フリーランスの麻酔科医として働きながら、「医師による医療以外のサービス提供」をうたって株式会社DoctorsWorksを立ち上げた大見貴秀さん。
クラウドワークスでは、医師としての知見を活かして医療・ヘルスケア記事のライティングや監修を行う「クラウドワーカー」として登録して仕事を請けています。
一般に医師は勤務時間外においても緊急でなど激務で、現場では疲弊しているドクターが実に多いと嘆く大見先生。
医師免許の活用を、医療行為以外にも広げられれば働き方にも選択肢が増え、余裕につながるのではと自身、フリーランスの立場をとられているのだそう。
インターネット上の情報記事に対する信頼性が問題視されている昨今ですが、専門職によるライティング・監修のサービス提供において、クラウドワークスをいかに活用されてきたのかを伺いました。
目次
パートナーとの役割分担で、医師の知見を活かした業務に専念
―大見先生は、普段は医師としてお仕事をされているそうですね。
月曜から金曜までの週5日間はフリーランスの麻酔科医として、病院やクリニックで勤務しており、執筆や監修の仕事は、主に週末の2日間に行うようにしています。
ただ、依頼を多くいただくようになって忙しくもなってきていますので、医師として勤務終了した後も執筆や監修業務に従事することが多くなっています。
麻酔科はフリーランスで働く人も多いため、勤務時間を自分である程度コントロールすることも可能です。そのため起業をしやすいのではないでしょうか。
―医師のお仕事以外に起業された経緯を教えてください。
DoctorsWorksの設立は2016年7月ですが、実はその前にも、医師の目線から見た健康に良いお茶を扱う会社を作っているんです。どちらも同じ友人と一緒に立ち上げた事業で、2人代表取締役制を採って運営しています。
彼は医師ではないのですが、以前は健康食品の製造販売企業に勤めており、ヘルスケアに興味があるというので、パートナーとして一緒にやっていくことになりました。
クラウドワークスへの登録や案件にまつわる交渉や受注、進行管理は彼の役割です。私は依頼内容に沿ってのライティング・監修業務に専念できるので、大変助かっています。
また、医学の情報は日進月歩ですので、納品前に医学書や最新のデータベースで内容の最終確認を行っています。基本的に納品する原稿では裏付けとなるデータを用意するようにしています。
クラウドソーシングは、ニーズの有無の見極めや実績づくりにうってつけ
―クラウドワークスへの登録はどのようにして決められたのですか?
それも、クラウドソーシングに注目していたパートナーからの勧めですね。そもそも、医師によるライティングや監修というものに需要があるかを見極めるために、法人を立ち上げるのに先んじて2015年の年末に私個人としてクラウドワークスに登録しているんです。
そこで予想外の反響が得られたので、法人化に踏み切ったのです。
―事業としての可能性を見極めるために、クラウドワークスを役立てられたわけですね。
そのとおりです。それにライティングであればクラウドワークスは、最初の実績づくりとして有効だろうというのが、パートナーの考えでした。
医療についての専門的なライティングをするといっても、広報する手段は自社ホームページなど限られます。大学病院で要職にあるわけでもなく、著書もない自分にとっては、クラウドワークスは入り口として最適です。
ここで実績を作っていき、依頼をコンスタントに受けられるような立場をめざそうと考えました。
―今はクラウドワークスを通じてのお仕事の入り方は、どのようですか
専門に特化しているためか、スカウトのご連絡や、あるいはクライアントさんから直接依頼などで、月に5件ほどはコンスタントに話をいただいています。
内容としては、サプリメントに関するものが多いでしょうか。また、専門家として情報の質を担保するという付加価値と同時に、それを会社としてブランディングしていきたいので、掲載時には原則として署名と顔写真掲載をお願いしています。
病気や薬の情報は○か×かだけでなく、一部抜粋だけで危ういことも
―医師として、これまでインターネットでの医療情報をご覧になっていて、危うさを感じられたことはありましたか?
そうですね、資格者ではないと思われる方の文章というのは、何となくわかりますね。
医師の仲間内で話していても、特に外来での診察を行っている医師ですと、患者さんがあらかじめネットで病気やお薬についてものすごく調べられていることも多く、その情報が正しければよいのですが、そうとも限らないので、違うと伝えたくてもなかなかご理解をいただくのが難しいと、よく悩んでいますね。
―メディアが発信する情報への責任は重大ですね。
特に医療では、条件によってはそう言える、といったこともありますので、一部だけを取り上げられたり、それが一人歩きするようなことはあってはならないのではないかと思います。
当社では納品先は基本的に法人様ですし、原稿の掲載される媒体やその趣旨についてはきちんと確認した上で執筆・監修に入るようにしています。
また、掲載媒体には「無断転載を禁ずる」旨が記載されているものですし、あとはそれぞれの法人様の著作権の問題になるのかとは思いますね。
医療情報だけでなく、医師という立場ならではの生活情報発信も
―これまでにあった依頼で、意外だったものはありますか?
意外と言えるものはあまりないですね。私としては、医療情報の発信に留まらず、「医師の働き方・キャリア」といったテーマも面白いと思っているんです。
私は、勤務医として常勤・非常勤の両方にスポットでのアルバイト勤務、また開業医ではないですが起業経験まで、一通り経てきています。それぞれの働き方のメリット・デメリットや経験談は書いてみたいことの一つですね。
―クラウドワークスの活用のされ方で、考えられていることがあれば教えてください。
個人のスキルを売買できるサービスを始められましたよね?そこでセミナー講師派遣ができないかなと思ったんです。
新入社員向けに生活習慣病予防法や、健康診断結果の数値の読み解き方など、パッケージ化したセミナーを出して反応を見てみたい気がしています。
―2016年10月にリリースした「WoWme(ワオミー)」ですね。「得意を売買する」ためのプラットホームです。ご注目いただき、ありがとうございます。ただ、私たちの考えているのはネット上で完結するサービス提供なんです。
すると、セミナーではなく、個人へのアドバイスという形でのサービス提供のほうがよさそうですね。早速パートナーと検討してみます。