これまでの常識に捉われない新しいサービスを作るには、イノベーションが必要だと言われます。しかし、そもそもイノベーションとは何でしょうか?この記事ではイノベーションの基本的な定義、種類に加えて、具体的な事例も紹介していきます。
目次
そもそもイノベーションとは
狭義の定義
イノベーションという言葉を辞書で引くと、「革新」や「刷新」という言葉がでてきます。日本語訳としてよく使われるのは「技術革新」。これまでの常識を大きく変化させるようなテクノロジーや全く新しい概念、サービスの開発のことをイノベーションと定義しています。
シュンペーターの定義
19世紀のチェコの経済学者・シュンペーターは、イノベーションの概念を定義した人物として知られています。彼はイノベーションを「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる新結合にすること」と定義しました。シュンペーターはそれをさらに5種類のタイプに分類して説明しています。この5つについては次章をご覧ください。
シュンペーターのイノベーションの種類
シュンペーターが唱えたイノベーションの5つの種類について見ていきましょう。
プロダクト・イノベーション
プロダクト・イノベーションとは、これまでの概念を一新させるような新しい商品を開発することです。たとえばスマートフォンなど、これまでになかった新機軸の商品(プロダクト)は過去にたくさんありますが、いずれも時代を象徴するような商品として愛されています。
プロセス・イノベーション
プロセスとは生産過程のことを指しており、プロセス・イノベーションとは、これまで業界で用いられてこなかった新しい生産工程を開拓・導入して実績を挙げることです。プロセス・イノベーションの効果として、大量生産や価格の引き下げが可能になります。特定の業界に限らずさまざまな業界で行われていることも特徴のひとつです。
マーケット・イノベーション
これまで誰も参入してこなかった新しい市場を開拓することを、マーケット・イノベーションと呼びます。マーケット・イノベーションは、いわゆるブルーオーシャンの発見と同様で、未開拓の場所に新規参入することで大きな売り上げや利益を見込むことが可能になる分野です。
サプライチェーン・イノベーション
商品を作るために原材料の新たな供給ルートを確保することを、サプライチェーン・イノベーションと呼びます。これまで見向きもされなかった原材料に着目する、捨てられていたものを活用するなどが含まれます。
組織イノベーション
組織そのものもイノベーションの対象になります。これまでになかった組織体系を作ることで、爆発的な生産性の向上に繋がることも少なくありません。社内ベンチャーや持株会社制などがこれに該当します。
海外や日本での身近なイノベーション事例
ここでは、企業における具体的なイノベーション事例を紹介していきます。
プロダクト・イノベーションの事例
携帯電話は、もともとは家庭で使われている電話の延長線上にありました。プッシュ式のボタンであるところと、電話機能がメインでどこでも会話ができるというところが画期的な商品でした。その商品にイノベーションを起こしたのが、iPhone。携帯電話のボタンを無くし、画面上での操作にするイノベーションを起こしました。その後の携帯電話市場をスマートフォン一色に塗り替え、文字通り技術革新を起こしています。
プロセス・イノベーションの事例
これまでの生産工程を一新させたのが、ECサイトのZOZOTOWNです。ZOZOTOWNが起こしたイノベーションは、大きな話題となったZOZOスーツ。これまでインターネットで服を買う際の最大の不安は「試着ができない」点でしたが、伸縮センサーを備えており、スマートフォンをかざせばデータが読み取れ採寸が完了できるZOZOスーツによって、いつでもどこでも正確な自分のサイズが測定可能に。試着なしでも安心して買い物ができるようになりました。
マーケット・イノベーションの事例
近年顕著なマーケットイノベーションを起こした業界といえば、家庭ゲーム業界です。これまでは任天堂のファミリーコンピューター(ファミコン)を発端として、専用ハードを介したゲームが基本でした。たとえば、ゲームボーイやPSPなどの携帯用ゲームも専用ハードが必要であるため、新規参入のハードルが高い特徴がありました。
しかし、スマートフォンの普及に伴いゲーム専用のハードが不要な「スマホアプリゲーム」が誕生し、マーケットイノベーションが起こりました。新規参入のハードルも低くなり、アプリの数や質もこれまでとは比べものにならないほどに多様化しています。スマホアプリゲーム市場は、これまでのゲーム市場シェアを奪ったばかりでなく、新規ユーザーも次々と取り入れ既存市場規模を大きく超えて成長している分野となりました。
まとめ
イノベーション自体はよく耳にしますが、日本においては「技術革新」の意味合いを持つ言葉として使われます。イノベーションには5種類あり、商品・生産工程・市場・供給ルート・組織のいずれも、これまでになかった全く新しいものを生み出す点が共通しています。iPhoneやZOZOスーツは、既存市場規模を大きく超えて成長している事例のほんの一部と言えるでしょう。