「販促」は広い意味を含む言葉です。消費者のニーズが多様化する中、販促の手法やアプローチの方法は日々進化しています。今回は、販促の手法や流れ、施策を立案する際のポイント、販促のユニークな企業事例などを紹介します。
目次
販促とは?
はじめに、販促の基礎知識を簡単に紹介します。
販売を促進する活動のこと
販促は「販売促進」の略であり、自社の商品・サービスの販売を促すための活動のことです。セールスプロモーションと呼ばれることもありますが、「販促」と「プロモーション」では対象や意味合いがやや異なります。
・販促=顧客を対象としている
・プロモーション=顧客だけでなく、マスメディアや社会全般を対象としている
プロモーションは、自社の商品・サービスのPRやブランドイメージを向上させる活動のことを意味しており、販促は「プロモーションの一部」という位置づけになります。なお、プロモーションのなかでも、売上増加を目的とした施策をセールスプロモーションと呼ぶケースが一般的です。
セールスプロモーションの概要や手法、広告との違い、セールスプロモーションの成功事例などについては、以下のページで詳しく紹介しています。
関連記事:セールスプロモーションとは?種類・効果・企業事例を一挙に紹介!
販促を行う流れ
販促の流れは、以下のように5つのフェーズ(段階)があります。
①認知度を高める
②興味関心を惹く
③比較・検討してもらう
④購入を促す
⑤リピート購入を促す
販促を行う際は、まずは自社の商品をWeb広告やチラシなどで宣伝し、企業やブランド、商品そのものの認知度を高めます。
次に、「こんな商品がある」と知った見込み客に興味関心を持ってもらう(欲しいと思わせる)フェーズに移行します。
その後、見込み客が商品の値段やスペックを見て他社商品と比較・検討を行い、購入するかどうかを選択するという流れです。
なお、④~⑤の購入フェーズでは、割引キャンペーンやクーポン配布、ポイント制の導入などでお得感をアピールし、新規購入・リピート購入の後押しを行うと効果的です。
宣伝に使えるチラシ作成の料金相場や費用を抑えるコツ、おすすめの依頼先などについては、以下のページでまとめています。
販促の目的
販促の主な目的は、「認知度を高めること」「消費行動を促すこと」「既存顧客のリピート率を高めること」の3つです。オンライン・オフラインを問わず、消費者に対してさまざまなアプローチを行い、購買意欲を刺激するような施策を実行します。
近年では、インターネットやSNSの普及により、消費者はさまざまな情報(競合他社の商品の情報など)を取得することが容易です。それは「興味を持たれない情報は埋もれやすい」ということを意味しており、効果的な販促活動がいかに重要であるかが問われています。
販促の種類
販促は、以下のように多くの手法があります。販促の目的と手法が食い違うと期待する効果を得づらいため、販促の目的とマッチする手法を選ぶことが重要です。
| 販促の目的 | 直接的な販促手法 | 間接的な販促手法 |
| 認知度アップ | ・体験コーナーの設置
・展示会イベント開催 |
・メディアでの情報発信
・ネット広告の掲載 ・チラシや看板での宣伝 |
| 消費行動の促進 | ・実演や試食販売
・物産展の開催 |
・クーポンの配布
・商品サンプルの提供 ・SNSキャンペーン |
| 既存顧客のリピート購入 | ・電話や訪問による営業
・説明会やセミナーの実施 |
・ポイント制の導入
・DMやメルマガの配信 ・会員限定サービスの提供 |
チラシ・看板
駅や繁華街、実店舗の周辺地域などで、チラシを配布したり、看板を設置したりすることで認知度を高める手法があります。チラシや看板は日常生活の中で自然と視界に入りやすいため、無関心層・潜在層にも自社の商品・サービスの情報を伝えることができます。
また、インターネットやSNSを利用しないシニア層などにも宣伝することが可能です。
そのほか、ポスティングを活用して消費者の自宅へチラシを配布する方法もあります。ポスティングの費用相場やおすすめの依頼先などについては、以下のページで詳しく紹介しています。
関連記事:今、依頼したいポスティング業者3選!依頼料金も大紹介
店頭
店頭販促は、実店舗への来客数を増やすために行う手法です。例えば、POPの掲示やサンプルの提供、店内での実演や試食販売、体験コーナーの設置などが挙げられます。
購買の意思決定直前でアプローチすることができ、「この店はお得に買い物ができる」と思ってもらえるようなキャンペーンなどを開催すると効果的な販促につながります。
メディア活用
メディアを活用した販促は、さまざまな媒体を用いて販促を行う手法です。例えば、テレビ・ラジオなどでCMを流したり、雑誌・新聞などに広告を掲載したりする例が挙げられます。
幅広い層にリーチできる一方、広告制作費や掲載費などのコスト面がネックとなるため、自社の予算に合わせてターゲットや規模を絞ってメディアを活用するようにしましょう。
イベント
イベントの販促は、実際に体験できること・直接会話ができることを活かした手法です。例えば、住宅展示場の見学会や物産展などがあり、ひとつの場所に大人数を集客すれば、認知度拡大や売上増加につながります。
イベントに参加するメリット(抽選くじで景品が当たる・来場者にサンプルをプレゼントするなど)を告知すれば、拡散効果やさらなる集客効果が期待できます。
オンライン
オンラインにおける販促では、さまざまな種類のソーシャルメディアを活用することが特徴です。例えば、バナー広告やSNSのプレゼントキャンペーン、PR動画の配信などが挙げられます。
オンラインの販促は「どのような手段で」「どのような方向性で」訴求するかという点がポイントです。販促方法には流行も見られるため、トレンドを反映しつつ、消費者のニーズに合う販促を行うことが重要です。
販促キャンペーンの種類や具体的な手法、販促キャンペーンの成功事例などについては、以下のページを参考にしてください。
関連記事:販促キャンペーンとは?面白い企画のコツや成功事例を紹介!
販促を立案するポイント
続いて、販促を立案する際のポイントを紹介します。
ターゲットを設定する
販促を立案する場合、まずは「販促のターゲット」を設定します。性別・年齢・職業・居住地などのターゲットの属性(ペルソナ)を明確にすることがポイントです。ターゲットが明確になると、その属性に適した媒体や販促手法を選択できます。また、ターゲットごとの販促の施策を整理すれば、ノウハウとして蓄積することも可能です。
ターゲット属性を詳細に決めるための項目や、ペルソナの作り方はこちらの記事で紹介しています。項目はテンプレート化しておくのがおすすめです。
関連記事:ペルソナマーケティングとは?項目例や作り方、よくある失敗例を紹介
KPIを決める
KPIとは、最終目標に到達するための指標をいいます。例えば、最終的な目標が「売上100万円UP」である場合、実現するためには◯人にリーチする必要がある、コンバージョン率はこれくらい必要であるなど、売上を達成するための具体的な指標をいくつか設定します。
これらのように、「達成すれば最終目標に到達できる」と判断される数値のことをKPIと呼びます。
コミュニケーションコンセプトを決める
販促において、特に複数の手法やメディアを組み合わせて行う場合、方向性がブレないようにコミュニケーションコンセプトを決める(コンセプトを一貫させる)と、消費者への伝達効率を高めることができます。
例えば、SNSと店頭での販促を組み合わせてキャンペーンを実施する際には、SNS上と店頭とでPRの方向性やコンセプトをすり合わせておく必要があります。
具体的な施策を検討する
上述のようなポイントを踏まえたうえで、具体的な施策を検討しましょう。目的に合った施策や媒体で、どのようにターゲットの購買意欲を刺激するのかを煮詰めていきます。
【具体的な施策の例】
・ターゲット層:都内在住・同居家族がいる30~40代女性
・目的:売上増加
・媒体:SNS、紙媒体の雑誌
・施策:SNSと料理雑誌のタイアップキャンペーン
ターゲット層に合う媒体を使ってお得な情報・役立つ情報を発信すれば、売上増加や認知度アップなどの効果が期待できます。
ターゲット層のデータを管理・分析したい場合、顧客管理ツールの導入がおすすめです。顧客管理ツールを導入するメリット・デメリットや、おすすめのツールについては以下のページで詳しく紹介しています。
関連記事:顧客管理ツールのおすすめ4選!比較観点や無料プランの有無も紹介
効果検証して次につなげる(再立案)
販促を実施した後は、効果検証を行い、次につなげるための改善(再立案)を行います。ここで役立つのがさきほど紹介したKPIです。KPIと販促の結果を照らし合わせ、改善点はどこかを洗い出し、施策の実施→検証を繰り返します。これにより、自社の商品・サービスとマッチした販促キャンペーンなどをより効果的に行えるようになります。
KPIを決める際の注意点や、効果測定・効果検証の具体的な方法については、以下のページでまとめています。
関連記事:コンテンツマーケティングのKPI設定と効果検証のやり方を解説!
販促のユニークな事例
事例①こだわり酒場のレモンサワー
サントリーが販売する「こだわり酒場のレモンサワー」は、コンビニ限定の施策を行い、販売数増加につなげています。
飲食店のような本格的なレモンサワーの味わいを、家庭で手軽に楽しめるというコンセプトを活かし、レモンサワーの素を販売したり、飲み口の異なる数種類を発売したりなど、さまざまなニーズに応えるような販促を行っています。
そのほか、ジムビームや翠ジンソーダなどの商品についても、自社ブランドの飲み方に合わせた形状・デザインで飲食店向けのオリジナルジョッキ・タンブラーを開発し、認知度拡大につなげています。
事例②バーガーキング
大手バーガーチェーンの「バーガーキング」は、限られた予算の中で、知恵を絞った巧みなSNSマーケティングを実施しています。
なかでも「バーガーキングを増やそうキャンペーン」は、バーガーキングの出店先になりそうな空き物件を顧客が見つけて、出店地の候補を応募するという斬新な仕組みでした。
応募者全員が商品の割引クーポンをもらえるキャンペーンで、物件が成約すると賞金10万円がもらえることから、近所にバーガーキングがあったら良いなと思うユーザーやバーガーキングのファンの間で大きな話題となりました。








