点からも、テレフォンアポインターによる営業活動は消費者から避けられることが多く、なかなか効率の上がらない手法と言えます。
しかし、すでに顧客であったり、相手が高齢者の場合は、電話を通じてお客様の問合せに丁寧に答えたり、商品説明をしっかりとすることができるので、むしろ重宝される場合もあります。
ターゲットの立場やニーズによって、一番届きやすい手法を選択することが重要ですね。
オンラインでアプローチするWeb集客とは?
メルマガ
メールマガジンで大切なのは、相手の情報の浸透度や理解度によって、それぞれに合わせた情報を提供することです。また、メールを見て、そこから行動を起こさせることが重要です。「メールが届いたあなただけ限定の特別セール」「期間限定開催」など、関心や行動喚起につながる内容を配信します。低コストでできますが、即効性がありません。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社が持っているメディアのことで、ホームページやブログ、SNSアカウント、カタログやパンフレットなどが含まれます。自社でコントロールできるので、内容や配信時期などを自由に設定できます。
最近では、上質な情報を配信しないと、検索も、拡散もされないことから、各社がこぞってコンテンツマーケティングを意識した展開を行っていますね。SNSは若年層向け、パンフレットは高齢層向けというように、ターゲット別に合わせたメディアの使い分けを行ってみましょう。
Web広告
Web広告とは、インターネット上のサイトやメールなどで見ることができる広告のことですが、最近ではテキストや画像だけではなく、バンパー広告などの動画広告も増えてきました。
種類としては下記のようなものがあり、不特定多数にアプローチするものもあれば、検索したキーワードでターゲットを絞って配信する広告など様々であると言えるでしょう。ターゲットの状況や配信したい情報によって、手法を使い分けます。
●バナー広告
●検索連動型(リスティング)広告
●アドネットワーク広告
●アフィリエイト広告
●DSP広告
●動画広告
●SNS広告
SNS
SNSとは、FacebookやTwitter、Instagramなどの「ソーシャルネットワーキングサービス」のことを指し、情報を他者に共有することが目的のメディアです。誰でも簡単に利用できるため、高い接触度と拡散及び、大きな反応が期待できます。
安価で情報発信ができますが、間違った情報や悪い評判なども拡がりやすいので、情報の内容と発信のタイミングは慎重に決めましょう。それぞれの特徴を活かして、効果的な配信を管理することが重要です。
集客に成功した事例とは?
オンライン、オフライン共に、自社商品のターゲットによって、あるいは、届けたい情報によって、集客を増やす情報伝達手段は異なりますが、オンライン、オフラインそれぞれの集客を増やした成功事例をご紹介します。
メッセージを訴求した「Smart」
コンパクトカーブランドの「Smart」が、都心に住むターゲットに対し、「Smartならどんな場所にも簡単に駐車でき、駐車スペースを探すのに苦労しない」というメッセージを伝えるために、宅配ボックスにDMを配送しました。
平面でポスティングされたSmartが、しばらく経つと自動で開き、立体になった「ミニチュアSmartが駐車されている」仕掛けでした。DMというオフラインの手法ながら、ボックスを空けた住民にサプライズを与える事で、拡散も狙ったプロモーションです。
出典元:AdGang
使用シーンを提案した「オロナイン」
オロナイン軟膏の大塚製薬では、「知ったつもりにならないでリアルにさわってみたい日本の100」という『さわる知リ100 Supported by オロナインH軟膏』を展開しました。
体験した方がいい日本の100の事柄の実際の体験動画を投稿してもらうといったもので、オロナインがお守りになり、遠くに出かけたり挑戦したりすることによるケガをオロナインが守るというメッセージを伝えるWebプロモーションでした。20代のオロナインユーザーを増やすために、Facebookを中心に展開し、大きな話題となった施策です。
出典元:知ったつもりにならないでリアルにさわってみたい日本の100
まとめ
自社商品やサービスの情報を効果的に配信して、集客を増やすためには、たくさんの手法が氾濫しており、何を選択して、どう組み合わせるかは、とても悩むところです。
まずは、商品を一番売りたい相手の人物像を明確にし、そのターゲットの特徴や購買行動、商品の使い方を分析した上で、効果的な情報発信を行いましょう。オフラインにもオンラインにもたくさんの手法がありますが、それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握して、マーケティングの最適化を図ることが大切です。