今回は、今注目のプログラミング言語・Pythonについて解説します。Pythonの特徴や用途・事例などを踏まえ、Pythonが支持される理由やスキルを活かせる仕事なども詳しく紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
Python(パイソン)とは
Pythonは、さまざまな局面で使用されているプログラミング言語です。汎用性の高さに定評があるほか、以下のような点も開発者の支持を集める理由といえます。
シンプルなコードで学びやすい
Pythonの大きな特徴として、他言語よりコードの記述量が少ないという点が挙げられます。
メジャーなプログラミング言語であるJavaとの比較を例にとると、Javaは1つの処理(メソッド)を実行するためにクラス名やフィールド名、修飾子などの記述が必要ですが、Pythonは実行したい関数の名前と引数を記述すれば済みます。
コードの記述量が少ない・コードがシンプルであるということには、次のようなメリットがあります。
・言語の習得がしやすくなる
・コーディング時間が短縮される
・エラー箇所の特定が容易になる
・プログラムコードの改修や引継ぎがしやすくなる
・コーディング担当者ごとの個人差が出にくくなる(=コードが標準化されやすくなる)
習得のしやすさはPython技術者を増やす要因ともなっており、最初に学ぶプログラミング言語としてPythonを選ぶ人も多く見られます。
また、コーディング時間が短縮される点やエラー箇所の特定が容易である点は開発工数の削減に役立っており、コードの引継ぎ・改修・標準化がしやすい点はプロジェクトを円滑に進めるうえで重要なポイントといえます。
AI開発で注目されている
PythonはAIの開発において注目されている言語でもあります。
その理由として、Pythonのライブラリ(特定の機能を実現できる関数やクラスの集まり)やフレームワーク(開発に使える枠組みやテンプレート)がAI開発に適している点、膨大な数値計算を高速で行える拡張モジュールが存在する点などが挙げられます。
Pythonのシンプルでわかりやすいコード記述と、上記のようなライブラリ、フレームワーク、拡張モジュールなどを組み合わせると、よりAIの開発要件を実現しやすい条件がそろうこともメリットです。
Pythonができること【事例あり】
では、Pythonはどのようなことを実現できるのでしょうか?事例を交えながら紹介します。
①Webアプリケーション開発
Pythonを使うと大規模なWebアプリケーションやWebサービスの開発が可能です。PythonにはWebアプリ開発向けのライブラリやフレームワークが多いため、経験年数の少ない技術者もアプリやサービスの開発がしやすいといわれています。
世界的にユーザー数の多いYouTubeやInstagram、DropboxなどもPythonを使って開発されたサービスです。
②人工知能(AI)の開発
先ほど紹介したように、プログラミング言語としての特性や拡張機能との組み合わせによって、PythonはAIの開発にも利用されています。
Pythonで開発されたAIの例として、検索エンジン・カーナビ・画像認識の技術やロボットなどがあり、身近なものに活用されていることがわかります。
③データ処理・分析の効率化
ユーザー数の多いWebアプリケーションやサービス、AIなどの開発に欠かせないのが「大量のデータを効率的に処理・分析すること」です。
Pythonには、膨大なデータ(いわゆる「ビッグデータ」)に適したライブラリが用意されており、スムーズな処理・分析に役立ちます。
④データ収集の自動化
大規模なWebサービスやWebサイトを運営するためには、大量のデータを恒常的に収集・分析する必要があります。すでに述べた通り、Pythonにはデータの処理・分析に特化したライブラリがあります。さらに、Web上を巡回して情報を収集するためのライブラリ、特定のWebサイトにおけるユーザー情報やユーザーアクションを抽出するためのライブラリなども用意されており、膨大なデータを自動収集することが可能です。
日本国内の例を挙げると、「ぐるなび」「楽天」などの大型WebサイトにPythonのデータ収集技術が使われています。
⑤ブロックチェーン技術開発
ネットワーク内で発生した取引データをブロックという単位で記録・管理する「ブロックチェーン技術」の開発にもPythonが役立てられています。ブロックチェーンは主に仮想通貨の取引に用いられており、金融・ゲームなどの分野で使われています。
ブロックチェーンの開発には、Pythonの基本文法にくわえてやや高度な技術や周辺知識が必要となりますが、今後の需要増加が見込まれることからスキル習得を希望する人も増えています。
Pythonが注目されている理由・背景
続いて、Pythonが注目されている理由や背景を説明します。
開発に役立つ機能の充実
前述の通り、Pythonには開発を補助するさまざまなライブラリやフレームワーク、拡張機能などがそろっています。これらを必要に応じて使い分けることでさまざまな要件の実現が可能となり、開発の幅も広がります。
専門分野の開発実績が豊富
Pythonの豊富なライブラリ・フレームワーク・拡張機能を使うとビッグデータの収集や処理をスムーズに行うことができます。この技術を用いてAI・Webアプリ・ブロックチェーンといった専門的な分野の開発を重ね、実績の蓄積へつなげています。
開発の効率化が可能
Pythonは他のプログラミング言語に比べて記述コードの量が少なく、基本文法はやさしい傾向にあります。そのため難易度が比較的低く、短時間で学習しやすい言語といえます。また、コードが短いおかげで開発工数も少なくて済むことが特徴です。
シンプルなコードに多彩なライブラリ類を組み合わせることで開発が効率化しやすくなるという点も、Pythonが注目される理由のひとつです。
動作確認が容易
Pythonはインタープリタ型の言語であるため、コードを記述すればすぐに動かしてみることができます。他の言語(コンパイラ型の言語など)では、プログラムコードを書いてから実際に作動させるまでにコンパイルやビルドなどの工程が必要となるケースが多く、動作確認やテストに時間を要します。
しかしPythonでは、専用のインタープリタさえインストールしてあれば、プログラムを実行するだけで動かすことが可能です(※事前にPythonのバージョンを確認する必要があります)。
Pythonの需要や今後の展望
さまざまな分野で活用されているPythonですが、今後の動向はどのようになるのでしょうか。Python技術者の需要や、プログラミング言語としての展望などをまとめて紹介します。
Pythonの需要はどのくらいか
先ほども述べたように、PythonはAIやWebアプリ、ブロックチェーンなど、今後市場の拡大が見込まれる分野の開発において大きな役割を担っています。
2022年度のランキングを参照すると、プログラミング言語別にみる求人数ではJavaが1位、Pythonは4位にとどまっていますが、今後のスキル需要は伸びていくことが予想されます。
Pythonの将来性・今後の展望
近年はIT分野、特にAI関連へ投資する企業の増加が目立ちます。このことから、AI関連の開発案件は当面増える傾向にあるでしょう。Pythonの基本的な文法や構造を習得しておけば継続的に仕事を得られる可能性が高いといえますが、他のエンジニア・IT技術者と差をつけたいのであれば、ライブラリ・フレームワーク・拡張機能に関する話題や、Pythonを用いた開発案件の事例などについて、常に最新の情報をチェックしておくと良いでしょう。
Pythonのスキルが活かせる仕事
Pythonのスキルを習得すると、どのような仕事に役立つのでしょうか?主な仕事を3つ紹介します。
AIエンジニア
Pythonのスキルを活かせる仕事として、まずは「AIエンジニア」が挙げられます。
Pythonはプログラミング言語の中でも習得しやすいことからプログラミング未経者にも向いています。くわえて、AIの開発案件は今後も増加することが予想されるため、エンジニアとして早期に仕事を得られる可能性も高いでしょう。
Web系エンジニア
PythonでWebページ・Webサービス・Webアプリなどを作成するスキルを持っている場合、「Web系エンジニア」として活躍できます。
Pythonには、Webページ管理に適したフレームワークが標準で搭載されており、ユーザー認証やRSSなどの機能も用意されているため、仕様を理解しておくと仕事の幅がさらに広がるでしょう。
データサイエンティスト
ITの進化・発展には、データサイエンス(情報工学・統計学などの手法を駆使してさまざまなデータの解析を行うこと)が不可欠です。
データサイエンスを行う際の基盤構築・データ収集・処理・分析などにはPythonが用いられることが多いため、情報工学・統計学などの知識とあわせてPythonのスキルを習得しておけば、データサイエンスの専門家すなわち「データサイエンティスト」として収入を得ることができるでしょう。
Pythonの身に付け方・勉強方法
Pythonの学習は、
①Pythonの概要を知る
②Pythonの基本的な文法や書き方を学ぶ
③実際にプログラムコードを書き、動かしてみる
④実践的・応用的なプログラムコードを作成する
という順序で行うとスムーズです。
ここでは、Pythonの学習に効果的な方法を紹介します。
オンライン教材を使う
まずは、オンライン教材を使う方法です。Pythonの概要を学んだり、実際にコードを書いて動かしてみたりすることができるオンライン教材や学習サイトが提供されているため、活用すると便利です。
内容や料金は教材によって異なり、Pythonの知識を動画で閲覧できるもの・動作環境の構築方法をわかりやすく図解してあるもの・学びながらアプリやゲームを作成できるものなどがあります。
オンライン教材で学ぶ際のポイントとして、「安定した通信環境の下で学習を進めるようにする」という点が挙げられます。学習中に通信が切断されてしまった場合、作成中のコードや構築した環境のバックアップが取れているとは限らないため注意しましょう。
書籍・本で学ぶ
書籍や本を使ってPythonを学ぶこともできます。Pythonの概要を広く浅く学べる本から、特定の内容を深堀りした本までさまざまなタイプの書籍があるため、目的に応じて選ぶと良いでしょう。
【Python関連の書籍テーマの例】
・プログラミング初心者向けのPython解説
・PythonでWebアプリを作成する方法
・PythonでAI開発を目指す方法
・Pythonでデータ分析を行う方法
・Pythonのライブラリ・フレームワーク活用法
また、オンライン教材と書籍の併用も有効です。オンライン教材だけでは理解しきれなかった点を書籍で補う、書籍では不十分な実践的学習をオンライン教材で実施するなど、相互補完的な効果が期待できます。
プログラミングスクールに通う
不明点を都度質問しながら学習を進めたい人・独学が苦手な人などには、プログラミングスクールの受講が適しています。
受講期間や内容、料金などはスクールによって異なるため、事前に資料請求などを行うことをおすすめします。
また、実際に通学して学べる・在宅受講ができる・マンツーマンで指導してもらえる・PCを貸し出してくれるなど、さまざまなタイプのプログラミングスクールがあるため、自分に合いそうなスクールを選びましょう。
Pythonのスキルを活かすならクラウドワークス
Pythonのスキルが役立つ仕事を探したいのであれば、「クラウドワークス」がおすすめです。クラウドワークスは480万人以上のワーカー、78万社以上の企業が利用するクラウドソーシングサービスで、日々多くの仕事が発注されているため自分のスキルに合う業務・案件を探すことができます。
Python関連では、以下のような仕事が発注されています。
・既存Webサイトのカスタマイズやアプリ化
・ネイティブアプリの開発
・プログラミング学習教材の作成
・ECサイト構築のアドバイザー
・自動データ取得ツールの開発
・PythonをテーマとしたITブログの作成
上記はほんの一例ですが、幅広い仕事が発注されていることがわかります。Pythonのスキルレベルがあまり高くない人が取り組める仕事もあるため、「まずは難易度の低い仕事を受注し、実績を作りながらスキルレベルを高める」という使い方もできます。
▶クラウドワークスで実際に発注されているPython関連の仕事・案件の一覧を見てみる
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まとめ
今回は、Pythonの概要や用途、学習方法、活用できる仕事などを紹介しました。Pythonはプログラミング初心者にも学びやすい言語であるとともに、スキルを習得しておけばレベルに応じてさまざまな仕事を受注することが可能です。今後需要が高まる可能性も高いため、マスターしておいてキャリアアップにつなげてみてはいかがでしょうか。