稟議書や決裁書、契約書などには各部署の上長や取引先の押印が必要です。このようなときに電子印鑑ツールを活用すれば、書類をわざわざ印刷しなくてもパソコンの画面から文書に押印することができます。そこで、電子印鑑を利用する具体的なメリット・デメリット、おすすめの無料ツールなどを紹介します。
目次
「電子印鑑」とは?
電子印鑑とは、パソコンの画面の中で押印することができる仕組みです。契約書や決裁書などの電子文書に押印してメールで送信する際に、いったん書類を印刷して手元に用意することなく処理ができます。では、具体的なメリット・デメリットには何があるのでしょうか。
電子印鑑のメリット
書面への押印が必要となると、書類の印刷、押印、郵送などといった手間が発生することにくわえ、紙・インク・朱肉・実印などのコストも必要です。一方、電子印鑑ならばパソコン上から押印してすぐにメールで送信できるため、印刷・郵送などに必要な労力やコストを削減できます。リモートワークや在宅勤務を行っている企業では、押印のために出勤する必要がなくなるのもメリットです。
電子印鑑のデメリット
デメリットとしては、取引先の同意を得なければならないことです。電子印鑑を導入する企業は増えていますが、まだそれほど知名度が高くないこと・セキュリティ面での安全性が心配されることなどがあり、受け入れられないケースも少なくありません。取引先から快く同意を得るためには、信頼性・安全性の高い電子印鑑ツールを利用することがポイントです。
無料で使えるおすすめ電子印鑑ツール
ここでは、無料で利用できる電子印鑑ソフトやサービスを4つ紹介します。
クリックスタンパー
クリックスタンパーは、指定の項目に文字を入力するだけでスタンプ画像を作成できる電子印鑑ソフトです。押印日が入った日付印や三文判、マル秘印、複数行に分けられるビジネス印などの電子印鑑も作成できます。PNGやJPEGなどの5つのファイル形式に対応しており、クリップボードにスタンプ画像をコピーしてからWordやExcelなどにコピーペーストするだけで押印できます。
クリップスタンプ
クリップスタンプは、日付印・三文判・分割印などの電子印鑑を作成できるソフトです。日付印に表示される日付はパソコンの情報が反映されるので、押印日を手入力する手間がかかりません。編集機能が充実しており、フォントやカラー、縦・横書きなどを細かく設定できます。保存はJPGとBMPに対応しており、Word、Excel、一太郎などのソフトで使用可能です。
Excel電子印鑑
Excel電子印鑑は、Excelのアドインとして利用できる電子印鑑ソフトです。ダウンロードするとExcel上のメニューに追加され、押印が必要なときにすぐに使用できます。作成した電子印鑑は、Excel上で名前・フォント・色などを編集できます。認印や日付印だけでなく、「至急」「社外秘」「見積書在中」などの電子印鑑も作成できるため、さまざまなビジネスシーンで役立ちます。
WEB認印
WEB認印は、シャチハタの書体として使用されている「白舟書体」で印影作成ができる電子印鑑サービスです。名字の上位10,000姓が収録されており、ファイル形式はPNGとPDFに対応しています。会員登録せずに利用でき、書体・大きさ・色を選んでから「作成」ボタンをクリックするだけで作成できます。なお、WEB認印は電子署名法に定められている電子署名に該当せず、契約書などの書面には使用できないため注意が必要です。
なお、メンテナンス等でサービスが一時的に利用できない場合などもあるため、各ツールの最新情報を確認することをおすすめします。
電子印鑑ツールなしで印鑑を作成するには
電子印鑑ツールを使用しなくても、簡易的な印鑑画像であればWordやExcel、画像編集ソフトで作成することが可能です。ここでは具体的な作成方法を説明します。
WordやExcelから作成
WordやExcelを使って電子印鑑を作成する方法は、以下のとおりです。
1.Excelの「挿入」メニューの図から「楕円(だえん)」を選択し、円を挿入
2.円上で右クリックし、「図形の書式設定」で塗りつぶしなし、枠線の色、太さを変更
3.円上で右クリックし、「テキストの編集」を選び、円上に名前などの文字を挿入
4.再び「図形の書式設定」を開き、「文字オプション」で文字の色や中央揃え、縦書き、余白などを変更
5.図形をコピーしてWordに貼り付け、円上で右クリックして「図として保存」を選択後、PNG形式で保存
このようにすると画像として保存されるため、次回以降はWordやExcel、PDFファイルに画像を挿入するだけで簡単に押印できるようになります。
画像編集ソフトから作成
スキャナーと画像編集ソフトを利用して電子印鑑を作成する方法は、以下の3ステップでできます。
1.白紙に押印し、印影を画像データとしてスキャナーに取り込む
2.印影の画像データを画像編集ソフトに読み込む
3.印影の大きさ、明るさ、色、傾きなどを調整し、トリミングしてPNG形式で保存
スキャナーが手元にない場合は、スマートフォンやデジタルカメラなどでも撮影できます。その際は真上から撮影して影が入らないよう注意することがコツです。
さらなる事務作業の効率化を目指すには
事務作業を効率化したい場合、さまざまなスキル・実績を持つ人材を探せるクラウドソーシングサービス(※)を利用する方法がおすすめです。なかでも業界最大手の「クラウドワークス」は登録者数480万人を超えており、経理や会計、人事、総務などの事務領域において長年の経歴を持つプロが多数登録しています。
書類作成やデータ入力などをはじめとする定常業務から、売上には直接関係しないようなノンコア業務まで幅広い業務を依頼可能です。業務委託契約になるため、社員を雇用する際にかかる費用(福利厚生費や交通費、賞与など)が発生せず、コストを抑えて外注できます。
【クラウドワークスでの発注事例】
・事務代行(データ入力や書類整理、電話対応など):時給1,000円前後
・経理代行(仕訳や記帳、領収書の整理、給与計算など):時給1,000~1,500円
・秘書代行(テレアポやスケジュール管理、資料作成など):月額5~20万円
・電子印鑑のデザイン制作(文字やロゴのデザイン、レイアウト調整など):5,000円~
(※)クラウドソーシングサービスとは、仕事を外注したい人・受注したい人をインターネット上でマッチングするサービスのこと
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まとめ
電子印鑑ツールを利用することで、事務作業の効率化やコスト削減につなげることができます。ただし、取引先と交わす書類に電子印鑑を使用する場合は、事前に取引先の同意を得ておきましょう。記事内で紹介した電子印鑑ソフトやサービス、電子印鑑作成方法を参考に、ぜひ自社に合う方法を見つけてみてください。