企業ブランディングやコーポレートブランディングを取り組もうとしている方もいるでしょう。コンセプトを考え、広告を作り、消費者に伝達していくというブランドマーケティングとは違い、期間も長ければ、そのプロセスも大きく異なります。今回は企業ブランディングのメリットや成功例を含めて紹介します。
目次
企業ブランディングとは?
企業ブランディングと聞くと「イメージを向上させること」、「時代に合わせて理念やロゴを変えて発信いくこと」などと理解されている傾向があります。しかし、本来の意味は『企業の社会的存在理由や姿勢を明らかにすることで、ステークホルダー(消費者や株主)や社会全体に対する正しい認知とともに、サポートしてもらえる状況を作ること』と言えます。
企業ブランディングは単なるイメージアップが目的ではなく、社会に対して「なぜ我が社が存在している?」のかを定義付けし、応援をもらうための一連の活動なのです。
企業ブランディングを行うメリットの一覧は?
企業ブランディングを行うことのメリットは何なのでしょうか?資金調達がしやすくなる事や企業価値の向上につながるだけでなく、人材採用の面においては就職ランキングの順位に影響する場合があります。ここではメリットについて一覧で紹介します。
資金調達が行いやすくなる
資金調達は、どのような企業においても成功を左右する活動の第一歩と言えます。企業の存在価値をしっかりと定義でき、その必要性が認識されれば銀行や投資家からの資金調達が行いやすくなるというメリットがあります。
採用面で成功しやすくなる
日本の人口減少の影響から、労働力の確保が課題になってきています。優秀な人材を確保することが難しくなる中、報酬面に加え「企業理念に共感できるかどうか」という点は、就職先を決定する上で重要なファクターとなりうるのです。
組織文化ができる
インナーブランディングにも良い影響を及ぼすと言えます。組織文化を築いていくことにより、社員が同じ方向を向き始めます。経営者からのメッセージの伝達度UPや一体感が醸成され、強い組織に変わっていくでしょう。
製品のブランディングにも良い効果がある
企業ブランディングによって築かれた信頼・安心感のイメージにより、「この会社なら大丈夫だろう」というように、販売している商品やサービスにも良い影響を及ぼします。
従業員のモチベーションを上げる
売上高や利益など財務目標を掲げ社員を鼓舞することも重要です。しかし、働く価値や意義を考える傾向にある現代においては「その会社にいる意味・一員として働く誇り」を持ってもらうことが、モチベーションUP、パフォーマンスにつながります。
消費者に価格以外の価値を感じさせる
企業イメージが消費者に根付くことによって、商品やサービスを購入する際、価格以外の部分での評価が発生します。「価格が安いから」ではなく、「社会的意義があるからこちらを選ぶ」という所に到達すれば市場においても唯一無二の存在になれるでしょう。
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企業ブランディングの成功例は?
実際に活動を通して、企業ブランディングに成功した事例、Apple・レッドブルの2社を紹介します。
洗練されたイメージを持たせる「Apple」
Appleと聞くと、多くの人が「先進的」、「クリエイティブ」という洗練されたイメージを浮かべるでしょう。誰が見てもApple社の製品だとわかる統一感のあるデザインやユーザビリティー、シンプルなロゴや簡潔なメッセージなどが全てAppleの企業イメージにつながっています。洗練されたイメージを確立することによりApple製品を買い続ける信者を増やしてきた事例です。
出典元:Apple
スポーツを支援することで若者の支持を得た「レッドブル」
国内のスポーツドリンクメーカーが、「タウリン○mg配合」など機能的特徴を訴求している中、2005年に日本市場へ参入したレッドブルは「レッドブル、翼をさずける」という情緒的なメッセージとともに一気にイメージを浸透させた事例です。
スポーツイベントの協賛を通して、選手とともにスポーツの素晴らしさを広めていくというコーポレートメッセージを伝え続けたことにより、エナジードリンク=疲れた中年男性が飲むものというイメージを払拭し、若者からの支持を集めています。
出典元:レッドブル
効果的な企業ブランディングを行うには?
実際に企業ブランディングを行い、成功させるにはどのようなプロセスを踏んでいけば良いのでしょうか。ここでは簡潔に「現状把握」、「ブランド定義」、「伝達」という工程に絞ってお伝えします。
現状の企業ブランドを知る
まずは外部分析と内部分析を通して現状持たれているイメージ、社会的にどのようなポジションを築いているかを客観的に認識しましょう。現状値と目指すべき姿のギャップを知ることが目的です。
過去発行した企業関連資料(IR報告、会社案内、プレスリリース、経営者のインタビュー記事等)の収集・分析、ステークホルダーへのインタビューを行い、現状値を把握します。さらに社会的にどのような事を期待されているか、ヒアリングも行いましょう。
自社のブランドを定義する
前工程の現状分析を通じて、社会における現状値、課題、期待値が明確になるでしょう。次は自社のブランドを定義する工程です。改めてお伝えすると、コーポレートブランディングの目的は「企業の社会的存在理由や姿勢を明らかにすること」です。
これを念頭に置きながら、企業のコーポレートアイデンティティを言語化(ミッションステートメントやタグライン)し、そのイメージを可視化するビジュアル開発(ロゴなど)を行っていきましょう。
ブランディングに沿って消費者に伝える
コーポレートアイデンティティやビジュアルが決定できたら、次は社会に対して発信していく工程です。Appleの事例で言うと、製品が持つビジュアルや機能性に加え、新製品発表時のトップメッセージからも企業のイメージが醸成されています。
一般的にはメディア媒体(テレビや新聞、雑誌、近年ではSNSも重要)や、実際企業が販売している商品やサービス、PR活動やイベントなど様々な手法が存在するため、効果的に組み合わせて戦略的に伝達していくことが重要です。
まとめ
今回は企業ブランディングについて、意味や目的、メリットについて紹介しました。物が飽和し、価格は製品力だけで差別化が難しい時代においては、企業ブランディングの重要性が高まってきています。商品のブランディングと異なり、長期スパンになることや売上利益やシェアですぐに効果がわからないという難しい点もありますが、今回の事例や具体的な進め方を参考にしてみてください。